異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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第6話 ミスコンとロリコンと-2

 

 あははは……どうも、イオリです。なぜか、ミスコンで自分の特技を披露しないといけないんだって。はぁ……

 

「えー、エントリーNo.25番、最後の選手となった、冒険者のイオリさんでーす!」

 

(あ、終わった)

 

 そんなことを思いながら、私は天幕へ踏み出した。光の奔流が私を包み、眩しさに目を細める。そして……

 

 ワアアアァァァ────ッ!!! 

 

「ッ!!??」

 

 人、人、見渡す限り人人。稀に獣人。

 レーナさんの腰が引けてたのが納得の状況だった。あ、リュート発見。

 しかし、一度は覚悟を決めたのだ、成せば何とかなるっ! クラスの発表でもそうだった! 

 

「はい! それじゃあイオリさん! あなたの特技はなんですか!?」

「えっと、私の特技は……」

 

 どうしようと迷い、頭の中を過去の思い出が駆け巡る。これが走馬灯ってやつか。違うか。

 確か向こうの学園祭でも女装してたっけ……その時歌った歌……確かエーデルワイスだったかな? ……凄く好評だったよなぁ……。ん? 歌? そうだよ! それ歌えばいいじゃん! せっかく鎌がメイン武器なんだし、ギアは無いけど! 

 因みにここまで2秒、思考加速様々だな。

 

「特技と言っていいのかは分からないんですけど、今回は私の故郷の歌を歌いたいと思います!」

「おおっと!? 今大会で初めてのパターンがでました! 曲名を言ってからどうぞ!」

 

(ええいっ! もうなるようになれだ!!)

 

 若干顔を赤らめながら、私は言う。

 

「曲名は『手紙』です! よろしくお願いします!」

(旋風魔法《拡声》発動!)

 

 私がそう念じると共に、口元に魔法陣が展開される。因みに、手紙は手紙でも、デースな方だ。日本語なので、こっちの人には分からない筈だ! 分かってたら死ねる。

 

 ◇

 

「はい、これで今大会の全メンバーが出揃いました! 今年の一位は誰になるのか、ワクワクしますね!? 結果発表は、約一時間後です! 時計は広場にあるので、遅れないでくださいねー!」

 

 そんな放送を、私は死んだような眼で聞く。そして、重い口を開いた。

 

「恥ずかしい……マジで恥ずかしい……。昔上手くいったからって今回もそういくとは限らないじゃん……」

「どっちかっていうと、皆聞き入ってたと思うけど……」

 

 そ、それならいいんだけど……そんな会話をリュートさんとしていると、周りがだんだん取り囲まれてきている事に気付く。

 さりげなく視線の先を見ると、それは私では無くリュートに向いていた。あ、そういう事か。

 

「ねえねえリュートさん、今は自分の身の安全を考えた方がいいと思うよ?」

「へ? なんで?」

「周り見てみ?」

 

 そう言って見渡した周囲には、眼に嫉妬を滾らせた男達がリュートを睨みつけている。

 ろ、ロリコン怖いっす。

 

「私とレーナさんは、あそこのベンチでカキ氷でも食べて待ってるから頑張ってねー。行こっレーナさん」

「え、あ、うん」

 

 そういった私達が、リュートの側を離れていった瞬間、周りで今か今かと待機してた男達がリュートに……

 

「さて、リュートくん……と言ったかな?」「あの二人とは」「どんな関係なのかな?」「さあ?」「言ってみろよ?」「あ''?」「この野郎」「ロリコンめ」「ペド野郎」「ハーレム野郎め」「てめぇは貴族か」「消えろゴラッ」「堕ちろ」「死ね」「ハゲろ」

 

 そんなことを言いながら詰め寄っていく。それを私は楽しそうに見つめるが、レーナさんは反対に心配そうだ。

 

「い、イオリさん。リュートくん大丈夫なのかな?」

「襲いに行ってる人たちのレベルって、全部20くらいだから大丈夫だよ…………多分」

 

 そんな会話をしている間にも、リュートの周りにいる男どもからの殺気はどんどん膨れ上がっていく。

 

「だ、だからイオリさんとはそんな関係じゃないって! レーナとは……その……まあ……そうなりたいけど……」

 

 最後の方はここからだと何を言っているのか分からなかった。顔が赤くなってるから、分からないことも無いけど……

 

「乙女かよ」「この野郎」「片方だけでも」「万死に値する」「ということで」

『待てこのロリコンがああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!』

 

 そんな風に叫んだ後、リュートさんを追いかけて行った男達を指を指して笑いながら私は言う。

 

「あっはっは、自分達も言えないだろうに。けど、楽しそうで何よりだなー」

「イオリさん、あれはそうじゃないと思うよ……絶対に。それと、人に指を指しちゃいけません!」

「う、はい……」

 

 若干、肉体に魂が引きづられる的な現象が起きてるのかもしれない。そんな事を思いながら、私は時間が来るのを待った。

 ……やっぱり、リュートさんを弄るの楽しいかも。

 


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