異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
私が放った青い閃光と化した砲弾は第1の結界をそんな物は元々無かった様に粉砕し、第2の結界に当たった瞬間想像を絶する大爆発を起こした。
「あちちっ」
いつの間にか異常に熱されてたグリップから手を離す。すると、視界のノイズが消え去り機械的な音を立てながら再びこの馬鹿げた武器が折りたたまれていく。というか、こんな状況なのに誰も驚いてない事にビックリだよ。
「…王都、壊れてないよね?」
大爆発の所為で発生した爆煙と元々のその場に漂っていた気持ちの悪い黒煙が立ち込める中、1番最初に声を発したのはタクだった。
「こんなので壊れる様じゃ、王都としてやって発したのは行けねえよ」
「まだ見えないけど、多分壊れてないよ」
そんなタクの楽観的な意見に、アルさんと私が即座に否定する。全力で撃ち込んだにしては試し撃ちをした時に比べて爆発が小さかったもん。
「それに、ここからが本番。気を抜かない」
「な、なんだよこの、気配」
ティアの言う通り、黒煙の中私の吹き飛ばした結界の穴からあのレプリカクトゥルフと同じくらいの気持ち悪い雰囲気が、こちらを見つめているのを感じる。それも単体ではなく、大量に。
装備した時と逆回しの様に元の装備に戻った私は、少し下がってティアと一緒に後衛に回る。持ってるのが杖じゃなくて大鎌なのは愛嬌として許してほしい。アタッカー1人タンク1人遊撃2人だからね、今回は私が近接戦しに行ったらティアでもサポートが追いつかないもん。
「《エナジーバリア》《ライフフォース》《ビーストスピリッツ》《マジックフォース》《プロテクトマインド》《マジックバリア》《ピオリム》《スクルト》《リジェネガ》、そして〆に《ゴッドブレス》!」
「来る!」
私が滅多にやらない強化魔法の乱発を終えた途端、ティアの忠告が終わるより速く王都の方向から極大の毒々しい紫のビームがこちらに飛んできた。
因みに魔法の効果は、前から物理被ダメ1/4・HP上限上昇・STR上昇・MP上限上昇・MIND上昇・魔法被ダメ1/4・AGL上昇・STR上昇・DEF上昇・リジェネ・命中率&回避率上昇だ。
「そんな見え見えの攻撃、効くかよっ!!」
「武技・イージスシールド!」
魔法で攻撃を逸らそうと思った瞬間、アルさんが剣を振り下ろして光線が真っ二つに別れ、その別れた光線をタクの武技が完全に左右に逸らした。そのせいか王都の方向から感じる異様な雰囲気はグッと増し、自慢の攻撃を無傷でやり過ごされたのに怒りを感じたのか、この攻撃を行ってきた主が姿を現す。
未だ晴れぬ黒煙からまず見えたのは巨大な眼、こちらを敵意を込めて見据える魔眼。次に見えたのは枝状の大量の触手。すなわちその魔物は…
「
「マスター!アレだけじゃない!!」
ティアからの叱責でほんの少し緩んだ私の気持ちが戻った。瞬間王都を覆っていた黒煙が内から弾け飛び、現れたのは数多の魔物。桁違いな大きさのムカデ、骨だけの龍、明らかな悪魔、ちくわ大明神、それら全てが私達に向かって殺到する。ちょっと待って誰だ今の…まあいいか。
この人数でこの場所なら、例えこの前街に降ってきたよりも多い、人間界の魔物を全部持ってきたんじゃないかって勢いの魔物でも時間さえあれば殲滅手段は用意できる訳で…
「ロイドお願い!!」
「頼んだよ鈴華さん!」
飛び出すロイドと柊何某を見ながら、背負ったままの棺桶から1つの武装を呼び出す。6つあるうちの、まさか作ってみただけだったこれを使う羽目になるなんてね。
「ティア、準備は?」
「完了」
「アルさんからokは?」
「貰った。寧ろ推奨」
ティアからの返事を聞き終わると同時に、私の眼に再び酷いノイズが走り例のアナウンスが流れた。頭痛がしてきたけど、今回だけだからいいでしょ。
「タク!ロイド達がやった後、私を先頭にして王都に突っ込むよ!」
「私が魔法で、みんなを加速させる。結界維持」
「げっ、了解」
タクの返事と同時に、飛び出していった2人が大きく動いた。ロイドの伸ばした右手から巨大な影が伸びて魔物の群れに重なり、柊何某は両手で気功砲の様な構えを取る。双方武器は一時的に仕舞ってるみたい。
「新たな天地を望むか?」
「イヤーッ!!」
あくまで本物じゃないけど、ロイドの手の影に重なっていた部分がどことも知れない空間に飛ばされ、義手の肘辺りから小さな薬莢が1つ落ちる。
柊何某の方は、真っ白な閃光が発射されて後には何も残っていなかった。ニンジャだしてっきり塵遁でも使うのかと思ったけど違うんだね。
「アルさん、私が撃ち漏らした分は宜しくお願いします!」
「任せとけ!」
「回収完了。発射まで2」
ロイドと柊何某がタクの張り続けてる結界に入ったのを確認して、私とアルさんが前に出て、ティアは魔法のカウントダウンを始める。
「マルチプルパルスチャージ完了」
「発射まで1」
「イオリ!全員準備完了だ」
倒しきれなかった魔物が私達に迫るけど、全員の準備が終わったんならもう何も迷う事はない。
棺桶の周りを覆う様に、扇状に広がる13門×5列のパルスキャノンユニットが2つ、詰まり計130門の砲門。元々ネタで作ったやつだけど、真上と背後以外は完全にカバーしてるこれを受けて耐えられる奴なんていない!
「発射!!」
「射出」
グンと加速する感覚と共に、全てを焼き尽くす暴力というキャッチコピー通りの火力で敵が蒸発していく。使ってられる時間は短いが、ティアの加速のお陰で砕け散っていた城門にまで辿り着いて…
「おらァッ!」
振り返って剣を一閃したアルさんによって、残った瀕死の魔物群は真っ二つにされた。
左眼はOWを使うのをやめたのに視界が安定しない上、街中に入ったせいで一層濃くなった黒煙のせいでほぼ何も見えない。だけど、突入した6人が全員無事なのは半分の視界でも十分確認できた。
「っとと」
倒れそうになった身体を大鎌を杖代わりにして支える。いつの間にか流れてた鼻血も拭っていつも通りのスタイルに戻るけど、やっぱり足はフラフラするし頭も痛い。まあ見ての通り私は無事じゃない。
「無茶しすぎだ」
「えへへ、ごめん」
それを見たらしいロイドに怒られてしまった。でも仕方ないじゃん、2回目の方はアレが1番手っ取り早かったんだもん。
元々の私のスキルと大鎌の呪いレベルの回復力、装備のブーストとついでに掛かってるリジェネのおかげで1分もあれば再起動出来る。それまで、みんなかなり近くに寄ってることだしロイドに肩を…そう思った瞬間、それぞれの足元に魔法陣が広がる。
「マスターっ」
「え?」
誰かが私をロイドの方に突き飛ばすのを最後に、私の感覚は途切れた。
強 制 分 断