異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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第17話 出陣!

 

 その様子を見て、今まで話していた冒険者達も、僕と《ストームブリンガー》の人達も近くの椅子に座る。いや、僕達は倒れた椅子を拾ってだが。勇者がざわついているが、誰も気にはしない。

 そして、全員が椅子に座った事を確認すると目の前に立った男が口を開く。

 

「皆、よく集まってくれたな! 俺が今回の依頼を仕切る、ギルドマスターのヒッグスだ!」

 

 ほへー、あの人がギルドマスターなのか。しっかしメイさんといいこのヒッグスさんといい、コマンドー臭が凄いな……ここ。かっこいいとこ見せましょ! 

 

「勇者を含め、たったの60人しか居ないが、俺たちならば絶対に成功させられると信じてる!」

 

 え〜と、先生含めて僕の居たクラスは僕を抜かすとして40人だから……あれから一切冒険者増えてないのかよ! 数集まらなさ過ぎじゃない!? 

 何て事を思っていると前方で立っているヒッグスさんが話し始める。

 

「さて、まずは今回の依頼の確認だ。とりあえず、依頼書に書いてあった事までは説明しなくてもいいな?」

 

 それは当然だ、と僕を含むこの場にいる全員が頷く。依頼を覚えていられない冒険者とか、唯の役立たずじゃん。

 

「オークが集落を作っているのは、この街から1km程の【レトナークの森】の奥だ。初級の冒険者が、ゴブリンの討伐や薬草採取によく寄る森で危険度が大変上がっている。そして、ギルドが放った斥候の情報によると、目視で200体程のオークを確認したらしい」

 

 その200体という言葉に場が騒つく。僕は基準が分からないから何とも言えないが、200体というのはかなり多い方なのだろう。それにしてもあの臭いがする奴らが200体か……鼻栓必要かな? 

 

「だが、あくまで目視での報告という事を忘れるな? 見えない範囲にいた奴を考えると、少なくとも50体は増える事を考えておけ。そして、この規模の集落だ。確実に率いている奴がいる。最低でオークジェネラル、悪くてオークキングだろう」

 

 オークジェネラルというのは、たしかBランクの魔物で……オークキングはAランクだったはずだ。まあ、どちらにしろ今の僕が正面から戦ったら勝てないかな? 

 

「万全を期して夜襲をかけるため、街を出発するのは夕方だ。今までの話で質問はあるか?」

 

 えーと、オークが250だから……一人頭4体くらい倒せばいいのか? 何て事を考えていると、冒険者の一人から質問が飛ぶ。

 

「オークの持っている武器は、倒した奴の物でいいのか?」

「ああそうだ」

 

 武器? 金属!? ふっふっふ、狩って狩って狩りまくってやる……私は金欠だからね……

 そんな事を考えている間にも、さっきの質問を皮切りに質問が飛んでいく。

 

「集落までの移動方法は?」

「徒歩だ。たったの1km、馬車を使うまでも無いだろう。それに、夜襲をかけるまでの休憩時間もあるんだ。大したこと無いだろう」

「作戦はどうなっているんですか?」

「それは現地に到着してから話す」

 

 僕は質問あるかな? え〜と……ハッ! 一個あるじゃん! 僕は手を挙げて言う。

 

「はい! 質問いいでしょうか?」

「そこの銀髪の嬢ちゃん、なんだ?」

「ここに集まっている人達は、みんなパーティーを組んでいるように見えます。けど、私はパーティーを組む人がおらずソロなのですが、それでも参加は出来ますか?」

 

 そう、これは結構重要な事だ。これがダメなら、メイさん達か他の見知らぬ人、もしくは勇者の誰かと組まなければいけなくなる。特に最後のやつは最悪だ。バレたくないって言うのに、いつボロを出すか分かったもんじゃない。

 

「あぁ、問題ない。出来ればパーティーを組んで欲しいところだが、まあソロでも問題無いだろう」

「よかった……」

(でも、結局ソロは僕以外いないんだね……)

 

 周りを見渡しても、パッと見ソロで挑もうとしている人は居ない。もしかしたら、僕みたいにパーティーの近くに居るだけの人がいるかもしれないが、そう楽観視はできないだろう。

 そう思って溜息を吐いていると、隣からシンディさんが話しかけてきた。

 

「イオリちゃんって、ソロだったの?」

「はい。こんな見た目なので組んでくれる人も居なかったし、抱えてる事もあるので丁度いいと思ってます。危険か危険じゃないかはおいといてですけどね」

 

 そう言って僕はニヤリとする。パーティー組まない理由? そんなのこの見た目の所為で組んでくれないって事と、まあこっちは個人的な考えなんだけど、パーティー組んだらその人にステータス教えないといけないでしょ? 多分。そしたら転生者ってバレちゃうし、この《ヘーパイストス》って職業も、なんかありそうなんだよね……

 

「そう……分かったわ。もしあれだったら私達と行動しないと言おうと思っていたのだけれど……」

「お気持ちだけもらっておきます」

 

 そう私が丁寧に断るのと殆ど同時に、ざわついていた会議室が静まった。そして、ヒッグスさんが口を開く。

 

「どうやらもう質問は無いようだな! それでは解散。その後、各自夕方になったら門の外に集合だ!」

 

 その言葉に、ピリッと空気に緊張が走った。けど、勇者とか必要以上に緊張してるような感じがするけど……

 

「言い忘れていたが、ちゃんと飯は食ってこいよ? 腹が減っていたら勝てるもんも勝てなくなるからな!」

 

 そう言った後、ガハハと笑いながら退場するヒッグスさん。その最後の言葉で緊張感は霧散した。

 まあ、こっちの方が良かったのかな? 

 

「それでは、今日はよろしくお願いします!」

「おう!」

 

 私はそう言ってギルドを後にするのであった。

 遠足みたいな気分になったのは言うまでも無い。さて、宿に戻って寝ますか。……この身体だと、夜になるとすぐ眠くなるんだよ! 

 

 

 

 




明日の午後のロードショー、コマンドー放送しますね!!!

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