異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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イオリの装備によるステータス上昇値がおかしいだけで、同じ装備の条件で戦ったら同レベル帯の人には勝てないんだよなぁ…
具体的に言うとLUKを除けば最低3,000は上昇してるし…防御に関しては10,000は上昇してるはず。

つまりイオリを剥いじゃえば抵抗なんて出来ない!(迷推理)


第19話 強欲討滅

「うぅ…ロイドのばか、えっち、へんたい、ろりこん」

 

 ロイドから剥ぎ取ったペンダントで棺桶を除いた戦闘装束に身を包んだ私は、涙目でロイドを睨みつける。多分これだと顔も真っ赤になってるだろう。因みにロイドには正座させてる。

 

「いや、でもやれって言ったのは」

「やったのはロイドだもん」

 

 そこら辺の話も含め、ティアから状況とこれからの向こうの予定とかも全部聞いたからそれは分かってる。でも、それでもやったのはロイドだもん。いやじゃ、ないけど。

 そうして睨み合うこと数秒、ロイドが折れた。

 

「えっと、ごめん。俺もなんというかやり過ぎた」

「謝ってくれたからいいよ。許す」

 

 気まずい沈黙が続く。私は私で何を言えばいいのか分からないし、ロイドも何か話題を探してる風な顔をしている。なんだろう、物凄くティアがニマニマしてる気配がする。そんなティアなんて一回ニャル様にアッヘアヘにされちゃえばいいんだ。

 

「うぅ…そ、そうだ。強欲の人を真っ二つにしたらしい剣って、どこに落ちてるか分かる?」

「あ、あぁ!それなら」

「ヴァァァァァァァッ!!」

 

 そう話がつづくと思った瞬間、下の階から咆哮が轟き私とロイドは家ごと衝撃で吹き飛ばされた。棺桶&結界を展開、何が起きてもいいように備える。

 

「やっぱり手遅れだったか…あ、ロイド手出して?生身の方」

「手遅れって、あいつが出てきてるのとどんな関係があるんだ?」

 

 そう言って、空に浮かびながら2人で足元にいる化物を見下ろす。

 骨腕が再生し頭は鳥のような骨で覆われ素顔は見えない。最早人語を解しているかも分からないけど、そこにいるのは強欲さんだった。

 

「えっとね、聞く限り私は闇魔法で造った剣に《暴食》で食べたアレを封印してたみたいだから、もしかしたら封印解かれてるんじゃないかなって思って」

「案の定だったって訳か。それで、手の方は?」

 

 そして、私の《暴食》について少し説明しておく。なんでも食べれるし、お腹も壊さなくなるこのスキル。それこそ相手のステータスとかのデータみたいな物も食べて吸収出来るんだけど、そっちを喰らうときは1つだけ条件がある。それは、簡単に言えば口を介する事。

 

「私が食べちゃってたロイドのステータス、全部返すね」

 

 まだこちらを見失ってるらしい強欲さんの上空で、私は差し出されたロイドの手を持って、その人差し指をパクリと咥える。

 

「ちょっ、イオリ!?」

「あむっ、ちゅる…ちゅ……ふぇ?ふへーはふ(ステータス)はえひへるはへはよ(返してるだけだよ)?」

 

 水っぽい音を響かせながら、 ロイドの指を咥えたまま舐めてみたり吸ったりしてみる。戦闘モードの頭ですら顔が赤くなるこんな事をしてるのは、1番ステータスを返すのが早いから。あと、真っ赤になって動くに動けないロイドが見てて楽しいからかもしれない。

 

「ぷはぁ、これで元に戻ったかな?」

「へっ、あ、ああ」

「ジニ゛ヤ゛ガレェェェッ!」

 

 そう叫びながら、私たちに気づいた強欲さんが飛び上がってくる。けど、腕だけのこいつなんて正直どうとでもなる相手で……赤くなってるロイドの前に出て、大鎌を取り出す。

 

「私には元に戻してあげるのは出来ないし、そんな方法も多分ない。だから、元クラスメイトだし空気を壊す事にはお世話になったし…」

 

 棺桶に備わった()()()()を起動。私の背負う棺桶全てに、陽炎のような揺らめきが発生する。けど、それは熱によるものじゃなくて空間が圧縮されるというありうべからざる現象によるもの。

 正直機構自体は、地球でWikipedi○見ながら作ったから、説明は詳しくなっちゃうからカット!

 

「せめて安らかに眠れ」

 

 そう言い終わった瞬間、私は地面にひびを入れながら着地していた。そして勿論突進を躱しただけじゃない。

 

「ぐ、が」

「ごちそうさまでした」

 

 ビュンと振り抜いた大鎌に、既に強/欲になってた強欲さんの弓とムと虫辺りに分かれた破片が吸収されていく。あれ?という事は色んな意味で欲の部分の方がいてもおかしくない気が…

 

「イオリ、上だ!」

 

 流石に静止状態から動くのは難しかったのか、ロイドから忠告の声が飛んでくる。急いで上を向くと、そこにはオウガテイルならぬボーンレッグ…ちゃんと言うと強欲の欲の部分が降ってきていた。

 

「ふぅ…」

 

 地震やバネの様に、歪められた物が元に戻る際の力は元の歪みが大きければ大きい程巨大な物になる。私の次元魔法をベースにしたこの機構で歪められた時空間が元に戻る際の力は、ロイドと同じくらいの速度を出せる。

 

「まだまだ猿真似程度とは思うけどっ!」

 

 私程度がそこまでの速度を出せる様なエネルギー、それを直接相手に叩き込んでそれを粉砕する術。ゲームの技を現実で再現するのはロマン!

 

「アトランティス・ストライク!!」

 

 私の回し蹴りが腰あたりに直撃、そして爆発して粉微塵と化した。カッコいいし好きだけど、MP効率悪いからあんまりやりたくないんだよねこれ。そんな事を思っていると、飛んでいたロイドが降りてきた。

 

「ごめん、本当なら俺がどうにかしないとダメだった」

「ううん、別に気にしてないよ。あの状況じゃ動けなかっただろうしね」

 

 そうニコっとロイドに笑いかける。後はもう、王城まで行ってティア達と合流、その後で海堂をどうにかして終わり…そう気を抜いた瞬間だった。

 

 コツン

 

 私の棺桶が張っている結界に、小さな何かが当たる音がした。疑問に思いながら見渡すと、近くに石が落ちている。そしてそれを投げたと思しき小さな男の子が見えた。

 

「ゆうしゃさまを殺しやがって!この化物!」

 

 慌てて建物の中から出てきた親っぽい人がその子を取り押さえようとこちらに向かってくる中、別の方向からも石が投げつけられる。

 

「このばけもの!まぞく!あっちいけ!」

 

 私と同じくらいの女の子が、目に涙を溜めながら石を投げてくる。その隣には、直剣を持ちこちらを睨みつける父親が。そして石を投げるのをやめさせた母親が立っている。

 初対面の人の感情なんて詳しくは読めないけど、いい感情を持たれていない事だけは分かる。それは、なんだなんだと出てきた民間人の人にも言えることだった。

 

「あんたら…」

「いいよ、ロイド。行こ」

 

 飛び出しそうだったロイドの手を引いて止め、王城に向かって走るみち歩いていく。化物って合唱は響いてくるけど、一旦意識から締め出す。

 そして、人が一切いなくなり静けさが戻った頃。

 

「ごめんロイド。ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから、このままでいさせて」

 

 私はロイドにぎゅっと抱きつき泣いた。ティアが死んじゃったイメージが送られてきた時から、もう結構限界だったんだよ…

 




※民間人はだれも悪くありません
アルさん達を戦わせてたのは、消耗させないとラスボス()さんが秒殺されるからだったり

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