異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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怠惰って単語を聞くたびに頭にリゼロのペテルギウスが出てくる…イメージが、イメージが引っ張られる…


第11話 双剣士と鍛冶師

「きゃぁっ!」

「うわぁっ!」

 

 転移特有のふわっとした感覚がした瞬間、()()は突然石畳の地面に叩きつけられた。主任砲(仮)の余波を吸収したせいで棺桶の結界は切れてるけど、まだ力が上手く入らないから転がったままでいるしかない。だけど…

 

「あの、ロイド。ちょっとこの体勢、恥ずかしい…」

 

 お互いの息が届くレベルの近さにロイドの顔があって、なんでこうなってるのか分からないけど押し倒された格好だ。ちょっと、こう言うのって早過ぎると思うんだ…

 

「あ、その、すまん!」

「偶然だろうし、今は戦闘中だから気にしないよ!敵も来ちゃったし」

 

 私の上からロイドが飛び退いて、自由になった私はまだフラつく足で立ち上がる。段々慣れてきた左眼に、黒煙の向こう側に光る多数の赤い目が見えたからね。右眼には、血走った目をした住民みたいな人達がそれぞれ農具や武器を持ってこちらを見てる光景が映っている。

 

「殆ど洗脳された一般の人だけど、ステータスはBランクの冒険者並にあるから気をつけてね。致命傷を負わせちゃったらダメだし」

「それなら大丈夫だけど、イオリはまだ動けないんだろ?」

「うん、もうちょっと」

 

 一応大鎌を銃形態にして構えるけど、使える魔法が劣化してる上にまだ足とかはプルプルしてる。うん、OW(オーバードウェポン)の連続使用なんてするんじゃなかった。あたまいたい。

 

「とりあえずこれで、どうだ!」

 

 ロイドが左右の剣を振り抜いた途端、こちらに幽鬼のような足取りで歩いていてきてた住民達が一気に潰れた。グシャッとじゃなくて、地面にビターンって感じだけど。

 

「イオリのソレ、確か麻痺させる弾も撃てたよな?」

「うん。あ、そういう事ね!非殺傷形態(ノンリーサル)麻痺弾(パラライザー)!」

 

 ロイドが魔法で押さえつけてる人達に、私は麻痺弾を連続して撃ち込んで行く。 確かに私が大鎌で斬ったり、ロイドが峰打するよりは圧倒的に早いね!

 

「目視の敵影なし、魔法にも敵影なし。にゃぁ…」

 

 銃を降ろし一度大きくため息を吐く。せっかく全員で突撃したのにいきなり分断されちゃったし、頼みの綱の転移も感覚的に目に見える範囲しか無理そうだし…

 

「怪我とかしてないか?」

「うん、ちょっと頭が痛いだけ」

 

 不幸中の幸いだったのは、ティアが私を突き飛ばしてくれたお陰でロイドが一緒にいる事だ。どこかの大通りらしいここだけど、最初の満足に動けない状態じゃ、確実に襲ってきた人がミンチになってた。

 

「それならいいんだが、分断されちゃったけど何か策はあったりするのか?」

「うーん、ラスボス気取ってるなら王城にいるだろうし…私としては敵を蹴散らしながら王城に突撃したいけど、他の人がどう動くか分かんないし…どうしよ?」

 

 花火みたいなのを打ち上げても、街の反対側にでも飛ばされてる人が居たら見えないから意味ないし。かと言って連絡が付きそうなのは、ぎりぎりティアだけだし…

 そう思って首を傾げて数秒、索敵のために広げていた魔法に突然敵の反応が現れた。

 

「いつまでも人前でいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃ!見せびらかしてんじゃねえぞリア充共がぁっ!!!」

 

 そんな男の怒声と共に飛んできたのは、Cave(ケイブ)製ゲーム並の大量の黒い何かによる弾幕。それに当たった石畳が、見る間に削り取られていく。

 

排撃(リジェクト)!!」

 

 その黒い何かに言い知れぬ悪寒を感じた私は、棺桶に貯めてあった衝撃を解き放ち一部を吹き飛ばし、ロイドを巻き込む形で結界を再展開する。

 

「ロイド、早くこっち来て!」

「こいつらを斬るってのは…」

「触っちゃダメ!!」

 

 結構無理して広げてる結界を狭めながら、ロイドの手を引いて一気に私の近くまで連れてくる。よく分からないけど、この黒いのに触ったらダメなんだよ!

 

 ===《€#%?・#/威力 不明/範囲 大/七大罪・強欲/危険度 極大》===

 

 こうやって魔眼の表示を見てる間にもゴリゴリ結界が削れてってるし、強欲なんて大体ロクな効果じゃない!

 

「寄ぉぉぉ越せぇぇぇっ!!」

「ロイド合わせて!《(シールド)密集防御(ファランクス)》!!」

 

 一面の黒の中から現れた白い物…どう見ても人間じゃない手の骨が私の張った何重もの盾を破り…否、奪い吸収しながら私達に迫る。このままじゃ、棺桶の結界も意味をなさなくなるけど…

 

「最大加速!!」

 

 結界の中に風の結界という謎の状態になった瞬間、私達は凄まじい勢いで後方に飛んだ。そのお陰で黒の中から脱出する事が出来た。

 

「アイツ、なんだか分かるか?」

「ううん。予想でしか分かんない」

 

 黒に染まった大通りの一角を見ながら、ロイドの質問に警戒しながら答える。だってわかってる事なんて、さっきの表示の通りなら強欲のスキルを持ってる事と、聞き覚えがある気がするから多分クラスメイトって事だけだもん。

 

「異世界召喚だろ?チートだろ?それならハーレムが普通だろうがよ!そうじゃなくてもヒロインがいねえとかおかしいじゃねえかよ!」

 

 辺り一面の黒が収束していって、1つの人影を形作る。黒い髪に白目が黒・黒目が緑の目、浅黒く変色した顔に背中には蝙蝠の様な羽根が生えている。

 だけど何よりおかしいのは、両腕と両足が白骨化していることだ。しかも爪が生え、人よりも何回りも巨大なそれらは先程見たとおり普通に動いている。

 

「寄越せよ…寄越せ!寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せぇぇぇぇっ!!」

「狂ってやがる…」

 

 意味もなく暴れまわってる元クラスメイト(仮)の化物に、魔眼の解析をかけ終わる。これが大罪系の職業を取った末路なら、こんなのどうしようもないじゃん。

 どうにも辺り一面変な毒塗れみたいだし、強欲なら何かを奪うって力だろうからこのままじゃマトモに戦えないし…

 

「ロイド、こっち向いて」

「え?」

 

 私の呼びかけにこっちを向いたロイドにキスをする。ぜ、前回の時の繋がりの強化というかあれはあれで別だけど…あんもう面倒くさい!要するにリュートさん達にあげた指輪と同じ原理で、私とロイドの耐性を一部共有する。

 

「え、あ」

「来るよ!」

 

 なんだか緊急時ばっかりだなと思いながら、ロイドから離れて大鎌を構える。一瞬の後ロイドも剣を構え直し、今まで無意味に暴れまわっていた化物がこちらを見た。

 

「女を寄越せぇぇぇぇっ!!」

幻想世界・戦乱の剣(Svartalfheimr Dainsleif)!」

 

 化物がこちらに来るために飛び出したのと、総てを鎮静する私の世界が広がったのは同時だった。

 




再登場は無かったはずなのに、人手が足りないから駆り出された可哀想な元クラスメイトさん

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ヒデオ・モブジマ
種族 元人族 悪魔
性別 男
年齢 16?
職業 召喚師・勇者・ナビゲーター・マモン・サーチャー
LV 109
HP 1020/1020 +1471(2491)
MP 998/998 +1548(1886)

STR 865 +1343(2208)
DEF 765 +1489(2254)
AGL 691 +1513(2204)
DEX 702 +1268(1970)
MIND 666 +1000(1666)
INT −9999
LUK 10

《戦技》使用不可

《スキル》
職業
召喚師 LV 100 勇者 LV130
ナビゲーター LV 97 マモン LV 198
サーチャー LV 66

EX
召喚術 詠唱破棄《召喚》式神術
七大罪・強欲

通常
狂化 LV -- HP高速回復 LV 19
MP自動回復 LV 1

武術 LV 2 身体能力超化 LV 21 五感強化 LV 1
魔法強化 LV 10 危機感知 LV 5

韋駄天 Ⅱ LV 1 不沈城塞 Ⅱ LV18
天手力 Ⅲ LV 6 精神統一 LV 3
状態変化無効 LV -- 闇属性吸収 LV --
物理大耐性 LV 5 魔法耐性 LV2

《称号》
称号リセット・勇者・召喚師・堕落
墜ちた勇者・強欲の徒・悪魔
簒奪者・狂化・SAN値0・不定の狂気
人族の敵・獣人の敵・魔族の敵

《加護》
魔神の加護 強欲の加護

《装備》
武器・なし
防具・コートのボロ切れ +5・元制服
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