異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
頭痛の中の投稿です。それではどうぞ!
「はい、次の方どうぞー」
そのやる気の無さげな声に促され、僕とシイラさんは乗っている馬車ごと進み出る。
「通行証見せてくださーい」
僕はポケットに手を入れて、(実際にはアイテムボックスから) 通行証を取り出して見せた。
「はい、本物ですねー。通行料は銀貨一枚ですー」
僕とシイラさんはそれぞれ銀貨を取り出し渡す。この世界では、冒険者以外の人は街に入る時、税金? として銀貨1枚を払わないといけないとのこと。
因みにギルドは7歳から登録できるらしい、ギリギリじゃん! いや、そうなるように調整されたのか。
「はい、たしかにー。ようこそ《リフン》へー」
特に何も問題なく入ることができた。 少し遅いかもしれないが、今僕が知っている限りでの、この世界のことを説明しようと思う。
この世界の名前は【アヴルム】 3つの大陸に分かれていて、それぞれの大陸を巨大な橋で繋いでいる。
3つの大陸はそれぞれ、《人族》《獣人族》《魔人族》が治めていて、それぞれの大陸は《人界》《獣人界》《魔界》と呼ばれている。
3つの種族はそれぞれ対立しており、最近では、人族が勇者を召喚したせいもあってか、まだ戦争が起きるほどでは無いらしいが各種族間の緊張は高まっているらしい。
金銭は、銅貨が10枚で大銅貨が1枚、大銅貨が10枚で銀貨が1枚、銀貨が10枚で大銀貨が1枚、大銀貨が10枚で金貨が1枚、金貨が10枚で白金貨が1枚となっている。現代の金銭に例えると、
銅貨 = 10円
大銅貨 = 100円
銀貨 = 1000円
大銀貨 = 1万円
金貨 =10万円
白金貨 = 100万円 と言ったところだ。
ちなみに現在の僕の所持金は、女神が寄越した分の銀貨2枚だけだ。
「じゃあここで嬢ちゃんとはお別れだな。たしか冒険者になるんだろう? 冒険者ギルドはこの道を真っ直ぐだぜ」
「色々とお世話になりました。短い間でしたがありがとうございました」
「おう、気にするな。俺はこの街で《シイラ商店》つう店を開いてるから、暇になったらでいいから来てくれよな」
「勿論です。じゃあまたいつか!」
「おう、またな」
そう言って僕はシイラさんと別れ、冒険者ギルドに向かって歩いていった。
こんな身体で食い扶持を稼ぐには、お使いでもなんでもいいからやるしかない。けれど僕みたいな子供に仕事を回す人なんていない。だから、多少の危険を犯しても冒険者になるしかないだろう。Q.E.D.
落ち着いて物事が考えられる様になるまでは、生きねば(風立ちぬ並感)
◇
「ここが冒険者ギルドかぁ……」
僕はThe・ファンタジーのギルドと言える建物を見上げて言う。
「さて、どんな場所なのかな」
ギィッと軋む扉を開けて建物の中に入る。そこで僕の目に入ってきたのは、予想とは少し違った光景だった。
荒くれ者が大勢集まり、好き勝手に酒を飲んで時には喧嘩をし、時には下品な程の大声で笑い声を上げている。……そんな光景を予想していた僕だったが、実際は簡単な酒や食べ物を出すスペースがあるものの、人は数人がポツポツといるだけで殆どの席は空いており、座っている人も一名を除き、昼食を取っているようだった。
「いらっしゃいお嬢ちゃん、依頼かな?」
僕がギルドの中を物珍しそうに眺めていると唐突に声を掛けられる。声のした方へと視線を向けるとそこには受付らしき場所が複数あり、その中の1人が僕へと声を掛けていた。
数人いる受付嬢達は皆美形な人か、可愛いと思える容姿をしていた。その中で僕に声を掛けてきたのは、美人系の長い茶髪の女性だった。
「いえ、ギルドの登録を……」
そう僕が言った瞬間、昼食を取っていなかった若干一名が唐突に口を開いた。
「ぎゃはははは! ここはお前みたいなガキが来る場所じゃないぞ! 嬢ちゃんが行くのはママのスカートの中だろう?」
(うわぁ……テンプレうぜぇ……)
そう思ったがとりあえず無視しておく。
「とりあえず、今年7才になったので登録、できますよね?」
受付嬢へと(胸元のネームプレートにラナと書かれている)問いかける。
「え、えぇ。でも、冒険者っていうのは危険な仕事よ? それに、ああいう大人の人を無視したりしたらいけないよ?」
ラナさんは咎めるような声音でそう言ってくる。そういうことなら、僕も手札を切ろうじゃないか。
「でも……頼れる人も居ないし、お金がないと、ご飯も食べられないからっ……グスッ」
嘘泣きをしながら私は答える。背が低いので、涙目+上目遣いを決める。そして今の僕の幼女力があればっ……
「うん、うん。大変だったんだね! じゃあこちらのカードに血を垂らしてくれる? それで登録できるからね!」
この通り、どうにかなるみたいだ。魅了の魔法とかがかかってそうなレベルだな。そして、小さな針を渡されので、それを使い指に刺して血を流す。
血を流されたカードは、しばらくすると粒子状になり消えていく。
「え? 消えた?」
「心の中で《ギルドカード》って言ってみて」
言われた通りにすると、手の中にカードが現れた。だがそのカードは先程と違うところも幾つかあった。真っ白なカードだったはずだが、現れたカードの外枠が青色をしていた。
「この色はランクを表すものなんだ。下から青色、紫色、緑色、黄色、橙色、桃色、赤色、銀色、金色、黒色ってなってるよ」
ちなみに、冒険者のランクはG〜S、SS、SSSとなっており、Gランクは主に街中での雑用がメインの仕事らしい。色が対応しているのは言わずもがなだ。
そのことを作られたギルドカードを見ながら確認していく。
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名前 イオリ・キリノ
性別 女
年齢 7
生まれ 不明
ランク G
ゴールド 0
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よかった、生まれ【異世界】とかにならなくて。いや、転生だからあくまでこっちの生まれになるのか? などと考えていると、ラナさんに話しかけられる。
「何か質問はある?」
「あ、はい。少しあります」
そう聞かれたので、気になったことを質問していく。返ってきた答えはこうだ。
・ランクは最初のG→F、A→Sへのランクアップ以外はクエストをこなし、経験値が貯まると自動で上がる。2つのランクアップに関しては、どちらもギルドの審査官が判断する。
・ギルドカードにあるゴールドとは、お金をどれだけギルドカードに入れているかを示している。後、銅貨一枚が10ゴールドだそう。
・パーティーを組むと、メンバーのランクの平均がそのパーティーのランクになり、経験値が共有される。
・ギルドは冒険者同士のいざこざには、基本的には関与しない。
・依頼は、自分のランクの1つ上の物までしか受けることはできない
そのほかは、基本的には普通に (日本基準)で生活していれば、問題ないものだった。
いざこざには基本的には関与しないの下りで、先程の冒険者にチラリと視線をラナさんが向けたので視線を向けると、僕の登録が終わるのを今か今かと待っていた。ついでに鑑定を使うと、モーブ 男 戦士 LV 21 ランクD と出た。
今の僕のレベルは19なので、ほとんど変わらないようだ。酔ってるし、なんとか倒せるかな?
「これで質問は終わりでいいかな?」
「はい、ありがとうございました」
「これで登録は終わったよ。あの、今なら逃げても庇ってあげられるけど……」
「大丈夫、あんな酔っ払いに負けるつもりは毛頭ないよラナさん」
小声でそんな会話をしているとモーブが、怒り心頭といった表情で怒鳴ってくる。
「登録は終わったようだなぁ。よくもさっきは無視かましてくれやがったな小娘! 表に出ろ! 身の程ってもんを教えてやる!」
僕は露骨に不機嫌そうな顔をしながら、振り向きモーブに言う。
「はいはいわかりましたって。だからちょっとまっててくださいって。えっと、たしか最初のランクアップは試験官の人が判断するんですよね? それって今からやる決闘でも大丈夫ですかね?」
「大丈夫だけど……本当にやるの?」
「もちろん。その権限を持ってる人をギルドに連れてきてくれませんか? Fランクへのランクアップを申請します」
「う、うん、分かったよ。けど、危ないと思ったらすぐに降参してね?」
それに僕はニコッと笑顔で頷き、外へと歩いていく。
よーし、とっとと最下位のランクから上げてやる!
前回が短かったので、若干長めの筈です。
あ、明日の昼頃もう一話投稿予定です