異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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オリンピック、始まりましたね。


第10話 現状の再確認

「イエーイ。ハイ、ターッチ」

「い、いえーい」

「ハイタッチ」

 

 二刀を仕舞ったロイドと、近くにいたティアと3人でハイタッチする。やっぱりアレだね!  クーガーの兄貴の言ってる通り、速いってのは正義だね。

 

「勝負ありだ。これでアンジェロもタクミも納得したか?」

「え、はい。こんなの見させられたらもう認めるしかないです」

「決闘に負けた以上、仕方あるまい。目を瞑ろう」

 

 そんな事を考えてる時、結界の外からこう声が聞こえてきた。認めてもらえたのは良いけど、さっきのアンジェロさんはともかくタクは何を反対してたんだろう?

 

「つーわけでご苦労だったなお前ら!しばらくは攻め入る予定もねーし、多少不自由な場所ではあるがゆっくりしてくれていいぞ!」

「はーい、わかりました。ゆっくりさせて……ってわかれませんよ!」

「マスター、ナイスノリツッコミ」

 

 最近、うちの(精霊)の私いじりが酷い気がする。まあそんな事は置いておいて、ちょっと気になっていた事を尋ねる。

 

「なんでそういえばタクがいるの?とか、認めるしかないですって言ってたけど何を?とか色々気になる事はあるんですけど」

「俺も、攻め入る予定って言うが何なのか気になります」

 

 私とロイドで真剣な目をしてアルさんを見て聞くけど、肝心のアルさんはすっごーく面倒くさそうな顔をして、2、3回頭を掻いてから言った。

 

「何故あなたが説明しない?」

「そこに折角本人がいるんだから、そっちに聞いてやれよ…俺は説明とか得意じゃねーし」

「そうですね。この脳筋に話を聞くのはオススメしません」

「はぁ…」

 

 あーうん、アルさんならなんとなくあり得る。とりあえずアンジェロさんには後で面倒くさい事にならない様にOHANASHIするとして、まだ許してないけど 仕 方 な く タクに話しを聞く事にする。

 

「むぅ〜…じゃあ気は進まないけど、説明してもらえる?タク」

「分かったけど、多少長くなるしお昼でも食べながらにしない?」

「えぇ…」

「面倒」

「まあ、俺はいいですけど…」

「そんなに露骨に嫌そうにしないでよ…」

 

 そのタクの提案に正直言って全く乗り気ではないけど、まあ話を聞けそうなのはタクくらいだから、仕方なく同意する。べーっだ、まだまだタクの事なんて許してあげないもんねー!!

 そう心の中で思いっきりあっかんべーしながらも、私達は4人でご飯どころに向かって歩いて行くのだった。

 

 

「えっと、それでなんの話だっけ?」

 

 テーブルの向こう側に座ったタクがそう言う。席の都合上、向こうにタクとティアこっちに私とロイドって並びで座っている。ティアには悪いと思ってるけど、まあいいよね。

 

「なんでタクがわざわざ決闘見に来てたのか、認めるってのは何をとなのか。それと攻め入るってのは何なのかだね」

「早めの説明を求む」

 

 私と同じで、むすっとしたティアとそう言う。まだ私達を殺しかけて全然経ってないんだ、仲良くなんてしてあげないもん。

 

「説明するのは問題ないんだけど、何で2人ともそんなに不機嫌なの?」

「まだその鈍感は治ってないんだ」

「あの、俺でも分かりますよ?」

「えぇ…?」

 

(困惑)って付きそうな顔してるけど、そっちの命令で殺されかけた方の気持ちも考えてって話だよ。昔っから無駄に鈍感なんだから…女子から贈り物されても?って顔してたし。端から見てたら告白っぽかったのに…

 そんな事を考えると、隣にいるロイドを意識しちゃうから一旦その考えは置いておく。

 

「まあいいから、早く説明おねがい」

「うん、納得いかないけどそうさせてもらうよ。まず、俺が決闘を見に来てた理由と、認めるって言った事は一緒に説明できるかな」

 

 料理はまだ来てないけど、タクがゆっくりと話し始める。

 

「人間界が今滅びかけてて、海堂を討つかどうにかして元に戻そうとしてるって言うのは、アルディートさんが言ってたから分かるよね?」

「まあそれくらいは分かります」

「話してもらったしね」

「普通」

 

 タクの顔が心に何かが突き刺さったみたいに一瞬歪むけど、とりあえずあんまり気にはしないでおく。そっちが気づかないのが悪いんだもん。こっちの事情も考えてよ。

 

「それでまあ、取り返すための作戦を練ってるんだけど、俺としては蒼矢達を作戦には組み込みたく無かったんだよ。こっちで町を守って貰おもうって思っててね」

「なんでさ。むしろ殺されかけた分、殴らないと気が済まないんだけど」

「こちらに相談もなしにやるなんて、問題」

「う、でも俺なりに心配してのことだったんだけど…人と人との戦場に出たことは無いだろうし、そんな小さくなっちゃってるし…」

 

 確かに体が大きい方が良いこともあるけど、小っちゃい方が良いことだってあるんだぞ!余計な御世話だい。ん? でも認めるしかないって…?

 

「まあそんな感じで俺は反対してたんだけど、実際に戦ったアルディートさんから、一回蒼矢が戦ってるのを見とけって言われてきてたんだよ」

「それじゃあ、認めるってのは?」

「洗脳に対抗できて、あんな戦いができるんなら一緒に行くしか無いじゃん…お願いできる?」

「「「もちろん!」」」

 

 私とロイドとティアの声が重なる。全く、街に放置とかされたら気付いた時に転移で強襲かけるところだったよ…どうせ敵地なんだろうから、壊毒の流星(ドゥーム・レディラ)で壊毒撒き散らしながら。

 

「えっと、次はアルディートさんの言ってた攻め込むって事だっけ?」

「はい」

 

 そうロイドが返事をしてるのを聞きながら、そういえば聖剣を好き勝手改z…もとい打ち直すのがまだだったなぁと思い出す。攻め込む…侵略…クラゲとビーム砲でも搭載しようかな?あとバリア。

 

「そっちはもっと簡単だね。色んな街に行って、洗脳されてない無事な人を探してくる事だよ。まだ俺の転移魔法が未熟だから、距離が離れすぎてる場所には行けなくて最近は行って無いね」

「そうなんですか…」

「へぇー、タクも凄く苦労してたんだ」

「あの時の転移は、あなたが使ったのか」

 

 今の人間界の現状を考えると、中々にキツそうな事だって事が分かる。うーん、それなら不審者の私達に攻撃してきた理屈は分かるかなぁ…許さないけど。

 

「それで転移魔法を使ってる身から言わせてもらうと、やっぱり大陸間を転移で移動なんてバカげてるよ…本当なの?」

「まあ、普通に転移したしね?」

「地球に行くよりは大した苦労じゃない」

「イオリ達が、余りにも普通に使ってたから分からなかった…」

「ちょっと待って、今何か聞き捨てならない事が聞こえたような」

「気のせい」

 

 ふふん、次元魔法がカンストしてるDEXの化物と神様をなめてもらっては困る。そう、2人でなら翼になれる。地球に帰る時、髪の毛がバサって羽根みたいになったから間違いない。でも急に歌ったりはしない。

 

「あ、そうだ。魔法の調子戻ったし、明日聖剣打ち直すから宿屋来てね。魚の尻尾の看板の所」

「アッハイ」

 

 そこまで話したところで、注文していた料理がやっときた。

 久しぶりのオムライス、異世界だけどどんなだろう?


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