異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
「ようやくきたか貴様ら。そちらから決闘を申し込んだのだ、よもや逃げたりはしないだろうな?」
「はぁ…やっぱりこうなっちゃったか…」
「逃げる訳がない」
作戦会議をしていた2日後のお昼、ゆっくりと休養した私達はギルドの闘技場に来ていた。え、間の日?何してたからヒミツだよ?そして闘技場で待ち構えていたアンジェロ
「イオリって、未来でも見えてたりするのか…?」
「ひーふーみー…だいたい60人弱。レベル平均83だよ、マスター」
「一応、数秒先の未来なら見れるかな…でも、まさかここまで予想どおりになるとは思ってなかったよ」
ティアの言う通り、こちらが3人なのに対し大量の戦力を用意してきていた。見たところ1番前にいるのが戦士タイプの人達で、その後ろに魔法使いっぽい人達と騎士甲冑が居座ってる。私たちはレイドボスか。
「どうした貴様ら、武器を構えよ。決闘を始められんではないか」
「決闘が始まったら抜くのでお構いなくー」
「同じく」
全身キチンと武装しているのに、武器だけ持っていない私とティアを見て、1番奥で所謂騎士甲冑の中からアンジェロさんが声を響かせてくる。いやそんなこと言われても…多分大鎌も杖も、見た瞬間何人かは強制退場だろうし、それで難癖付けられたくないし。
「えっと、こっちが勝ったら私達の滞在を認めて」
「そっちが勝ったら、わたしたちは出て行く。それでいい?」
「ああ、その条件で構わん」
よし、言質は取った。これでもう、こっちが勝てばなんの文句も言われなくなるね。
「それじゃあアルさーん、合図お願いしまーす」
「おう! 任せとけ」
「蒼矢ー、負けても便宜は図ってあげるからー」
なぜかいるタクの応援は無視して、門に手を突っ込んでいつでも大鎌を取り出せるように構える。実はもう私の攻撃の下準備は始まってるけど、ティアしか気づいてないから問題ないよね。
「そんじゃあ始めるか」
そう軽く言ったアルさんの言葉で、場の雰囲気が一気に引き締まる。治ってきてるとはいえ、やっぱり魔法は大体本気の半分くらいでしか使えないか…まあそんなの気にすることじゃないけどね!
「デュエル開始!」
その言葉が聞こえた瞬間、私は
「
今回は私の周囲に止まってるけど濃い血の匂いが漂い、大鎌の刀身のひび割れが怪しく光る。中二感溢れるけど、まあ斬魄刀の解号みたいな感じだと思ってもらえればOKかな。同時にティアも杖を取り出したせいで、プレッシャーに負けてか予想通りバタバタと6人くらいの冒険者が倒れた。
「ロイド、とりあえず行くよ!」
「おう!」
そんな返事が聞こえたと思った瞬間、隣で二刀を構えていたロイドの姿が風となって搔き消える。もう金属音が聞こえるからやり合い始めてるんだろうね…私も負けないようにしないと!
ロイドより2秒くらい遅れて、私も敵の冒険者の中に突入する。確かこういう時って、乱戦に持ち込んだ方がいいってどっかで聞いた覚えがあるしね。
「全砲門解放、いくよフロー!」
そう合図をした私の背中に、某海賊のガンダムのスラスターのようにX字に門が開く。私とティアの《
それがどうしたのかというと、こうやって強盗から奪った銃を改造して量産した物の銃口を飛び出さして、中でそれらを操作できる生き物がいるなら…?ってことだ。アルさんとの戦いの後、一応ゴム弾は作ったけど今回は実弾!
「2c○とY○uTu○eにニコニ○……地球の暇人の力を見るがいい! フルファイアッ!!」
前方で盾を構えていた数名を盾ごと斬り裂き例の結界から弾き出し、私を狙ってたと思しき男は眩いマズルフラッシュの中に消えた。因みに体調が万全なら、空中から魔法と銃撃の雨を降らせる事ができる楽しい技だね。
とりあえず、これでロイドがやっつけた分も合わせて、前衛は残り30後半!
「まだまだ!原作再現、災輪・
使わないって言っておきながらも、なんだかんだで使ってたこの技。今までと違って、肩当からじゃないけれどちゃんと射撃まで再現してコマのように回転しながら、人が纏まっている所に突撃しようとしたけど…
「危なぁ!?」
後ろから迫ってきていた、煙を上げている黒い氷の礫を回避するために大きくジャンプする。もちろんこれはロイドの方にも迫っていたけど、余裕を持って回避していた。さっすが私の…やっぱりなんでもない。
「ちょっ、危ないよティア! 普通にここじゃ、ふれんどりーふぁいやあるんだから!」
「面倒くさいから、全部片付けた。それに、マスター達なら安心」
そんなティアの宣言と一緒にパキンと何かが凍るような音がしたと思ったら、ついさっきまで私とロイドが戦っていた人達が全員氷漬けになっていた。そして次の瞬間には、結界から弾き出される。
「むぅ…もう誰も残ってないじゃん」
「マスター、ちゃんと前見る」
「ふぇ?」
そう言われて振り返ると、アンジェロさんの前に立っていた魔法使いっぽい人達が4人と、アンジェロさん本人は残っていた。薄紫の壁が見えるから、多分結界でも張って守ったんだと思う。他にもかなりいたのにそこまで削られちゃってるけど。
うーん。これじゃ一騎討ちやるにも邪魔だし…あの人達、ナノゴーレム結構吸い込んでるみたいだし、せっかく準備したしやっちゃうか即死技。
「ぐらすぷはーと!」
そう私が軽く言って左手をぎゅっと握った瞬間、残っていた魔法使いっぽい人達はドサリと崩れ落ちた。原理は、ナノサイズのゴーレムを吸い込んじゃってるから、ちょっとそれに【魔力を暴走させろ】って指示を飛ばす→血中のナノゴーレムが爆発→死 って感じ。
一応ゴーレムって武器扱いみたいだから、結界外に飛ばされれば吸い込んでた分は体内に残らないから問題ない。
「い、一騎討ちだ! そちらの少年と!」
そんな事を考えていると、なんとなくテンプレ感溢れる台詞をアンジェロさんが言ってきた。うん、まあそういう事なら大鎌は仕舞っちゃっても問題ないね。
「あー言ってるけど、どうする?ロイド」
「折角イオリ達が場を整えてくれたし受けてくるよ。負けるつもりは無いから安心してくれ」
「ん、とりあえず頑張れ。私たちは後ろで見てる」
「いってらっしゃーい」
そんな戦場には全く似つかわしく無い声と共に、ロイドとアンジェロさんは前に、私達は後ろに下がる。ロイドは私特製の二刀を、向こうはピッカピカの剣と盾を構えている。どっちも準備は万端みたいだし…
「いざ尋常に」
頭の中に某奇策師のキャラを思い浮かべながら、右手を上げる。シーンと静まり返った闘技場に私の声が響き、ピリピリとした空気が漂い始める。
「はじめ!」
私が腕を振り下ろした途端またもロイドの姿が消えて、キンッという金属音が響いた瞬間、アンジェロさんが結界外に転送されたのだった。
というか、魔眼でもロイドが見えなかったんだけど…