異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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今更感溢れるけどハロウィン
※本編とは一切関係がありません。
※2 最終回以降の内容が含まれています。読むなら自己責任でどうぞ。


番外編-ハロウィン

 ゾワリと何か予感を感じて、僕ことリュート・カンザキは立ち上がった。どこか既知感を感じるこの感覚、確かあれはクリスマス……

 

「リュートくん、どうかしたの?」

 

 そう言って、エプロン姿のまま可愛らしく首を傾げるのはレーナ・()()()()。愛すべき僕の嫁さんだ。そして今僕たちが居る場所は所謂新居だ。地球みたいに二階建てとかではないけど、僕にとって幸せを1番感じる事のできる場所である事に違いはない。

 もし何時ぞやの夢みたいな事が起きるなら、ここに居るのは確実にマズイ。

 

「なんか凄く嫌な予感がしてね……」

 

 冷や汗をかきながら、このよくわからない悪寒について説明しようとした瞬間、懐かしい災厄の声が耳に届いた。いや、届いてしまった。

 視界が一瞬だけグニャリも歪む。けどそんな事は気にしていられない。来るか、来るか来るか来るか来るか……来い! 

 

「スーパぁぁ、イナズマ、キィィィック!!」

 

 ──雷を撒き散らして下降

 ──お菓子の香りを充満させて強襲

 

 天井を突き破り突入して来た事によって材木や瓦などの破片が……否。なぜかクッキーやチョコレートが飛び散り、小麦粉の煙が立ち込める中、こんな事をしでかした犯人が姿を現わす。

 

「ダイナミック☆ハッピーハロウィン!!」

 

 まず見えたのはいかにも魔女らしいトンガリ帽子。そして声を聞いた時点で分かってしまった。半ば予想がついていたとはいえ、やっぱりあの人がやらかした。

 

「魔女っ娘イオリちゃん参上! トリック・オア・トリートなんだよ!」

 

 かぼちゃパンツに手には箒。左右紅蒼色が違う瞳に、セミロングで揃えられた輝く銀髪。間違えようもない。いかにも魔女な格好をしてはいるけど、元旅の同行者のイオリさんがそこには堂々と立っていた。

 

「アンハッピーだよこのお馬鹿!」

「ふっ、見切った!」

 

 不意打ち気味に振り抜いたハリセンは、物の見事に打ち払われてしまった。くっ、ツッコミすら許さないだなんて……

 

「お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ! がおー」

「そんな事よりも、どうしてくれるのさこの惨状は!!」

 

 顔文字で表すなら(「・ω・)「 がおーという感じのポーズをしているイオリさんの顔を掴み、自分が引き起こした被害に目を向けさせる。

 レーナは何か悟った様な顔をしてるけど、まあ一旦置いておく。

 

「お菓子の如く甘いよリュートさん。一体いつから、私が幻術を使っていないと錯覚していた?」

 

 見事なドヤ顔のイオリさんの紅い方の瞳には、いつの間にか勾玉の様な文様が3つ浮かんでいる。まさか、これは……

 

「イザナギだ」

「なん……だと」

 

 見渡せば、広がるのはいつもとなんら変わらないリビング。破壊の後も、小麦粉の煙も一切ない。ただ1つ違うとしたら、目の前に立つイオリさんのみ。一体いつから幻術を掛けられてたんだ……? 

 

「いやー、やっぱりリュートさんは反応が良くて楽しいね!」

「僕で遊ぶのはやめてよ……で、ロイド君はどこにいるの?」

「留守番してもらってる! ティアはいるけどね!」

「ワタクシ オマエ マルカジリ」

 

 元気に手を上げてそう答えてるけど、それで良いのかおい。ジャックオーランタンの被り物をしたティアさんも実体化したけど、なんでこうもお巫山戯が過ぎるのか……まあいいか。

 

「レーナ、何かお菓子ってあったっけ?」

「どこかに和菓子があったから取ってくるね!」

 

 パタパタと走っていくレーナの姿は、この混沌とした状況の中じゃ唯一の癒しだ。年に何度か、これからもこうやって押しかけられるんだろうと思うと頭が痛くなってくる。

 

「やっぱりコンタクトなんてするもんじゃないね」

「ドウイ」

 

 あぁ、あれは写輪眼じゃなくてコンタクトだったのね。多分地球で買って来ただろう。ティアさんのかぼちゃは……うん、見なかった事にしよう。あんなのがユニーク装備だなんて僕は見なかった。知らぬ知らぬ聞こえぬ見えん。

 

「それとリュートさん、はいご祝儀! 結局まだ渡せてなかったから。多分売ると白金貨10枚くらいになるやつ」

「コンゴトモヨロシク」

 

 そう言って白木の鞘に収められ、多分水引で結びきりがされている日本刀を手渡してくる。ティアさんもティアさんだし……あーもうメチャクチャだよ! 

 そんなもう頭痛のタネにしかならない状況に、スリッパの足音と共に天使が戻って来た。

 

「はい、イオリちゃんにティアちゃん。今度からはちゃんとドアから入って来てね?」

「うん! 分かった!」

「アイアイサー」

 

 多分ドアからは入ってくるけど、マトモなことはしないだろうなぁと諦めながら、平穏の戻って来た空間で1人ため息を吐く。

 

「それで、ハロウィンって色んな所を回るって聞いたけど他にも行くの?」

「一応最後にお姉ちゃんの所に行くかな?」

「ホウコク、カネル」

 

 ハロウィンの為に次元を超えるのか(驚愕)

 

「それじゃあまたね!」

「バイバイキン」

 

 そう言って2人は、おそらく転移でどこかに消えて行った。それと同時に、視界が霞み始めて……

 

『ジャスト1分、良い夢見れたかな?』

「間違いなく悪夢だよ!!」

 

 頭の中で響いたそんな声に、ついつい怒鳴ってしまうのだった。

 




書き上げるまでの時間30分。なんでか筆が乗った。
-追記-
焦って書いたから誤字が死ぬほど多かった…

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