異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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若干短めです


第8話 幼女2人

 リュート達が手紙を発見して読んでいる頃、イオリは先程とは違う服装で城内を歩いていた。そして、後ろの方には門番の片方が付いてきている。1人で動き出したイオリの見張り兼見守り役だ。

 

「ぐすっ、もうやだぁ……いっしょうものの恥だよぉ……」

 

 そんな風に半泣きでトボトボ歩いている私と、後ろからそれを見守っている門番の人。時々通りかかる人は、私を微笑ましい目で見てくる。さっき通りがかりの人に頭を撫でられて、不覚にも安心しちゃったのはこんな精神状態だからと信じたい。

 因みに、服は先程まで着ていた青いワンピースから若草色のワンピースに変わっている。まあ、うん、着替えたからね。周りを土壁で囲ってから。

 

 そんな事を考えながら行く当てもなく彷徨っていると、太い木の枝のように城から飛び出している場所に出た。

 そこは、足元葉っぱ小さな枝々と葉っぱ(解析結果ではオールウッドメタル)で出来ており、所々に木陰のある空中庭園のような場所だった。モンシロチョウみたいな蝶も飛んでいるそこは……

 

「綺麗、だなぁ……」

 

 元々花の世話とかが好きだった私は、見えた花壇のような場所にフラフラと誘われていった。荒んだ今の私の心には最適な場所だね、ここは。

 

 ◇

 

「あなたはだれ?」

 

 トォォトォォロオォォ! じゃなくて、花壇の前に座り込み色々な花とそこに舞う蝶を観察していた私の肩が、不意に誰かに叩かれた。声からすると、多分女の子だと思うけど……

 そう思い振り返ると、短い白髪に赤い眼をした私と同じくらいの女の子が立っていた。大きめの板を小脇に抱え、右手には筆のような物を持っている。絵でも描きに来たのかな? 

 

「邪魔しちゃってたね、ごめんなさい。私の名前はイオリ、今このお城に来てる人のパーティーメンバーだよ。あなたは?」

「イオリちゃんって言うんだ! 私はミーニャって言うんだ! 宜しくね!」

「うん、よろしく!」

 

 そんな風に元気よく挨拶を返す。

 あ、思い出した。白髪赤眼って、アルビノってやつじゃない? それだと日光が……なるほど、だからここは日陰が多いのか。そしてその高いテンションと一緒に動いているミーニャちゃんの耳と尻尾は、なんだろう、簡単に言って凄く可愛いと思った。

 私はレズゥじゃない筈……いや、精神的には男だから……あれ? 

 そんな考えが頭をグルグルと回っていた私に、ミーニャちゃんが声をかけてきた。

 

「イオリちゃんは、お花好きなの?」

「うん! 綺麗だし、いい匂いがするし!」

 

 一応もう一回言っておくけど、これは私が転生する前からの趣味なんだよね。この身体になってから、前よりは興味が向くようになったのは否定できないけど。

 

「そうなんだ! じゃあ、一緒にお絵描きでもする? 楽しいよ? あ、でも筆が……どうしよう?」

 

 途中までの明るい表情から一転、残念そうな顔に変わってしまう。《異次元収納》の中には、紙くらいしか入ってないし……そうだ! 

 

「ミーニャちゃん、ちょっと待っててね」

 

 そう言って私は魔力を練り始める。鉛筆の芯は確か黒鉛と粘土で……周りの木は適当でいいや。目を瞑り、頭に鉛筆を思い描きながら《鉱石精製》と《樹木生成》を発動させる。

 次の瞬間、目を開けると手の上には多少の歪みはあるものの、紛れもなく鉛筆があった。これが、《魔力操作》の練習成果だ! 

 

「凄い! 今のどうやってやったの!?」

「魔法、かな? さ、これで描くものも揃ったし描こう?」

「うん、そうだね!」

 

 そう言って手に持っていた紙を一枚渡してくる。私も木の板を取り出して、ミーニャちゃんの隣に座りもらった紙に見える風景を描いていく。最早私の中に、あの地獄のような修羅場は残っていない! 

 

(そういえば私、絵心ってあんまり無かったような……。が、頑張ってチートDEX!!)

 

 そんな風に若干焦りながらも、たまにはこういうふうにゆっくり過ごすのも良いものだなぁ……私は絵を描きながらそんなことを思うのであった。

 

(そういえば、この世界で同年代の子とちゃんと話したのって、何気に今のが初めてだったんだなぁ……)

 

 その事に気付くと、感慨深い思いが込み上げてくる。横を向くと、楽しそうに筆を走らせているミーニャちゃんが眼に入る。まあ、偶にはこういう風に年相応な事をしても、いいよね? 

 そんな事を思い、私もまた多少歪んだ鉛筆で絵を描き始めた。

 

 そしてこの頃、ずっと私を見張って……いや、見守っていた? 門番の人の気配が遠ざかっていった。最初は若干警戒してたみたいだけど、私達が仲良く絵を描き始めた頃にはもう温かい眼を向けてきていたね。気配での判断だけど。

 

 あ、よし! 思ったよりかなり上手く描けてる! 

 


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