異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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デモンベインとかガンダムとかACとかファフナーとか。エヴァ?知らない子ですね。


第22話 ロボットってロマンだよね

 みんな絶対生きて帰ろう。そう言って気合を入れたのは良かったけど、私は1つ大変なことに気がついた。それは、時間が足りないという事。

 王城に突入するメンバーの内、私・ティア・ロイドは飛べるしかなり高速で移動する事ができる。けどその中で、タクだけが飛べないし移動速度が遅い。と、いうことで

 

「首級を上げよ!」

「魔族を滅せ!」

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 アルさん達が戦っていたクレーターを抜け、余波で倒壊した街を抜け、私達はまだ無事だった街を壊しながら城に向かって突撃して行く。各々手頃な武器を持った住人を薙ぎ倒し、余りの速度に叫び声を上げる主はタク。

 まあ簡単に言えば、1番耐久力のあるタクに作ってみただけだったVOB(ヴァンガード・オーバード・ブースト)を無理やり装備させて突撃させている。コジマは使ってないから安心していいと思う。大きな盾も持たせたし、作戦的にも見た目的にもシンプルイズベストだね!

 

「全砲門解放。いくよフロー、全弾一斉掃射!!」

凍結解除(フリーズアウト)、非殺傷魔法掃射開始」

「《暴風壁》!」

 

 結界を張り超高速で突撃しているタクの後ろで、私達はそれぞれの攻撃で群がる一般人を気絶か酷くても骨折にさせて駆け抜けていく。私はゴム弾やらロックソルト弾をばら撒き足を止め、ティアの非殺傷魔法( )で行動不能にし、ロイドの魔法で吹き飛ばす。

  ナイスこんびねーしょんって奴だね!

 

「後ろで何か楽しそうにやってるとこ悪いんだけどこれ止まらない!!というかどう止めるのこれ!?むしろ止まるの!?」

「大丈夫、止まらないよ!」

「いぃぃやぁぁぁぁぁっ!」

 

 悲鳴を上げながら、さらに加速したタクを追って移動する間にぐんぐん王城が近づいてくる。城ならあって当然の、完全に閉められこちらを進入させる気など微塵も無い巨大な門も例外では無い。

 

「スラスターパージ!!」

「了解、本体を転送する」

 

 門が見えた辺りで、盾付きVOBからタクを抜き取る。一応(搭乗者の)安全策は考えてあるのだ。でも勿論そんな事をすれば…

 

「はぁ…はぁ…はぁ…し、死ぬかと思っ」

 

 転移させたタクを3人で掴み運ぶようにする。体勢は良くないけど、それでも安心したらしいタクの声を遮るように私は叫ぶ。

 

「たーーまやーー!!」

「かーーぎやーー」

「へ?」

 

 また加速したVOBは閉じられた門に直撃、貫通し、ほんの少し進んだ場所で大爆発を起こした。

 

「コジマは、まずいって…」

「大丈夫、問題ない」

 

 撒き散らされる大量の()()()()がここからでも確認できるけど断じてコジマじゃない、ないったらない。あくまで回復魔法の光だから、ティアの言う通り全く問題ない。

 

「でもこれは本当に、賠償金とか大丈夫なのか…?イオリ」

「1発だけなら誤射かもしれないんだよ、ロイド」

「いや、でも流石に」

「誤☆射。OK?」

 

 なおも食い下がるロイドに、笑顔で私はそう言う。そう、なにせまだ1発だもん。きっと誤射に違いないんだ。あ、賠償金は海堂に押し付けるからそこんところ宜しく。

 

「お、OK」

「酷いごり押しを見た」

 

 べ、別にミーニャちゃんを守った件で懸賞金でも掛けられてそうだから何でもやっちゃえなんて思ってないし。心の中でそう言い訳している内に、内から爆散した門に辿り着いた。

 

「ティア、王族の人探知して!終わるまで他のみんなで警戒!」

「「「了解!」」」

 

 正直なところ、ただ海堂を倒すだけならそもそも私達は敵の本拠地たる王都に進入なんてしていない。街の外から主任砲とか流星群とか大噴火とかの圧倒的な火力で殲滅すればいいだけの話だ。

 私が大量殺人の咎を負うだけで済むこの作戦が実行されてないのは、誰も認めないだろうって事以外にもちゃんと理由がある。日本とは違ってこの人間界は王制、つまり王様やその一族が生き残ってないと国の復興なんて出来ないのである。戦国時代したいなら別だけど。

 つまり、全力全壊で戦って洗脳されてるだろう王様とかを巻き込んだら実質失敗って事だ。何でも特別な魔力を持ってるらしくって、ティアなら問題なく分かるかもしれない。

 

「探知完了。地下に成人男性が1人、上階に年頃の娘が1人。他に王族と思しき反応は無し」

「ありがと。それでタク、人間界には王女様だけで王子はいないの?継承権は?ロイドもそう言う話聞いた事ある?」

 

 獣人界とか魔界を旅してきて人間界の事情には疎いから、そこをよく知ってそうなタクとロイドに聞いてみる。獣人界の事情ならそこそこ良く分かるんだけどなぁ…

 

「継承権とかは知らないけど、俺が知ってる王族はその2人だけだよ」

「俺はそう言う政治の話には全く興味なかったからな…力になれなくてごめん」

「ううん、それを聞けて私は安心したかな」

 

 隠し子とかの危険性はまだあるけど、とりあえずその2人を巻き込まないようにすればいいんでしょ?でもそう考えると、もしかしたら勇者召喚って…

 面白い仮説が頭をよぎった瞬間、今まで沈黙していた王城から多数の騎士や魔法使いと思われる人達が飛び出してくる。

 

「こっからはみんなそれぞれの判断で動いて。目標は海堂の打倒!!」

 

 そう叫ぶと同時に、両手や棺桶の間からの銃撃で敵さんを薙ぎ払う。一拍遅れて魔法の嵐が吹き荒れ、道が開けた。

 

「全員突撃ぃぃぃぃ!!」

 

 こうして私達の城攻めが始まったのだった。

 王様は地下に居るらしいし、後回しでいいよね?

 


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