異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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思いついたことをそのまま書いていたら、思ったより長くなった。

知り合いにカードキャプターさくらを知ってる人がほぼいないと思ったら、漫画の初版発行が1996年……私生まれてすら無いじゃん。いや、最近デジタルリマスター版がどうのって話を聞いたような……



第23話 カードキャプターイオリ

 私の小さな手の中に収まる程度の大きさだった杖が、ちょっとしたステッキくらいの大きさに伸長する。伸びる仕組みは、魔法を記憶できるっていう素材の金属にアイテムボックスを付加して色々やったからだけど、長くなるので省いておく。

 

「カード無いけど、『(フライ)』!」

 

 先端の方から旋風魔法で作られた羽状の力場みたいなナニカが発生して、城門を駆け上がってきた勢いそのままに飛び始める。そのまま持っていたんじゃ飛びにくいから、足で杖は挟んである。

 

 ──称号 魔法幼女 を入手しました──

 

「そこはせめて少女にして欲しかったなぁ……まあ、こんな格好の魔法少女がいてたまるかっては思うけどね」

 

 城の最上部を軽く見下ろせる高度で羽の生えたピンク主体の杖に跨り、白いワンピースの上に緑がかった金属製の腕甲脚甲に胸当て肩当てをつけていて、両腰にはそれぞれハンマーと鎌剣が吊ってある。短パンの少し下にはいざって時の為の長い針が何個かあり、場違いなランドセルを背負っている。

 

「自分の呟きで改めて考えてみたけど、まさしくカオスだね」

 

 そう呟きながらも、 千里眼(望遠機能)で土煙の上がっている場所を見てみようとしたが、かなり近くにまで魔物の群れは迫っていて使う必要は無かった。多分このまま飛んでいけば20分くらいの距離だと思う。

 

「色んな種類の魔物がいちにーさんしー……まあとにかくいっぱいいるのと、あれは、特地甲種害獣ドラゴン! なんて言ってもリュートさんしか分からないか。はぁ……というかどうしようあの群れ」

 

 こんな事を言った通り、群れの上空を飛んでいるドラゴンは四肢とは別に翼を持つ西洋風ドラゴンだ。因みに色は赤で、私を見てるのか凄いプレッシャーを感じる。けどまあ。

 

「クラネルさんの方が100万倍怖かったけどね」

 

 一応今の私の魔法でも、大半のカードの効果は再現出来るだろうけど……多分500体と少しもいる大軍には、はっきり言ってどうしたらいいのか見当もつかない。

 ……うん、真面目に魔法は使おう。そう思い私は杖を握る手に力を込めて、魔法陣を展開させる。

 

「いくら無詠唱で出来るって言っても、雰囲気って大切だし」

 

 MPがガリガリ削れていく感覚と共に、銀色の魔法陣が幾つか重なっていき私を中心に立体的な構造となっていく。それを尻目に黒歴史(厨二病)の頃の記憶から、確かそうだったなと思う詠唱を口にする。

 

「え〜っと、確か……時は来た、許されざる者達の頭上に、星砕け降り注げ!」

 

 杖から離した右手を土煙巻き起こる場所に振り下ろしながら、私は詠唱を締めくくる。

 

「全員潰れろ! メテオ!!」

 

 次の瞬間、白み始めてきた空の彼方でチカチカッと何かが無数に明滅した。

 何、原理は簡単で、私の魔法が届く限界の距離(上空)に私2人分くらいの直径の金属塊を炎と雷を付加した状態で精製、旋風魔法でそれの軌道を修正しながら相手にぶつけるという、たったそれだけの魔法。だけど……

 

「初弾、弾ちゃーく、今!」

 

 気分の高揚してる私がそんなことを言った瞬間、土煙に空から流星が落下した。そんなに離れていない場所に魔物の群れがいるため、私の浮かんでいる場所まで轟音と衝撃波が届く。

 ランドセルの魔力も使って私が作った金属塊の数は40。本物の隕石着弾と比べると小さいものの、かなりの威力を誇る流星がまだ大量に残っているのだ。安眠妨害? 知らない子ですね。

 

「こうか は ばつぐんだ。って、うそぉっ!?」

 

 降り注ぐ流星を、ドラゴンはヒラリヒラリと回避している。下にいる魔物は回避も防御も出来ていないというのに。くっ、流石は命中率90ってことか。

 

「グガアァァァァッ!!」

「うひゃぁっ!」

 

 なんて思っていると、まだ声の届かない距離の筈だったのにドラゴンの咆哮が轟き、杖から落ちかけた。体勢を立て直しドラゴンを見てみると、眼に怒りを浮かべてこちらに突撃してきている。

 

「マズイってそれぇ!」

 

 ギルドの放送や、私の現在進行形で発動してる魔法の轟音で起きている人は多いだろうけど、それでもまだ早朝も早朝。そんな時にこんなドラゴンが突撃してきたらとんでもない事になる。

 それを防ぐために今の私ができることは……煽って注意を引きながら、私の魔法の範囲内に突っ込む事! 

 

「やーいやーい空の王者(笑)! いっつもワールドツアーとかして恥ずかしくないのかー!」

「グルァァァァッ!!」

「ちょっ『(ウォーティ)』」

 

 ドラゴンの上を加速しながら通過しようとした時放たれた猛烈なブレスに対して、初めてまともに使う蒼海魔法でどうにか迎撃する。

 

「あっぶなぁ……」

 

 所々赤いラインの見える上空で、ドラゴンと向かい合う。名前は炎龍、レベルは……119、HPはまだ8割近く残っていてMPは6割。あ、称号に《空の王者》って本当にあったよ。で、業火耐性とかいうスキルもあると。

 

(どうしよう? メテオを当てるかリュートさんを待つくらいしか勝ち目がない気がするんだけど)

「グギャァァァッ!」

「ああもうやるだけやってやりますよぉっ!」

 

 突進してきたドラゴンを躱し、自分の今の手札を考える。メテオが発動中だから難しい魔法は使いたくないし、近接戦は無理……動きを止めてメテオに当てるのが一番いい方法か。残りのメテオは11発……無理だったらリュートさんを待つ方向だね。

 

「くらえ『(ライト)』! そんでもって『(ウインディ)』と『(ウッド)』に『(アーシー)』と《錬金》! ついでに『(サンダー)』!」

 

 旋回して再度突進してきたドラゴンの眼の前で、猛烈な光を爆発させる。ゲームのように落下こそしなかったが動きが止まったので、今使えるギリギリまで魔法を発動する。

 動きの止まったのでドラゴンに風と植物が纏わりつき動きを妨害し、全身の至る所にアダマンタイトが《錬金》で形を整えられて拘束具として付けられた。ついでに鼻付近にはキノコの胞子を精製してあり、全身にスパークが走ってる。

 

 龍の眼から『お前やり過ぎだろ』って意思が伝わってくるけどそんなこと知らない。私みたいなか弱い幼女が、ドラゴンなんて化物に勝つにはこうするのが一番確実だもん。

 

「うーん……汝のあるべき姿に戻れ、クロ……いや、イオリカード。なんちゃって」

 

 抵抗の意思が消えたっぽい、段々高度の下がっていっているドラゴンを見て、なんとなくそんな事を呟いてみる。

 

「は!? え、ちょ、ま」

 

 もうギリギリしか残っていないMPがゴソッと削れる感覚と共に、ドラゴンが銀色の光に包まれて、その存在が中心に収束されていく。そしてカッと一際激しく光り、私は目を瞑ってしまう。

 

「アイエェ……」

 

 目を開けると私の目の前に、ペルソナ! って出来そうな感じで【THE DRAGON】という文字とさっきの龍っぽい絵柄のカードが、回転しながら降ってきた。とりあえず落ちてきている真下に《異次元収納》の入り口を開き仕舞ったところで、魔眼が急に反応した。

 

 ===《複合魔法/威力 大/範囲 中/流星/危険度 極大》===

 

「っ! 『(シールド)』!!」

 

 ドラゴンに当てようとしていた流星の事を完全に忘れていた。残り90ちょっとしかないMPに無理を言わせて斜めに、使える属性全てを混ぜた壁を張る。

 

「あっ……」

 

 パリィンという音が鳴り壁は砕けたが、ほぼ一瞬の接触だったお陰で流星を逸らすことは成功した。が、予想以上に高い威力だった為咄嗟に込める魔力を増やし、その所為でMPが底を尽きた。

 杖の翼が消滅し落下が始まる。力も入らないし、MP自動回復はあるけど、落ちきるまでにもう一回は飛べない。

 

(こんな終わり方ってないよ……)

 

 そんな風にスキルと走馬灯的なもので加速した時間の中思っていると、視界の端に金色の何かが映り凄まじい速さで接近してきて、誰かが落ちている私をキャッチした。

 

「りゅーと……さん?」

「少し目を離した隙に、いっつも無茶して……しかも今回は病み上がりでしょ? 何してたのさ!」

 

 髪に寝癖の残っているリュートさんが、私をお姫様抱っこの体勢でキャッチしていた。そんな事言われても、喋れないよ……

 

「かーど、きゃぷたあ……」

 

 そう言った後の私の記憶は無い。

 




バレンタインネタなんて無かったんだ、いいね?(書いてたら完全にリュートのハーレムになってた為、イラッときたんで消しました。すみません)
え、リアルでチョコ?関わることなんてある訳ないですよー。色々あって、昔一回だけ作ったけれど。

最後に1つ






リア充爆発しろ。エクスプロォォォォジョン!(物理)

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