異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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一瞬だけ、ACの主任の「愛してるんだ君たちを!」とDiesの獣殿の「私は総てを愛している!」が重なって飛んでもないものが流出しそうだった…
言い出しっぺの法則なんて知らない。


第17話 継承

「ほらほらー!そんなんじゃ私は倒せないよー?」

「分かってる!」

 

 狂気的な笑顔を浮かべながら、イオリが横に薙いだ黒い剣を急降下する事で回避する。それに合わせて右手の剣を峰を向けて振るけど、それは容易く弾かれてしまった。

 

「それとも、こういうのが気になって集中できてないのかな?」

 

 とても短いスカートを、そのまま中が見えるんじゃないかって勢いでイオリが持ち上げる。反射的に俺はその光景から目を背けてしまった。

 

「ふふ、イタダキマス」

 

 そんな声が耳元で聞こえた瞬間、首筋に生温かく湿った物が這う感じがして、もう一度急加速して離脱する。が、その速度はさっきまでと比べて少しだけ遅くなっている。

 

「やっぱり、美味しい。ねえ、もっとやろうよ?」

 

 舌舐めずりをしてイオリがそう言う。

 空を飛ぶ為の靴を履いてない筈なのに空を飛べてる理由は、多分それに繋がっている。《暴食》のスキルで、俺の能力を食べて自分の力にしているらしい。俺が目に映る速度まで落ちているのも、最初にかなり食べられたせいた。

 

「とりあえず、今のイオリとはやりたくないな!」

(回線繋がりました。ハローロイド、生きてる?)

 

 そう言って再び突撃しようとした俺の頭に、突然ティアさんの声が響いた。ナニカサレタ?いや、これが念話って事でいいのか?

 

(そう。喋らないでも伝わる。そっちの状況を教えて)

「あれ?どうしたのロイド。いきなり止まっちゃって」

「少し色々あってな」

 

 不思議そうに首を傾げたイオリを見ながら、熱くなっていた頭を冷やしながら今の状況を見つめ直す。イオリが《暴食》でおかしくなって暴走、俺はステータスを喰われて絶賛苦戦中。どうすれば戻ってくれるのか分からなくて、今やってるのは時間稼ぎ…中々に絶望的だな。

 

(大体認識した。今からマスターを元に戻す方法を教える)

(俺は何をすればいい?)

(まずは撤退して。それから伝える)

「了解した!」

 

 不思議そうな顔のイオリと俺の双方に姿を隠す為の風を纏わせ、一旦民家の中に隠れる。とりあえず、俺に出来ることがあるって言うならどうにかしてイオリを元に戻したい!

 

「ローイードー、出てきてよー!」

 

 そんなイオリの声を聞きながら、念話に集中する。というか、風を破るの早過ぎるだろ…

 

(それで、俺に出来る事ってなんだ!?)

(キス)

 

 即座に帰ってきたその答えに、俺は警戒も忘れて固まってしまった。 それはあの、口と口で?

 

(勿論。1番動揺を誘える。そしてなにより、昔から眠り姫の目を覚ますのは、王子様のキスと相場は決まってる)

(いや、でも…俺が?それだけですか?)

 

 確かにイオリと戦いながらキスするなんてことは難しいけど、それだけなんてあまりに呆気なさすぎないか?

 

(正確にはもう1つ。マスターの大鎌を、マスターに突き刺して。それで、私が強制的に再契約できる)

「みーつっけた。あむ」

「っ!!」

 

 耳たぶを甘噛みされる感覚に、今ので更に遅くなったスピードで転がり逃げ出す。予想よりかなり早く見つかってしまった。えっと、確か大鎌だったか?

 

「もう休憩も終わったでしょ?早くやろうよー」

 

 そう不満気に言うイオリに苦笑いを返しながら、ティアさんとの会話を続ける。

 

(大鎌、多分ペンダントの中に入ってるんですけど)

(念じれば出る。そしてモード変更。対人型−100%にする。そうすれば傷付かない)

(分かりました!)

 

 やる事は決まった。大鎌なんて使った事ないけど、やらなきゃいけないのなら使うしかないだろう。両手に持った剣を自分の収納の中に放り込み、ポケットから出したペンダントを首からかける。

 

「あれ?もしかして諦めちゃったのロイド。そしたらツマンナイナー、食べちゃうよ?」

「いいや、使う武器を変えるだけだ!!」

 

 来いと念じると、確かに手の中に重みが生じた。ほぼ毎日斬り結んでいたから分かる。この気配は間違いなくあの大鎌。

 

 《聖遺物 Falce vitamortem 起動しました。ユーザー認証、ロイド 使用許諾確認、適正ユーザーです。一部機能は使用不能です》

 

「ふーん、私の大鎌を使うんだ。でも、それを上手く使えるの?」

「使ってみせるさ」

 

 イオリの言ってる言葉と、頭に響く変な声が重なって意味が理解できない。でも、とりあえず返事はしておく。

 

 《ユーザーの大鎌系統スキルの未所持を確認、一時的に《大鎌術 LV--》を付与します。現在の特効設定は通常です、最大500%まで変動可能です》

 

 途端に普段双剣を振っている時と同じ様に、大鎌が手に馴染んだ。つくづくイオリの装備って規格外だよな…

 

「モード変更、対人型−100%!」

 

 幾重にも鐘のような音が重なりながら、大鎌の刃が解け、再構築されていく。これでおそらく、例の特効が変更されたんだろう。

 

「うーん、ティアの入れ知恵かな?2人揃って相手してあげるよ!」

(私は声だけだけどね)

 

 黒い剣を構え、とても嬉しそうな楽しそうな顔でこちらに飛んでくるイオリを、大鎌の柄部分を使って迎撃する。躱されたけど。

 初めて使う筈なのに、今まで使い続けていた様に動かせるという気持ち悪さを感じながらも、それを振り払いイオリと向かい合う。

 

「やっぱりその大鎌やり辛いね…まあ、関係は無いけど!!」

「はぁっ!」

 

 天上を蹴り、屋根ごと吹き飛ばし頭上から強襲してきたイオリに対して大鎌を振り上げて迎撃する。なんでイオリは、こんな戦い辛い武器であんなに戦えてたんだよ…そう思った時、さっきの大鎌ともティアさんとも違った声が頭に響いた。

 

 ーー条件を達成しましたーー

 ーースキル 勇気 を継承しますーー

 

 瞬間、食べられたステータスが元の値付近まで上昇した。なんだかよく分からないけどこれなら…

 

(問題なく戦える。よろしく)

「言われなくても!」

「もう!」

 

 別に俺が狙ってるのはイオリを倒す事じゃない。それなら、元に戻ったステータスで俺がするべき行動は!

 

「ふぇ?」

 

 大鎌を高く放り投げ、俺は突撃してきたイオリを抱きしめた。

 




説明とか無理だったよ…
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