異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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…明日、投稿休んでもいいっすか?(キャラ崩壊)
そして未だに多機能フォームの使い方が分からない作者


第14話 迫る刻限

 目まぐるしく移り変わる視界の中、風を纏いながら俺は空中を蹴り更に加速する。死角や隙を探して相手の周囲を縦横無尽に駆け、翔けているが、頭上に回っても攻撃した瞬間斬られるイメージが湧いてくる。

 

「おらどうした坊主! 速く動けるだけで攻撃しねえんじゃ、なんの意味もねえぞ!」

「分かってます!」

 

 イオリの物作りの才能とも、ティアさんの魔法や父さんの力とも違う俺の速いというか個性。それは確かに良いし凄い物なのだが、今戦って…いや、稽古をつけてもらっているアルディートさんの言う通り、ただそれだけで何もしないならそれは宝の持ち腐れだ。

 

(こうなったらヤケじゃないが、一か八かだ!)

 

 いくら安全な結界の中とは言え、イオリからもらった義手の必殺技は使えない。1つ目は当てたらどうなるかわからないし、2つ目は単純にタイミングが合わない。だから今の俺の最高速度で以って、真上から二刀を振り下ろし強襲したのだか…

 

「狙いがバレバレだ!」

「がっ!」

 

 どうやら読まれてしまっていたようで、剣を抜いてすらいないアルディートさんに殴られた俺は、そのまま結界の端まで吹き飛ばされてしまう。

 

「もう一本、お願いします」

「おういいぞ。けどお前、ここまでずっとボロクソにやられてるが嫌になんないのか?武技はまだにしろお前は十分強いし、焦る必要は無いと思うが」

「これくらいじゃまだ、イオリと並んで戦えませんから」

 

 俺はついこの間の襲撃を思い出しながらそういう。俺が1番攻撃に気づくのに遅れて大怪我をして、どっちかと言えば魔法使いよりな2人に近接戦をさせてしまった。

 いつまでも守られてるんじゃなくて、俺だってイオリを守りたいんだ。

 

「そうか?戦ってみた感じ底は見えなかったが、正直お前よりは楽に倒せそうだぞ?」

「ほぼ全部の職業が鍛冶とか物作りに関係する物なのに、アルディートさんと戦えてる時点でおかしいんですよ…」

 

 本人が聞いたらきっと「おかしいってなんだおかしいってー」って感じで怒りそうだと思うと、なんだかおかしくて少し笑ってしまう。

 

「そういや件の嬢ちゃん、今日は見かけたって話を聞かないがどうしたんだ?心当たりがあるにはあるんだが」

「朝部屋を出るとき「今日は一日中引きこもってやるー!」って言ってましたから、宿屋にいると思います。それと、始めないんですか?」

「少し話したい事もあるし休憩だ休憩。お前もそっちの方がやり易いだろ?」

「まあ、そうですけど…」

 

 そう曖昧な返事をしている間に、アルディートさんはどかっと地面に胡座をかいて座る。手でお前も座れとやってくるので甘えさせてもらう。

 

「話したい事って、何かあったんですか?」

「俺は昨日もここにいたから聞こえてきたんだが、どうにもこっちの1人が嬢ちゃんの逆鱗に触れる…じゃ足んねえか、逆鱗を斬りつけたってレベルだな」

 

 なるほど、だから今日は朝から機嫌が悪かったのか。というか誰だそんなことしやがったの、探し出して殴ってやる。アルディートさんの話を聞きながらも、頭は怒りに染まり始める。

 

「まあ待て、そんな殺気出すんじゃねえよ。流石に今までの行動が余りにも目に余ったからな、数時間説教して今は営倉だ」

「それでもっ」

「自分の惚れた子を傷つけた奴は許せないってか?はっ、青春してんなぁ!」

「ちがっ」

 

 図星だった。そしてそんな事を言われたせいか、ほんの数日前の初めてマトモにイオリを助けられた時の事を思い出してしまう。いつもと違って凄く力は弱々しくって泣いてて、おんぶしてる時は何かいい匂いはしたし暖かくて…って違うそうじゃない。

 

「まあ何を想像して顔を赤くしてるのは聞かないが、告白とかプロポーズをするつもりなら戦いが始まる前にやっとけよ?」

「えっと、なんでです?」

「詳しい理由は知らんが、俺が見てきた限りでも戦いの後に何かをするって約束した奴から死んで行ったからな…まあ年上からの忠告ってやつだ」

「わ、わかりました!」

 

 イオリとかリュートさん達がよく言ってた死亡フラグってやつか?それなら確かに回避しないとだし、元々覚悟は決めたんだ。

 

「そんじゃまあ、休憩は終わりだ。武技の訓練でもやるか?」

「え、いきなりですか!?」

「おう、習うより慣れろって事だ!」

 

 いきなり話は変わったけれど、こういう人だし仕方がないかと思う。それにしても武技、必殺技か…イオリのやつは参考にならないし、どうするべきか…

 

 

「へくちっ…うぅ、誰か噂でもしてるの?」

「ロイドだったりして」

「うぅ…ただの寒さだよ」

 

 ベットの掛け布団に包まってるから、案外ティアの言うとおりなのかもしれない。けど別にいいもん、今日の私はニートだもん。誰か私をやしなえー!

 

「ところでマスター。ずっと気になってたけど、何作ってるの?ソレ」

「んっとね、私っていつも準備が終わんないままバトルが始まるでしょ?一々着替えるのは無理だから、一瞬で装備できるようにするやつ」

 

 いやぁ、アルさんの攻撃で死にかけた時からちょっと危機感がね…私の強さってかなり装備品に依存してるのに、いざって時に使えなきゃ意味ないもん。武器や防具はちゃんと装備しないと効果がないよってやつだね。

 

「そのシンフォギアみたいな形は、趣味?」

「うん。鍵の杖の代わりに下げとこっかなーって」

 

 あと私の創造の名前がダインスレイフだし。イグナイトモジュール積まなきゃ(使命感)でも急に歌ったりはしない。歌いながら喋るってあれどうやってるんだろう?

 

「本当は今回みたいに魔法が使えなくなる事が無いように、肩当あたりを魔改造しようと思ってるんだけど、ロイドの羽根の調整が思ってたより長引いて…」

「まあ、マスター装備が無いと弱いしね」

「その事はあんまり言わないでよぉ」

 

 確かにレベルは上なのに、DEXとINT以外ロイドとそこまで変わらないけどさ…結構これでも気にしてるんだよ?まあ、戦闘職1つも取ってない私が悪いんだけどさ…

 

「そこでロイドが出てくるあたり、やっぱりマスター意識してる?」

「ばっ、なっ、いやそうだけど………モーブから助けてくれた時、その、すごく、かっこよかったし…」

 

 言ってて顔が赤くなるのを感じる。でも仕方ないじゃん!あんなヒーローみたいな登場の仕方されたら、流石に意識しちゃうよ…前みたいにロイドを弄れる自信もうないもん。

 

「でも、なんでいきなりこんな事聞いてきたの? まさかロイドに何か変な事吹き込んだとか?」

「違う。マスターの幸せを願うのは、精霊として当然」

「ティア、熱でもあるの?風邪薬ならあるけど…飲む?」

「失礼な」

 

 え、でもあのティアがこんな事言うわけがないって言うか、どこかおかしいっていうか…

 

「ただ、すごく嫌な予感がしてきたから。マスター、何かやりたい事があるなら、今の内にやっておいた方がいい」

「ティアが言うと、それって凄く怖いんだけど…」

 

  どこか遠くを見つめながらそういうティアには、何が見えているんだろう?一応神様だし、私の見えない何かが見えてるのかもしれないけど、要するに悔いは残すなって事かな?

 

「うーん…じゃあ、明日から色々とやり始める事にするよ。まだ先生にも会ってないしね」

「明日からなんだ」

「だって今日は何もやりたくないんだもん、タクとは仲直りしても柊なんて知らないもんねー」

 

 布団に包まりってゴロゴロしてる私は、あんな勇気の意味を履き違えてる奴の事なんて知らないもんねーと、誰もいない方向にあっかんべーとするのだった。

 とりあえず明日、装備は全部完成させて、先生に会いに行って少し話してみるかなぁ…


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