異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
それと、諸事情により明日の投稿はお休みさせていただきます。
すみませんm(_ _)m
テストとか、消えてなくなればいい
「アンナ様! イオリちゃんのHPが50代にまで回復しました!」
「まだ安心しちゃダメ! このデカ物が抜けてないんだから」
「……それに、状態異常が治らない」
リュートが去った後、三人の懸命な治療のお陰でイオリの状態は当初よりはマシになっていた。
刺さっていた小型・中型の武器は全て抜かれ、状態異常こそ治っていないもののHPもほんの少しずつではあるが回復してきていた。
「まあ、マシになってきたのは確かよね。この《水纏》とかいうのも実はかなりの貢献度だったし」
「……これがなかったら確実に血が足りなかった」
リュートも分からず、害は無いだろうとして放置していた状態《水纏》。これがどんな物であったのかは、武器が抜かれてから判明した。
傷の一つ一つ……とまではいっていなかったが、多数の傷口に低位だがポーションが纏わりつき、血液を保護して身体を循環させていたのだ。それによって出血は魔法を発動する前までの量で済んでいた。
ポーションは、実は点滴としても使える。原料は草と水だというのに……謎だ。
「それでも、状態は芳しくないのよね……お兄ちゃんは呼んでくるって言ってたけど、私より回復魔法が使える人なんてあの人しか……」
そこまでアンナが言った時、空の一点がキラリと光ったと思うと共に何かが降ってきた。その降ってきた物は人で、勢いよく庭園へと着地した。
「呼ばれて飛び出てクラネルさん! 現着だ! さあ、
降ってきたのは変態だった。それに続いて、降りてきた黄金の飛行物体からリュートが姿を現す。
「お、お兄ちゃん? この人が……呼んできた人? 人違いじゃなくて?」
「……起きていてよかったです、クラネルさん。治療、お願いします」
「はぁ!? この人があの!?」
「そうだよ。ロリコンなことに目を瞑れば、本当に凄くて尊敬できる師匠だよ……」
リュートがヴィマーナを王の財宝の中にしまいながら、そんな事を言う。すると、後ろからクラネルさんがどこからかハリセンを取り出し、それでリュートの頭を叩いた。
「しかとしてんじゃねえよバカ弟子が!! お前しかツッコミ役がいねえだろ! さっさと患者の場所に案内しやがれ!!」
「師匠、ここですよここ! 足元足元!」
そう言ってリュートは呻いているイオリを指差す。すると、足元のイオリを見たクラネルは……
「ふーん、この娘の尋常じゃない回復力があったとはいえ、よく普通の回復魔法程度でここまで頑張ったな。やるじゃねえか、後は引き継いだ!」
どうやら鑑定系統の能力でイオリの状態を確認したようだ。一応名医なだけはある。
「ふむ、この呪い付きの刀がネックか……ならあれだな《ディバインスペル》!」
そう言って、クラネルの手から放たれたどこか神聖さを感じさせる光に刀が触れた途端、刀に纏わりついていた赤黒いオーラが霧散した。
「うし、これはもう邪魔だ。しっかしこの娘も中々やるじゃねえか、低位ポーションを使って水魔法で循環させてるとはな」
そう感心しながら刺さっていた刀をいとも簡単に抜き、投げ捨てる。
「えっ」
「ふん、これくらいできて当然だ。後はこの状態異常の群れをどうにかしないとな。うし、《エクスキュア》!」
クラネルがそう言うと、イオリの身体が翡翠色の光に包まれる。鑑定・解析で見ていた3人は分かったが、たったそれだけで大量にあった状態異常が無くなりリジェネ等の効果のみになった。
「《エクスヒール》。これでもう大丈夫だろう。まあ、いくら私の回復魔法っていってもいつ目が醒めるかは本人次第だからな。それに魔法で回復させた組織は普通に回復するよりは、暫くは弱い。ま、全治一週間ってとこだな」
ふざけた調子ではない、いたってまともな診察結果によかったと安堵の声が漏れる。
「……本当にありがとうございました」
「兄のパーティーメンバーを助けていただき、ありがとうございました、クラネルさん」
「イオリちゃんを助けてくれて、ありがとうございました」
三者三様のお礼を向けられたクラネルは、頭を掻きながら言う。
「おう、大した事じゃねえよ。戦場じゃ、五体満足な方が珍しいからな。その分マシだよ。っとそうだ。おいリュート、あの約束忘れんじゃねえぞ?」
「分かってますよ、師匠」
そんな会話をした後、師匠は出口の方へとゆっくり歩いていき……何かにつまずいてこけた。なんとも締まらない感じだな。まあ、地下室にいたってことはヤケ酒してたんだろうし、アンナとミーニャ様はその……アレだから仕方ないか。
(さて、イオリさんが起きたらなんて説明しよう……ん?)
そんな事を思っていると、倒れているイオリさんの手元辺りに、赤い
「犯人は、ゆうし……か? いや、小さい『や』か。って事は、ゆうしゃ?」
「お兄ちゃん、何か言った?」
「い、いや、何でもない」
幸いにも、今この場で日本語が読めるのは僕だけだ。今の混乱している状況でこんな事を言ったら、確実に情報が流出するし、確実に世論は戦争へと向かう事になる。
(僕としては戦争は否定したいし、もしするとしても流れのままそう行くのは嫌だし……これは、まずは獣王様に報告しないとだな)
はぁ……、僕はそう深い溜息を吐き、伝令の人にこの事を書いた手紙を渡すのだった。