異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
「やっぱり鎌は見せちゃダメだったか…カッコいいのに」
宣言通り『ごめんなさい』って書いた置き手紙とフルーツ盛り合わせ、ついでにストックしてあったオリハルコンとか適当な金属を積んだ私は、鍛冶屋さんを出て違うお店を目指して歩いていた。
うーん、鏡が水を通して見るならなんとかなるかもしれない。
「後ここでお世話になったお店っていうとシイラさんの所だけど……あむ」
さっきの鍛冶屋さんみたいに、中身は全く別な所になっていて会えないかもしれない。そう考えると結構悲しくなる。馬車に乗せてもらったり、獣人界でずっと付けてた変身の腕輪のお礼とかも言いたいし。
何故か未だにやっていた、焼き鳥みたいな串焼きの屋台で買った串を食べながら道を歩いていく。この甘辛いタレがなんとも…じゃなくて!
「シイラさんのお店、さっきのところの隣なら分かりやすかったのに…」
フローを出すわけにもいかず、話す人もいないからさみしいなぁと思って歩いていくと、ようやくお目当のお店を発見した。外装の変化は…ちょっと新しくなってるくらいか。
「こんにちはー!」
扉を開けながら私は元気に挨拶する。お店が変わってたとしても、1番最初に挨拶はしないとね。ほら、某名前を呼んではいけないあの人も『お辞儀をするのだ』って言ってたし礼儀は守らないといけない。
「いらっしゃいって、嬢ちゃんか。懐かしいな、元気にしてたか?」
「はい!この通りピンピンしてます!」
先の鍛冶屋さんとは違って、かなり久しぶりに再会する事が出来たシイラさんに、手をブンブン振り回して元気なことをアピールする。
「先に聞いたこっちが悪いが、魔力回路が壊滅的に壊れてるじゃねえか」
「えっと、見えるんですか?」
「ああ。何をすればそんなになるのかは知らないがな」
シイラさんですら見えてたのに、私には自分がどれくらい大変な怪我なのかは見えないことに少しイラっとする。むぅ…この魔眼の元、全てを見通す目ってなってたし鍛えようかな…どうすればいいのかわからないけど。
「その腕輪で魔力を封じてるのはいい判断だがちょっと待ってろ?確か魔力回路の回復を促進する丸薬をどこかに仕舞ってあったはずだ」
そう言ってシイラさんは店の奥に行こうとしてしまう。あ、ちょっ、待ってくださいよ!
「あの、なんでそんな貴重そうな物を私なんかに?」
「あのなぁ、目の前に超重傷の子供がいるのに見て見ぬふりができる大人がいるわけないだろ?」
「えぅ、その、ありがとうございます」
叱るように言うシイラさんにぺこりとお辞儀をする。よくよく考えるとそうだよね。壊滅的な大怪我をした小さな女の子、見捨てたら人じゃない。私だってどう考えても助けるし。
「そういえば、ここは変わってないんだなぁ…」
お店の奥に引っ込んでったシイラさんを見送って、周りにある商品を眺めながら私は言う。
初めてここに来た時は鑑定すらできなかったような、何故ここにあるのかわからないレベルの物が所々にあるのに、その周りには至って普通なポーションが置いてあったり色々と謎なお店だ。
(あ、変身する腕輪売れ残ってる)
流石に口に出すのは失礼すぎるから言わないけど、私が買ったのと同型の変身する腕輪がまだ2つ売れ残ってた。周りにはヘアピンとか髪留めとか、果てには指輪とかネックレスまで置いてある。全部が魔導具だし、やっぱりカオスなお店だ。
「待たせたな」
そんな事を考えていると、お店の奥からその大きな手に小さな袋を持ったシイラさんが帰ってきた。解析を使ってみると、手にあるのは《魔法回復薬DX》ってふざけた名前だったけど、効果はキチンとした丸薬と表示された。内容量は10個。
「嬢ちゃんの今の状態を考えても、これら貴重品で俺は商売人だからな…これ全てで、ギリギリまで値切って金貨5枚だ。どうだ?払えるか?」
「もちろんです!」
出現させたギルドカードから、お金を取り出してカウンターにどうにか置く。全財産の大体半分だけど、この暇な時間が短縮されるって言うんなら安いもんだね!
「毎度あり。その中に入ってる一緒に仕入れた紙によると、服用は食後のみだそうだ。間違えないように気をつけろよ?」
「わかりました!」
お医者さんごっこ、そんな言葉と同時にクラネルさんの顔が頭をよぎってすごく微妙な気分になる。と、とりあえずお昼はまだだから、今日のお昼から飲めるなぁ(現実逃避)
そんなことを考えながら、失くさないようにホクホク顔で開いた門の中に薬を仕舞っていると、目の前のシイラさんが予想外の言葉を口にした。
「で、さっきからそこで固まってる坊主は何がしたいんだ?」
その言葉に振り向くと、坊主…つまりロイドと目がバッチリ合った。
手には四つ葉のクローバーの髪飾りを持ってて、ロイドがそれを付けるのはありえないから誰かへの贈り物で、ロイドのお母さんの場合は髪の色に紛れて意味が無いから、つまり諸々考えると自意識過剰になるかもしれないけど私への贈り物という事になって…
「ひゃぅ…」
そこまで考えついて、瞬間湯沸かし器のように一瞬で顔が真っ赤に茹で上がる。ちょっと考えるとリボンの色さえ変えれば私に似合いそうではあるし、色々と辻褄が合う。
「なんだ?嬢ちゃんと坊主ってコレか?」
「「ち、ちがいますよ!(まだ)」」
「なんだ、息ぴったりじゃないか」
小指を立ててそう言ってくるシイラさんに反論したけど、ロイドとぴったり声が重なってしまった。というかまだって何!?まだって!?
そして、昨日みたいに頭がぐるぐるし始めて思考が変な方向にまで派生し始めた時、私のお腹がくぅと鳴った。
「っっ!」
「とりあえず、飯でも食べてくればいいんじゃないか?坊主、それは銀貨1枚と銅貨5枚な」
「あ、はい。わかりました」
とくこうが2段階下がった感じの頭のまま、私はロイドが会計を済ます横で目を回しているのだった。
よし、こういう時は素数だ!1、3、5、7、違うこれ奇数!えと、えと、2、3、5、7、11…
イオリの(頭の中が)オーバーヒート!
イオリ の とくこう が 2ガクッと 下がった!