異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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あ、そろそろまた隔日更新に戻ります。
それにしてもR18のifルートかぁ……
興味ありますか?(某白猫P風)


第4話 【流星群】

「マスター、あんなのいつ作ったの?」

「地球から帰ってきてからかなー。ロマンだし強いし」

 

 あれから30分キッカリ。私は棺桶やらなんやら調整を終え、棺桶を除いたフル装備で門から出る。ティアが何を見たのかは秘密だけど、後はMPさえ補給すれば何時でも出撃出来るね!

 

「よし、とりあえず外に出て地面に触れて…」

「イオリちゃん!あなた無事だったのね?」

「ふぇ?」

 

 とりあえずギルドから出て、第二陣とやらにティアと一当てしようと思っていた私を、すごく心配そうな声が止めた。確かこの声は…

 

「ラナさん?」

「どうかしました?」

 

 振り返ると、受付嬢のラナさんが疲れた顔で私達を見ていた。何かあったのかな?

 

「他の冒険者の人達は依頼を受けに来たりしてるのに、イオリちゃんだけ帰ってきた情報もクエストを受けて行った様子も無かったから心配で」

「あ、そういうことでしたら大丈夫です。色々あって気を失ってましたけど、今はもうピンピンしてますもん!」

「それについては、私も保証する」

 

 手をバタバタさせて元気をアピールさてる私に、ティアから援護射撃が入る。これは勝ったね。

 

「でも、イオリちゃん達ってあの空から降ってきた魔物をずっと相手にしてたんでしょう?それなのにたった1時間休んだだけでまた戦うなんて」

「魔力があれば怪我も疲労も治せますし…あんまり問題ないですよ?」

「それに、元々のスキルのおかげで怪我も少なかった」

 

 やっぱり「やったか!?」の法則は実在するんだね。一応事実を言ってみたけど、まだラナさんの顔は晴れない。

 

「そうじゃないのよ。イオリちゃん達みたいな小さな女の子が、戦いに出るのを見てるしかできない私が情けないのよ!」

「えっと、それは」

「それに、一部の冒険者とかギルドからイオリちゃんがなんて呼ばれてるか知ってる?不幸を運ぶ死神よ?」

 

 え、何それ初めて知った。でもそうか、死神かぁ…今まで街による度に何か問題とエンカウントしてるか起こしてるから、あながち間違ってないのかも。

 

「ついさっき、この騒動も死神の所為じゃねえのかって言ってた冒険者の人に何も言えなかったし、自分が本当にダメな人間なんじゃないかって思って…」

「うーん、そんな事言われるの慣れっこだしなぁ」

「それに、今教えてくれたからむしろいい人?」

 

 全くもってティアの言う通りだと思う。むしろそういう妬みとか恨みとかがないと人って感じがしないし…って、あんまり時間がないんだった。

 

「だからそんなに気にする必要はないと思いますよ!」

「それに、戦う力があるなら戦わないといけない」

 

 役割分担ってやつだね。私は何かを作ったり戦ったりは得意たし好きだけど、会計とか受付嬢みたいな事はできる気がしない。できて家計簿くらい。

 

「それに、ただ後ろに守られてるなんて嫌ですし」

「え、何か言った?イオリちゃん」

「別に何も言ってないです!それに、一応私達Sランクの冒険者なんですよ?こういう時こそ働き時です!」

「だから何の問題もない」

 

 頭の中でティアにやりたい事を伝え、せーのと声をかける。

 

「「いってきます」」

 

 2人してクルリと背を向け、今度こそギルドから出る。さて、後はMP補給をしなきゃだけど…

 

「マスター、大鎌で地面を突き刺す。一瞬だけ繋げるから、奪い取って」

「りょーかい!」

 

 私は大きく振りかぶって、刃を地面に突き立てる。私が両手で握ってる柄をティアも握り、カウントが始まる。

 

「5、4、3、2、1、0!」

「っ!!」

 

 ティアが繋げたのは本当に一瞬だけだったのに、自分が内から爆発するんじゃないかってくらいの魔力が流れ込んできた。うぇっぷ、これ色んなとこに流さないと死ぬ…

 

「はぁ…はぁ…うわキツ」

「お疲れマスター」

 

 肩で息をする私の肩を、ティアがポンと叩いてくれる。よしっ、MPもこれで全回復してるし…一丁私の2つ名の本領を見せてやりましょうか!

 

「ティアはどうする?」

「マスターと一緒に殲滅」

「ふふ、りょーかい!それじゃあやりますか!」

 

 ギルド内では出す訳にはいかなかった棺桶を装備し、ティアと一緒に空へと駆け昇る。

 

「第二陣って、またあんなに多いんだ…萎えるね」

「経験値だと思えばいい」

 

 まだ遠いけど、トカゲの様な龍達が先頭を走る魔物の大群が迫ってくるのが見える。それに嫌気がさすけど、そう思えば確かに気が楽かも。

 

「さーて、ティアしかこれは聞かないし…久しぶりに詠唱でブーストかけますかぁ!」

「録音しようか?」

 

 それだけは止めて。そう思いながら、大鎌を横に構えて私は詠唱を始める。

 

「《命吹かぬ煉獄に 遺る熾火は再燃する》」

 

 私を中心に、正七角形状に巨大な魔法陣が同時に展開される。

 

「《焚べるは毒 禁を侵した者共に 誅を下す破壊の(やみ)》」

 

 紫色に染まった魔法陣が、最初の7つからドンドン増殖していく。ここでティアが、私の魔法の制御に入ったのが分かる。そうだった、まだマカカジャの効果切れてないんだった…

 

「《毒霧と共に厄災は 海原の如く広がりゆく》」

 

 中二くさい詠唱をした方が火力が出るって、やっぱり何かおかしいと思う。いや、こんな詠唱をパッとできる私も相当だけど。

 

「《祖なる紅雷迸り 大地の怒りが噴き上がる》」

 

 街の空一面を覆い尽くして余りある量の魔法陣が一斉に光り、私とティアの目が敵の群れを完全にロックする。1万ちょいMPが消えるけど、さっきまでの八つ当たり!

 

「「滅びろ《◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎》」」

 

 ティアと同時に謎の言語での詠唱を終え、最後に魔法の名前を告げて溜め込んでた魔力を解放する。次の瞬間、蒼穹の彼方から直径3mはある隕石が大量に魔物の群れに殺到する。因みに、今回は本当に大気圏辺りから降らせた。

 砂煙の中50を優に超える流星群を受けてもまだ残る魔物の群れが、次の瞬間地面から湧き出た紫色の氷柱に巻き込まれ更に数を減らす。

 

「もってけダブルだぁぁぁぁっ!」

「ダブル?」

 

 今まで発動を待機させていた魔法陣が一つ一つ収束し、《熾凍の咆哮(ディス・フィ・ロア)》と同じように途中で砕けた氷に乱反射しながら着弾する。元の魔法なら、ここでできるのは炎と氷の竜巻なんだけど…

 

「いやー爽快爽快!」

「やったぜ。」

 

 赤熱して地面が大噴火を起こして火山弾などの火山噴出物を撒き散らし、紅い雷光が迸る場所を眺めながら清々しい気分で街に降りる。風向きはこっちじゃないからへーきへーき。

 

「ねえティア、私の2つ名って【流星群】だけどさ…」

「災害とか天災とかの方が、似合ってる気がする」

 

 すっかり静かになってしまった街に、私達のそんな言葉だけがよく響くのだった。

 




イオリにネタを与えた結果がこれだよ…
※棺桶に格納庫が追加されました。

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