遊戯王vivid 鮮烈な決闘者たち   作:竜音(ドラオン)

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第2話

【二色の瞳の少女】

 

 

 

 

「あううう……」

「どうかしたのか?」

 

 

 通り魔に襲撃されてからすでに5日。

 テーブルに倒れこんで呻いている3人の少女たちがいた。

 制服の形状から近くの学校の初等科生だと言うことが分かる。

 そんな少女たちの珍しい姿に、俺は声をかけた。

 

 

「あ、遊砂さん」

「よう。ヴィヴィオは何でそんな状態なんだ?」

 

 

 俺に気づいてこちらを向いた八重歯の少女――リオに、未だに突っ伏している少女――ヴィヴィオについて尋ねる。

 この3人は常連で学校終わりによく寄ってくれるので、そこそこに話やデュエルをする仲なのだ。

 まぁ、それだけが理由ではないが今は良いだろう。

 

 

「実はこの前ノーヴェ先生の紹介でヴィヴィオが中等科の先輩のアインハルトさんとデュエルをしたんですが……」

「ほとんど手も足も出ず、途中でアインハルトさんがデュエルをやめちゃったんだよ……」

 

 

 3人目の少女――コロナの言葉に続くようにヴィヴィオは答えた。

 話を聞いた限りではヴィヴィオは先輩がデュエルをやめた原因が自分にあると考えている感じか。

 

 

「その先輩がデュエルをやめた理由は分かるか?」

「ううん。趣味と遊びの範囲内だったら充分に強い、とは言われたんだけど……」

 

 

 そう言いながらヴィヴィオの表情はどんどんと暗くなっていく。

 

(趣味と遊びの範囲内、ね……)

 

 何ともおかしなことを言う子だ。

 まるで趣味と遊びの()()()()のデュエルを知っているかのような言葉。

 

 

「それで?その先輩とはもう何もないのか?」

「えっと、明後日にもう一度デュエルをしてもらうんだけど……」

 

 

 明後日とはまた急な。

 だが再戦できるというのにヴィヴィオの表情はあまり明るくない。

 

 

「自分の本気の気持ちを伝えるって意気込んだのにどんな風にデッキに手を加えたらいいかが分からないんだよー……」

 

 

 そう言ってヴィヴィオはまたテーブルに倒れこむ。

 確かにデッキの改良は難航するものがあるので仕方がないのかもしれない。

 

 

「その先輩のデッキはどんなデッキだった?」

「ええと……。融合が主体のデッキだったよ」

「E・HEROっていう名前のモンスターがたくさん出てきてきてたよね」

 

 

 俺の問いにリオとコロナは記憶をたどりながら答える。

 

(E・HERO、ここでそれを聞くとは……)

 

 頭に浮かび上がってくるのは5日前にデュエルをした通り魔。

 関係があるとは思いたくはないが……。

 

 

「ならちょうどいい。【E・HERO】デッキなら持っているからデュエルするか」

「良いの!?」

 

 

 驚きながらヴィヴィオは勢いよくテーブルから飛び起きる。

 【E・HERO】はアイツのデッキの真似をして組んだからそこそこ扱えるはずだ。

 まぁ、完璧に真似できているわけではないから本人にはおよばないだろうが。

 

 

「客も少ないみたいだし、注文があってもトクミチがやるだろ」

「俺かよ!?」

 

 

 驚いたように近くにいた学生が声をあげる。

 こいつはトクミチ・テイダ。

 ここでバイトに入っている学生だ。

 今日はバイトの日ではないのだが、いるからには有効活用させてもらう。

 

 

「バイト代出すぞ」

「オーライ、店長。あとは任せろ」

「「「変わり身はやっ!?」」」

 

 

 トクミチの態度の急変に店内にいた客のほとんどが驚く。

 バイト代さえ出せば文句もないため、いつものことなんだが。

 

 

「じゃあ、始めるか」

「うん!」

 

 

 店内のデュエルスペースへ移動し互いにデュエルディスクにデッキをセットする。

 

 

「あ」

「どうした?」

 

 

 デッキをセットし、飴を口に入れようとするとヴィヴィオは俺を見ながら声を出した。

 

 

「いつもデュエルする前に飴を舐めてるなー、って思って」

「ああ。癖みたいな感じだから気にするな」

 

 

 どうやら、いつも飴を舐めていることが気になったらしい。

 確かにいつも舐めていたら気にはなるかもしれないな。

 俺の説明にヴィヴィオは納得したらしく、デュエルディスクを構える

 

(まぁ、本当は舐めなきゃ普通のデュエルができないからなんだがな……)

 

 この飴を舐めている本当の意味は教える必要はないだろう。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

 さて、先攻は……

 

 

「俺からだな。俺は《マスマティシャン》を召喚」

 

マスマティシャン ATK1500

 

 

 現れたのは杖を手に持つ眼鏡をかけた老人。

 アイツのデッキには入っていなかったが入れないと回せないからな。

 

 

「《マスマティシャン》の効果でデッキから《E・HEROアナザー・ネオス》を墓地に送る」

 

E・HEROアナザー・ネオス→墓地

 

 

 墓地に送るのは《E・HEROネオス》が小さくなったような姿のヒーロー。

 他のヒーローでもよかったのだが相手はヴィヴィオ。

 警戒しておいて損はない。

 

 

「カードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

遊砂 LIFE8000

マスマティシャン ATK1500

セットカード1

手札3

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

 

 デッキからカードを引き抜き、手札のカードと見比べる。

 初等科生とは言え相手が相手。

 一瞬でライフが無くなる可能性もあるのだ。

 

 

「私は《EMギタートル》をペンデュラムゾーンにセッティング!」

 

EMギタートル スケール6

 

 

 ヴィヴィオの背後に光の柱が現れ、中に亀とギターが合わさったようなモンスターが現れた。

 

(開幕でギタートル、ってことはもう1体は……)

 

 現れたモンスターに嫌な予感を感じながらセットカードをいつでも発動できるように備える。

 

 

「さらに私は《EMリザードロー》をもう片方のペンデュラムゾーンにセッティング!」

 

EMリザードロー スケール6

 

 

 続けて現れたのはカードが襟巻きのように首についているトカゲ。

 既に分かったかもしれないが、ヴィヴィオのデッキは【EM】。

 【EM】には下級モンスターが多く、ステータスは低い方だが効果によって味方をサポートする戦いを得意としている。

 正直に言って数が揃うと厄介な相手である。

 

 

「もう片方のペンデュラムゾーンにEMと名のついたカードがセットされたためギタートルの効果が発動!デッキから1枚ドロー!」

 

 

 リザードローがセットされたためにギタートルの効果が発動される。

 しかしこれで終わりではない。

 

 

「さらにリザードローの効果を発動!このカードを破壊してデッキから1枚ドロー!」

 

EMリザードロー→破壊

 

 

 とたんにリザードローは煙をあげながら姿を消し、1枚のカードがヴィヴィオの手元へと飛んでいった。

 ギタートルとリザードローによるドローコンボ。

 ペンデュラム召喚が最大5になるか最小7になる制限はあるものの、手札の枚数が変わらずに展開できるのは十分に強力だ。

 

 

「そして今度は《EMモンキーボード》をセッティング!」

 

EMモンキーボード スケール1

 

 

 さらに続くように現れたのは歯がキーボードになっている猿。

 まさかこいつまで握っているとは思ってもいなかったが。

 

 

「モンキーボードをセットしたターンのメインフェイズ、デッキからレベル4以下のEMを手札に加える事ができるよ!私は《EMドクロバット・ジョーカー》を手札に加えて召喚!」

 

EMドクロバット・ジョーカー ATK1800

 

 

 場に現れたのはつぎはぎの帽子をかぶった道化師のような姿のモンスター。

 

 

「ドクロバット・ジョーカーの効果でデッキから《EMシルバー・クロウ》を手札に加えるよ!」

 

 

 ドクロバット・ジョーカーが帽子からカードを取り出しヴィヴィオへと手渡す。

 何が恐ろしいかと言えば手札がまだ1枚も減っていないという点だろう。

 手札の内容次第ではこのターンで負けが決まってしまう。

 

 

「さすがは()()ってか……」

「揺れて、魂のペンデュラム!天空に絵描くは神聖のアーク!ペンデュラム召喚!出てきて、私のモンスターたち!」

 

EMシルバー・クロウ ATK1800

EMドラミング・コング ATK1600

EMビッグバイトタートル ATK800

EMリザードロー ATK1200

 

 

 俺の呟きは聞こえてなかったらしく、ヴィヴィオはデュエルを続ける

 そしてヴィヴィオの場が全て埋まった。

 なんと言えばよいのか分からないほどに不利である。

 

(おいおい、効果を含めて総火力9300。ワンキルでも狙ってるのかよ……)

 

 すさまじい展開に冷や汗を流す。

 このままではライフが一気に無くなるのは明白。

 

 

「罠カードオープン、《ヒーロー・ブラスト》!俺は墓地のアナザー・ネオスを手札に加える!」

 

 

 セットカードを発動した瞬間、目の前の空間にヒビが入る。

 そしてそのヒビを突き破りながらアナザー・ネオスが現れた。

 

 

「さらに《ヒーロー・ブラスト》の効果で手札に加えたモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つモンスターを1体破壊する!」

 

 

 《ヒーロー・ブラスト》の真価、それは相手のモンスターの破壊。

 アナザー・ネオスの攻撃力は1900、よってそれ以下のモンスターであれば破壊できるのだ。

 

(とはいえ、どれを破壊しても厄介なことに変わりはないが……)

 

 ヴィヴィオの場にはシルバー・クロウとリザードローがいる。

 総ダメージを下げるならシルバー・クロウなのだが、その場合リザードローによって手札を増やされる。

 かといってリザードローを破壊すると、シルバー・クロウによって総ダメージが底上げされる。

 

 

「……俺はリザードローを破壊する」

「きゃあっ!?」

 

 

 アナザー・ネオスの放った蹴りによりリザードローは破壊された。

 

(手札を増やされる方が厄介だからな……)

 

 そしてアナザー・ネオスは手札へと戻ってきた。

 

 

「減っちゃったけど……。シルバー・クロウで《マスマティシャン》を攻撃!そしてシルバー・クロウとドラミング・コングの効果を発動して攻撃力をアップ!」

 

EMシルバー・クロウ ATK1800→2100→2700

EMドクロバット・ジョーカー ATK1800→2100

EMドラミング・コング ATK1600→1900

EMビッグバイトタートル ATK800→1100

 

○ATK2700VSATK1500×

 

「くっ……」

 

遊砂LIFE8000-1200=6800

 

 

 それぞれの効果によってシルバー・クロウの攻撃力が上級モンスター並の攻撃力へと変化し、《マスマティシャン》をあっさりと破壊する。

 しかもシルバー・クロウの効果で他のモンスターまで攻撃力が変化した。

 

(ペンデュラムゾーンのカードを破壊しない限りこの攻撃力が続くのはキツイな……)

 

 セットが無いとはいえこの攻撃力のモンスターを毎ターン相手にするのは骨が折れるだろう。

 

 

「《マスマティシャン》が戦闘で破壊されて墓地に送られたのでデッキから1枚ドロー」

「続けて残りのモンスターたちで攻撃!」

 

遊砂LIFE6800-2100-1900-1100=700

 

 

 総攻撃によりライフが風前の灯となる。

 墓地に落としたのがアナザー・ネオス以外だったらこの時点で負けていたな。

 

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド!」

 

ヴィヴィオ LIFE8000

EMシルバー・クロウ ATK1800

EMドクロバット・ジョーカー ATK1800

EMドラミング・コング ATK1600

EMビッグバイトタートル ATK800

セットカード2

ペンデュラムゾーン

EMギタートル スケール6

EMモンキーボード スケール1

エクストラ

EMリザードロー

手札1

 

 

 手札が少ないとはいえ、なんと言えばいいのか……

 普通に考えてあり得ない展開をしているとしか言えないのではないだろうか。

 はたして、この状況を覆せる者がどれくらいいるか……

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 

 これで手札の枚数は6枚。

 枚数だけであればヴィヴィオを上回っている。

 しかし、反撃の手段となるとかなり限られてくるのだ。

 

 

「俺は手札のアナザー・ネオスとバブルマンを融合!」

 

 

 一先ず、ヴィヴィオの場を一掃することから始めた方が良いだろう。

 《ヒーロー・ブラスト》で手札へ加わったアナザー・ネオスと水のヒーローが合わさり新たなヒーローが誕生する。

 

 

「融合召喚!極寒のヒーロー、《E・HEROアブソルートZero》!」

 

E・HEROアブソルートZero ATK2500→3000

 

 

 現れたのは凍てつく凍気を纏う氷結のヒーロー。

 さらに自身の効果によって攻撃力を上昇させた。

 

 

「攻撃力は高いけどそれくらいじゃ負けないよ!」

「慌てるなって。ヒーローは変身をまだ残してるんだからな」

 

 

 アブソルートZeroの召喚に驚きはしたものの、ヴィヴィオはまだ余裕そうな表情を変えない。

 確かにビッグバイトタートルがいるのだから平気だと考えられるのだろう。

 ちなみにビッグバイトタートルの効果は戦闘によってこのモンスターを破壊したモンスターを破壊するというものだ。

 だが、甘い。

 

 

「俺は《マスク・チェンジ》を発動!」

 

 

 俺がカードをセットした瞬間、アブソルートZeroは大きく跳び上がる。

 さらに光を放ち、その姿を変えていく。

 

 

「変身召喚!全てを押し流す豪雨のヒーロー、《M・HEROアシッド》!」

 

M・HEROアシッド ATK2600

 

 

 アブソルートZeroの放つ光が収まった時、そこにいたのは全く違う姿のヒーローだった。

 そして、これによりヴィヴィオの場が完全に一掃される。

 

 

「アブソルートZeroが場を離れた時、相手の場のモンスターを全て破壊する!『大氷(アイス)河期(エイジ)』!」

「そんな!?」

 

EMシルバー・クロウ→破壊

EMドクロバット・ジョーカー→破壊

EMドラミング・コング→破壊

EMビッグバイトタートル→破壊

 

 

 いきなり現れた氷山によりヴィヴィオの場のモンスターたちは氷の中へと飲み込まれ破壊されていった。

 しかし、いたのは全てペンデュラムモンスター。

 エクストラデッキに行っただけなのでこのままでは再び召喚されてしまうだろう。

 

 

「続いてアシッドの効果を発動!アシッドが特殊召喚に成功した時、相手の場の魔法、罠を全て破壊する!『アシッド・レイン』!」

「嘘っ!?」

 

EMギタートル→破壊

EMモンキーボード→破壊

セットカード2→破壊

 

 

 アシッドの放った銃撃がヴィヴィオの場の魔法、罠を全て破壊していく。

 なお、ペンデュラムゾーンにあるペンデュラムモンスターも魔法カード扱いのため、アシッドによって破壊される。

 これでヴィヴィオの場にはなにも存在せず、手札も1枚のみとなった。

 

 

「そしてアシッドをリリースして《偉大(グレート)魔獣ガーゼット》をアドバンス召喚!」

 

偉大魔獣ガーゼット ATK0→5200

 

「ええええええええっ!?」

「ヴィヴィオの場は……何もないのに!?」

「攻撃力……5200!?」

 

 

 現れた悪魔の攻撃力に3人は驚き、叫ぶ。

 確かに決まればゲームエンド並のコンボではあるのだが、驚くほどだろうか。

 

(確かに攻撃力は高いが、他に効果はないんだが……)

 

 《偉大魔獣ガーゼット》の効果は、アドバンス召喚のためにリリースしたモンスターの攻撃力を倍にした攻撃力になるというかなり単純なもの。

 効果に対する耐性なんて持っていないし、《スキル・ドレイン》や《エフェクト・ヴェーラー》、《幽鬼うさぎ》などのカードで簡単に対処できる。

 まぁ、ヴィヴィオの最後の手札がそれらのカードではないのなら防ぐことはできないが。

 

 

「ガーゼットでダイレクトアタック、『グレート・バンカー』!」

「きゃあああああっ!?」

 

ヴィヴィオLIFE8000-5200=1800

 

 

 ガーゼットの放った拳によりヴィヴィオのライフが一気に削り取られる。

 

――――ドクンッ……

 

 不意にエクストラデッキの中から脈動を感じた。

 

(ガーゼットにつられて反応しやがったな……)

 

 思い浮かぶのは何枚かのカード。

 確かに、本来であれば〝その〟カードたちを召喚するのがこのデッキ本来の姿なのだ。

 それをヴィヴィオとデュエルをするために調整をしたから不満なのだろう。

 

 

「俺はカードをセットしてターンエンドだ」

 

遊砂LIFE 700

偉大魔獣ガーゼット ATK5200

セットカード1

手札0

 

 

「ううう……」

 

 

 やや俯き、ヴィヴィオはデッキからカードを引こうとしない。

 どうやら一気に逆転をされて心が折れかけているようだ。

 

 

「ヴィヴィオ、諦めるのか?」

「だって、こんなの勝てるわけない……」

 

 

 瞳に涙を溜め、ヴィヴィオは悲しげにこちらを見つめてくる。

 

(こんなとこまでアイツと同じ、か)

 

 思い出すのはヴィヴィオと同じ(ロート)(グリューン)の瞳を持った少女の姿。

 

 

「デッキには可能性が秘められていて、信じればデッキは答えてくれる」

「え……?」

「お前と同じように泣きそうになっていた子に言った言葉だ。ヴィヴィオ、お前はまだデッキからカードを引いていない。デッキの可能性が全てなくなったわけじゃないんだ。それに、先輩に本気の気持ちを伝えるんだろ?ここで諦めてたら本気の気持ちを伝えられないぞ?」

「あ……。うん!」

 

 

 一瞬、呆けた表情をしたものの、ヴィヴィオはすぐに悲しげな表情を消す。

 

 

「答えて、私のデッキ……。ドロー!」

 

 

 目を閉じて集中し、ヴィヴィオはデッキからカードを引く。

 他の奴が気づいているかは分からないが、ヴィヴィオのエクストラデッキから微かな光が漏れていた。

 もうすぐアイツのカードが再び現れるのだろう。

 

 

「私は《金満な壺》を発動!エクストラデッキのリザードロー、ギタートル、モンキーボードをデッキに戻して2枚ドロー!」

 

 

 ヴィヴィオが発動したのは禁止カードになっている《強欲な壺》を模した金色の壺。

 壺系の魔法カード共通の効果、2枚ドローは強力だが特殊召喚がペンデュラム召喚しかできなくなるデメリットが存在している。

 

 

「私はペンデュラムゾーンに《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》をセッティング!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン スケール4

 

 

 ヴィヴィオの後ろに現れたのは、ヴィヴィオと同じオッドアイのドラゴン。

 このドラゴンこそがヴィヴィオの切り札であり、()()の切り札でもあったモンスターだ。

 

 

「さらに私は《EMアメンボート》を召喚し、カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

EMアメンボート ATK500

 

「そしてエンドフェイズにペンデュラムゾーンのオッドアイズの効果を発動!このカードを破壊してデッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスター、《星読みの魔術師》を手札に加えるよ!」

 

ヴィヴィオLIFE1800

EMアメンボート ATK500

セットカード1

手札1

 

 

「攻撃力500を攻撃表示!?」

「その攻撃力じゃ防げないよ!?」

 

 

 どうやらリオとコロナはアメンボートの効果を知らないようだ。

 まぁ、知っていれば対処も可能だから慌てることもない。

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

 

 引いたカードは……魔法カード。

 

 

「アメンボートは攻撃表示の時に攻撃対象に選ばれたとき、守備表示にすることで攻撃を無効にすることができる」

「うん。知ってたんだね?」

「まあな。だから効果で破壊させてもらう。俺は《死者への供物》を発動!対象はアメンボート!」

 

 

 次のドローができなくなるが十分に使い勝手のよい速攻魔法。

 相手の発動した魔法、罠を破壊する効果にチェーンすれば少しだけ特だろう。

 

 

「なら私はそれにチェーンして《エンタメ・フラッシュ》を発動!私の場にEMが存在しているときに発動できて、相手の場の攻撃表示のモンスターを全て守備表示になって次のターンの終了時まで表示形式を変更できない!」

 

 

 アメンボートが破壊される直前、凄まじい光を発し目が眩む。

 そして光が収まるとガーゼットが防御の態勢をとっていた。

 

偉大魔獣ガーゼット ATK5200→DEF0

 

 守備力が0なのだから防御の態勢をとっても意味がない気がするが気にしない方がいいのだろうか。

 

 

「うまく凌いだか……。俺はこれでターンエンド」

 

遊砂LIFE700

偉大魔獣ガーゼット DEF0

セットカード1

手札0

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

 

 ヴィヴィオがデッキからカードを引いた瞬間、誰の目から見ても明らかなほど眩い光がヴィヴィオのエクストラデッキから発せられた。

 

 

「私は《星読みの魔術師》と《時読みの魔術師》をペンデュラムゾーンにセッティング!」

 

星読みの魔術師 スケール1

時読みの魔術師 スケール8

 

 

 ヴィヴィオの背後に現れたのは白い格好の魔術師と黒い格好の魔術師。

 スケールが1と8ということは2から7のレベルのモンスターが出せるということだ。

 

 

「もう一度揺れて、魂のペンデュラム!天空に絵描くは神聖のアーク!ペンデュラム召喚!出てきて、私のモンスターたち!」

 

EMビッグバイトタートル DEF1200

EMドクロバット・ジョーカー ATK1800

EMシルバー・クロウ ATK1800

EMドラミング・コング DEF900

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK2500

 

 

 5体中3体が攻撃表示。

 つまりは防がれた時の対策もしていると言うことになる。

 

 

「私の本気の気持ち……絶対に伝えるんだ!私は《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と《EMシルバー・クロウ》をリリース!」

「え!?」

「ヴィヴィオの手札はないから上級モンスターもいないのに!?」

 

 

 ヴィヴィオの行動にリオとコロナは驚き、ヴィヴィオを見つめる。

 確かに今のヴィヴィオの手札は0枚で手札にモンスターはいない。

 しかし今のヴィヴィオのデッキにはその条件で召喚できるモンスターが存在している。

 

 

「誇り高き銀狼よ。二色の眼持ちし龍と1つになりて新たな力を生み出して!融合召喚!《ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》!」

 

ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK3000

 

 

 シルバー・クロウとオッドアイズが1つになり、新たなドラゴンがその姿を現す。

 全体的に体毛が生え、獣のように姿を変えたオッドアイズ。

 この姿こそオッドアイズの持つ可能性の1つだ。

 

 

「ついに召喚できたな……」

「これが、私の本気の気持ちです!」

 

 

 昔見た姿とどこも変わっていないビーストアイズの姿。

 その姿に俺は懐かしさを感じていた。

 

 

「まずはドクロバット・ジョーカーでガーゼットに攻撃!」

「なら罠カード発動、《陰謀の盾》。このカードは装備カードになり、装備したモンスターは1度だけ戦闘では破壊されず、戦闘ダメージも0になる」

 

○ATK1800VSDEF0×

 

 

 《陰謀の盾》によりガーゼットは守られ、ドクロバット・ジョーカーの攻撃では破壊されなかった。

 

 

「ならビーストアイズで攻撃!『ヘルダイブバースト』!」

「く……!」

 

○ATK3000VSDEF0

 

 

 《陰謀の盾》の効果を失ったガーゼットはビーストアイズによって破壊される。

 だが、ビーストアイズにはまだ残された効果がある。

 

 

「ビーストアイズが戦闘でモンスターを破壊した場合、融合素材にした獣族モンスター1体の元々の攻撃力分のダメージを相手に与えるよ!シルバー・クロウの元々の攻撃力は1800!よって1800のダメージ!」

「……よくやった」

 

遊砂LIFE700-1800=-1100

 

 

 ビーストアイズの放った炎を受け、俺のライフが0になる。

 確かに調整はしたが、ほぼ全力は出せたはずだ。

 

 

「遊砂さん、ありがとうございました!」

「おう。もう大丈夫みたいだな」

 

 

 デュエルをする前の気落ちしていた姿はどこへ行ったのか。

 ヴィヴィオはとても嬉しそうに話しかけてきた。

 この様子なら明後日にあるという先輩とのデュエルも大丈夫だろう。

 嬉しそうに話す3人の姿を見ながら俺は仕事に戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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