異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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間違えて中途半端に投稿してた…orz
怒りの連続投稿


第21話 ラストバトル前

「えと、さっきはごめんね。いきなり泣いちゃって」

「いや、気にしてないぞ」

 

 さっきみたいな事にならないためにも、民家の屋根付近を並走…いや、並飛?しながら私達はそんな話をする。向かっている場所は、聳え立つ王城近くに広がるクレーター…もといアルさんの戦闘跡。そこにティアとタクの気配を感じるから、予定通り合流しようと思う。

 

「それにしても、アルさんってつくづく規格外だと思うよ…あんな跡みると」

「俺から見ると、イオリもティアさんも同じなんだが…」

「そかな?」

 

 多分物理技だけであの被害を起こしてるアルさんと、魔法で天変地異を起こす私達を同じにしてもらいたく……他の人から見たらあんまり変わらない気がしてきた。

 

「まあそんな事より、私としてはコレをロイドが拾っててくれて本当に嬉しかったよ」

 

 そう言って私は、にへへと笑いながら戻ってきた四葉のクローバー型の髪飾りを触る。これと一緒に大鎌入りのペンダントも回収したらしいし、ほんとに幸運のアイテムだね。

 

「って、なんでロイド赤くなってるの?さっきとか、助けて貰った時とか色々シタりされたのに…」

「それとこれとは話が別なんだよ…そ、それより、なんか手を振ってる勇者が見えたぞ!それにアルさんと誰かが倒れてる!」

「むぅ〜もうちょっとロイドと2人きりで居たかったのに…」

 

 文句を言いながらも、アルさんが倒れてるのは大事だし着陸して話を聞く事にする。タクももうちょっと強い回復魔法使ってあげればいいのに…あとなんでティアは読書してるのさ。

 

「それで、これはどんな状況?ティア」

 

 ジト目で見ていたタクから目を逸らし、ティアに聞いてみた途端ロイドまで芸人ばりにズッコケた。

 

「ちょっと待って!今の明らかに俺に話を聞く雰囲気だったよね!?」

「流石に俺も酷いと思ったぞ」

「だって、あのまま話を聞いたら無駄に堅苦しい雰囲気になりそうだったんだもん…」

 

 2割くらいは邪魔された私怨も入ってるけど、ちゃんとそれくらいは私にだって分かる。シリアスは嫌いだもん、そんな雰囲気を壊したって別にいいじゃん。

 ぷくーとほっぺを膨らませて無言の抗議をしていると、はぁ…とため息をついてからタクが話し始めた。

 

「ティアさんから大体は聞いてるらしいから省くけど、柊さんが逃げた後合流地点のここに来たらアルさん達が倒れてた。合流を待つ間、とりあえず回復魔法をかけておいた。って感じかな」

「ふむふむ、こ↑こ↓に…」

「ちょっと待って蒼矢凄く嫌な響きを感じるんだけど」

 

 タクのツッコミを受け流し、寝かされてる2人の様子を観察する。双方とも大きな怪我は治った跡しか無し、疲労困憊で十全に戦えるかは不明。HPはタクの魔法でほぼ回復してるっぽいし、疲労を回復させる魔法をかけていくけどどこまで効果が期待できるか…

 

「つまり、一時的な『膝に矢を受けてしまってな…』って事か。アルさんをサポートしながら、圧倒的なぱぅわーで叩き潰すつもりだったのに…はぁ」

「それって、結局はどうなるんだ?」

 

 一回考えた計画が破綻した以上、もう一回どうするか考え直さないといけない。えっと、こうなった以上全員の危険が跳ね上がる事になるけど…

 

「勇者が前衛。ロイドとマスターが遊撃。私が後方支援とか?」

「俺からも、そうしてくれるとありがてえな」

 

 ティアが首を傾げながら出した答えに、目を開けたアルさんがそう同意する。やっぱりそうなるのか…

 

「俺が万全ならともかく、ついさっきまでの戦いで随分消耗しちまったしな。大した戦力にはならねえだろうし、こいつも放っておけないしな」

 

 起き上がったアルさんが、隣で未だ倒れたままの女の人を見ながらそう言う。そういえば、この女の人って誰?

 

「私達を襲った不死鳥の主。加えて、おそらくギルマスと戦っていた人物。怠惰のスキルの関係者」

「そして、俺の幼馴染だな」

「幼馴染と殺し合い…」

 

 タクがそう呟きながらこっちを見てくる。いや、私達もやったでしょ?殺し合い。そう思ってる私に、ティアがちょいちょいと手招きをしてくる。

 

「ふぇ?どうかしたのティア?」

「前やった方法で、大罪スキルを奪って欲しい子がいる。あと、そんなに時間はかけられない」

 

 改めて言われると、確かに時間をかけてなんていられない。今は攻撃とかされてないけど、いつまでこの状況が持つか分からないもんね。

 

「あれ結構痛い筈なんだけど…まあいっか、誰?」

「私達を襲った不死鳥」

 

 その言葉に私は抜こうと思っていた大鎌をピタリと止める。それって間接的にとは言え、ティアが死んでタクも怪我した原因でしょ?

 

「やってくれたら、そこに落ちてた職業に就くための水晶玉をあげる。ギルドマスター、別にいいよね?」

「……まあいいだろう」

「それじゃあ、もうやるしかないよね!!」

「イオリって、結構単純なところがあるよな…」

 

 ロイドが何か言ってたけどそんな事は知らない。ティアからもらった水晶玉を仕舞った後大鎌を抜いて、そのまま指差す門に突き入れる。何か生き物に深々と刺さった感触がして気持ち悪いけど…

 

「喰らい奪え、《暴食》!」

 

 半分程吸収した強欲の力も上乗せして、ドロドロとした雰囲気のスキル…多分これが《怠惰》なんだろうなって思う物を大鎌で喰らう。

 よいしょと門から抜いた大鎌の刃の内、1つだけ真っ黒に染まっている破片をパージして新しい破片を補充。黒い破片も回収して、これでよしっと。

 

「取れたみたい。《ヒュプノス》解除、マスターの元へ帰れ」

 

 ティアがそう言うと、開いたままだった門から炎が溢れ、倒れている女の人に吸い込まれていく。その炎の色は、ティアの記憶にあった黒ではなく赤やオレンジの混じったもので安心する。

 

「よし、これで用事も終わったし…」

 

 そう言って周りにいるみんなの顔を見渡す。私が心配するまでもなく、みんな覚悟を決めた顔をしている。

 

「城の外の事は俺とこいつに任せろ。存分にやって来い」

「はい!」

 

 アルさんもそう言ってくれている。休憩も十分にではないけど取れたし、士気も十分!

 

「正直こんな事をやってる海堂と戦いに行くから、みんなどうなっちゃうかは分かんない。けど、一個だけ言いたい事があるんだ」

 

 すぅと大きく息を吸ってから、一拍置いて私は言う。

 

「みんな絶対生きて帰ろう!!」

 

 そう言い終わって、なんで私がリーダーっぽい事をしてるのか考えている私を、人数こそ少ないが意思は伝わり過ぎるほど伝わってくる声が包み込んだ。

 




番外編書こうとして思った。
二次創作って難しい…
追記
今日の投稿休んでもいいです?

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