異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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改めて、自分が駄文書いてると思った。


第30話 魔神、死すべし

「やった…かな?」

 

 言っちゃってから、これが倒せてないフラグだという事を思い出した。数多の兵器が門の中に帰っていく中、私は気を引き締め直して大鎌を握る。私の装備(作品)の贋作を纏うロイドの偽物、そんなのは許しておけない。

 

「《ディメンション》」

 

 追撃のために探知の魔法を広げた瞬間、頭に割れそうな痛みが走って何か致命的な部分にパキンと罅の入る音が聞こえた。

 

「ーっ!」

 

 魔力をほんの少し動かしただけで、全身を切り刻まれたみたいな、焼け付くような痛みが走る。原因なんて分かりきってるから、弱みを見せないように声は出さない。涙はポロポロ流れてるけど。

 

「けほっけほっ。ごほっ」

 

 不意に出てきた咳を抑えた左手を見ると、私の血で真っ赤に染まっていた。短時間の間にデメリットまで再現しているOWを連続使用、限界ギリギリの魔力操作で銃火器を操作して、その上加減無しの魔法を多重発動……こんな幼い身体で、病み上がりの魔力回路で、そんなバカな事をして耐えられる訳がない。

 

「まあ、まだまだ戦うけどね」

 

 シイラさんの所で買った物より効果は劣るけど、片手間に複製してみた魔力回路修復薬(仮)を噛み砕いて飲み込む。スクナヒコナなんて薬とかお酒の神様の名を持つ職業を持ってるからね、複製くらいなら簡単に出来る。

 

「私だって、前とは違うもん」

 

 アルさんの攻撃を防いだ時には、回復まで凄くかかって大変な目に遭った。だから、大鎌の回復能力をバランスが崩れない程度に拡張したし、今から自分を更に強化する。

 

「職業、選択」

 

 そう宣言すると、大鎌と私の中間地点辺りに見慣れた選択画面が展開された。やっぱり貰っておいて正解だったね。

 そして今の私のレベルは、魔物を殲滅したりなんだりしていたおかげで201まで上がっている。つまり職業の選択欄が2つ空いていて、その分自分を強化する枠は残ってるって事になる。

 

「インストール、ディアン・ケヒト」

 

 選ぶ1つ目は、ケルト神話辺りの神様の職業。元が医療や生命、技術の神様だけあって回復速度が上昇する。

 そして選ぶもう1つ。今まで私は鍛冶とか物作りに関する職業だけを取ってきたけど…最近の酷いトラブルの巻き込まれ方のせいで、このままじゃいつか死んじゃう気がしてきた。

 

「だから1回だけ、ほんっっっっっとうに嫌だけど主義を変えてあげる」

 

 聞こえてないだろうけど、爆煙の中から脱出した魔神(仮)に語りかける。勿論物作り系以外の職業を取るつもりはないけど、絶対戦闘能力を持ってる頭のオカシイ神話に1つだけ心当たりがある。

 

「インストール、ヴィシュヴァカルマン」

 

 ケルトはケルトであれだけど、インドほどぶっ飛んでる神話を私は知らない。ガネーシャとかほんとどうなってるのあれ。ん、ちょっと待って?私がこんなに戦闘大好きっ娘になったのって、ゴブニュ(ケルト神話)の職業を取ってから…

 

「まあいっか。塵と消えろ!梵天よ、地を覆え(ブラフマーストラ)ァァッ!!」

 

 折り畳まれ銃の形に大鎌は変形し、普段撃つ銃弾や魔力弾と違って巨大なビームの様な閃光が発射された。怒りの日(Dies irae)出来そうな位の私の怒り、これくらいで収まる訳が無いと知れ!!

 

 

『やぁぁぁ!』

「ちぃっ!」

 

 幾度となく剣閃が交じり合い、金属音が連続する。高速移動しながら俺と斬りあってるのは、魔神が変身したらしいイオリ。目は黒と黄色の禍々しい物に変容しているし、持っている武器も大鎌ではなく薙刀。最近ずっと装備している棺桶も無いけど、声や姿は完全にイオリそのものだった。

 そしてそれが、この本人とは比べ物にならない程弱い魔神を倒せずにいる原因だった。

 

「破ぁっ!」

『きゃあっ!』

 

 この短い時間の中で、2回目の薙刀を弾き飛ばす事に成功する。普段魔物や盗賊と戦うときの様に、後はこのまま左手の剣で首を薙いでしまえば終わりになるけれど…

 

『いやぁ、助けてロイド…』

 

 そんな泣きそうな弱々しい声が聞こえて、振り抜くのを一瞬だけ躊躇してしまう。無論真剣な戦闘の中で、そんな隙を晒してしまえば…

 

『君は本当に甘くてやりやすいねぇ』

「くそっ」

 

 魔神の放った黒い魔法が俺に直撃し、なす術もなく弾かれる。思った以上に威力の無い魔法に首を傾げると同時に、裂けたような笑みを浮かべる魔神かポツリと呟く。

 

『そのまま死んじゃえ』

 

 そんな言葉が聞こえた途端、寒気と同時に常時展開している結界に亀裂が入った。そして結界を超えて進入してきたお陰で、それが何なのか即座に理解することができた。

 それは、簡単に言うなら見えない斬撃。風を支配下に置いてる今、それが俺を取り囲んでいる事も分かる。

 

「リミッター解除!」

 

 今まで一度しか使ったことのない翼のリミッターを解除。更に速度を上げ、装甲が展開して光の刃を発生させた刃翼も含め全身の武器を使ってこの刃の檻を迎撃する。

 

  「シッ!」

 

 斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って、時折蹴って斬り続ける。そうやって、過密な程周りに存在する見えない斬撃に対処しているせいで魔神から少しだけ意識が外れてしまい…

 

『ほら、こんなにも隙だらけだ』

 

 背後から突き出された薙刀に、大きく右の脇腹を抉られてしまった。即座に傷口を緑色の結晶が覆い尽くし、砕け散って傷は治ったけど痛みは消えない。

 

「うぐっ、本っ当にやり辛いな…」

 

 最後に一回転して見えない刃を全て蹴散らし、邪神を睨みつける。ほんの少しだけの躊躇は消えそうにないし、この場所の全力も出すに出せない。そんな事を思っていた瞬間、完全にキレているイオリの怒声が轟いた。

 

「真に愛するなら壊せ!!だよ」

 

 次いで尋常じゃない爆音。真に愛するなら壊せ…か。そんな事考えた事もなかったけど、そう言う風な考えもあるんだろう。

 

「イオリもああ言ってるし、そうだな。踏ん切りが付いたよ」

『はぁ?』

 

 俺の周りで風が吹き荒れる。ただイオリの姿なだけで躊躇してるなんて、悪いよな。

 

「発動《風に乗りて歩む者(ウェンディゴ)》」

 




ストフリの羽みたいな形でビームサーベルは伸びてます。エイジFXなんて知らない。

あれ?イオリンの宝具が増えた?

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