デュエルパートがとくに難産でした。
【罪深き王の再誕を願う者】
―――アラル港湾埠頭・廃棄倉庫区画
「ダークリベリオンでビーストアイズを攻撃!『反逆のライトニング・ディスオベイ』!」
「きゃああああ!!」
《ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の攻撃を受けヴィヴィオのライフが0になる。
中等科の先輩、アインハルトとヴィヴィオのデュエルはアインハルトの勝利という形で終わりを告げた。
(流石は覇王の子孫。幼いとはいえ聖王に勝つか……)
デュエルが終わり、疲労から動けなくなったヴィヴィオを背負って歩いていくアインハルトを見て昔を懐かしむ。
昔はアイツらの実力はほぼ拮抗していた。
故に互いに勝ったり負けたりを繰り返していたのだ。
しかし今のヴィヴィオは聖王とはいえ、その記憶や経験がなく。
さらには年齢的にも下である。
そこが勝敗の決め手だったのだろう。
「お疲れさん。いいデュエルだった」
「うん。無理を言ってお店を休ませちゃってごめん」
労いの言葉をかけるとヴィヴィオは申し訳なさそうに目を伏せた。
デュエルをする前にも謝っていたな。
「気にするな。今日は休みにする予定だったから」
なんでもないことだと答えながらヴィヴィオの頭に手を置く。
本当に優しい子だ。
「……デュエルは終わったぞ。そこにいる奴、出てこい」
「え?」
「おいおい、ここは救助隊が訓練で使ってる場所だぞ?他には誰もいねーよ」
俺の言葉に何人かは首をかしげ、赤髪の女性――ノーヴェは呆れたように答える。
確かに周囲に人影はなく、不審な魔力も感じない。
「そこの倉庫の影に隠れているのは分かっているんだ。さっさと出てこいロリコンストーカー」
「……なぜ私がいることが分かった。あと、私はロリコンではない」
現れたのは長身で金髪の男。
男が現れたことに俺以外の全員が驚く。
「〝JS事件〟の時だったか。その時に眼鏡をかけた変態に何回も追われて周辺サーチには改良を加えてるんだよ。だから魔力の隠蔽程度は意味がない」
〝JS事件〟の時に現れた眼鏡の変態。
名前は確か……クアトロだったか?
そいつは姿と魔力をほとんど隠蔽してしまうので普通にサーチするのでは見つからなかったのだ。
(そういや、あの事件から見てないな)
まぁ、いなければいないで助かるから良いのだが。
ふと見るとノーヴェやその姉妹たちが何故か遠い目をしたり膝から崩れ落ちていた。
「ちぃっ……。まぁ、いい。ここにいる全員を我が王の復活の贄にすることに変わりはない。そして、最初の贄は貴様だ!」
男の言葉と同時にワイヤーのようなものが俺の腕と男の腕をつなぐ。
見たところ簡単に外れるような代物ではないようだ。
「さあ、デュエルだ!その命と魔力、全てを捧げるがいい!」
「しゃーないか。……本気の一部を見せてやるよ」
ニヤリと笑う男を正面から睨み付けながら魔力を解放していく。
このデュエルに飴は必要はない。
「「デュエル!」」
デュエル開始の宣言とともに先攻後攻が決まる。
先攻は男からだ。
「私の先攻、私は《テラ・フォーミング》を発動し《Sin World》を手札に加える!」
「《Sin World》?」
男が手札に加えたのは聞き覚えのないカード。
フィールド魔法ということはデッキの内容がある程度は伺えるかもしれない。
「そして、私は我が王へと贄を捧げるための世界。《Sin World》を発動!」
「なんだこれは!?」
フィールド魔法が発動されると同時に、周囲の色が目に見えておかしくなっていく。
その光景にノーヴェたちは驚き声を上げる。
「見るがいい!私は、デッキの中の《真紅眼の黒竜》を除外して《Sin 真紅眼の黒竜》を特殊召喚する!」
Sin 真紅眼の黒竜 ATK2400
現れたのは頭と翼が白く染まった真紅眼。
その姿はどこか苦しんでいるようにも見える。
「私はこれでターンエンド!」
男 LIFE8000
Sin 真紅眼の黒竜 ATK2400
フィールド Sin World
手札3
最初のターンから上級を呼び出し、場も用意する。
確かに、これだけできる男は強い部類に入るのだろう。
そして一番問題なのはSinというカテゴリー。
フィールド魔法や真紅眼の名前にも着いていることから他にも似たようなカードがある可能性がある。
「俺のターン、ドロー!」
どうやって戦うにしてもカードを引かなければ話は進まない。
「俺は《地獄門の契約書》と《魔神王の契約書》を発動する!」
「け、契約書!?」
2枚のカードを発動した瞬間、俺の場に紐が巻き付いている紙と石板が出現した。
発動したカードを見て、アインハルトは驚きの声を上げる。
確かにこのデッキはアイツらとデュエルするときによく使っていた物だ。
もしかしたら俺の正体にも気づいたかもしれない。
「地獄門の効果でデッキから《DDナイト・ハウリング》を手札に加える」
「永続魔法ってことはあの効果は毎ターン使えるのかな」
「強力な効果ね……」
デッキからカードを手札に加えると青髪の女性――スバルと橙色の髪の女性――ティアナが呟く。
(効果は強いけど、対策がないとかなり不利になるんだが……)
呟きを聞きながら俺はデュエルを続ける。
「魔神王の効果で手札の《DDバフォメット》と《DD魔導賢者コペルニクス》を墓地に送り、融合召喚をする!」
翼の生えた悪魔と内部に火球を灯した悪魔が1つになり、新たな姿へと変わっていく。
「業火
DDD烈火王テムジン ATK2000
現れたのは紅い盾と剣を持った悪魔の王。
攻撃力はそこまで高くはないが優秀な効果を持っている。
「そして、《DDナイト・ハウリング》を召喚!」
DDナイト・ハウリング ATK300
現れたのは巨大な口の悪魔。
「ナイト・ハウリングの効果で墓地のコペルニクスを特殊召喚!さらにコペルニクスの効果でデッキから《DDリリス》を墓地に送る!」
DD魔導賢者コペルニクス ATK0
「そしてレベル4、コペルニクスに、レベル3、ナイト・ハウリングをチューニング!」
「融合の次はシンクロ召喚!?」
ナイト・ハウリングが3つの光の輪となりコペルニクスがその中を通り抜ける。
「旋風
DDD疾風王アレクサンダー ATK2500
さらに現れたのは片刃の剣を持ち、マントを着けた悪魔の王。
そしてアレクサンダーが現れたことによってテムジンの効果が発動する。
「テムジンが場に存在し、他のDDモンスターが特殊召喚された場合、墓地のDDモンスターを対象として発動できる!俺は墓地のバフォメットを選択し、特殊召喚!」
DDバフォメット ATK1400
「さらにアレクサンダーが場に存在し、他のDDモンスターが召喚、特殊召喚された場合、墓地のレベル4以下のDDモンスターを対象として発動できる!俺は墓地のリリスを選択し、特殊召喚!」
DDリリス ATK100
「こ、今度は同じレベルのモンスターが2体……」
「そして特殊召喚に成功したリリスの効果で墓地のコペルニクスを手札に加える」
繰り返される特殊召喚に全員が驚き、言葉を失う。
確かに見応えはあるが、展開できるデッキは他にもあるはずだ。
「バフォメットとリリスでオーバーレイネットワークを構築!」
バフォメットとリリスが光の珠となって渦を描きながら1つになる。
「
DDD怒濤王シーザー ATK2400
烈火、疾風、さらに続くように現れたのは怒濤の悪魔の王。
さらに加えて言うのならば、この展開を行うのに手札の消費が僅かに3枚だということだろう。
「融合、シンクロ、エクシーズ。3種類の召喚方法を1ターン目からやるなんてスゴいっすね!」
「ああ。しかも手札の消費も少ない上に真紅眼の攻撃力を超えるモンスターもいる」
融合、シンクロ、エクシーズ。
3種類の召喚方法を1つのデッキで行う。
言葉にするには簡単だが、実際に組むのはかなり難しい。
専用の構築でも手札事故を起こす頻度は少なくないだろう。
「アレクサンダーで真紅眼に攻撃!『疾風連斬』!」
○ATK2500VSATK2400×
アレクサンダーが剣を振るうと風の刃が出現し、真紅眼へと放たれた。
放たれた風の刃は真紅眼の翼を切り落とし、次の瞬間には首が切り落とされた。
破壊される直前、真紅眼の目に安堵の色が見えたのは気のせいだろうか。
「はははは!この程度の攻撃、痛くもない!」
男LIFE8000-100=7900
「続けてシーザー、テムジンでダイレクトアタック!『怒濤波撃』!『烈火崩刃』!」
男LIFE7900-2400-2000=3500
ライフを半分以上減らされたというのに男の表情に変化はない。
むしろ笑みさえ浮かべていた。
「俺はカードをセットしてターンエンド!」
遊佐LIFE8000
DDD烈火王テムジン ATK2000
DDD疾風王アレクサンダー ATK2500
DDD怒濤王シーザー ATK2400
地獄門の契約書
魔神王の契約書
セットカード1
手札2
さて、男の場にはフィールド魔法のみ。
そして手札は3枚。
ライフだけは半分以下にまで持っていったが、まだ油断はできない。
「私のターン。私はドローフェイズに《Sin World》の効果を発動する!」
「やはり何かしらの効果を持っているか……」
召喚されたモンスターのステータスに変化がなかったことから強化などではないことは伺えていた。
ドローフェイズに発動するということは、ドロー関連の効果なのだろうか。
「私はデッキからSinと名のついたカードを3枚選択し、相手はその中からランダムに1枚を選択する。選択されたカードを手札に加え、残りはデッキに戻してシャッフルする」
「Sinをサーチする効果か!」
3枚の内からランダムに1枚とは言え、かなり使いやすい効果だと言えるだろう。
(3枚とも同じカードにすれば必ず手札に加わるしな……)
維持さえできればある程度は望むカードを手札に加えられるのだ。
「私は《Sin青眼の白龍》《Sinサイバー・エンド・ドラゴン》《Sinレインボー・ドラゴン》を選択する!」
選択されたのはどれも高攻撃力を誇るモンスターの代名詞たち。
真紅眼の時と同じように特殊召喚が容易だと想像するのは間違いではないだろう。
「俺は……右のカードを選択する」
「では残りの2枚をデッキに戻そう。さらに私は《トレード・イン》を発動し、《ダークストーム・ドラゴン》を捨てて2枚ドロー」
選択したカードはなんだったのか。
デッキからカードを引く男を見ながら思考する。
今のところ出てきているのはレベルの高いドラゴン族と《Sinサイバー・エンド・ドラゴン》のみ。
これだけなら高火力ドラゴンだと考えられるのだが……
「私はデッキの中の《青眼の白龍》を除外して、《Sin青眼の白龍》を特殊召喚する!」
Sin青眼の白龍 ATK3000
現れたのは所々が黒く染められた青眼。
その姿に誰もが知る力強さは感じられず、ただただ悲痛さを感じられた。
しかし、青眼であればまだ戦いやすいのも事実。
他の2体であったのならば攻撃力の都合で少しばかり厳しかっただろう。
「安堵したな?」
「なに?」
そんな俺の考えを読んだのか、男はニヤリと口角を上げる。
「貴様は他のSinでなくて安堵しただろう。しかし、その判断は大きな間違いだ!私の場にレベル8のモンスターが存在する場合、このモンスターはリリースなしで召喚できる!現れろ《星間竜パーセク》!」
星間竜パーセク ATK800
男の場に現れたのは紫色のどこか虫のようにも見える竜。
攻撃力などは大したことはない。
レベルが青眼と同じ8であること以外は。
「貴様の魔力で我が王の力を見せることができる。私はSin青眼とパーセクでオーバーレイネットワークを構築!」
Sin青眼とパーセクが光の珠となり渦を描きながら1つになる。
「現れろ、No.46!雷鳴よ、とどろけ。稲光よ、きらめけ。顕現せよ、我が金色の龍、神影龍ドラッグルーオン!」
No.46神影龍ドラッグルーオン ATK3000
最初に現れたのは毛のようなものが複雑に絡まりあった不思議な物体。
その絡まりがほどかれていくと中から神聖な雰囲気を持った龍が現れた。
さらに男の手の甲に46という数字が現れているのが見える。
「な、ナンバーズ……?」
「そんなモンスター聞いたこと無いっすよ?」
現れたモンスターに全員が驚き、ざわめく。
だが、今はそんなことを気にしている暇は無いだろう。
なぜならこのモンスターから強い魔力を感じるからだ。
「ドラッグルーオンのオーバーレイユニットを1つ取り除いて効果を発動!手札からドラゴン族モンスターを特殊召喚する!現れろ《ダークストーム・ドラゴン》!」
ダークストーム・ドラゴン ATK2700
ドラッグルーオンの咆哮に答えるかのように黒い竜巻を纏った龍が男の場に出現した。
「そして《ダークストーム・ドラゴン》に《スーペルヴィス》を装備し、デュアル状態にする!」
デュアルモンスター、それは召喚権を使って効果モンスターに変化するモンスター。
最近ではあまり見ないが通常モンスター扱いになる点は使いやすい点だろう。
「《ダークストーム・ドラゴン》の効果を発動!私の場の表側表示の魔法、罠を墓地に送ることで場の魔法、罠を全て破壊する!」
「させるか!罠カードオープン、《
地獄門の契約書→破壊
魔神王の契約書→破壊
手札2→4
遊佐LIFE8000+2000=10000
「ちっ……。墓地に送られた《スーペルヴィス》の効果で墓地の《ダークストーム・ドラゴン》を特殊召喚する!」
ダークストーム・ドラゴン2 ATK2700
《スーペルヴィス》の効果は表側表示のこのカードが墓地に送られた時に自分の墓地の通常モンスターを選択して特殊召喚するというもの。
墓地や場で通常モンスター扱いになるデュアルモンスターだから蘇生できたのだ。
「2体の《ダークストーム・ドラゴン》でテムジンとアレクサンダーを攻撃!『黒の旋嵐』!」
「くぅっ…」
○ATK2700VSATK2000×
○ATK2700VSATK2500×
遊佐LIFE10000-700-200=9100
2体の《ダークストーム・ドラゴン》の巻き起こした竜巻によってテムジンとアレクサンダーは破壊される。
攻撃にはやはり魔力が込められていたらしく、竜巻の通った地面は深く抉れていた。
直接攻撃を受けたら防壁を張らないと大怪我をしてしまうだろう。
「破壊されたテムジンの効果で墓地の契約書、《魔神王の契約書》を手札に加える!」
「それがどうした!ドラッグルーオンでシーザーに攻撃!『
「攻撃宣言時、シーザーのオーバーレイユニットを1つ取り除いて効果を発動!」
○ATK3000VSATK2400×
遊佐LIFE9100-600=8500
「なんの意味があったか知らんが、意味がなかったようだな」
「シーザーが場から墓地に送られた時に効果を発動!デッキから契約書、《地獄門の契約書》を手札に加える!」
場のモンスター全てが破壊され、防ぐものがなくなる。
だが王たちのサーチ効果と《契約洗浄》によって手札は潤沢だ。
「そしてバトルが終了したとき、シーザーの効果によってこのターンに破壊されたモンスターを可能な限り特殊召喚する!」
DDD烈火王テムジン ATK2000
DDD疾風王アレクサンダー ATK2500
DDD怒濤王シーザー ATK2400
これで全てが元通りになる。
いや、手札が倍以上になっているのだからかなりアドバンテージを得た。
シーザーの効果は破壊されたモンスターを特殊召喚するもの。
もちろんデメリットは存在しているので使い勝手が良いとは言い切れない。
さらには、バトルフェイズを挟まなければ蘇生はできず、破壊されたモンスター以外を蘇生することもできない。
「くっ……。ならば私は2体の《ダークストーム・ドラゴン》でオーバーレイネットワークを構築!」
2体の《ダークストーム・ドラゴン》が黒い暴風へと変化し、1つになる。
「現れろ、No.38!その身に銀河を宿し、羽ばたく竜よ。希望に寄せられた者共を喰らい尽くせ!希望魁竜タイタニック・ギャラクシー!」
No.38希望魁竜タイタニック・ギャラクシー ATK3000
現れたのは2体目のナンバーズ。
その竜は瞳の中に宇宙の星々を宿しており幻想的な雰囲気を放っている。
「私はこれでターンエンドだ」
男LIFE3500
No.46神影龍ドラッグルーオン ATK3000
No.38希望魁竜タイタニック・ギャラクシー ATK3000
手札0
男の場には攻撃力の高いドラゴンが2体。
さらには片方の効果が判明していない。
手札やセットが無いにしても油断はできないだろう。
「俺のターン、ドロー!ぐっ……」
デッキからカードを引きいて手札に加えた瞬間、俺の身体にテムジン、アレクサンダー、シーザーの剣が突き刺さる。
(契約とはいえあまり受けたくはないな……)
実際に刺さっているわけではないが気分の良いものではない。
「スタンバイフェイズ時、シーザーの効果によって特殊召喚されたモンスターの数×1000のダメージを受ける」
遊佐LIFE8500-3×1000=5500
「俺は《地獄門の契約書》を発動!」
「ならばその瞬間にタイタニック・ギャラクシーの効果を発動する!1ターンに1度、場で発動した魔法を無効にし、このカードのオーバーレイユニットにする!『消滅のスケイルズ・ストーム』!」
男が宣言した瞬間、タイタニック・ギャラクシーは巨大な竜巻を作り出し契約書を飲み込んでいった。
魔法に対する無効化効果を持っていたようだな。
「なら手札の《DD魔導賢者ニュートン》を捨てて、墓地の《地獄門の契約書》を手札に加える!」
俺の手札に再び地獄門が加わったのを見て男は悔しげに表情を歪める。
「そして地獄門と魔神王、2枚の契約書を発動!」
再び現れるのは紐が巻き付いている紙と石板。
このデッキにおいては展開の要であるので呼び込む手段は幾つか入っているのだ。
「さらに《闇の誘惑》を発動。デッキからカードを2枚ドローし、手札の闇属性モンスター《DD魔導賢者コペルニクス》を除外する。そして地獄門の効果を発動し、デッキから《DDナイト・ハウリング》を手札に加える」
ドロー、サーチ、連続して行われたことにより手札の枚数が5枚へと戻る。
(これなら、いけるか……)
手札と場、それらのカードを見て線が繋がっていく。
「先ずは手札の《DDスワロル・スライム》の効果を発動!DDD融合モンスターによって決められた、このカードを含む融合素材モンスターを手札から墓地に送り、融合召喚を行う!俺は《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》を墓地に送る!」
発動したのはDDの中でも優秀な部類に入るスライム系のモンスターの効果。
「竜を討滅せし剋竜の王。今、ここに生誕し竜滅の力をふるえ!融合召喚!《DDD剋竜王ベオウルフ》!」
DDD剋竜王ベオウルフ ATK3000
「さらにテムジンの効果でヘル・アーマゲドンを蘇生する!」
DDD死偉王ヘル・アーマゲドン ATK3000
「い、いきなり3000が2体も並びやがった……」
「……いえ、彼が本当にあの人ならまだ続きます」
いきなりの展開にどうやら驚いているらしい。
しかし、男の表情に変化はない。
どうやら同じ攻撃力では意味がないと考えているようだ。
だが、その考えは甘い。
「《魔神王の契約書》の効果で場のテムジンとシーザーを融合する!」
続けて行うのはDDD同士の融合。
「神々の黄昏を打ち破り、押し寄せる波の勢いで、新たな世界を切り開け!融合召喚!出現せよ!極限の独裁神、《DDD怒濤壊薙王カエサル・ラグナロク》!」
DDD怒濤壊薙王カエサル・ラグナロク ATK3200
「今度は3200っす……」
「そして、場の《魔神王の契約書》を墓地に送って、手札から《DDラミア》を特殊召喚する!」
DDラミア 100
ヴィヴィオ達の驚きの声が聞こえるが気にせずにデュエルを続ける。
現れたのは下半身が蛇の小さな悪魔。
ステータスは低いが重要なのはチューナーだということだ。
「レベル7、アレクサンダーに、レベル1、ラミアをチューニング!」
ラミアが光の輪となり、その中をアレクサンダーが通り抜ける。
「その身に血を浴びし呪血の王。今、ここに生誕し鮮血を散らせ!シンクロ召喚!《DDD呪血王サイフリート》!」
DDD呪血王サイフリート ATK2800
「さらに墓地のスワロル・スライムを除外して、手札から《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》を特殊召喚する!」
壊薙王アビス・ラグナロク ATK2200
「場が……」
「全部上級モンスターで埋まっちゃった……」
場にいるのは剋竜王、怒濤壊薙王、呪血王、死偉王、壊薙王の5体。
この中で攻撃力が3000を越えているのは怒濤壊薙王のみ。
「最後の締めだ。ヘル・アーマゲドンとアビス・ラグナロクでオーバーレイネットワークを構築!」
ヘル・アーマゲドンとアビス・ラグナロクが光の珠となり渦を描きながら1つになる。
「悪徳の時を生み出しし双暁の王。今、ここに生誕し世界を暁に染めよ!エクシーズ召喚!《DDD双暁王カリ・ユガ》!」
DDD双暁王カリ・ユガ ATK3500
最後に現れたのは椅子に座っている1体の悪魔。
残りの手札は1枚。
もう他にやることはないだろう。
「バトル!カエサル・ラグナロクでドラッグルーオンを攻撃!『ジ・エンド・オブ・ジャッジメント』!」
○ATK3200VSATK3000×
男LIFE3500-200=3300
カエサル・ラグナロクの放った濁流と光線により、ドラッグルーオンの体毛は焼かれ、その身を押し流していく。
「ドラッグルーオンが破壊された時、タイタニック・ギャラクシーの効果を発動!破壊されたエクシーズモンスターの攻撃力分、他のエクシーズモンスター1体の攻撃力を上昇させる!」
「そんなっ!?」
「3000の上昇!?」
ドラッグルーオンが破壊されて発生した光をタイタニック・ギャラクシーが吸収しようと咆哮をあげる。
この効果が決まれば攻撃力は6000となり、普通の攻撃で突破するにはやや厳しいものになる。
「なぜだ!?なぜ攻撃力が上がらない!?」
「残念だったな。カリ・ユガがエクシーズ召喚に成功したターン、このカード以外の場のカードの効果は発動できず、無効化されるんだよ!」
カリ・ユガの効果は場を完全に制圧する絶対的な力。
《エフェクト・ヴェーラー》には対応できないが、現状では最大の効果を発揮している。
「続けてカリ・ユガでタイタニック・ギャラクシーを攻撃!『ツインブレイクショット』!」
「くっ……」
○ATK3500VSATK3000×
男LIFE3300-500=2800
カリ・ユガの放った攻撃により、タイタニック・ギャラクシーの翼は砕かれ、その身は大地に伏した。
これで男の場には守るモンスターの姿はなく、手札も存在していない。
「さぁ、これで終わりだ……」
「ありえない……。こんな、こんなことが……」
もはや、男に抵抗する手段はない。
ナンバーズに対して絶対的なまでの傾倒が敗北の理由だろう。
「行け、サイフリート、ベオウルフ!『呪刀血刃』!『剋滅竜爪』!」
「ぐぁぁぁああああっっ!!」
男LIFE2800-2800-3000=-3000
サイフリートとベオウルフの攻撃を受け、男のライフが0になる。
それと同時に俺の腕に巻き付いていたワイヤーのようなものが外れた。
(上手く展開できたから勝てたが……。4000クラスの攻撃力が出てきていたら苦戦していたかもな)
デッキをデュエルディスクから外し、デバイスの中にしまう。
このデッキの最大攻撃力はカリ・ユガの3500。
4000クラスの攻撃力が出てきた場合、対抗手段が少なくなってくるのだ。
「終わった……のか?」
「たぶんな」
ノーヴェが先頭に立ち、男の様子をうかがいながら訊ねてくる。
デュエルには勝利したが、このあとどうなるかは全く予想がつかないのだ。
「ゆ、遊佐さん。あなたはもしかして……」
「ああ、流石に気づくか。お前の思っている通りだよ、ヘタ王」
「ヘタ……」
「王……?」
おずおずと話しかけてきたアインハルトに昔の呼び方の1つで応える。
呼び方の意味が分からないらしく、リオとコロナは首をかしげていた。
「く……。くは、ははははははははははははははは!!!」
「!?」
突然の男の笑い声に全員が驚き、身構える。
見ると男の身体が浮かび上がっており、怪しく発光していた。
「私が敗北し、全てが終わったと思っていたか?」
「どういう意味だ……」
どこか劇のように大きく身体を動かしながら男は話し始める。
「そうだろう、そうだろう。だが、それも大きな間違い。私は確かにデュエルに敗北した。だが、我が王の復活に私の敗北は関係ない!」
直後、男の身体を包むようにカードが球状に展開されていく。
「
その言葉と同時にカードが様々な方角に飛び散っていく。
あまりにも突然の事態に、誰もが反応することができず、見ていることしかできない。
やがて、カードが全て飛び散ると男の身体が光となって消え始めた。
「は、はははははは……。闇の心持つものよ、ナンバーズを全て集めて贄となるがいい……。さらばだ、歴戦の王たちよ……」
その言葉を最後に男の姿は完全に消滅した。
全員が言葉を失い、嫌な沈黙が場を支配する。
(ナンバーズ……。なんなんだよ、このカードは……)
そんなことを考えながら、俺は手元に飛んできていた
読了ありがとうございました。
DDは効果が長くなってけっこう大変でした。
デュエルパートは分けた方が読みやすいんでしょうか?
最強カード、等が見てみたいといった意見がありましたらどんどん書いてください。
ミスなどの指摘や気になったことがありましたら教えてもらえると助かります。
投稿は亀ですがこれからもよろしくお願いします。