異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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全力ダッシュ→左脚を軸に180度反転、右脚で蹴り→左脚及び腰に大ダメージ→歩くのすら辛い。

……もう、無理がきかなくなってきてるんだなぁ…高校生だけど。



閑話-12 始まる戦争

 城でそんな事が起こっていた翌日、両国を繋ぐ橋を挟んでの睨み合いが続いていた。

 

 獣人側の軍の先頭には、総指揮官である炎髪灼眼(仮)のネイオンが、人間側の軍の先頭には灰髪灰眼の王都のギルドマスター、アルディートが立っている。俺は双方とも、レベルが200代後半だという話を俺は聞いていた。

 正直追いつける気はさらさらしないがそれは置いておいて、一応勇者のリーダーをやっている俺もこの戦争に参加している。

 

「ねえ委員長。いま、結局なにがどうなってるの?」

「詳しい事は覚えてないけど、お互いの軍から代表を出して橋の中央で互いに降伏勧告をした後拒絶。で、その2人が戻ってきてから開戦らしいね」

 

 そう俺に話しかけてきたのは柊さんだ。というか、この勇者の集まってる中で俺の近くに立っているのは柊さんしかいない。俺達以外のクラスメイトは、この場の空気に当てられたりなんだりで今は山ちゃん先生が付いている。元々海堂派だった人達は、なんだろうワクワクしてるというか何というか……危ない雰囲気を漂わせてる。

 

「どこかで読んだような感じだけど、まあそんな感じだったと思う」

「へえ、そうなんだ」

 

 俺もそうではあるけど、少なからずこの空気に当てられているらしい。気の利いた言葉が出てこない。

 俺も柊さんもレベルはもう80代にはなっているが、それとこれとは話が別だ。平和な日本から俺達は召喚されたんだ、1ヶ月やそこらじゃ中身はそんなに劇的に変化はしない。

 

「ねえ委員長、その代表の人ってあの人じゃない?」

「えっと……そうみたいだね」

 

 今俺達にいる場所は、ほぼ最前線になる事が確定してるような場所なので、視界はかなり開けている。だから今も、しっかりと馬に乗ってこちら側に戻ってきている人が見えた。

 

「それじゃあ、第一目標お互いに爆発四散でサヨナラ! ってならないようにする事。その他は臨機応変にやっていこうか」

「委員長、凄い分かりにくいよそのネタ。けど、少しは気が楽になったかな。それと、その柊さんっていうの長くて面倒くさいでしょ? 今度から私を呼ぶ時は鈴華でいいわよ?」

「えっと……いきなりどうしたの? 柊さん」

 

 え、いや、何その死亡フラグ。それにあんまり言いづらいって訳でもないんだけど……

 

「す、ず、か、で良いっていったよね?」

「アッハイ。えっと、分かったよ鈴華さん。これでいい?」

「まあ、いいわ」

 

 そこまで話した時、代表として出ていった人がこちら側の陣営に完全に戻り、そしてー

 

「全軍、突撃いぃぃぃぃ!」

 

 そんなアルディートさんの掛け声と共に、戦端が開かれた。

 

 ◇

 

 戦争が始まってから数十分、そこには地獄が……少なくとも俺達にとってはそう表現できる光景が広がっていた。

 空では竜騎士と鳥系の獣人が火花を散らし、時折流れ弾なのか魔法や精霊術? が降ってくる。

 

「貴様が人族の勇者か! 我らが勝利の為n」

「はあぁぁぁぁっ!」

 

 飛び交う怒号に舞う血吹雪。橋の上には既に大量の事切れた人達が倒れており、色々な匂いが混ざりあって最終的に不快な臭いとなっている。

 俺自身は今のように聖剣の腹で相手を全力で叩いてるので、直接的に誰かを殺めてしまったりはしていない。多分これは人族からしたら悪い事なんだろうし、偽善なのかもしれないけど、この一線を越えてしまったらもう後戻り出来なくなる気がしてならないのだ。

 

「うぷっ、はぁ……はぁ……。《エリアハイヒー」

「委員長! 後ろ!!」

 

 吐き気を無理やり押さえ込んで魔法を発動させようとしたところに、柊さんからの警告が飛んでくる。慌てて体を捻り横薙ぎに聖剣を振ると、ホームランのように俺に攻撃しようとしていた人が吹き飛んでいった。

 オークの事件の時といい今回といい、俺は背後から攻撃される事が多いみたいだ。そういえば、(多分)蒼矢のイオリって子は今はどうしてる……じゃなくて! 今は目の前のことに集中! 

 

「鈴華さん、怪我とかしてない? みんなはどうだった!?」

「まあ、特に無いわよ。けど、クラスのみんなは酷い状態だったわ。薄々気づいてはいたでしょうけど、先生と一部の人を除いて碌に戦ったりは出来なそうな感じ」

 

 ひいら……鈴華さんと背中合わせで敵をさばきながら、会話を続ける。やっぱり1人の時とは比べ物にならない程安定している。

 

「けど、そんな事よりもっと大変な事が起きてたわ」

「《転移門》! 何それ!?」

 

 飛んできた火の塊を、転移門で相手に跳ね返しながら鈴華さんに問う。全体的に負けそうだったりしたらそんな事よりだとは思うけど……

 

「まだ噂話の段階だったけど、王都でクーデターが起きたっていう話。ちょっと千里眼で見てみたら、本当で、犯人は海堂だったわ。けど、何か雰囲気が違かったし、黒い靄が纏わりついてた」

「黒い靄?」

「うん、しかもなんか凄く良くない感じの」

 

 良くない感じの黒い靄……悪霊とかかな? ん、千里眼ってそんな詳しいとこまで確認出来るスキルだったっけ? 

 

「それで、その海堂がここに向かって騎士団の人達とかを連れて進軍中。馬を使い潰しちゃうレベルの速度できてるから、半日もしない間に到着しそう」

「それってやっぱり?」

「うん、明らかに味方としてじゃないかな」

 

 やっぱりか。っていうか、このままじゃ挟撃される事になるから……

 

「撤退しないと、こっちの軍全滅しない?」

「多分ね。だからもっと酷い事って言ったじゃん」

 

 でも、俺達だけじゃ実行は出来ないから……

 

「アルディートさんに伝えに行くしかないか。映像とかある?」

「勿論」

 

 とりあえず行って、判断を仰ぐしかないかな。少しくらいなら、俺が時間稼ぎは出来るだろうし。……出来なくても頑張るしかないけど。

 




やっぱり勇者側書くの苦手だ…

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