異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
※ロイドが遅れた場合のR17.9ルートは削除されました。
投票者数100人になったーいえーい。
「何か変なこととかされてないか!?」
「え、う、うん。されそうだったけど」
地面にへたり込んだまま、今さっきまで忘れていた《
「何邪魔てくれてんだ…死ねぇ小僧っ!」
そう私とロイドが話している隙に、吹き飛ばされたモーブが魔法を…多分私を押さえつけてたのと同じ見えない何かを飛ばしてきた。
怖さとか照れとか色々混ざって魔眼の情報を読む暇はないけど、それはロイドに当たる寸前、一瞬だけ嵐のような風が吹いて魔法はかき消されてしまった。多分これが豪嵐の守護ってやつなんだろうね。
「チッ。小僧、テメェどっから入って来やがった。ここは高い金払って買った魔導具で隔離した筈だ」
「そんなの知るか、手当たり次第に探しただけだ!!お前こそなんの目的があって襲った!」
暗がりから戻ってきた大きめの剣を持ったモーブに対し、徒手空拳のロイドが右手でモーブを指差して答える。私も不意打ちで参加したいけど、腰が抜けてるっていうのかな?足に力が入らなくて立てない。うぅ、情けないし恥ずかしい。
「手前にいってやるギリはねえが、冥土の土産に教えてやるよ。復讐だ。俺から全てを奪ったそいつになぁ!」
そういってモーブが、その巨体に似合わないスピードでロイドに斬りかかる。ように見せかけて、謎の見えない力…多分《無魔法》で砂埃を起こし、ロイドじゃなくて私に斬りかかってくる!?
「ふ、ふろー!ファイアブレ」
「見え見えだってんだよ!」
私がフローにファイアブレスを頼む数瞬前、目潰しの砂埃を吹き散らしたロイドの回し蹴りがモーブの鳩尾付近に直撃する。バキバキと鈍い音が鳴り、再度モーブは暗がりに吹き飛んで行った。
「イオリ、さっきあいつの言ってた復讐って?」
「さ、さかうらみ!」
殴られてる間に言われた事を思い出し、思った事そのままを私は言う。だいたいあれって、そーほーのごういを得た上での賭けだったはずだもん。向こうがどうなったって知るもんか!
「私も戦わないと…あと、なんでロイドは剣を使ってないの?」
コートに袖を通し、取り出した大鎌を支えにどうにか立ち上がる。ぐぬぅ、魔法が使えないのはやっぱり不便だ…あと足ガクガクする。
「イオリは休んでろよ。そんな状態じゃろくに戦えないだろ?」
「いや、でも」
「それにあんな剣を抜く価値もないやつ、すぐに片付けてくるから。安心してくれ」
そういった瞬間、ロイドの姿が掻き消えた。吹き付けてきた風の感じだと暗がりの方に行ったみたいだ。風圧に負けて女の子座りにもどる。伏兵とかがいるかもしれないから念のため、フローを門の中からこっちに呼んでおくけど、これって…これって…
「うぅ…これじゃ私完全にヒロインじゃん。腰も抜けちゃってるし、ねえフロー?」
「きゅう?」
久しぶりに外に出たからか、キョロキョロしていたフローに話しかけてみたけど、何を言ってるの?って念しか返ってこなかった。その間にも、奥の方からドガッとかバキッとかグシャッて生々しい音が聞こえてくる。やりすぎてないかな?ロイド。
「とりあえずこれかけといてね、フロー」
「きゅう♪」
なんにしろ暫くはフローを召喚しておかないといけないから、変な誤解をされたりしないようにしないといけない。という事で、今取り出したこっちの世界の文字と日本語で『ぺっとです』って書いた木札をフローの首にかける。
「ぺ、ペットなのか…」
そんな事をしている内に、右手でモーブを引きずったロイドが戻ってきた。多分出てた鼻血を拭きながら、それにどこか安心してしまった自分にびっくりする。
「まあ、それより大丈夫なのか?本当に怪我とかしてないか?」
「う、うん、治ったから…」
「いっつも気づけばいなくなって、1人で何かに巻き込まれて…心配するこっちの身にもなってくれよ…」
心底安心したといった顔でロイドがそう言う。う、戦闘脳から戻ってきてるせいか若干恥ずかしさが戻ってきた…
「今回のは例外だよ!いきなり攫われたんだから!」
「それでも心配したのは変わらないんだからな」
女の子座りのまま、ポカポカと腕を振り回して抗議する。心配してくれるのは嬉しいけど、今までのだって結構不可抗力だし?そんな風にジタバタしている中、ロイドが言った。
「…立てないのか?」
「うっ。うん、腰抜けちゃった」
あははと笑いながら私は言う。未だになぜか足に力が入らないんだよね、すごく怖かったのと安心したのが原因なんだろうけど…そんな事を考えていると、ロイドが完全に予想外の行動を起こした。
「よっと。軽いな、ちゃんと飯食べてるのか?」
「ちょっ、ロイドこれはダメ!恥ずかしい、おろして!せめておんぶにして!」
ロイドがモーブを捨てていきなりお姫様抱っこしてきた。うん、大事なことだから二回言うけど、いきなりお姫様抱っこされた。ついさっきまで色々な感情がごちゃ混ぜだったのに、今はもう羞恥と恥ずかしさで全部埋まってしまってる。
「おーろーせー!」
「分かったから。分かったから暴れないでくれ!落としふべっ」
力こそこもってないけど、暴れてた私の手がロイドに直撃した。あっ。そしてそのまま落ちていった私は、待機していたフローにキャッチされるのだった。
◇
「それで、これからどうするんだ?やっぱりギルドか?」
「うん。一応色々問い詰めないとだし」
リュートさんと比べると小さい背中におぶられながら、私はそう言う。モーブは保管してたアダマンタイト製の鎖で縛ってフローが咥えている。とりあえず背負われてるからコート一枚だけで密着する事にはなるけど、真っ赤な私の顔が見られないから安心だ。
「色々って何があるんだ?」
「どうせ私怨でのはんこーだけど、Sランクとしての権限とか全部使ってギルドから除籍させてやる!それに…」
しょっけんらんよーみたいになるかもしれないけど、暴行傷害罪に強姦未遂だし地球でもこっちの法でも投獄確定だもん。気にしちゃいけない。それにしても、安心する暖かさとにお…なんでもない。
「それに?」
「ギルドは除くけど、どこか組織にぞくしてたりしたらね、部下の罪は上司の…会社の罪だもんね!いしゃりょうぶんどってやる…」
「今のイオリがそんなこと言っても一切怖くないけどな」
「あぅ…」
普通にいい負けて、私はおとなしくロイドに運ばれて行くのだった。というかいつ着替えよう?イリヤっぽいコートだから大丈夫だけど、まだ下は破られたままだし…
???「あぁ、もうお前はいらんぞ。これから先、塵の登場などあってはならぬ。用済みの役者には退場願おう」