異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
それではどうぞ!
「ふぁ〜……あぁぅ。よく寝……た……!?」
寝ぼけ眼を擦り、窓から見た空は太陽が傾き始めていた。そう、夕方である。
「まっず、遅刻遅刻〜〜」
そう言って僕は宿から飛び出し、城門に向かっていった。昼ご飯を食べる前に寝てしまったので、パンを咥えながら。残念だったなぁ、ホットドッグだよ。
◇
「
城門を出ると、かなりの冒険者と勇者が集合していた。最後では無かったので安心である。
「お、今度はイオリちゃんか」
「
僕の右手の方向から、シンディさんの声が聞こえた。よく先生が持っていそうな名簿みたいな物を持っている。
「
「話すのは、そのホットドッグを食べきってからね」
「
顔を赤くしながら、僕は口に含んでいたホットドッグを飲み込み始めるのだった。
「えっと、改めまして。今度は私ってどういう事ですか?」
「一応、ギルマスから逃げ出した奴が居ないか確かめてくれって話が来たからね。私がここの門、反対側にはメイとロイドが行って確認してるんだよ。時間がきたら、向こうの門に出た冒険者達を回収して、こちらから出発するらしい」
「そうだったんですか……」
成る程ね、普通ならこっちの門から出てくる筈だけど向こうに行く人もいるかもしれないからね。ごうりてき? とかいうものなのかな。
「そうだイオリちゃん。人が来るまで暇になっちゃうから、少しお話ししない?」
「は、はい!」
まだ見た目相応の扱いをされるのに慣れておらず、若干変な声で返事をしてしまう。う〜ん、慣れないとな……
「ソロで挑むっていう事は、それなりには戦えるって事だよね? 出来ればでいいんだけど、私に教えてくれないかな?」
僕の戦い方か……スキルがかなり関係してるからな……教えてもいいものか? と考えていると、ふと周りから音が消えている事に気付く。
「え? 音が……」
「直ぐに気付くなんて凄いわね……。風魔法の《真空》よ。あんまり長く中にいると息が出来なくなるけど、ここならあなたの秘密、話しても大丈夫でしょ?」
「そう……ですね。私の戦い方は、私のとってる職業に関係していて、《ヘーパイストス》って職業知ってます?」
まあ、悪い人でも無さそうだし、これくらいは教えても大丈夫だろう。すると、シンディさんはとても驚いた顔になり聞いてくる。
「知ってるも何も、鍛冶系職業の最高峰じゃない! そんなのどうやってその年で就いたの?」
「まあ、そこは秘密という事で。それで、《ヘーパイストス》のスキルのお陰で、作った武器のスキルを手に入れられることが有るんですけど、私はそれで戦っています」
「まあ、それはそうよね。でも、それだけでも無いでしょう? あの時魔法陣を展開していたし」
あちゃー、消したと思ってたけどバレてたか。うん、ここまで話しちゃったんだ、正直に答えよう。
「まあ、私は見た目通りSTRがあんまり無くて、そのままじゃ強く武器が振れないんですよ。それを風魔法・火魔法で補って、土魔法で相手を妨害するって感じです。戦える鍛冶師を目指してます!」
僕がビシッと指をシンディさんに指しながら言う。すると、シンディさんがお腹を押さえて笑い出した。
「ぷっ、あははは。戦える鍛冶師って、そんなの滅多にいないわよ。あははは」
「む〜、笑わないで下さいよー。私、これでも必死なんですから」
「ごめんね……まあ、あなたの見た目は幼女なのに、話してみるとどう考えてもそうじゃない事を一番聞いてみたかったんだけどね。まあいいわ、ありがとうね」
そこまでシンディさんが言うと、周りの音が戻ってくる。《真空》という魔法を解いたのだろう。便利だから僕も使えるように頑張らないとね。それに、私と話している間も、しっかりと城門に目を向けていたシンディさんは本当に凄いと思う。Sランク冒険者って、かなりヤバイな……
なんて事を思っていると、僕の耳に人が歩いてくる音が聞こえてきた。多分そうなのだろうと思い見てみると、案の定メイさんとギルマスだった。その人達に、シンディさんが近づいていくので私も付いていってみる。すると、お互いの名簿を見て確認していた。
「このサーリって人はどうしたの?」
「放してやった」
くっ、なんでこの人達がこのネタを知ってるんだっっ! 頭の中に、崖下に放される人のイメージがよぎる。
勇者がいるので顔には出さないようにしているが、この人達はこれからも関わっていきたいなと思う。
なんて言っているうちに、ヒッグスさんが号令をかける。
「1人事情により来られなくなってしまったが、メンバーが揃った! 行くぞ! オークの討伐に!」
『『『『『うおおぉぉぉぉぉぉ!!』』』』』
その凄まじい
若干涙目になっている僕だった。
コマンドー、午後のロードショーで放送!楽しみだ