異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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2つ分話を繋げたら、案外長くなった。
熱がさがったぞおおぉぉ!
それはそれとしてまた、お気に入りとUAが訳の分からない感じで伸びてる……いや、いい事なんだけど、何がどうなってるんだ?



第18話 リュートさん今何してますか?忙しいですか?助けてもらっていいですか?(切実)

「全く、こんな可愛い娘に心配されるとかあいつも隅に置けねえな」

 

 私の今の姿は銀髪オッドアイの、まるで2次元のロリだ。そんな姿の私だ、あざとさと可愛さを全力で出してアレをやれば、ロリコンなら1発で撃沈できるはず……いや、出来てくれないと困る! 

 

「クラネルおねえちゃん、ちょっとしゃがんで!」

「おう、いいぞ!」

 

 快くクラネルさんはしゃがんでくれた。よし、まずは成功だ。私は、普段なら絶対にやりたくないけどトトトッとクラネルさんに近寄る。どこぞの紅緒様と同じならいけるはずだ……もうシスコンもロリコンも同じでいいよね? 

 そして、クラネルさんの耳元で……

 

「たすけてくれて、ありがとう! クラネルおねえちゃん、大好き!」

 

 きちんと発音は出来るのだが、わざと年相応な感じでそう小さく言い、クラネルさんのほっぺにちゅーをする。『ありがとう』『おねえちゃん』『大好き』の三大ワードを打ち込んだ上でのちゅーだ、効いてくれよ! 

 

「ブハァッ!!」

 

 そんな私の祈りが届いたのか、クラネルさんは部屋の中に大きな赤い花を咲かせて仰向けにバタンと倒れ、気絶した。

 

「だ、大丈夫だよね? 本当に気絶してるよね?」

 

 そう言って私はクラネルさんを突っついてみるが、反応は無い。よし、私は賭けに勝ったんだ!! けど、まだこの作戦は終わってない。ここから無事に脱出するまでが作戦なんだ。

 

「《金属精製・アダマンタイト》! あと《錬金》!」

 

 気絶しているクラネルさんの関節辺りを全て、今の私が作れる中で一番硬い金属のアダマンタイトを作り、錬金で変形させ拘束していく。天の鎖を引きちぎってたから、気休め程度だけど数秒くらいならこの人の行動を止めてくれるはずだ。

 

「よし、あとは逃げる!」

 

 私は自分に使える限りの付加系の魔法を使い、全力で家の中を駆けていく。爆発は流石に起こしてないよ? 色々不都合だし。

 目の前に倒れている棚を越え、短い通路を走って一階に登るまだ後ろに気配もないので、安心して玄関に向かう。目の前には玄関の扉、その向こうにはヴァマーナという空への逃亡手段を持ったリュートさんの気配を感じる。

 私は走ってきた勢いのまま扉を開き、リュートさんに向かって叫ぶ! 

 

「リュートさん! 今すぐヴァマーナを出し……て?」

「イオリさん! ナニもされてなかっ……あ」

 

 私がそう言いかけた時に、シュルッという音とともに私の左脚に緑色の太い蔦が絡みついた。発動された魔法の気配、そしてクラネルさんの気配がいつの間にか背後からしている。これは……詰んだ。

 

「い、嫌だ! リュートさん、助けて! 私はまだ、色々大切な物を失いたくな──」

 

 懸命に伸ばした私の手は、リュートさんの手を掴むことなく空を切り、無慈悲にもドアはバタンと閉じられた。

『恐怖というものには鮮度があります』

 私の頭に、なぜか青髭の旦那のセリフが浮かんだ。

 

 ◇

 

 唐突だけど、一つ昔話を聞いてもらいたいと思う。勿論、僕とクラネル師匠の話だよ。いきなりなんでって思う人もいると思うんだけど……

 

『全く、いきなり走り出しやがって……危ないじゃねぇか』

『ひゃぁっ! ど、どこを触ってるんですか!?』

『怪我の後遺症とか痕が残ってないかの確認だ、気にすんな』

『それとは明らかに違う場所もひゃうんっ!?』

 

 扉のすぐ向こうから、こんな声がずっと聞こえてきてるんだよ。いや、うん、流石に何か違う事を考えてないと僕もまあ、所謂ロリコンって分類の人間だからね、何か間違いを起こしそうなんだよね。師匠め、うらやまけしからん。

 えっと、それで僕と師匠の関係だけど、一言で説明するとやっぱり師弟関係だね。やっぱり師匠と会ったところから話すとしようかな。誰に喋ってるかは分からないけど、僕の精神的な平穏の為に付き合ってもらいたいな。

 

 僕と師匠が初めて会ったのは、地球で言う小学校みたいな所からの帰り道だったんだ。当時の年齢は10歳ね。いつも通りの帰り道の途中に立っていた長い青髪の綺麗な人……それが僕の師匠に対する第一印象だった。

 その後帰ってから両親に聞いてみると、多分クラネル・レイカーさんだろうって言われたんだ。流石にその名前はその頃の僕も知っていた、レベルカンストの凄い強い医者って有名だったからね。

 

 加えてその頃の僕は強くなりたいと思ってたんだ。神様に貰った王の財宝は自分のMPじゃ武器の一つも取り出せないし、天の鎖も神性を持ってる人が居ない(だろう)この世界じゃあんまり役に立たない。

 だから、戦い方を教えてくれる師匠が欲しかったんだ。その事を両親に伝えたら、物凄く微妙な顔をしていたけど了承してくれた。何故僕の両親がそんな顔をしていたのかは、次の日、よく実感することになった。

 

『そ、その薬はなんですか!? あ、明らかにヤバイ色をっ!』

『何、怖いのは一瞬だ、すぐ楽になる』

 

 ……若干イオリさんが心配になってきたけど続けるよ。

 

 その次の日は丁度休日だったから、教えてもらった師匠の家に向かったんだ。まともに取り合ってもらえるとは思ってなかったけど、せめて話くらいは聞いて欲しくてドアをノックしたんだけど、いくら待ってもドアは開かなかった。そのくせ内側からガサゴソ音はしてたから強盗か何かかなって思って王の財宝から安物のナイフを取り出して、失礼しますって言って家に入ったんだ。

 

 変 態 がいた。

 うん、大量の僕の級友とか隣のクラスとかの女の子の写真を必死に片付けてる師匠がいた。僕は、思わずナイフを取り落として固まってしまった。第一印象はあっさり崩れ「あ、これダメな人だ」そんな言葉が僕の頭に浮かんだ。そして、次の瞬間には呆然としている僕の前に師匠は立っていた。そして僕の肩をがっちりと掴んで言った。

 

「君は何も見てない、聞いてない、誰にも言っちゃいけない。いいね?」

「アッハイ」

 

 ついそんな言葉が出てしまった。元オタクの性ってやつなのかな? まあそんな僕だけど、ハッと我に返って自分がここにきた目的を思い出した。

 

「だ、だったら僕に戦い方を教えてください!」

「それは、私を脅してんのか?」

 

 そんな言葉と共に、僕に強烈な殺気がぶつけられた。頭ではたかが性的嗜好をバラされるだけでこんな怒るの? と思いながらも、僕の足は震え正直チビりそうなレベルで怖かった。

 

「そ、そうです! 学校中に……いえ、保護者にも言いふらします!」

 

 指だけはビシッと突きつけそう言うと、アレだけ強烈だった殺気がピタリと止んだ。

 

「ふん、私の殺気を受けながらそんな事を言えるとはな。いいぜ、暇な時間なら付き合ってやる。だけど、言ったら分かるな?」

 

 緊張が切れへたり込んでいた僕はコクコクと頷いた。僕と師匠の関係はこんな感じで始まったんだ。

 修業はスパルタだった。体力作りとか言って延々と回復魔法をかけられながらマラソンをしたり、組手(僕のレベルは15向こうは300)をしたり、無手で魔物の群れに放り込まれたり……色々あったなぁ……。

 因みにこの1週間後、このやり取りを聞いていたらしい近所の人の密告と今までの犯行のせいで今の場所に家を移された。その日から修業の難度がノーマルからルナティックに変わったのは言うまでもないかな。うん、思い出したくもないけど、そのお陰でこれまで生きていられてるっていうのも事実なんだよね。

 

 師匠に対する信頼は、僕がイオリさんを助ける為に呼びに行った通り《医者としては》かなり高い。

 理由は色々あるけど、やっぱり一番この事に繋がるのは、修業中にも色々急患が運び込まれてきた事があったからだね。どうしてそうなったのかは知らないけど、左腕がキレイに無くなってる人の腕を再生したり、何らかの魔物にやられたのだろう腹の中身が色々見えちゃってる人を数秒で治してたりしてるのを見て、凄いとしか思えなかったよ。あと、そんな人を見てリバースしちゃってた僕に優しくしてくれたりね。

 

『媚薬って出てますから! 出てますから!! 幾ら何でもそんなのは嫌ですって!!』

『んなヤワな魔法、私に効くかよ!』

『こ、こんなに早く処女喪失とかしてたまるかぁぁぁっ!!』

 

 中から水音とか爆音とか帯電してるような……嵐のような音が聞こえてくる。……やっぱり師匠は人としては尊敬は無理だね。流石にそろそろイオリさんを助けに行かないと、後で死ぬ程文句を言われそうだし……

 

「師匠!! 前からあんまりしつこいと嫌われるって言ってますよね!」

 

 僕はそう言ってドアを開けた。

 


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