異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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第15話 暴走

 左眼にノイズが走る。懐かしい砂嵐の音が頭に響き始め、魔眼に映る世界が段々違う物に変化していく。

 

「ごめんロイド、一時撤退…《ミラージュコロイド》」

「分かった!」

 

 大鎌は致命的な部分が損傷して修復中、左眼にはここじゃないどこかが映っているなんて状況じゃ戦いなんて出来ない。と言うわけで、ロイドを結界の中に取り込み手を引いてもらう。透明化して高速で私達は移動する中、ボヤけた視界に違う場所の映像が映る。

 

 黒い炎が燃え盛る多分図書館。SAN値を削りそうな意匠の門の向こうに迫る破滅の光、見慣れたワイシャツとブレザーから生えている短めの刀。霧散する魔法の気配と、口が裂けたように笑うゴミ屑(エセニンジャ)の顔。金属製の軽鎧が凹み倒れているタク。刺さった刀が抜かれ、服が血で赤く黒く染まっていく。謝罪のような、感謝のような、期待みたいな念が、伝わって来て……それで、最後に杖を上に投げ捨てて…ゴミ屑(エセニンジャ)を巻き込んで、次元魔法を暴走させて、それで、それで…

 

「……リ!イ……!!イオリ!!」

「ふぇ…」

 

 どこだかは分からない屋根の上、浮遊した棺桶にもたれかかっていた私の顔をロイドが心配そうに見つめていた。

 

「さっき血を吐いてたのもそうだし、今もそんなに泣いてそれにその目も…全然大丈夫じゃないだろ!」

「でも、だって…ティアが」

 

 幾ら何が起こるか分かるっていっても…ん、ちょっと待って。目?涙声での反論をしながら、ロイドが言った一言に疑問を覚える。本当は抱きついて泣きじゃくりたい所だけど、それが本当なら一刻も早く離れないと。

 

「ロイド、目って?」

 

 オナカスイタ

 

「イオリの左目、今は右と同じ蒼色になってるぞ?」

「っ、ステータス!」

 

 事実を聞いた上で、自分のステータスを開いて確認する。オナカスイタ。やっぱりティアが一時的にでもいなくなったからか、()()のスキルが無くなっている。もう1つの世界(アナザーワールド)は残ってるけど、それは大罪スキルと元徳スキルとのバランスが崩れたと言うことでオナカスイタオナカスイタオナカスイタクワセロすんごいヤバイ!

 

「今すぐ私から離れてロイド!!あと隠れてて!」

 

 棺桶の能力でロイドを弾き飛ばしオナカスわイタクワセロオたナカスイタクワセロしクワセロクワセロクワはセロクワセロクワセロクワセロ!

 その時点で私の意識は途切れた。途切れて、しまった。

 

 ◇

 

 目にいっぱいの涙を溜めたイオリによく分からないまま突き飛ばされ、隣の民家の屋根に着地する。俺って頼りないのか?と思ったが、次の瞬間それは違かったと言うことが分かった。

 

「あは、アハハ、アハハハハハハハハ!」

 

 イオリの声で奏でられる狂気に満ちた笑い声に寒気が走る。それに足が竦み、それでもどうにか風の魔法で姿を隠した時にその変化は起こった。未だに狂ったように笑うイオリの目から光が消え、懐かしい狼の耳と尻尾が生えて銀色の髪が全て漆黒に染まった。

 

「『ロイド離れて!隠れてて』か、どんだけ私はロイドに惚れてるんだよ。あーあ、おっかしい」

 

 そう言って大鎌を持ち上げようとして、触った右手全体から赤い花が咲いた。それに見て僅かにイオリが顔を顰める。

 

「ふーん、今の私は使い手として認めないんだ。まあいっか、それよりもオナカスイタ」

 

 その言葉が鍵になってか、今イオリが着ている装備がつぎつぎに光に包まれて消えていく。それは大鎌や棺桶みたいな武器防具類に始まって、服や下着まで。それに気づいた俺は急いで目を逸らす。大丈夫、見てない。

 

「門も使えない、魔法類もほぼ全滅…仕方ない《闇纏》これも邪魔っ!」

「これは…」

 

 足元で小さな音がなったので、仕方なく目線を元に戻す。するとそこには真っ黒なナニカで出来たワンピースのような物を着て、同じく材質に見える腕甲脚甲を付けたイオリが立っており、俺の足元には四つ葉のクローバーの髪飾りと赤いペンダントが転がっていた。

 狙って投げた訳じゃなかったんだろうけど、俺の所に転がってきた幸運に感謝してポケットの中に仕舞う。それと同時に、あの強欲の叫び声が聞こえた。慌てて辺りを見渡すと、腕はくっ付き屋根の上を跳ねながらこっちへ向かってきている!!

 

「ヴァルルルル…」

「あんたもあんただよ強欲さん。たかがスキル程度に自我を塗りつぶされるとか馬鹿なの?死ぬの?」

 

 獣のような眼光をしたイオリが、普段はほぼ言わないような口調で喋り始める。いつもの天真爛漫な感じとは全く違う雰囲気、例えるなら地球に行った時に触れた闇堕ち?って奴が近いかもしれない。

 

「ヴァルラァァァッ!」

「いいよね、そんなに力のままに暴れられて。思う存分力を振るえて、私はお前が羨ましいよ」

 

 ぞくりと背筋が凍るような感覚が走った。今、確実に何か入っちゃいけないスイッチがONになった。それは多分、普段のイオリなら絶対に使わない系統の力で…背後に現れた4つの黒い塊も、なのごーれむ?とは違った禍々しさを感じる。

 

「私の《暴食》とお前の《強欲》。奇しくも似た様な効果だからね、寄越せ寄越せ言ってそんな無意味な破壊しかばら撒けない屑なら…」

「ヴルラァァァッ!」

「私はオナカガスイテルんだよ。せめて私の糧になって死ね《暴食》」

 

 突進する強欲の人に黒い4つの塊が殺到する。それはあの骨の手足を通過し、その全てを喰らい尽くしていた。あんな手の打ち様が無かった物を一瞬で。

 そして骨の手足を無くした胴体はそのままイオリに向かって飛んでいき…いつの間にか手にしていた黒い剣によって上半身と下半身に断ち切られていた。

 

「ふんっ、不味い。毒にしかならなそうだね」

 

 そして断ち切られた物は黒い剣に吸収され、まるで汚い物でも触っているかの様にそれは投げ捨てられた。

 

「さて、それじゃあ邪魔者もいなくなった事だし。殺し愛、しよっか、私のローイード?」

 

 新たにどこからか出した剣を、イオリは俺の隠れている場所へ向けて来る。正直何をしたら良いのかは分からないし、どう戦えば良いのかも分からない。だけど、逃げ出す事が間違いなのだけはなんとなく分かる。

 

「ああ、このままじゃ話も聞いてくれなそうだしな!」

 

 正直怖いけど、俺はそう言って透明化を解除した。

 




離れて!隠れてて→抵抗する BAD END
ペンダント・髪飾り→拾わない BAD END
強欲との戦い→割り込む BAD END
最後の呼びかけ→反応しない BAD END

あれ何このBADENDの多さ

イオリンの現在の状況
装備類全般【使用不可】
叡智【消失】
暴食【リミッター解除】
魔眼・もう1つの世界【使用不可】
星雲魔法のみ使用可
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