異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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第2話 もう1人の転生者

 パチ……パチッ……

 焚き火か何かの弾ける音がする。確か私はトラップに流されて……

 

「ハッ!!」

 

 手足が揃ってるのかとか、服とかはどうなってるのかとか色々な考えが頭に浮かび、急いで起き上がると黒髪黒眼の人物と目が合った。

 じっと見てると、何故か顔を逸らされたのでなんとなく自分の姿を見てみる。結論から言うと、下着のみしか私は身につけていなかった。ワンピースは、焚き火の近くで乾かされている。これって……

 

「私、気絶してる間に、無理やり女の子にされちゃった?」

「誰がそんなことするか!!」

 

 目を逸らしていた黒髪黒眼の……日本人風の顔をした人物から、鋭いツッコミが入る。身長も高めで170cmくらいだろうか? しかも、イケメンの部類に入りそうな顔をしている。流石に転生して一月も経たずにそんな目に遭うのはごめんだったので、一応安心だね。

 

「せっかく助けてあげたのに、それは酷いよ。転生者のイオリさん?」

「っ!?」

(鑑定系の能力を使われた!? 隠蔽を突破して?)

 

 私は跳びのきながら、お返しとばかりに《解析》を使用する。

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 リュート・カンザキ

 種族 獣人 (???)

 性別 男

 年齢 16

 職業 王者・剣士・盗賊

 LV 75

 HP 1020/1020

 MP 1874/1874

 

 STR 439

 DEF 521

 AGL 668

 DEX 567

 MIND 545

 INT 1059

 LUK 63

 

《精霊術》光の太刀・光曲幻影・閃光転身

 

《スキル》

 職業スキル

 王者 LV 88 剣士 LV 43

 盗賊 LV 26

 

 EXスキル

 王の財宝(ゲート・オブ・バビロン) 無詠唱 獣化

 

 通常スキル

 剣闘術 LV 8 小盾術 LV 12

 回避術 LV 11 身体能力超化 LV 6

 

 五感超化 LV 10 鷹の眼 LV 12

 無音 LV 13

 

《称号》

 転生者・光の友・野生の剣・魔物殺し

 戦う獣人・覚醒者

 

《加護》

 世界神の加護 + 獣神の加護 ++ (身体能力強化)

 

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 名前 リュート・カンザキ

 性別 男

 年齢 16

 生まれ シヤルフ

 ランク A

 ゴールド 1,284,520

 ================================

 

「転生者!? ハッ! 分かったぞ! 私を、あんたのチーレムのロリ要員にするつもりだな! 私は絶対ならないからね!」

「それも違うって! そもそも僕には好きな人が居るし、その人一筋だから!」

「チッ」

「なぜそこで舌打ち!?」

 

 流石転生者、すでにリア充だったとは。私は、地球じゃ男に告白ばっかりされてたからなぁ……。そんな事を思い出し、少し遠い目をしているとリュートと表示されていた青年が近寄ってこようとする。

 

「っ! 近寄らないで! ラッキースケベが起きる!!」

「僕の扱い酷くない!?」

 

 そんな事を言っているが、私は両手に魔法陣を展開させ睨みつける。私の偏見が原因なのだが、一触即発の雰囲気が漂う。

 そんな雰囲気の中、近くにあった茂みがガサガサと動き、1人の帽子を被った少女が現れた。手に釣竿と桶を持ったその少女は、かなり小さい身長だった。いや、私を基準じゃなくて平均から考えてだよ? 多分140cm台だと思う。

 

「あれ? リュートくん何やってるんですか? というか何したんですか? そんな小さい子に?」

 

 普通の表情で言っているのに、私は何故か途轍もない寒気を感じた。心なしか黒いオーラに背後に般若が見える。どうやらそれはリュートと表示されていた男も同様のようで、冷や汗をダラダラと流している。

 

「れ、レーナ、僕は何もしてないよ?」

 

 そんな風に言うこの青年とレーナと呼ばれた少女の関係がなんとなく気になり、どんな反応をするのかと思い私は言ってみる。

 

「酷い……私の初めてを奪ったくせに……しかも、気絶してる間に!」

 

 私は手で自分を抱え込むようにして言う。名演技だな、と思っていると、青年は何てことを言いやがったと目で訴えてくる。

 

「リュー……ト、くん?」

「わ、ちょっ、その喋り方凄く怖いからね!?」

「ぐす……」

「……」

「レーナ、無言で包丁を取り出すのは止めて! ほんとに洒落になってないからね!? そもそも今までの事、全部そこのイオリさんの嘘だからね!?」

 

 レーナと呼ばれた少女の目からハイライトが消えて、包丁を持ち出したところで、流石にヤバイと感じたのか青年がそんな事を言う。

 

「本当……ですか?」

「そうだよ、そうだよね!?」

 

 面白い物も見れたし、もういいかなと思い私も頷く。

 

「良かった……」

「大丈夫大丈夫。僕が好きなのはレーナだけだから」

 

 そう言って、2人は目の前でピンク色の空間を作り出す。え〜と、凄く居づらいんだけど……それに、(はた)から見るとこの構図って……

 

「あ、もしもし警察ですか? はい、はいそうです。目の前に危険なロリコンが1人居まして……」

「僕はロリコンじゃなあぁぁぁぁぁい!」

 

 日が沈み始めた山に、青年の叫び声がこだました。

 


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