異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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Fate編が別小説に分離した報告(今更)と、題名通りステンバーイな話。年末はイベント多いし色々書かなきゃ。リア…ル?


番外話 ステンバーイ ステンバーイ

「ティア、そっちどうなってる?」

 

 私は今までわちゃわちゃと動かしていた手を止め、色んな数値を観測してもらってたティアに聞く。これでダメならまた一から作り直しになっちゃうから、出来るところなら成功してほしい。

 

「問題ない。全数値オールグリーン」

「安定は?」

「してる、問題ない。事故が起こる可能性は、限りなく低い」

 

 ティアからそうお墨付きを貰って、私は手に持っていた工具を投げ捨て大の字で寝っ転がる。頑張ってきて2週間、ようやくその努力が実を結んだ。

 

「それじゃあこれで竣工ーー!!」

「お疲れ様、マスター」

 

 そう言う私達の目の前にあるのは、簡単に言えば超巨大な鋼の球体だった。それには1つの巨大な主砲が鎮座し、表面に小さな副砲がズラリと並び、装甲は職人技の光るオニオン装甲。動力には発電効率が核融合炉を大幅に超える【JPlevelMHD動力炉】を採用し……つまり推進装置こそないけれど、それはどこからどう見てもヘヴィーなオブジェクトだった。具体的には第三世代くらいの。

 そう、私は今の今まで、自分の門の中の世界にオブジェクト(発電所)を作っていたのだった。ついでに色々便利そうだから魔力⇔電力に変換できる装置も一緒に。今まで大きな森(木材資源)とか極大のピラミッド(金属資源)とか、

中天に輝く改造ダンジョンコア(魔力資源)とか空中の巨大水球(水資源)とかそれを利用した水力発電所とか色々作って来たけど、久々の大仕事だった。

 

「後は電力を魔力に変換して貯めとけば、年末には地球に帰れるね」

「ん、両親にロイドを紹介できる」

「べ、べつにそんなんじゃない事もないけどそれだけじゃないし…」

 

 それも無いことはないけど、この姿になってから両親とはまだ会ってないし。それに、せめて年末年始は帰らないとお姉ちゃんに何されるかわかんないし!!

 そんな事を言いながら、これを作り始めた時の事を私は思いだすのだった。

 

 

「全っ然魔力が足りない!!」

 

 元クラスメイトの勇者達を地球に送還してから1週間と少し、私は全力でそう叫んでいた。宿の他の部屋の皆さんごめんなさい。

 

「えっと、なんの魔力が足りないんだ?」

「うんとね、私達3人が地球に行くための魔力。前一緒に行こうって言ってたけど、勇者を送還したせいで貯めてた魔力がスッカラカンでね…」

 

 ロイドの質問に、私はため息を吐いて答える。

 実は、今まで神様への復讐とか異世界旅行のために貯め込んでた魔力を勇者を送還するのに使い切っちゃったから、魔力貯蓄がもう0になっちゃってたのだ。今は1万近く貯まってるけど、どう考えてもこのままじゃあと2ヶ月ほどでくる年末までに往復分の60万は貯まらない。いや、安全性を考えれば80万かな? まあどっちにしろ、今からじゃ間に合わなくて計画してた里帰りは出来ないことになる。違う私はまだ結婚してない。

 

「だから、早々に対策する必要がある」

「まあ、実際にはもう始めてはいるんだけど…」

 

 ティアに少なくはない魔力を使って本体にアクセス、超弩級の動力炉の設計図を取り寄せて貰っている。私は私で素材を集めてパーツを作ってる最中だったりもする。けど、私は基本物作りには魔力を使うわけで…

 

「そのせいで魔力の消費と供給の効率が悪くなってまして、ちょっとロイドに手伝って欲しいなーって思って」

 

 一応動力炉が完成すれば1週間で片道分は貯まる(予定)と言っても、念には念を入れるに越したことはない。

 

「まあ別にいいけど、俺に何か手伝える事ってあるのか?」

「うん! せっかくこの街にはダンジョンがあるから、何かのついでとか暇になったらでいいから、しばらくこれをダンジョンに突き刺しておいて欲しいな」

 

 そう言って私は、自分の半身とも言える大鎌をロイドに手渡す。鎖がカチャカチャ鳴ってるし、暗いオーラも見えるけどそんなの気にしちゃいけない。

 

「呪われないか?」

「むぅー…かなり呪詛化してるけどあくまで私の魂なんだから、絶対ロイドに危害は加えませんー」

 

 ほっぺを膨らませて私はロイドを見る。まあ確かに女神様も呪えるくらいの呪詛だし、基本私とティア以外は触れないよ? けど、直接的な意味じゃないけど私と契りを結んだ以上、ロイドには絶対効かないもん。そんな事を思いつつ、ふと時計を見て気づいた。

 

「引き止めちゃった私が悪いんだけど…時間、大丈夫?」

 

 昨日確か、ロイドから何かパーティーを組んでやる依頼を受けてきたって話を聞いた気がした。それで、確かその集合時間まであと30分もない。

 

「え? あっ」

「『あっ』じゃなくて早く行かないと遅れちゃうって! はいお弁当」

「ありがとうなイオリ。それじゃあ行ってきます!」

「いってらっしゃ〜い」 

 

 慌てて出発するロイドにお弁当を渡して、パタパタと手を振って見送る。うん、これでよし。

 

「これが、夫婦?」

「ち、違う、多分違うから!!」

 

 私は顔を真っ赤にしながら必死にティアに弁明するけど、多分絶対信じてもらえてなかった。

 

 

 と、いうのがこれを作り始めた最初の頃の記憶。目の前にあるゴウンゴウンと音を立て起動してるこれは、それからうよきょくせつを経て完成した。

 

「ねえマスター、マスターはどこまで行くの?」

「ふぇ? どこまでって?」

 

 大の字で寝転がってる私に、ティアがそんな事を聞いてきた。どこまで行くってどういう事?

 

「既にマスターは、私から見ても尋常じゃなく強い。けれど、マスターは進むのをやめない。私は止めないけど、一体マスターはどこまで進む?」

「んー…とりあえずの目標は、fgoに聖槍の殻だったかな?最果ての塔が出てきたでしょ? とりあえずはあれを壊せるくらいかなー」

 

 いつかFate時空とか神座…は無理だけど、3人で色んな世界を回ってみるのが今の夢だったりする。だったら、少なくともそれくらいの力が無いといつか死んじゃうと思うからね。

 

「マスター、過剰火力って知ってる?」

「えっ、なにそれ食べていい?」

「お腹壊すからダメ」

「はーい」

 

 こんな話が出来る日々は、誰が欠けてもダメなのだ。そんな日常になるのは絶対に嫌だ。だから、少しくらい過剰でも力はつけないとね!




まさか、こんなにも早く次の特異点が来るとは…
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