遊戯王vivid 鮮烈な決闘者たち   作:竜音(ドラオン)

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遅くなりました。

デュエル長い……


第4話

【主のいない店での一幕】

 

 

 

 

「こんにちはー!」

「おお、いらっしゃい」

 

 

 カランカランとベルの音を鳴らしながら3人の少女、ヴィヴィオたちが〝遊戯屋〟の中に入ってくる。

 そんな彼女たちに返事をしたのは〝遊戯屋〟店長、天戯遊砂……ではなく、アルバイトのトクミチだった。

 

 

「あれ?遊砂さんは?」

「さっき用があるとかで出ていったぞ。5時くらいには帰ってくるって言っていたかな」

 

 

 遊砂の姿がないことをリオが訊ねると、トクミチは食器を洗いながら答えた。

 どうやら遊砂は何かしらの用事でいないらしい。

 アルバイトであるトクミチしか店にいないのは問題があるように思えるが、〝遊戯屋〟ではとくに珍しい光景ではないため、ヴィヴィオたちはテーブルへと座る。

 

 

「ご注文は?」

「えっと……、オレンジジュースとイチゴショートで」

「私もオレンジジュースかな。それとチョコレートケーキでお願いします」

「私はメロンソーダとミルクレープで!」

 

 

 3人はそれぞれメニューを注文する。

 ちなみにヴィヴィオがオレンジジュースとイチゴショート、コロナがオレンジジュースとチョコレートケーキ、リオがメロンソーダとミルクレープだ。

 

 

「そういえば……。コロナのデッキって融合が主体だったよね」

「うん。手札で融合するとすぐに手札がなくなっちゃうけどね」

「私はシンクロが主体だけど、やっぱり手札がなくなるとキツいよね」

 

 

 自然と3人の話題はデュエルモンスターズのものになる。

 世界的に広まっているのだから話題となっていてもおかしくはないのだが。

 

 

「ほれ、注文の品。店長手製だから味わって食べなよ」

「「「ありがとうございまーす!」」」

 

 

 トクミチの言葉に3人は笑顔で答えた。

 なお、〝遊戯屋〟にて出される食事は全て店長である遊砂の手製であり、その味を気に入って何度も通ってしまう客がいるほどである。

 

 

「と、そういえばそろそろ今日のプロ戦が始まるな」

 

 

 そう言ってトクミチは店内にあるテレビの電源をいれる。

 〝遊戯屋〟の中にはやや大きめのテレビが設置されており、店の人間が電源をつけることができるのだ。

 

 

[さあ、いよいよデュエルが始まります!本日の対戦はプロランク7位のオーリ・ムラーチカと、プロランク1位の()()()です!]

 

 

 画面に映されたのは黒髪で爽やかそうな男性と、蒼い仮面を着けた男にも女にも見える人間。

 

 

「今日はオーリプロが悪魔王に挑むんだね」

「どんなデュエルになるのかな……」

 

 

 プロデュエリスト、それはデュエルモンスターズを仕事として活動している者たちの総称であり、ランキングが存在している。

 現在、プロとして活動しているデュエリストの人数はおおよそ3000。

 その中から7位と1位がデュエルするのだからその注目度は相当なものだと伺えるだろう。

 

 

[両者の準備は整いましたね……。それでは、デュエル開始ぃぃぃいいいいーー!!!]

 

 

 MCの宣言と共にデュエルが始まる。

 どうやら先攻はオーリからのようだ。

 

 

[皆が応援してくれているんだ。俺は《ソニックバード》を召喚!効果でデッキから《カオスの儀式》を手札に加える!]

 

ソニックバード ATK1400

 

 

 場に現れたのは背中にロケットのようなものを着けた一羽の鳥。

 効果で加えられたカードから分かるように、オーリのデッキは儀式を主体としている。

 それはプロの中でもかなり少ない戦術だ。

 

 

[さらに《儀式の下準備》を発動!デッキから《超戦士の儀式》と《カオス・ソルジャー》を手札に加える!]

 

 

 これでオーリの手札は6枚になった。

 その内の半分が判明しているが大きな問題ではないだろう。

 

 

「やっぱりサーチ効果は重要だよね」

「欲しいカードが呼べるもんね」

 

 

 ケーキを食べながらヴィヴィオたちは話す。

 

 

[場の《ソニックバード》と手札の《宵闇の騎士》をリリースして《超戦士の儀式》を発動!]

 

 

 《ソニックバード》の身体が炎になり、大きくなっていく。

 そして《宵闇の騎士》が場に現れ、炎の中を駆け抜けていった。

 

 

[幾多の試練を乗り越え超戦士の力を得よ!儀式召喚!《カオス・ソルジャー》!]

 

カオス・ソルジャー ATK3000

 

 

 現れたのは一振りの剣と盾を手に持ち、通常とは違う桜色の鎧の騎士。

 

 

[おおっとぉぉ!オーリプロが出したのは儀式モンスターの中でも屈指の攻撃力を持つ《カオス・ソルジャー》だ!しかも、姉であるウィンタープロと同じ〝桜花〟だぁぁぁああああ!]

 

 

 〝桜花〟それは誰もが知る儀式デッキ使い最強のプロ、ウィンター・ムラーチカの切り札である《カオス・ソルジャー》の通り名だ。

 彼女の扱う《カオス・ソルジャー》の鎧は桜色をしており、召喚された試合は全て勝利している。

 

 

[《宵闇の騎士》がカオス・ソルジャーと名の着いたモンスターの儀式召喚に使用されたとき、2つの能力をそのモンスターに与える!その内の1つを発動!]

 

カオス・ソルジャー(宵闇) ATK3000

 

 

 オーリの言葉と同時にカオス・ソルジャーが悪魔王へと接近し手札を1枚切り裂く。

 

 

[相手の手札をランダムに1枚選び、次の相手のエンドフェイズまで裏側表示で除外する。俺はこれでターンエンドだ!]

 

オーリ LIFE8000

カオス・ソルジャー(宵闇) ATK3000

手札4

 

 

 総合的に見て、手札消費1枚で攻撃力3000のモンスターが出た。

 さらに言えば悪魔王の手札を1枚減らしている。

 さすがはプロランキング第3位といったところだろう。

 

 

[俺のターン、ドロー]

 

 

 悪魔王は静かにカードを引いた。

 まるで何も起きていなかったかのように。

 

 

[俺は《EMドクロバット・ジョーカー》を召喚]

 

EMドクロバット・ジョーカー ATK1800

 

「え、EM!?」

「ヴィヴィオと同じカードだ!」

「それに悪魔族じゃないよ!?」

 

 

 現れたモンスターにヴィヴィオたちは驚く。

 しかし、EM自体は聖王教会がカードを公開して流通しているためそこまで驚くほどではないだろう。

 どちらかと言えば悪魔王が悪魔族以外の種族を使っていることへの驚きの方が大きそうだ。

 

 

[ドクロバットの効果でデッキから《EMリザードロー》を手札に加える。そして《EMペンデュラム・マジシャン》と《EMリザードロー》をペンデュラムゾーンにセッティング]

 

EMペンデュラム・マジシャン スケール2

EMリザードロー スケール6

 

[これで悪魔王はレベル3から5までを同時に召喚可能だぁぁあああ!]

[リザードローの効果でリザードローを破壊し、1枚ドロー]

 

EMリザードロー→破壊

 

[続けて《竜剣士マスター(ペンデュラム)》をペンデュラムゾーンにセッティング]

 

竜剣士マスターP スケール3

 

 

 見ている誰もが首をかしげる。

 セッティングされているスケールは2と3。

 これではペンデュラム召喚ができない。

 

 

[マスターPの効果でペンマジを破壊]

 

EMペンデュラム・マジシャン→破壊

 

[そして《竜剣士ラスター(ペンデュラム)》をペンデュラムゾーンにセッティング]

 

竜剣士ラスターP スケール5

 

[ラスターPの効果でマスターPを破壊し、デッキから同名カードを手札に加える]

 

竜剣士マスターP→破壊

 

[そしてマスターPをセッティングして、効果でラスターPを破壊]

 

竜剣士マスターP スケール3

竜剣士ラスターP→破壊

 

 

 ぐるぐると目まぐるしく悪魔王のペンデュラムゾーンが入れ替わっていく。

 

 

[手札から《竜呼相打つ》を発動。デッキから竜剣士と竜魔王のペンデュラムモンスターを1体ずつ選んで相手に見せ、相手はその中からランダムに1枚を選ぶ。俺が選ぶのは《竜剣士ラスターP》と《竜魔王レクター(ペンデュラム)》だ]

[俺は右のモンスターを選ぶ]

[相手が選んだモンスターは自分のペンデュラムゾーンにセットするか特殊召喚をし、残ったモンスターはエクストラデッキに表側表示で加える。選ばれたのはラスターP。ペンデュラムゾーンにセットし、残ったレクターPはエクストラデッキに加わる]

 

竜剣士ラスターP スケール5

 

 

[もう十分だな。揺れろ災厄のペンデュラム。天空に絵描くは絶望のアーク!ペンデュラム召喚!出てこい、モンスターども!]

 

EMペンデュラム・マジシャン ATK1500

竜剣士ラスターP ATK1850

竜剣士マスターP ATK1950

竜魔王レクターP ATK1950

 

 

 現れたモンスターによって悪魔王のモンスターゾーンが全て埋まる。

 手札が残り1枚だが恐ろしいまでの展開だ。

 しかも悪魔王の言葉が正しければさらに回すこともできたのだろう。

 

 

[ペンマジの効果でペンデュラムゾーンの2枚を破壊し、デッキから《EMギタートル》と《EMモンキーボード》を手札に加える]

 

竜剣士マスターP→破壊

竜剣士ラスターP→破壊

 

 

 手札が1枚だったのも少しの間。

 すぐに手札が2枚追加された。

 

 

[レベル4、ペンマジに、レベル4、ラスターPをチューニング!]

 

 

 ラスターPが光の輪となり、その中をペンマジが潜り抜けていく。

 

 

[竜の剣士はその身に爆炎の力を宿し、敵を切り裂く!シンクロ召喚!《爆竜剣士イグニスター(プロミネンス)》!]

 

爆竜剣士イグニスターP ATK2850

 

 

 現れたのは赤い鎧に身を包んだ竜剣士。

 その身体からは熱風が巻き起こっており、周囲の温度を上げていた。

 

 

[イグニスターの効果でデッキから竜剣士モンスターを守備表示で特殊召喚する。こい、ラスターP]

 

竜剣士ラスターP DEF0

 

[そしてラスターPとドクロバットでオーバーレイネットワークを構築!]

 

 

 ラスターPとドクロバットが光の珠となって渦を描きながら1つになる。

 

 

[竜の剣士は風の友を得、共に空を駈ける!エクシーズ召喚《昇竜剣士マジェスター(パラディン)》!]

 

昇竜剣士マジェスターP ATK1850

 

 

 続けて現れたのはペガサスにまたがった竜剣士。

 持っている剣には旋風が纏われ、辺りに風音を響かせていた。

 

 

[マジェスターPのオーバーレイユニットを1つ取り除き、効果でエクストラデッキから竜剣士のペンデュラムモンスターを特殊召喚する。こい、ラスターP]

 

竜剣士ラスターP ATK1850

 

 

 もはや何度目かも分からない特殊召喚。

 心なしか竜剣士にも疲労が見える気がする。

 

 

[ラスターPとレクターPをリリース!]

 

 

 ラスターPとレクターPが1つになり、新たな姿へと変わっていく。

 

 

[竜の剣士はその身に堅き鎧を纏い、全てを守る!融合召喚!《剛竜剣士ダイナスター(パワフル)》]

 

剛竜剣士ダイナスターP ATK2000

 

 

 さらに続けて現れたのは青い大型の鎧を纏った竜剣士。

 その身体からは蒸気が吹き出しており、力強さがうかがえた。

 

 

[ダイナスターPの効果で墓地の竜剣士のペンデュラムモンスターを特殊召喚する。こい、ラスターP]

 

竜剣士ラスターP ATK1850

 

[そして《エキセントリック・デーモン》をペンデュラムゾーンにセッティング]

 

エキセントリック・デーモン スケール7

 

[俺の場のもっとも攻撃力の高いモンスターはイグニスターP。その攻撃力も《カオス・ソルジャー》には届いていない]

[そ、そうだ!大量の召喚には驚いたけど俺のモンスターを倒すことはできない!]

 

 

 悪魔王の言う通り、イグニスターPの攻撃力は2850。

 《カオス・ソルジャー》の攻撃力には150届いていないのだ。

 しかし、オーリの言葉に悪魔王は笑い声をあげる。

 

 

[くひゃっ。ひゃーっはっはっはぁぁあ!甘いなぁ、甘すぎるなぁ!]

[なに?]

[イグニスターPの効果を発動!場のペンデュラムモンスターまたはペンデュラムゾーンのカード1枚を破壊して場のカード1枚を持ち主のデッキに戻す!俺は《エキセントリック・デーモン》を破壊して《カオス・ソルジャー》をデッキに戻す!『リターン・オブ・プロミネンス』!]

 

 

 悪魔王の言葉と同時に《エキセントリック・デーモン》が炎の渦となって《カオス・ソルジャー》を飲み込んでいった。

 

 

[破壊したら可愛そうだもんなぁ?良かれと思ってデッキに戻してやったぜぇ!]

[くっ!]

 

 

 悔しげにオーリは悪魔王を睨み付ける。

 しかし、その表情ですら悪魔王は楽しそうに眺めていた。

 

 

[全モンスターで攻撃!逝っちまいなぁ!]

[ぐぁぁぁああああっっ!!]

 

オーリ LIFE8000-1850-1850-1950-2000=350

 

[あん?なぜライフが残っている?]

[お、俺は手札から《クリボール》の効果を発動していた!相手モンスターの攻撃宣言時にこのカードを墓地に送ってその攻撃モンスターを守備表示にする!]

 

爆竜剣士イグニスターP DEF0

 

 

 見るといつの間にか悪魔王の場のイグニスターPが守備表示に変化していた。

 ぎりぎり首の皮1枚繋がったというところだろう。

 

 

[ちっ……。ラスターPとマスターPでオーバーレイネットワークを構築!]

 

 

 ラスターPとマスターPが光の珠となって渦を描きながら1つになる。

 

 

[灼熱の海を渡る溶岩の海竜よ。今ここに現れろ!エクシーズ召喚!《ラヴァルバル・チェイン》!]

 

ラヴァルバル・チェインDEF1000

 

[チェインのオーバーレイユニットを1つ取り除き、効果でデッキから《グローアップ・バルブ》を墓地に送ってターンエンドだ。そして除外されていた手札も戻ってくる]

 

悪魔王 LIFE8000

爆竜剣士イグニスターP DEF0

昇竜剣士マジェスターP ATK1850

剛竜剣士ダイナスターP ATK2000

ラヴァルバル・チェイン DEF1000

手札3

 

 

 長かった悪魔王のターンが終わり、オーリへとターンが移る。

 先程のターンで起きたことをどれだけの人が理解できただろうか。

 最終的な手札消費は3枚。

 そのたった3枚の消費だけでペンデュラム、シンクロ、エクシーズ、融合と4種類の召喚方法を行い、さらにはそのターンに仕留めようとまでする。

 ただただ、誰もが言葉を失っていた。

 なお、悪魔王が悪役のような台詞を言うのはいつもの事なため誰も悪感情を抱いているものはいない。

 

 

[俺のターン……]

 

 

 デッキに手を置き、オーリは瞳を閉じる。

 思い浮かぶのは幼馴染みやプロ仲間の面々。

 そんな彼らの姿を思い出しながらオーリは力強くカードを引き抜く。

 

 

[ドロー!!]

 

 

 引いたカード、そして手札を見てオーリはすぐに思考する。

 どうすれば逆転できるのか、どうすれば勝てるのかを。

 

 

[俺は手札の《疾走の暗黒騎士ガイア》と《(かい)(びゃく)の騎士》をリリースして《カオスの儀式》を発動!]

 

 

 《開闢の騎士》が鎧と剣を残してその姿を消し、ガイアがその鎧と剣を受け取り激しい光を発する。

 

 

[幾多の試練を乗り越え現れた超戦士よ。今もう一度その姿を現せ!儀式召喚!《カオス・ソルジャー》!]

 

カオス・ソルジャー ATK3000

 

 

 現れたのは先程の桜色の鎧の騎士ではなく通常の鎧を纏った騎士。

 

 

[《開闢の騎士》がカオス・ソルジャーと名の着いたモンスターの儀式召喚に使用されたとき、2つの能力をそのモンスターに与える!]

 

カオス・ソルジャー(開闢) ATK3000

 

[さらに《疾走の暗黒騎士ガイア》がリリースされた場合、デッキからカオス・ソルジャーと名の着いたモンスターを手札に加える!《カオス・ソルジャー―開闢の使者―》を手札に!]

 

 

 《疾走の暗黒騎士ガイア》の効果によってさらにモンスターがオーリの手札に加えられる。

 

 

[墓地の《開闢の騎士》と《宵闇の騎士》。光と闇を除外して《カオス・ソルジャー―開闢の使者―》を特殊召喚!そして除外された《開闢の騎士》と《宵闇の騎士》の効果でデッキから儀式魔法と儀式モンスター、《超戦士の儀式》と《超戦士カオス・ソルジャー》を手札に加える!]

 

カオス・ソルジャー―開闢の使者― ATK3000

 

 

 現れたのは儀式モンスターの《カオス・ソルジャー》とは違ったカオス・ソルジャーモンスター。

 この開闢はその召喚条件から様々なデッキでも見ることがある。

 

 

[墓地の《超戦士の儀式》と光と闇のモンスター、《疾走の暗黒騎士ガイア》と《クリボール》を除外して効果を発動!手札からカオス・ソルジャー儀式モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する!]

 

 

 さらに続くように行われる儀式召喚。

 オーリの手札には先程の《宵闇の騎士》の効果で加わった《超戦士カオス・ソルジャー》が存在している。

 

 

[光と闇の混沌を超え、更なる力をその身に得る!儀式召喚!《超戦士カオス・ソルジャー》!]

 

超戦士カオス・ソルジャー ATK3000

 

 

 オーリの場に現れたのは鎧の形状の変わった白き騎士。

 

 

[来た来た来た来た来た来たぁぁぁぁぁあああああ!出ました!オーリプロのエースモンスター、〝白雪〟!しかも3連続のカオス・ソルジャーモンスターの召喚!]

 

 

 〝白雪〟、それはオーリの代名詞とも言えるほどに有名なモンスターの通り名だ。

 通常の《超戦士カオス・ソルジャー》の鎧は青、赤、白の3色が合わさったものなのだが、オーリの扱う《超戦士カオス・ソルジャー》の鎧は白1色なのだ。

 さらに言えば持っている剣もエネルギー刃になっている。

 

 

[行くぞ!まずは《カオス・ソルジャー》で《ラヴァルバル・チェイン》を攻撃!『カオス・ブレード』!]

 

○ATK3000VSDEF1000×

 

 

 《ラヴァルバル・チェイン》の守備力はたったの1000。

 《ラヴァルバル・チェイン》は《カオス・ソルジャー》に抵抗する間もなく破壊された。

 

 

[《開闢の騎士》によって得た効果を発動!戦闘でモンスターを破壊して墓地に送った時、《カオス・ソルジャー》はもう一度だけ続けて攻撃できる!《剛竜剣士ダイナスターP》を攻撃!『カオス・ブレード』2撃目!]

 

○ATK3000VSATK2000×

悪魔王 LIFE8000-1000=7000

 

[くっ……]

[次だ!《超戦士カオス・ソルジャー》で《爆竜剣士イグニスターP》を攻撃!『零落白夜』!]

 

○ATK3000VSDEF0×

 

[さらに《超戦士カオス・ソルジャー》は戦闘でモンスターを破壊して墓地に送った場合、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える!]

[なにっ!?ぐぅっ!?]

 

悪魔王 LIFE7000-2850=4150

 

 

 イグニスターPを破壊した直後、《超戦士カオス・ソルジャー》は勢いをつけて剣を振り抜き、斬撃を悪魔王に飛ばした。

 

 

[《カオス・ソルジャー―開闢の使者―》で《昇竜剣士マジェスターP》を攻撃!『開闢双破斬』!]

 

○ATK3000VSATK1850×

悪魔王 LIFE4150-1150=3000

 

 

 《カオス・ソルジャー―開闢の使者―》の放った斬撃によりマジェスターPも破壊される。

 悪魔王の残りのライフは3000。

 そして《カオス・ソルジャー―開闢の使者―》には《開闢の騎士》のもとになった効果がある。

 

 

[《カオス・ソルジャー―開闢の使者―》が戦闘でモンスターを破壊して墓地に送った時、もう一度だけ続けて攻撃できる!これで終わりだ!『時空(じくう)突刃(とっぱ)・開闢双破斬』!]

[それは受けられないな。手札から《速攻のかかし》を捨ててダイレクトアタックを無効にし、バトルフェイズを終了する]

 

 

 《カオス・ソルジャー―開闢の使者―》の攻撃は突如現れたかかしによって止められ、悪魔王には届かなかった。

 

 

[くっ……。俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ!]

 

オーリ LIFE350

カオス・ソルジャー(開闢) ATK3000

カオス・ソルジャー―開闢の使者― ATK3000

超戦士カオス・ソルジャー ATK3000

セット1

手札1

 

[俺のターン、ドロー]

 

 

 オーリの場には3体のカオス・ソルジャーモンスターが並んでおり、1枚の伏せがある。

 手札に加えられたカードなどから考えると、儀式魔法を伏せた可能性はあるが、もしかしたら罠を引いた可能性もあるだろう。

 

 

[《EMドクロバット・ジョーカー》を召喚して、効果で《EMリザードロー》を手札に加える]

 

EMドクロバット・ジョーカー ATK1800

 

[そして《EMギタートル》と《EMリザードロー》をペンデュラムゾーンにセッティング]

 

EMギタートル スケール6

EMリザードロー スケール6

 

[ギタートルの効果で1枚ドロー。さらにリザードローを破壊してもう1枚ドロー。そしてモンキーボードをセッティング]

 

EMリザードロー→破壊

EMモンキーボード スケール1

 

 

 使用した合計は3枚。

 しかしその3枚によって手札のカード全ての情報がなくなった。

 いや、それだけでは終わらない。

 

 

[モンキーボードの効果でデッキから《EMペンデュラム・マジシャン》を手札に加える]

 

 

 ペンデュラムスケールを揃えながら手札の損失が一切ない。

 これこそがEMの強みとも言えるのではないだろうか。

 

 

[もう一度揺れろ、災厄のペンデュラム!天空に絵描くは絶望のアーク!ペンデュラム召喚!出てこい、モンスターども!]

 

EMリザードロー ATK1200

竜剣士ラスターP ATK1850

竜剣士マスターP ATK1950

竜魔王レクターP ATK1950

 

 

 先程までモンスターが並んでいなかったはずの場が全て埋まる。

 これがペンデュラム召喚の特徴であり、強みだろう。

 

 

[これだけ動いても発動しない、か。攻撃反応型か?]

[さあ?どうだろうな]

 

 

 悪魔王の言葉にオーリは内心汗をかきながら答える。

 

 

[ラスターPをドクロバットにチューニング!もう一度現れろ!《爆竜剣士イグニスターP》!]

 

爆竜剣士イグニスターP ATK2850

 

[イグニスターPの効果でデッキからマスターPを特殊召喚!]

 

竜剣士マスターP DEF0

 

[マスターPとレクターPでオーバーレイネットワークを構築!]

 

 

 マスターPとレクターPが光の珠となって渦を描きながら1つになる。

 

 

[疾風纏いし深緑の鉱石よ。汝は風を吹き放つもの!エクシーズ召喚!《ダイガスタ・エメラル》!]

 

ダイガスタ・エメラル ATK1800

 

 

 現れたのは鳥のような翼を持った緑色の戦士。

 見た目からは戦士族のようにも見えるが岩石族である。

 

 

[《ガガガガンマン》で撃ち抜いても良かったんだが、変わりはないな。エメラルのオーバーレイユニットを1つ取り除き、効果で墓地のモンスター3体をデッキに戻して1枚ドローする。戻すのは《昇竜剣士マジェスターP》《ラヴァルバル・チェイン》《爆竜剣士イグニスターP》]

 

 

 3体のモンスターをエクストラデッキに戻し、悪魔王はカードを引く。

 確かに《ガガガガンマン》にはダメージを与える効果があり、悪魔王の言う通りとどめをさせただろう。

 だが、それをあえてやらなかった。

 

 

[始めよう。外なる神々の物語を。《爆竜剣士イグニスターP》と《ダイガスタ・エメラル》を墓地に送る]

 

 

 悪魔王の言葉にイグニスターPは焔、エメラルは風へとその姿を変えていく。

 

 

[白と黒の境界より現れしは討滅の神!融合召喚!《旧神ヌトス》!]

 

旧神ヌトス ATK2500

 

 

 焔と風が収まった瞬間、いつの間にか悪魔王の場には槍と盾を手に持った女性が現れていた。

 

 

[デッキの一番上を墓地に送って《グローアップ・バルブ》を特殊召喚]

 

グローアップ・バルブ ATK100

 

 

 墓地より現れたのは根の部分に眼がついている花。

 なお、デッキの一番上は《奈落の落とし穴》だった。

 

 

[リザードローにバルブをチューニング!]

 

 

 《グローアップ・バルブ》が脈動し、リザードローへと根を伸ばして包み込んでいく。

 完全にリザードローが見えなくなると根は脈動を強くしていった。

 

 

[その身は焔でできていた。血潮は溶鉄、心の蔵は融炉。汝は生ける炎にして(いにしえ)の神なり。シンクロ召喚!《古神クトグア》!]

 

古神クトグア ATK2200

 

 

 根の脈動が止まり、内側から溢れ出た炎が辺りに飛び散っていく。

 そして現れたのは炎としか言いようがないもの。

 

 

[お、驚きはしたが攻撃力は2500と2200。《カオス・ソルジャー》たちは倒せないぞ!]

[ああ、そうだな。だから、こうするのさ!ヌトスとクトグアでオーバーレイネットワークを構築!]

 

 

 ヌトスとクトグアが光の珠となって渦を描きながら1つになる。

 その渦は今までの渦とは違い、薄気味の悪い色をしていた。

 

 

[この世と異なりし外世の神よ。汝は千変万化にして這いよる混沌!エクシーズ召喚!《外神ナイアルラ》!]

 

外神ナイアルラ ATK0

 

[クトグアが素材になったモンスターがエクシーズ召喚に成功した時、デッキからカードを1枚ドローする]

 

 

 悪魔王の場に1体の悪魔が現れた。

 その姿は男のようであり、女のようであり、子供のようであり、老人のようである。

 見ている誰もが同じ姿には見えていない。

 僅かにでも視界から外れれば姿が変わっており、1度として同じ姿はないのだ。

 

 

[《外神ナイアルラ》でオーバーレイネットワークを再構築!]

 

 

 ナイアルラを包み込むように闇が纏わり付いていく。

 

 

[万物の王にして盲目と白痴の最高神よ。今、ここに現れ破壊の限りを尽くせ!ランクアップエクシーズ!《外神アザトート》!]

 

外神アザトート ATK2400

 

「ひっ……」

「な、なにあれ……」

「あんなのが神様なの?」

 

 

 闇が晴れて中から現れたのは黒き外神。

 その姿はテレビ越しのはずのヴィヴィオたちにも恐怖を与えるほどだった。

 

 

[アザトートがエクシーズ召喚に成功したターン、相手はモンスターの効果を発動できない!『狂気の雄叫び』!]

 

 

 アザトートが言葉にならない叫びをあげた瞬間、《カオス・ソルジャー》たちは途端に武器を振りかざして暴れ始めた。

 どうやら狂気に呑まれて冷静ではいられなくなったようだ。

 

 

[くっ……。だが、そいつの攻撃力は2400。それでどうやって《カオス・ソルジャー》たちを倒すんだ!]

[まぁ、慌てるな。1つ話をしよう]

 

 

 そう言って悪魔王は周囲を見渡す。

 見ると何人かが恐怖で震え、顔を青くさせていた。

 

 

[なに、簡単な例え話だ。気楽に聞くといい。デッキは見えない未来、手札は可能性と選択肢、場は結果で現在、墓地は過去。何が来るか分からない未来を引き、自らの可能性から道筋を選択する。その結果は現在に如実に現れ、過ぎた過去は積もっていく。デュエルとは人生を縮小したものだと俺は考えている]

 

 

 デッキ、手札、場、墓地を順番に指差しながら話をする。

 誰もが話に引き込まれ、悪魔王を見つめていた。

 そして何人かがふと気づく。

 それではエクストラデッキはなんなのだろうか、と。

 

 

[エクストラデッキはもう1つの未来]

「もう1つの……」

「「未来……?」」

 

 

 悪魔王の言葉にヴィヴィオたちはそろって首を傾げた。

 

 

[デッキが普通の未来であるならエクストラデッキは自身の外の未来だ。場や手札の組み合わせで起こりうるもう1つの未来。それがエクストラデッキ]

 

 

 アザトートを見ながら悪魔王は静かに話を続ける。

 

 

[これが俺のデッキへの考えだ。つまり、デュエリストとは互いの人生を賭けて戦っているんだ]

[お前の考えは分かった……。なら、見せてみろ!そのもう1つの未来を!]

 

 

 オーリは笑みを浮かべて応える。

 悪魔王がどのようにしてこの場を切り抜けるのか、どのようにして自身を倒すのか、ただそれだけを期待して。

 

 

[アザトートは融合、シンクロ、エクシーズのモンスターのオーバーレイユニットを持っているとき発動できるもう1つの効果がある!『(ラブ)(クラ)(フト)』!]

 

 

 アザトートから闇が吹き出し、オーリの場を埋め尽くしていく。

 そして闇が晴れると、オーリの場に存在していた全てのカードが破壊されていた。

 

 

[なにっ!?]

[アザトートは融合、シンクロ、エクシーズのモンスターをオーバーレイユニットにしているとき、オーバーレイユニットを1つ取り除いて相手の場のカードを全て破壊する!これで終わりだ!『(クト)(ゥル)()』!]

 

オーリ LIFE350-2400=-2050

 

 

 アザトートの放った闇がオーリの身体を撃ち抜き、残りのライフを削りきる。

 これにより悪魔王の勝利が決まった。

 

 

「やっぱり強かったねー」

「途中のモンスターは怖かったけどね……」

「私たちもあんな風に強くなれるかな?」

 

 

 悪魔王とオーリのデュエルが終わり、ヴィヴィオたちは互いに感想を言い合う。

 テレビでは悪魔王が土下座せんばかりの勢いで他の人たちに謝っていた。

 彼はデュエル中にテンションが上がって悪役のような台詞をよく言ってしまい、デュエル後には毎回謝罪をしているのだ。

 

 

「よーし、遊砂さんが帰ってきたらデュエルしよっと!」

「私もやろうかな!」

「私も私も!」

 

 

 そう言って彼女たちは遊砂の帰りを楽しみに待つのだった。

 

 

 

 

 

 

 




今回のデュエルは【カオス・ソルジャー】と【竜剣EM】でした。

カオス・ソルジャーたちにジャストキルされかけて驚き急遽かかし先生を入れました。

まさかちょうどになるとは予想外でした。

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