異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
ザーッ
「ねえリュートさん! 次の街って何時になったら着くの!?」
「大丈夫! もうすぐの筈だよ!」
ドラゴンステーキ事件から数日、バケツをひっくり返したような雨とは正にこの事だろう……そう思える程の土砂降りの雨の中を、私達は移動していた。大声なのはそのせいだ。
因みに全員カッパのような物を着ている。傘っぽい物も作ってみたのだが、今はカッパの方が雨を防いでくれるので傘は仕舞ってある。
コホン。それで、次の目的地の街【ギムレー】では一泊する予定なので確実に雨風にさらされながら移動なんて事にはならないので、私はそんな事を聞いてみた。
「で! 【ギムレー】ってどんな街なんだっけ!?」
「シヤルフに一番近い街で、『栗鼠族』の人達の街だね!」
「え、今乗ってるのって、曲がりなりにも狼だよね!? 私も銀狼族な件!」
普通に考えるとダメな気がする。狼と栗鼠って……捕食者と餌って感じがするし。栗鼠は美味しいけど、栗鼠族の人は食べたりしないよ? 人だもん。
「まあ、流石にライドファングは入れないよ! だから街の外に止めることになるね! イオリさんはまあ……その幼女だし」
「ちくしょう、言うようになったなこのぉ」
そんなことを言い合いながらも、新しい街に私はとてもワクワクしていた。色々と調達したい物もあるしね。
雨の中しばらく進んでいると、道が舗装されたものに変わっていき、その奥には城門のようなものが見えてきた。
「あれが『栗鼠人』の人達が住む街、【ギムレー】だよ!」
それは城門の中に大きな木々が並び立っている不思議な街だった。街の外にライドファングを繋げ、街に入ろうとすると衛兵に呼び止められたけど、ギルドカードを見せたらすんなり通ることができた。便利な物だね。私の種族? 特に聞かれなかったよ。
「ここが【栗鼠族】の街ねぇ……。うん、小さい人が多い!」
「イオリさんが言えたことじゃないよね?」
「イオリちゃんの方が小さいし」
「うぐっ」
街に入ると、尻尾の大きい【栗鼠人】と思しき人がわんさかいた。その誰もが小柄で、力が弱そうに見える。……私よりは背が高いけど。みんな大きな葉っぱを持ってる。ファンタジー傘だね。
「まあ見ての通り小柄な人が殆どで、力もあんまり強くないけど、銀狼族と同じで魔法が得意な種族でね、たしか【風魔法】と【木魔法】だったかな?」
【木魔法】……たしか基本的に補助がメインの魔法で、植物の力を借りて使うって書いてあった筈。うん、使えたら楽しそう!
「へぇー! 魔法書とかってうってるかな?」
「探せばあるんじゃない? 凄く高いか凄く安いかだろうけど」
それじゃあ、と言ってリュート達と一旦別れる。うん、ツリーハウスっぽい建物がほとんどだね〜。
(う〜ん、みんな童顔。一部の人達には天国だね、確実に)
そう思いながら街を散策していると、魔法書を売っている店を見つけたので、買い物をするついでに話を聞いてみる。
「おとなの人もこどもの顔をしてるけどなんで? おばあちゃん」
「おや、知らないのかい? 【栗鼠族】って言うのはね、みんな背が低いんだよ。なんで儂の事は分かったんだい?」
「《解析》のスキルをもってますから」
「なるほどねぇ。でも、初めて会った人に《解析》をかけるのは余り良くないよ」
「つぎから気をつけます」
わざと舌足らずな感じで話しかけてみたけど、思いの外簡単に話を聞くことができた。こういう時は、この幼女なぼでぃに感謝だね。
「まあそれは置いておくとして、お買い上げ有難うね」
「はい、ありがとうございました」
そう言って私は合流場所のギルドへと向かった。魔法書は【木魔法】と【水魔法】を買うことができホクホクだ。反対に
◇
「リュートさん、事案でも起こした?」
「誰がそんな事するか!!」
ギルドに辿り着くと、顔に真っ赤な紅葉マークの付いたリュートさんと、プンプンと怒った様子のレーナさんが待っていた。
そう、この街は俗な言い方をするならロリショタ天国。そんな所でロリコンなんて称号を持ってる人がそんな状態、しかも隣には彼女(未来系)が立っている。まずはそれを疑うよね。
「じゃあ何したの? ラッキースケベ? レーナさんを押し倒しちゃったり?」
「ぐっ…………なんでそんなにイオリさんの勘は当たるのさ」
「分かんない!」
今だってよくある(2次元で)感じの事を言っただけだったのだが、普通に当たってしまったようだ。マズイね……これが小説なら、リュートさんのオリ主説が濃厚になってきたぞ。
「それで、なんでギルドなんて集合場所にしたの? 宿でもよかったんじゃない?」
「また急に話を変えて……まあいいや。色々と勿体ないからイオリさんとパーティーを組んでおきたいのと、オリハルコンティラノの討伐報告だね」
あーうん。お金も経験値も大切だもんね。 特にお金。
因みに私とリュートさんがこんな会話をしている間、レーナさんが終始無言だった。まあ、私がもしリュートさんとラブコメ展開になったら確実にそうなるのは分かる。
ハーレムのロリ枠になんてなってやるものか!!!