異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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サブタイトルは、思いつかなかった作者がなにかとクロッシグした模様。

-追記-
なぜだ、なぜ一話限りだったはずのfate編の続きを書きたくなってくるんだ…


第23話 降り立てなかった堕天使()

「ごめんなさい!」

 

 ガンダムハンマーではなく大鎌を振り抜き、意識を刈り取った騎士っぽい人を全力で蹴り飛ばす。

 王城に突入してから10分くらい、開けた場所では騎士っぽい人達が、隠し通路からはニンジャナンデ!?という事が多発しており、タクの案内で進んでいるけど私達はあまり進めずにいた。

 

「タク、次はどっち!?」

「右に曲がって真っ直ぐ!無駄にデカい扉!」

「了解!!」

 

 無防備にも兜を被って居なかった人にゴム弾のヘッドショットを決め、走る方向を変えるがてら背負った棺桶を当てて吹き飛ばす。私ヒーラー兼遊撃手だった筈なのに、ポジション的にはアンヘル・ディオナだった筈なのに…

 そんな考えがよぎった時、後ろから強い風と磯の匂いを感じた。少し気になり魔法で確認すると、少し離れてはいるけれど2人とも無事。これなら進んでも問題は無さそうだ。

 

「タク、Go!!」

「俺は犬でもポケモンでもないって」

 

 そう言いながらもちゃんと私達より先に進んでくれた。大丈夫、私が誰かを犬扱いするなんて多分ない。犬…首輪…チョーカー?成る程私が犬か!飼い主は結衣姉で。

 そんなくだらない事を考えながら、石造りだけど何らかの魔法によってがそうと感じさせない謎の通路を進む。我ながらなんでこんなに余裕があるんだろ?

 

「ここ!」

 

 考え後をしてる間に迫っていた扉が開け放たれ、タクとほぼ同時に部屋に進入する。無駄に広いって話だし敵はどこだ!

 

「…あれ?」

 

 私は首を傾げる。確かに無駄に広い部屋ではあったが、敵影どころか調度品1つない。照明はギリギリあるけど窓もない、勿論ここまで上がるのに使ってきた階段も。

 

「むっ」

「どういう、事だ?」

 

 後から入ってきたティアとロイドもおかしいと感じた様で、すぐにここに案内したタクに「どういう事か?」と目を向ける。私?

 

「あの、蒼矢?大鎌引いてくれない?凄い怖いんだけど」

 

 隣に立っていたタクの首元に大鎌の刃を突きつけている。疑わしきは罰せずって言うけど、故意にやった事だったら言い逃れを許す気はない。

 

「ちゃんと説明できないと、このまま下に引くことになるんだけど」

「ひぇっ。こ、ここはエレベーター的なサムシングですはい」

 

 そんな対応で良いのか勇者。そしてタクがそう言った瞬間、部屋の中心に青い魔法陣が生じ青い光が立ち上り始めた。

 なるほど、今の対応はこれを出すための鍵みたいな…そう思った私の考えは、タクが発した言葉によってすぐに否定された。

 

「ちょっと待って、俺まだ魔法陣起動させてない。でもここから上に行ける奴なんて…」

 

 そして青い光の中から、黒い羽の様な物が見え始めた。こんなのが該当するのは、ティアを殺したアイツ以外ありえない。魔法陣を挟んで反対側にいる2人に目配せして叫ぶ。

 

「ロイド1個目!」

(ティアは万一があった時の援護を!)

 

 こういう時は先手必勝一撃必殺。相手が認識出来ない間に最大火力をぶつけて刈り取る!私も大鎌をタクから外して構える。完全再現なんてしてないけど、ロイドの奴が本気で怖いからまだ近寄りはしない。

 

「自由を!」

 

 そう言って双剣ではなく右の義手をロイドは振りかぶる。その硬い鋼鉄の腕に変化は無いけれど、そこには今排出された薬莢に込めた絶対的な死が宿っている。

 擬似・幕引きの拳が転移途中の柊何某に直撃する。本来ならこの時点で、終わらされた柊何某は塵も残さず消え去る筈だったんだけど…まるで身代わりの様に、羽が1つ消え去った。

 

「まだだぁっ!!」

 

 動こうとした私の目の前で、ロイドの義手から薬莢が5つ連続して排出された。それに合わせ、柊何某の羽が全て消滅し転移陣から本体が血に濡れた状態で弾き出された。そして、

 

「まずっ」

 

 その代わりとでも言うのか、魔法陣の中に進入していたロイドの転送が始まった。ここで1人だけ別行動なんて危険度が高すぎるけど、ティアを1度殺したコイツを放っておけるほど私は優しく無い。

 

「行ってタク!」

「必ず追いついてよ!」

 

 これだけで伝わるのはちょっと癪だったけど、 私の意図を察したタクが魔法陣に突っ込みそのままロイドと転送されていく。これで少しは安心できるだろう。

 

「さて、さてさて。出落ちした気分はどんな物かなぁ?傲慢さーん」

「ころ、してやる…」

 

 多分奥の手だったのであろう羽を消しとばされて、頭上の光臨も明滅してる状態で言われてもなんの説得力も無いんだけど。ドラえもん的に浮いてるけど、怪我自体は一切治ってないし。

 

「そうは言うけどさ、こっちだって同じ気持ちなんだよね」

「マスターに同意する」

 

 タクだけを行かせたのは、決した私達が間に合わなかったからなんかじゃない。私もティアも、コイツに対して正直怒り心頭だからだ。

 

「私の可愛い、大事な大事な精霊(かぞく)を殺した報い、受けてもらうよ」

「さっきは取り逃がしたけど、今度は容赦しない」

 

 背後のティアから強烈な殺気が放たれ、ぞくりと寒気を感じた。ティアがガチギレしてる…コワイ!なんて思ってる中、一瞬だけ殺気が消えて言葉が続く。

 

「でもマスター、そんな事言われると照れる。家族だなんて、恥ずかしい。そう思ってくれるのは、嬉しいけど」

 

 振り返ると、ティアが頬を赤らめながらそんな事を言っていた。ほんの少し表情が緩んでるし、何この可愛い生き物。

 

「ふざけるなぁぁぁぁぁっ!!」

 

 そんな絶叫と共に放たれる謎の光。(意味深)じゃない破壊力を伴ったその光は、私の突き出した大鎌に近づいた瞬間消え去った。

 

「全く、敵のお巫山戯を待てないとか失格」

「ほんとティアの言う通りだよ…それじゃあ、戦い始めよっか?」

 

 そう大鎌を引き戻してから言うけど、1つ間違っていた事に気がつく。

 

「あぁ、ごめん間違えちゃった。これから始めるのは戦いじゃなくって、ただの一方的ないじめ(食事)だった」

 




エセニンジャ vs ティア&イオリ(殺意メガ盛り)

ファイッ!!

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