異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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仕方ないから書いたよ!!
4月1日ですし。


番外話 エイプリルフール

 

「マスター、今戻った」

 

 日課の鍛冶をしていると、なんだか随分と懐かしい声が聞こえた。1ヶ月くらいって言ってたのに、結構時間が伸びたみたいだね。

 

「おかえりー、ティア。どうだったー?」

「楽しかった。かなり久しぶりの、全員で集合する………」

 

 こちらに近づいてくるティアの顔が、無表情から段々と驚愕の表情へと変わって行く。その事に首を傾げていると、ニヤリと愉悦スマイルを浮かべて言い放った。

 

「そういうマスターは、もうユニコーンには乗れない身体になった。まさか、本当にやるとは」

 

 カーンカーンと鉄を打っていた手が止まる。なぜ、バレた。

 

「な、ななななな!?」

「ふむ、添い寝からの発情。勢いのまま襲って、食ったと。マスターが、まさか肉食系だったとは」

「見るなーー!!」

 

 真っ赤に焼けた、未だ成形も終わっていない直剣を振り回す。というか見たのか、過去を覗き見したようちの精霊()! プライバシーの侵害だ! よく見たら目に魔法陣が浮かんでるし絶対そうだ!

 

「ふむ、見事にアh「メ テ オ !」

 

 これ以上喋らせちゃいけない。そう確信して隕石での攻撃を実行する。どうせこれくらいじゃティアは怪我しかしない。なら問題なんてない、イイネ?

 

「全く、初めてが獣っ娘とは業が深い。因みにマスター、ここに首輪と鎖があるんd」

「衝撃の、ファーストブリットォォッ!!」

 

 無傷で流星群を消し去ったティアに、私はススだらけの手で殴りかかる。私のおててはティアのほっぺにクリーンヒット。結果、ティアは錐揉み回転しながら金属の塊に突っ込んだ。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「マスター、そう怒らない。だって、マスターが日本人で、えちぃ事に興味しんしんな事は、私が1番よく分かっている」

「撃滅の、セカンドブリッt」

「落ち着け」

「ふぎゅっ」

 

 2発目のパンチを繰り出そうとした時、足払いをかけられ転んでしまい、馬乗りされる事を許してしまった。ちくせう、やっぱりセカンドブリットは当たらないか。いやちょっと待て。この体勢ってもしかして…

 

「た、食べないでください!」

 

 性的に

 

「食べないよ」

 

 いや、そんな愉悦スマイルを浮かべられたままじゃ信用できないです。

 そんな事を思っていたら、驚くほど簡単に私の上から退いて、身体についたゴミを払ってティアは立ち上がった。

 

「確認は取れたし、これでよし。マスター、今日がなんの日か知ってる?」

「今日…?」

 

 少し前にほ、ホワイトデーがあって、それからだから…

 

「エイプリルフール?」

「そう、今日は四月一日。こっちの世界にもある、嘘をついても許される特別な日」

 

 愉悦スマイルを浮かべたままのティアが、邪神としての本領を発揮した。

 

「それじゃあ、ロイドを騙しに行こう」

「えっ」

 

 

「あの、その、ね、ロイド。調べてみたら、この間の、その…あれで…ね? できちゃった」

 

 宿に帰ってきた俺を出迎えたのは、そんな途轍もなく衝撃的な発言だった。頬を染めて、そう言ってくるイオリを見て固まってしまったのも事実だ。

 

「…………いや、今日が嘘をついてもいい日だって言っても、流石にそういう洒落にならないのはやめような? まあ、多分ティアさんが言わせたんだろうけど」

 

 けど、それを信じるかどうかは別の話だ。

 イオリが1人なら、きっと信じてしまっていただろう。だけど、奥の方にビデオカメラを構えるティアさんがいたので、騙される事はなかった。いや、訂正する。ティアさんを見つけるまでは騙されていた。

 

「ちっ。バレた、つまらない」

「いやいや、流石につくならもうちょっと小さな嘘の方が信じれると思うぞ?」

 

 真っ赤な顔をして俯き、プルプルしているイオリの頭を撫でつつ、ティアさんの事を咎める。流石にこれは、不謹慎だ。

 

「甘いね、ロイド。もしも、バレたと言ったことが嘘だったら?」

「なん、だと。いやいやまさか」

 

 まさか、だよな…?

 

「うん、全部ティアの嘘だよ。もしそうなってたら、私こんなに落ち着いていられないもん」

「そうだよな、良かった……」

 

 ティアさんの性格の悪さが、邪神と言われてる理由がよく分かった気がする。本当に、心臓に悪い……

 

「はいマスター、ここで本心をどうぞ《オーネスト》」

 

 ティアさんが手の中のコインを握りつぶし、そこから発生したキラキラとした光がイオリに向かって飛来し包み込んだ。

 

「別にそう言われても…私はロイドとの子供、欲しいけど?……ハッ!?」

 

 イオリが何でもないように答え、驚愕し、顔を蒼褪めさせた。そして、ギギギと油の切れた機械のようにゆっくりとこちらは顔を向けてくる。けど、流石に恥ずかしくてマトモに見れやしない。

 

「あ、ぅあ、や…嫌われちゃう…捨てられる…ハッ!?」

「はいこっちも《オーネスト》」

「効くか!」

 

 義手の効果で、俺にかけられようとしていた魔法を破壊する。偽・幻想殺し…だったか? その力に今は感謝しかない。

 そんな魔法とは関係なく、蒼褪めて恐怖に震えるイオリを抱きしめる。ちょっと汗くさいかもしれないのは許してほしい。

 

「前も言ったろ? それくらいじゃ嫌いになったりしないって。捨てたり何てこと、ありはしないさ」

「本当…?」

「あぁ、本当だ」

 

 そう本当だ。それくらいで、俺の気持ちが変わる何てことはあり得ない。

 

「ふふ、この魔法を教えてくれたニャル子には感謝。とても愉悦だ。これは、とてもいいものだ」

「だから、一回あの邪神を倒そうか」

「そうだね」

 

 だから、帰ってきてそうそうこんな事態を引き起こしたティアさんを、先ずはどうにかしよう。具体的には1発殴ろう。

 

「む、やる? 同窓会のお陰で、レベルが上がった私を見るがいい!」

 

 謎のマントをバサリと広げ、ティアさんがこちらを威嚇する。もうだめだ、キレた。イオリから何か念話が来てるし、それに合わせて決めよう。

 

「「2人のこの手が真っ赤に燃える」」

「幸せ掴めと!!」

「轟き叫ぶ!!」

「「爆熱・・・ゴッドフィンガァァァーーーッ!!」」

「せきぃっ!!」

「はっ!!」

「「ラァァァッブラブゥゥゥッ!! 天っ驚ぉぉぉ拳っっっ!!!!」」

 

 出て来た腕を組んだ女神様が、宿の部屋ごとティアさんを吹き飛ばし大爆発を引き起こした。

 宿代をかなり払うことになったし、部屋自体を作り直す事になったけれど後悔はしていない。巨悪は滅びたのだ。

 





以上、徹夜テンションでお送りしました。

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