銀魂 SF時代劇の彼方者   作:時杜 境

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プレイヤーズ

 からくり堂には定期的に通っている。

 それは私自身、源外さんの元で軽くバイトのシフトを入れているからでもあるが、本命は地下で安置している「彼女」の様子を見るためでもある。

 

 経過観察。

 未だ覚醒の兆しなし。

 

 肉体の再構築は終わっているらしいが、深い眠りについたままだ。まぁ変異体なんていう怪物のクローンの疑似製造なんて、史実における星芒教くらいしか成功に至っていない。出来事自体も物語の超終盤、最終巻の話になる。

 

 早々上手くいくもんじゃない。

 で地上にあがってみれば、どこから持ってきたか分からない机を席にした高杉と、その辺の壁を黒板代わりに授業をやっている松陽がいた。

 

「ハイ、というわけで西軍と東軍が戦う天下分け目の決戦、関ヶ原の戦いが開戦したんですね。さァ問題です、この西軍から戦線離脱するにはどうすれば良いでしょう」

 

「……無茶言ってんじゃねェ先生。この布陣のどこに退路がありやがる」

 

 隙あらば松下村塾。

 こいつら二人とも大ボケか?

 

「オォイ、人んちを勝手に寺子屋にしてんじゃねぇぞ! 筆で直で書くな書くな!」

 

「はい源外くん、答えをどうぞ」

 

「源外くんじゃね──よ!!」

 

「では彼方さん、どうぞ」

 

「コレ敵勢に突っ込んで味方で全力で足止めしながら帰ったやつだろ」

 

「おや、予習済みでしたか。感心感心。その通り、かの島津義久が為した捨てがまり戦法ですね。これにより義久は生還し、徳川との交渉ののち本領安堵となります」

 

「イカレてやがる」

 

 島津のダイナミック帰宅。

 この世界、天人が襲来する以前は割と普通の歴史だったりするんだよな。

 

「大変危険極まる戦法なので真似してはいけませんよ」

 

「……」

 

「晋助」

 

「先生、俺ァアンタを置いて行ったりはしねェよ」

 

「晋助……」

 

「湿ってねぇでとっととそこ掃除しやがれ!!」

 

 松陽は自分に降りかかる未来を知っている。

 その最中で垣間見たのか。自分の弟子が──高杉晋助がどのような最期を迎えるのかも。

 

 

「オ~イ爺さん、ちょっとオイル切れてきたから給油……」

 

 

 その時、来客があった。珍しいことに。

 万事屋のメンバー……新八や神楽ちゃんは最近、どうも忙しそうにしているのは此方も感知していることだ。故にこうして彼らがいない間に松陽を連れたり、相変わらず暇を見つけては密航している高杉とここで合流したりしているワケだが。

 

 だが。

 ──そこにいたのは金髪ストパーの新キャラだった。

 

 その名も坂田金時。

 メタネタを絡めつつ、坂田銀時と主人公の座を争う敵である。

 

「……!? えっ、お前まさか高杉しんすっ……」

 

 ゴッシャァアア!! と机が金時に叩きつけられた。

 高杉である。

 何食わぬ顔で立ち上がり、置いていた刀をとる中、源外さんが悲鳴をあげる。

 

「きっ、金時ィィィ!!」

 

「時間みてェだ。俺ァそろそろ行くぜ」

 

「師に不始末を押し付ける教育をした覚えはありませんよ晋助」

 

 立ち去ろうとした高杉の肩を松陽がガッと掴んで止める。

 今、確実になにか絶対にやらかした──そんな予感が既に彼らにはあるのだろう。うっすら冷や汗を流している。

 松陽の目がこっちを向く。

 

「彼方さん、これまだ軌道修正できますか?」

 

「そこの金メッキプラモデルの記憶領域を初期化すればギリ……?」

 

「スクラップにすりゃいいのか任せろ」

 

「待て待て待てェェ! テメーら俺の機械(からくり)に何するつもりだァァ!!」

 

 バッ、と倒れた金時を庇うのは源外さんだ。

 生みの親にして製作者。いくら危険極まるからくりだろうと、みすみす破壊されるのを黙って見ているような人物ではない。

 

 しかしその背後から、ゆらりと人影が立ち上がった。

 

 ──カッ、と閃光が奔る。

 目も眩む光。坂田金時を坂田銀時の最大の敵たらしめる能力……催眠波だ。

 これにかかると坂田銀時との記憶が、全て坂田金時に書き換えられるという恐るべき力である。

 

 催眠波の衝撃か、源外さんがその場に倒れる。

 それと入れ替わるように、金髪ストパーの万事屋リーダー代行が顔をあげた。

 

「ここで会ったが百年目、ってか? ったく、布石も伏線もなく現れやがって……いきなりここで俺たちの因縁にケリつけようってのかィ」

 

「てめーみてェなポンコツと因縁できた覚えはねェよ」

 

「!?」

 

 直後、金時がからくり堂の奥へとぶっ飛ばされた。

 高杉である。

 一応、騒ぎが外へ広まらないように配慮した結果だろうか? それにしては、

 

「俺の中から銀時(アイツ)を消す? クク……面白ェ、やってみればいいじゃねーか。その程度で忘れ去れる記憶(モン)なら苦労しねェ」

 

 ──ブチギレてるなアレ。

 

「てっ……てめぇ……」

 

「オイ用心棒、あの玩具の役割はなんだ」

 

「貴重なフィールドデバッファー。万事屋に更生させとかないと色々マズイ」

 

「何故だ!? お前ら、何故俺の催眠波が効かねぇ!」

 

 高杉は気合いとかそんなところだろう。

 私と松陽はまぁ……ホラ……人外なので……

 

「ハッ……なるほどな。さっきの感覚で、どういう筋書きが待ってるかはおおよそ察したぜ。だが銀時(ヤツ)が出張るまでもねェ。俺に出くわしたのが運のツキだ。ここで調教してやらァ」

 

「ええ……」

 

 お前の弟子どうなってんだよ松陽、と視線を向けるが、緩く首を横に振られるだけだ。

 

「ただでさえ銀時は私を斬ったと思っている現状、一つでも多くの苦痛や障害を取り除いてあげたいという気持ちは私も同じです。晋助は優しいですからね」

 

「違います先生ちょっと黙っててくれますかアンタのsw〇tch2売り飛ばしますよ」

 

「一度目は冗談として聞き流しましょう。二度目は国家を転覆させますよ」

 

「ゲーム機以下の国かよ」

 

「国家転覆のハードル低すぎんだろ」

 

 などと言って、高杉が金時へと向かっていく。

 ほどなくして奥から打撃音やら衝突音、色々と物が壊れる音が連続し始める。

 楽しそうだぁ。

 

 その間に、とりあえず道端で倒れている源外さんを回収して寝かせておく。

 松陽もガサガサと隅に置いてあったレジ袋から今週号のジャンプを取り出し、目次を確認していた。

 

「ち……血迷ったか。今や周囲から主人公と見なされた俺をここで倒せば、この後の展開全カットは必至!! てめー自身の出番までぶった斬るつもりかァ!」

 

戯言(たわごと)ほざいてんのはてめェだろ。主人公だと? ンな殊勝な存在、この世界のどこにいやがるってんだ。しかもよりにもよってアイツを主役に据えるたァ、その目ん玉節穴じゃねェのかい」

 

「っ、第一、なんでてめーが此処にいやがるんだ! 聞いてねェぞ! ライバルはライバルらしく長篇にだけ出てこいよ! 今は俺の番だろうが!! ライバルが()を片しちまったら、奴の──坂田銀時の出番はどうなる!!」

 

「そんなモンいらねェんだよ。主役の座を奪い合う坂田銀時はこの世界にゃもういねェ。てめェは蛇足だ、金メッキプラモデル。不必要なリソースはカットしてストレージに収めてやる」

 

「馬鹿な! そんな馬鹿な! 俺は奴の代行として生み出された存在、完全な主人公(リーダー)だ!! こんなところで廃棄される運命(さだめ)じゃねェェェェ!!」

 

 思ったより粘ってるなー。

 そういや原作では自爆戦法が取られていたが、今は使えないのか。戦ってる相手も坂田銀時じゃなくて高杉だし、ここで倒されたら本当に彼の出番は据え置きだ。

 

 というか金時の真の目的は「坂田銀時に倒されて最終回(フィナーレ)を迎えさせ、その後の新連載の主人公として君臨すること」だ。

 

 高杉とエンカウントした以上、ここから立て直すのは不可能に近い。

 

 金魂篇、まさかのカット。

 

 まぁ思えば高杉にとって坂田金時って歩く地雷存在か? 主人公……いや幼馴染になり替わろうとする偽物、とても許容できるものではあるまい。

 その真意、大体は松陽が代弁した通りか。

 

「晋助ー、手伝いましょうか?」

 

「アンタの手を煩わせるまでもねェよ。そこで漫画の立ち読みでもしてな……!」

 

 そういや坂田金時ってバックアップがあったよな。自分が消滅したら自動で起動するやつ。

 どこにあるか探してみるか、と彼らが戦っている脇を通る。金時から一閃が飛んでくるが頭を下げてよけ、高杉が金時へ向けて放った剣撃をひょいとまたいでかわし、奥の方の部屋へ行く。

 

「ッ!! てめー待て、そっちは……!」

 

「余所見してる余裕があんのか?」

 

 ゴガシャァァ!! と背後で刺突音がした。音の感じからして、高杉の一撃が金時に入ったのだろう。そんなことを思いつつ、怪しい部屋の扉を開ける。

 

「お、あったあった」

 

 そこには起動を待つばかりの金時2号機が鎮座していた。

 1号をスクラップにする前に、こっちのプログラムを書き換えておくべきだろうな。

 瞬間、半歩右に動いた。すぐ真横を高杉が振り下ろした刃が通っていく。

 なんだいきなり。奇襲でも試したのか?

 

「そいつァ何だ」

 

「あのプラモの転生先。向こうを廃品にする前に、こっちを調教した方がいいな」

 

「ほォ」

 

「や……やめろ……てめーら……それに触るんじゃねぇ……」

 

 後ろから這いずるような音が聞こえる。

 さて、どうするかな。金魂篇をカットするにせよ、既にかぶき町は奴の催眠波の影響下にある。銀さんが帰ってきた時、とうに事の元凶が排除された、自分だけが忘れ去られた恐怖の町になってしまうワケだが──

 

「俺を倒したところで無駄だ! とうに奴の仲間は俺の傘下になっている! 事が判明次第、連中はてめーらを敵と見なして襲い掛かってくるぞ!!」

 

「いや、催眠自体はなんかみんな自力で解除して記憶戻るから、ぶっちゃけ放置してもいい」

 

「……はぁ!?」

 

「問題はお前だ。敵とはいえ、仮にも志村新八や神楽によって注文されたからくり。『万事屋リーダー代行』の使用用途は、機械にとって存在意義そのもの。それを諦めさせるためには、やっぱり一度、坂田銀時と戦って負ける必要があるんだろうな」

 

「負けるだと……完全なる万事屋リーダーの俺が、あんな不完全体にッ……」

 

「──確かに、君は銀時よりも優れたリーダーなのかもしれません」

 

 そこで口を出したのは松陽だった。

 パタンと教本のようにジャンプを閉じ、地を這う金時へ歩み寄る。

 

「ですが金時さん、君がいかに彼のように振舞ったところで……その座をすげ替えたところで、決して変えられないものがある。人の絆は、記憶とは別のもっと深いところで繋がっているものですから」

 

「……!」

 

「金と銀。どちらも私からすれば眩く輝く尊い光です。どちらが上か下かなんてありません。人は脆弱で、欠陥だらけで、不完全体だからこそ……互いの欠点を補い合う。支え合う。完全体だなんて、もったいないですよ。それは誰とも交わらぬ孤独と変わらない」

 

 彼の前までやってくると、松陽は片膝を折り、手を差し伸べる。

 

「我々は、寄り集まって初めて完全にして無敵の主人公たりうる。その中に、貴方も入ってみませんか?」

 

「…………せ、先生ェ……!」

 

 ……私の視界からでは確認できないが──

 陽の逆光を浴びた松陽を見上げ、坂田金時はなにやら感極まっている。目からオイルだ。嘘だろお前。

 

「……言葉だけで章ボスの一人を……」

 

「からくりさえも引きこんじまうか。流石は先生だ」

 

 吉田松陽が原作で出禁な理由がわかった。アレ、戦力的にも人格的にも、坂田銀時の敵を攻略できちゃうからだろ。物語が乗っ取られる勢いだよ。

 

 原作主人公の師。それはつまり主人公の完全上位互換だ。

 主人公をより完全にした存在が金時だというのなら、その元たる主人公の上位互換に敵うハズもない。

 

 やはりラスボス適性しかなかったというのか、吉田松陽。最強ユニットが過ぎる。

 

「……教えてくれ、先生。アンタの下で、俺を磨き直してくれェェ!」

 

「いいでしょう。では丁度いいので授業を一つ」

 

 ニコッ! と松陽は笑みを浮かべた。

 

「ハンパ者が完璧を気取るなど百年早い」

 

 ゴグシャァ!! と撃音がする。拳骨音だ。

 それで金時の頭部ユニットが粉砕され、その機能が完全停止した。その瞬間、こちらの部屋にある2号機がピー、と音を立てて起動する。

 

 そして全裸スライディング土下座を決めながら部屋から飛び出してきた。

 

「スイマッセンしたァァァ!! お許しくださィィイイ!!」

 

「完全に調教されたよアレ。弟子どころか配下になりそうな勢いだよ」

 

「そらァ先生だからな」

 

 誇らしげに後方頷き腕組みしてんじゃないよ。マジで師匠大好きだなこいつ。松下村塾の高杉晋助ってこんな愉快な奴だったの? だったのに原作アレなの? しんどいな?

 

「区切りはつきましたが……どう立て直しましょうかね。記憶はいずれ戻るとはいえ、万事屋の彼ら側とも、なにかしら話を付ける必要があるのでは?」

 

「まぁ、そうだね。その辺は……」

 

「──これは驚き桃の木山椒の木。銀時様のライバルキャラがのうのうとなぜここに」

 

「ガルル……」

 

 声はからくり堂の外から。

 目を向ければ、そこには緑髪のロボメイドことスナックお登勢の看板娘・たまさんがいた。その横には、高杉を威嚇する巨大犬・定春もいる。

 

「なんだアイツは? てかデケエ犬だな」

 

「どうやら今回の丸投げ相手が来たみたいだね。ロボと動物には洗脳効かないから」

 

「しかも彼方様まで。やはり記憶喪失とは虚言、裏では鬼兵隊と繋がり、銀時様を亡き者にする機会を伺っていたのですか」

 

「半分違います」

 

 亡き者にしようとはしてねぇよ。

 

「では渾身の言い訳をお聞かせください。正直なところ、銀時様が忘れ去られ、大ピンチなので暴力で片付くような案件だと助かります」

 

「怖いロボ娘だな……その大ピンチを解決するための集まりだよ。ホラ見ろ」

 

 松陽の傍で全裸土下座中の金時を指し示すと、たまの眼が驚いたような挙動をする。

 さぁて、ご都合解決のご都合部分を皆で考えるとしますかね。

 

 

 *

 

 

 オチから言うと、全部たまの功績にすることによって、金魂篇の全編カットは実現された。

 

 以下、たまさんに入力したあらすじ。

 

『坂田金時。それは不在の多い銀時の代行を務めるリーダーを求めた産物。

 しかしからくりでありながら、増長した彼は周囲の人間を、かぶき町をも巻き込んで、人々から坂田銀時の足跡を自分に書き換え始めていた。

 その時! 異変に気付いたスナックお登勢がスーパー看板娘・たまは金時に勝負を仕掛ける!

 

「同じからくりとして、アナタの行いは見過ごせません。食らえ、たまビーム!!」

 

 ──……かくして坂田金時は、たまがこれまで築き、繋いできた絆・友情・努力などの力によって打ち倒されたのだった。あと定春。

 

 決して通りすがりの武家の長男が手を貸したりはしていない。ざまあねえ。バーカ

 

 

 

「ハアアアアアアアア!?!?!?」

 

 スナックお登勢にて──

 無事(?)帰ってきた銀さんのそんな叫び声を私と松陽は聞いていた。カウンターには、お登勢さんはもちろん、事のあらましを説明された銀さんや、若干釈然としていない顔の新八や神楽がいる。そんな彼らの様子を、少し離れたソファ席で他人事のように見届けていた。

 

「ちょッ……と待てェ!? 最後なんつった!? 最後なんつったお前!!」

 

「『決して通りすがりの武家の長男が手を貸したりはしていない。ざまあねえ。バーカ、取り消し線』」

 

「取り消し線の部分は要らねぇよ! ハア!? 武家の長男ておまぇっ……まさか高杉かッ!?」

 

「私の映像ログにはそれらしき人物の姿はありません。ただ、一時であれ万事屋代行リーダーを務めた坂田金時が、いかにして退場したのかを説明する手がかりは、この文章データのみです」

 

「絶対に何者かの細工を受けてるだろ! オイ新八、神楽! お前らはなんか思い出せねぇのか!?」

 

「それが……僕たちも金さんの洗脳にかかっていたので、詳しくは……」

 

「なんにも思い出せないアル。思い出せないのに、なんか勝手に大事件が解決しててモヤモヤするネ」

 

「じゃあ金時は!? お前らが発注したっつー諸悪の根源はどうした!!」

 

「ここにいるぜ、兄弟」

 

 その時、スナックの玄関に現れる金髪ストパー。

 衣装は銀さんの色違い。しかしてその(レンズ)は、まるで学び始めの新入生が如く真っすぐなものだ。

 

「どうやら『前の俺』がとんでもない迷惑をかけたようで悪かったな。だがアンタも、これに懲りたら万事屋リーダーとして粉骨砕身するこった。アンタの地位を狙ってる奴がいつ何時、現れるか分かったモンじゃねぇからな」

 

「敵だったクセになにエラソーに説教カマしてんだてめェはァ!? オイ! 本当は何があったんだよ、教えろや!! 毎週読んでたジャンプ一か月読み飛ばした気分なんだぞこっちは!!」

 

 金時に掴みかかり、そう追及する銀さん。

 されど金髪ストパーは揺るがない。そしてドヤ顔で、

 

「──俺も知らねェ」

 

「はアアッ!?」

 

「源外の爺さんも頑なに口を開かねぇし、俺のデータにも真相は入ってねぇ。そんなに気になるなら、その高杉って奴に聞きに行きゃいいじゃねぇか」

 

「行けるかァ!! 今度のシリアス長篇まで出番ねーだろアイツ! 何!? なんなの! こいつは何の伏線なんだよ!? 回りくどいホラーか!?」

 

 パニクッてギャーギャー騒いでいた銀さんだったが、そこでピタリと止まる。

 おや? 気配がなんかこっちに来ますね。

 

「……オイ自称不老不死。記憶したモンは未来まで持ってくっつってたよな。今回の件……なんか知ってんじゃねぇのか」

 

 傍まで来ると、そう言って銀さんが見下ろしてくる。

 半信半疑。怪訝の目。しかし残念ながら──

 

「いや、マジで私は何もしてない」

 

 本当にしていないのだ!

 なんか金時にエンカした高杉と松陽が勝手に原作を叩き壊したのだ!

 

「私が最後に見たのは、金さんがなんか戦ってたのと、その後にそいつが全裸土下座してた光景だけだ」

 

「マジで何も知らねーのかよ……嘘だろ……」

 

 ハイ、嘘は言ってない。

 嘘は言ってないぞー。「何も知らない」とも言ってないからねぇ!

 

「ま、ま、ま、折角の顔合わせだ。一緒に飲もうや兄弟。なァに安心しろ、俺はもう心を入れ替えた。また磨き直したら、今度は正々堂々とアンタに挑むさ」

 

「誰が兄弟だ誰が」

 

 肩を組もうとしてくる金時をうざがりながら、釈然としない顔で銀さんが引き下がっていく。

 かなりの荒技、剛腕だったが、これにて金魂篇──了である。

 

(次は……)

 

 次に待つのは我ら原作RTA組、最初の関門たる長篇。

 最終章への序章にして前日譚。

 

 一国傾城(けいせい)篇だ。

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