異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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第14話 武器の改造タイム!

 

 翌日、私は空が白み始める頃に目が覚めた。あんまり寝てない? 気にしないでくれ。

 

「さて、今日で準備は終わらせるぞ〜!!」

 

 そう静かに叫び、私は準備を始めた。さて、武器の修繕は全部終わらせないとねっ! 

 

 ◇

 

 カーン、カーン、カーン

 そんな小気味良いリズムの音で、リュートは目が覚めた。

 

「ん、んぅ? 朝っぱらから何の音だ?」

 

 そう思い窓から外を見ると、裏庭に炉のような物の中で赤々と燃える炎と、その前で真剣な顔をして金槌を振るうイオリさんの姿があった。

 

「へぇ……鍛冶師っていうの、嘘じゃなかったんだ……」

 

 そうこう言っている間にも、どんどん作っている物の形が出来ていく。完成したのは、どこか全体的に虫っぽい雰囲気を醸し出す、黒緑色の大鎌だった。

 その鎌はかなりの完成度を誇っていると、そういう事にあまり詳しくない僕でも分かるもので、つい拍手をしてしまっていた。その音に気づき、イオリさんがこちらを向く。そして、

 

「あ、リュートさん、おはようございます」

 

 という言葉が耳元で聞こえた。何事かと思い近くを見てみるが、イオリさんは一歩も移動していなかった。

 

「ちょっとした魔法ですよ。話があるんですが、私はまだやることが山積みなんで、下に降りてきてくれると話しやすいです」

 

 そう聞こえた後、イオリさんは先程座っていた場所に座り直し、砥石のような物をどこかから取り出し、鎌を研ぎ始めた。

 まあ、行きますか。

 

 ◇

 

「よし、後はここをこうして、ミスリルの形を変えて……」

 

 大鎌に魔法陣を刻んでいく。ミスリルは魔力をよく通すので、魔法陣を付けるにはもってこいの素材だ。

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 蟲斬りの大鎌 + 12

 

 STR + 287

 AGL + 134

 MIND + 101

 

 属性 旋風・闇 重さ 4.5kg

 

 斬れ味 とても鋭い 刃渡り 片刃 100cm

 

 耐久 丈夫

 

《スキル》

 斬れ味強化 LV 3 スイング速度強化 LV 3

 軽量化 LV 3 重斬 LV 3

 風纏 LV 2 インセクトキラー LV ──

 

《備考》

 破損したシックルスパイダーの大鎌をイオリが作り直した物。Gを斬りまくった事と素材によって強化されたことで、虫系の魔物に対して威力が上昇する。

 惜しげもなくアダマンタイトが使われており、かなりの強度を誇るが、その分重量が増加した。

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 完成した大鎌を振って感覚を確かめていると、リュートが裏庭に降りてきた。

 

「おーやっと降りてきたー」

「おはようイオリさん。聞きたい事があるって言ってたけど何?」

「聞きたい……事? 私、そんなこと言った?」

「言ったよ!! いきなり耳元で声が聞こえてびっくりしたんだからね!?」

 

 え〜と、リュートと話したのは確か……そうそう、大鎌を作り終わった頃で……おぉ! 確かに言ってたな。

 

「思い出したっ!! ユニークモンスターの名前がわかってるんだからさ、最低レベルとかって分かったりしない?」

「あぁ、成る程ね。ん〜……オリハルコンティラノは確か、80代前半の報告が多かったはずだよ。1番レベルが高い報告だと101だったはずだよ」

 

 駄目元で聞いてみたが、分かってるとは……結構高めのレベルだけど、80代前半か……確かあの時の。

 

「あー……またオークエンペラークラスの敵かぁ……生き残れるかな?」

 

 そんな私の呟きに、リュートが驚いたような顔をする。

 

「えっ!? イオリさん、オークエンペラーと戦ったことあるの!?」

「あぁ……そういえば言ってなかったか。私が勇者から逃げる原因になった事なんだけど……」

 

 私はあの時の出来事を一部を除きリュートに説明した。いや、全部話すとTSの事までバレちゃうしそれは嫌だし。

 

「まあ、同じレベルたいみたいだから行けそうだとは思うんだけど……リュートさんのレベルって70代後半だよね? あの時の私よりましだと思うんだけど?」

「大概のユニークモンスターには特殊能力があってね。イオリさんの戦ったオークエンペラーも、いきなり姿を現したんでしょ? 多分透明化みたいな能力でもあったんだと思うんだけど、

 オリハルコンティラノはそれが厄介この上ないんだよ……」

「厄介?」

「そう、厄介なんだよ。身に纏ってるオリハルコンのせいで魔法ダメージは8割がたカット、物理ダメージも5割はカットされるんだよ……」

 

 うわぁ……何その能力。と思い顔をしかめていると、だけどとリュートが付け足した。

 

「武技と精霊術は殆ど減衰されずに通るんだよ。後は僕の王の財宝の中の宝具も普通に通るかな? 威力はお察しだけど」

「ヘェ〜。色々直し終わったら武技の練習かなぁ……期待はしないで欲しいけど」

 

 そう言ってシミターの方の修復に取り掛かろうとした時、不意にリュートが声をかけてきた。

 

「あ、ついでに俺の剣と盾も強化しといてくれない? 時間があればでいいんだけど」

「ん、了解。鍛冶師冥利に尽きるってもんだよ♪」

 

 気を取り直して再開しますか。えっと、確か魔剣やらなんやらがあった筈だし……

 

 ◇

 

 私が装備の強化を終えたのは、太陽が沈み始めた頃だった。そして今は宿の中に戻っている。

 

「はい、借りてた剣と盾。剣は多少威力を上げるくらいしかできなかったや」

「それでもありがたいよ。って、ん? 『剣は』?」

「ふっふっふ、予想通り盾の方は大いに魔改造させて貰ったよ」

 

 元々持っていた魔盾・ミラーと私のチート職業が合わさって、唯の小盾だった物はとんでもない物に進化していた。それがこれだ!! 

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 隕鉄の魔盾 + 15

 

 DEF + 400

 DEX + 250

 MIND + 400

 

 属性 大地 重さ 1kg

 

 耐久 とても丈夫

 

《スキル》

 耐久強化 LV 4 物理耐性 LV 3

 魔法耐性 LV 3 魔法反射 LV 4

 結界 LV 3

 

《備考》

 隕鉄から作られた盾が、イオリにより魔改造された物。物理系ではない魔術を LV4 相当まで反射、それ以上の物も軽減する。性能が3倍近くになっていたので、イオリがノリで色を赤くした。

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「本当は、サイサリスの耐核仕様冷却盾……まああのくそでかい盾にしようと思ってたんだけど、金属が足りなくて……」

「してたら怒ったからね?」

 

 リュートから殺気を感じる。おふざけが過ぎたみたいだ。赤いのには何もツッコミなしか……

 

「あはは……うんやらないやりませんって! それじゃあおやすみなさい!」

 

 中々に疲労が限界だった私は逃げるようにベッドに飛び込み寝る準備を始めた。

 明日の為にも、しっかり寝とかないとな! 

 ぐぅ……

 


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