異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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ヴァルゼライド閣下ー!!(死ぬ程忙しい時期に結局シルヴァリオ ヴェンデッタ買って始めた屑)


第29話 龍明姉さんリスペクト

 突きつけた大鎌を引き戻しながら、今のこっちの戦力を確認する。近接・速度特化のロイド、後衛・大火力のティア、ある程度自由に色々できる私と、フローとタク(動ける硬い盾)

 自称魔神の戦力がどれ位だか分からないから正直対応に困る。けど何時までもそんな風に手を拱いてる訳にもいかない。

 

「だったらまずは小手調べ!」

 

 私は左手を天に掲げ、色んな種類の魔法を組み合わせて1つの幻想(ロマン)を再現する。()が生活していた時代にも理論しかなくて、けれど私の好きなゲームのラスボスが使っていた物。

 運動エネルギー弾、カッコよく言うとKinetic energy penetrator。衛星軌道上から音速の十倍もの速度で金属の棒を叩きつけるとか言う、流星群とは違った超兵器。

 

「ロッズ・フロム…ゴォォォッド!!!」

 

 ロイドの速攻やティアの魔法よりも速く、私の放った神の杖が魔神へと迫った。周りの被害を気にしなきゃいけない地上とは違って、正真正銘全力全壊。撃墜するにしろどこかへ飛ばすにしろ相殺するにしろ、ある程度の実力は測れると思っていたのだけど…

 

「へ?」

 

 ボッという空気を切り裂く音の後には、ほんの数秒前まではあった人型の姿はなく、ただ散り散りに四散した黒い靄が残っているだけだった。危機感は無くならないから死んではいないんだろうけど、拍子抜けかも。

 

『全く、あんなのを最初から撃つだなんて』

『やっぱり君の頭は』

『狂ってるよ』

 

 そんな事を思っていると、私をバカにする事を言いながら黒い靄が集まって形を成していく。その人型の数は3つ。フローとタクがティアのサポートに入ってる現状、丁度同じ数と言える。

 というか、私頭狂ってなんかないし。

 

『さて、それじゃあ始めようか』

 

 黒い靄がそれぞれの元に飛んで行く。フローがいない分実は落ちるけど、門から機銃を掃射して足止めして大魔法で殲滅…そんな事を考えていた私の思考は、突如()()()()姿()へと変身した魔神(自称)のせいでどこかへ消え去った。

 

『おぉぉっ!!』

「ちょっ!?」

 

 慌てて大鎌を回して、私が作った物と寸分違わない双剣を弾く。しかもロイドの動きまで真似てるのか、本物には二、三歩劣る連撃を繰り出してくる。

 

『これが本来の大罪スキルの使い方。色欲で相手の心を覗き見て、強欲で芯を形作り、憤怒で肉を作り出す。強欲は半分、暴食も怠惰も君のせいで無いけどね』

 

 説明してくれる事には感謝したい。なるほどそういう理屈で真似なんて事してくれてやがるのね?

 ロイドと同じ綺麗な緑色の髪、解析を使えば贋作って分かるけど見た目は完全に私製の装備類。唯一目だけは本来と違って白目が黒・黒目が黄色なジェノス目だけど、色々と腹が立って仕方がない。

 

「お前なんかが…お前程度が、私のロイドを穢すなぁ!」

 

 魔力放出を真似た一撃でロイド(偽)を弾き飛ばす。同時に魔法、《神経加速(タキオン)》を発動。

 ナノゴーレム及び砲門最大展開。OW:ヒュージミサイル展開、熾凍の咆哮(ディス・フィ・ロア)からメギドラオンまで5つずつ並列展開。魔眼と次元魔法にリンク、ロックオン。

  そしてそれら全てを一旦凍結。

 

この身は悠久を生きし者。ゆえに誰もが我を置き去り先に行く。追い縋りたいが追いつけない。才は届かず、生の瞬間が異なる差を埋めたいと願う。ゆえに足を引くのだ――水底の魔性

 

 こちらに再度突撃しようとしていたロイド(偽)に、上から散々と照りつける太陽のお陰で出来ている私の影が伸びていく。私が自分の作品の贋作を、自分の彼の偽物を、存在自体許すわけ無いじゃん。

 

「波立て遊べよ、拷問城の食人影(チェイテ・ハンガリア・ナハツェーラー)

 

 あくまで偽物紛い物。それでも、私の広がった影に触れた物は総じてその動きを止められる。前使った時ですらクトゥルフとか神話生物の動きを止めた魔法で、ロイド(偽)の動きが完全に停止する。

 

『この身体は、君の彼氏の物と同一だ。本当に君にそんな事が出来るってのか!?「やめてくれ、イオリ!」』

 

 魔神(自称)が、最後だけロイドの声も真似して言ってくる。へぇ、やめてくれねぇ…?ロイドの声真似でそんな事を言われると、そんな情けない事を言わさせられてると思うと、ただでさえプンプンがおーな感じだった怒りが、天元突破してグレンラガンしそうになる。

 それに、龍明姉さんが言ってた。

 

「真に愛するなら壊せ!!だよ」

 

 本当にそこまではしないけど、喧嘩とかお互いの意見をぶつけ合えない様じゃ、依存とかそういう悪い方向に向かって行っちゃうと思う。そんなのは嫌だし、だからこそだ。

 

凍結解除(フリーズアウト)灰燼に帰せ我が怒り(Abyssus abyssum invocat)!」

 

 良さげの格言を思い出したから叫び、それと同時に止めていた物を全て開放する。まず最初に門から顔を出した、アハト・アハトを筆頭とする馬鹿らしい近代兵器群が火を吹く。第二陣として、溜めに溜めた様々な魔法の数々が爆煙立ち込める場所な着弾して行く。

 そして止めとばかりに、核の代わりにタナトニウムを積んだ超巨大ミサイルが直撃する。

 

「やった…かな?」

 

 色々な装備類が門の中に仕舞われていく。SLBはロイドの固有結界もどきが壊れるから今回は無しだけど、あれだけの数の諸々を直撃させたんだ、何かダメージは負ってくれたはず…

 そう期待しながら、爆煙を警戒して私は見つめるのだった。

 




( `Д´)>)) д') シンニアイスルナラコワセ!
で検索すれば出るはず…

Abyssus abyssum invocat
・地獄は地獄を呼ぶ
・1つの過失はもう1つの過失に結びつく

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