しかも今までで一番短い……。
禁止制限が変わりますが、あまり問題がなかったので結構うれしい作者がいます。
【心の闇、力に溺れた者】
「推理とモンゲが制限か……。左腕だけだとキツいし、雑貨商人か貪瓶を入れるかな?」
客もおらず、掃除や準備も終えた午後。
次のリミットレギュレーションを確認し、デッキの調整を行う。
(せめて準制限ならまだ回せるんだが……。いっそ別方向に変えてみるか……?)
広がっているのは【インフェルノイド】のデッキ。
このデッキには《名推理》と《モンスターゲート》が3枚ずつ入っているので入れ換えなければならないのだ。
「まぁ、ヴィヴィオのデッキよりはマシか……」
ヴィヴィオのデッキは【EM】。
禁止となったモンキーボードや制限になったドクロバット、ペンマジ、眼差し。
かなりの弱体化はしていると思われる。
(あのデッキには何の痛手もなかったのは助かったと言えるか……)
思い浮かべたのはかなり昔から使っているメインデッキの1つ。
そのデッキは新禁止制限に対してなんの被害もなかったのだ。
「あ、遊砂。デッキの調整?」
「いらっしゃい。新しい禁止制限が分かったからな」
ドアを開けて店に入ってきたのは金髪でスタイルのいい1人の女性。
普段なら今はまだ仕事の時間のはずなのだが……
「今日は早いけど、どうしたんだ?」
「えっと、今日はあまり仕事がなくて早帰りになったんだ。それでなのはとヴィヴィオにお土産を買おうと思って」
カードを片付けながら尋ねると、フェイトは少し照れたように答えた。
「なるほど。なら、ケーキか?一応、クッキーとかもあるが」
「うーん……。じゃあ、どっちも貰おうかな。ケーキはお任せにするよ」
「分かった。少し待っていてくれ」
フェイトは少しだけ悩んだ様子を見せたがすぐに答えた。
なお、店のケーキは全て同じ値段で提供しており、その安さも人気の1つと言える。
(そういえば、フェイトたちって婚期とか大丈夫なのか……?)
ケーキとクッキーの準備をしながら俺はフェイトたちのことを考える。
記憶に間違いがなければフェイトたちには1度も恋人がいなかったはずだ。
正確な年齢は聞いたことがないが、おそらくは二十歳の半ば辺りなはず。
一般的にはそろそろ結婚などを考え始めてもいい年齢だと思う。
とはいっても結局のところは本人の意思次第なために俺が考える必要はないのだが。
「はい、おまちどおさま」
「うん、ありがとう。今晩の夕食のデザートに食べるね」
ケーキとクッキーの入った箱を受け取り、フェイトは嬉しそうに微笑む。
ファンクラブなんかもある理由がわかる気がするな。
「あ、そうだ。もうすぐ合宿に行くんだけど、遊砂もどうかな?ヴィヴィオたちも喜ぶと思うし」
「合宿?……ああ、あれか」
思い出すのは前回の合宿。
前回は八神家が大暴れして凄まじい合宿になったのだ。
まぁ、それを差し引いても回りが自然に囲まれていて気分転換になったりはするのだが。
「そうだな。今回も参加するよ」
「うん、分かった。なのはたちには私から伝えておくね。詳しい日時はあとで送っておくから」
そう言ってフェイトは店から出ていった。
(トクミチにバイトが休みになることを伝えないとな)
俺が考える合宿に参加するのならば当然店は休みになる。
合宿は数日はかかるので、その間を全てトクミチだけに店を任せるわけにはいかないからだ。
「……そういえば、ナンバーズのニュースとかが少ないな。こいつらの感覚からして心の闇を増幅させるタイプなのは確かなんだが」
不意に思い出したのは飛び散っていったカードたち。
その内の3枚が俺の手元に飛んできたのだ。
そして3枚のうち2枚はあの時のデュエルで男が使っていた《No.46
「ちっ……。また騒いでやがる」
あまりのカード入れから放たれる魔力に舌打ちをし、2枚のナンバーズを取り出す。
こうやってこいつらは力の誘惑を行ってくるのだ。
とは言っても、この程度であれば全くと言って良いほど効かないのだが。
(幻神とかの方がプレッシャーとかを
昔の友人たちが持っていたカードを思い出しながら、ナンバーズを掴み魔力で押さえ込んでいく。
不意に店のドアを開けて1人の男が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
「金をだせ!」
銃を構えながら男は叫ぶ。
(なんというか如何にもな強盗だ……)
逆に珍しく感じながら俺は男の姿を観察していく。
髪は乱雑に纏められており、髭は剃られていない。
さらには服装も体型が分かりにくいだぼついた服で、サングラスをかけていた。
そして一番重要だと思えるのは、両手の甲に描かれている35と84の数字。
「数字の部分から感じ取れる魔力がこれらと同じってことは……ナンバーズか」
俺の呟きが聞こえたのか男は俺へ、正確には俺の手元にある2枚のナンバーズへと視線を向けた。
「ナンバーズ……。ナンバーズだな?ナンバーズだろ!?そいつをよこせぇぇえええ!!」
「力に溺れてんのかよ……」
男は叫びながらデュエルディスクを展開する。
どうやら殴りあって奪うといったことはしないらしい。
まぁ、それならそれで助かるから良いのだが。
男の使うナンバーズが何かは分からないが、油断をしてはいけないだろう。
デュエルディスクを展開して男の前に移動する。
「「デュエル!」」
デュエル開始の宣言と共に先攻後攻が決まる。
先攻は俺からだ。
「俺の先攻。俺はカードを2枚セットしてターンエンドだ」
遊砂 LIFE8000
セットカード2
手札3
特に展開することもなく男へとターンが回る。
男のデッキが分からないうちから動く意味も薄いと思ったからだ。
「俺のターン、ドロー!」
デッキからカードを引き抜き、手札に加える。
すぐに男のデッキがどんなものか分かると思ってはいないが、気を付けておいて損はないはずだ。
「俺は《ジャイアント・オーク》を召喚!」
ジャイアント・オーク ATK2200
男の場に現れたのは骨でできたこん棒を手にした巨体の悪魔。
ステータスも守備力は0で、見事な脳筋モンスターだ。
「《ジャイアント・オーク》で攻撃!」
「《くず鉄のかかし》を発動。攻撃を無効にしてセットする」
鉄で作られたかかしが現れ、《ジャイアント・オーク》の攻撃を防ぐ。
「攻撃を無効にされたことによって《ジャイアント・オーク》は攻撃表示のままだ!俺はこれでターンエンド!」
男 LIFE8000
ジャイアント・オーク ATK2200
手札5
男が使ったカードは《ジャイアント・オーク》のみ。
これだけではどんなデッキなのか全く分からないままだ。
「俺のターン、ドロー」
デッキからカードを引き抜き、手札のカードを見る。
とりあえずは今は動けるだけ動いておくべきだろう。
「《天帝従騎イデア》を召喚し、効果でデッキから《冥帝従騎エイドス》を守備表示で特殊召喚!」
天帝従騎イデア ATK800
冥帝従騎エイドス DEF1000
現れたのは帝モンスターに従う騎士たち。
これらのモンスターの特徴は、効果を使用するとエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できないということと、それぞれがアドバンス召喚に関係する効果を持っていることだろう。
「エイドスの効果で俺は通常召喚に加えてもう一度だけアドバンス召喚をすることができる。《冥界の宝札》を発動。イデアとエイドスをリリースして《可変機獣ガンナードラゴン》をアドバンス召喚!」
可変機獣ガンナードラゴン ATK2800
キャタピラ音を鳴らしながら機械の体を持った竜が俺の場に現れる。
「《冥界の宝札》の効果でデッキから2枚ドロー。ガンナードラゴンで《ジャイアント・オーク》を攻撃!『メタルバースト』!」
×ATK2200VSATK2800○
「くっ……」
男 LIFE8000-600=7400
ガンナードラゴンの放った砲撃は、《ジャイアント・オーク》を飲み込み破壊した。
「俺はこれでターンエンド」
遊砂 LIFE8000
可変機獣ガンナードラゴン ATK2800
冥界の宝札
セットカード2(くず鉄のかかし)
手札3
手札の内容はやや微妙だが仕方がないか。
「俺のターン、ドロー!」
これで男の手札は6枚。
どんなデッキかは分からないが警戒するに越したことはない。
「俺の場にモンスターがいないため、《フォトン・スラッシャー》を特殊召喚!」
フォトン・スラッシャー ATK2100
「墓地のモンスターを全てデッキに戻して、《究極封印神エクゾディオス》を特殊召喚!」
究極封印神エクゾディオス ATK0
「そして《ゴブリン突撃部隊》を召喚!」
ゴブリン突撃部隊 ATK2300
男の場にモンスターが続けて召喚されていく。
だが、どのモンスターの攻撃力もガンナードラゴンよりは下だ。
「《ギャラクシー・クイーンズ・ライト》をエクゾディオスを選択して発動!俺の場の全てのモンスターのレベルはエクゾディオスと同じ10になる!」
フォトン・スラッシャー ATK2100 ☆4→10
ゴブリン突撃部隊 ATK2300 ☆4→10
男の場に同じレベルのモンスターが複数体。
ランクは……10だ。
「《フォトン・スラッシャー》とエクゾディオスでオーバーレイネットワークを構築!」
《フォトン・スラッシャー》とエクゾディオスが光の珠となって渦を描きながら1つになる。
「全てを撃ち抜き破壊し尽くせ!エクシーズ召喚!《超弩級砲塔列車グスタフ・マックス》!」
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス ATK3000
「げっ……。罠カード発動、《帝王の溶撃》!アドバンス召喚したモンスター以外の場の表側表示モンスターの効果は無効になる!」
グスタフ・マックスの出現に俺は慌ててセットしていたカードを発動する。
グスタフ・マックスの効果は2000のバーン。
シンプルであるからこそ強力だ。
「ちぃっ……。俺はこれでターンエンドだ」
男 LIFE7400
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス ATK3000
ゴブリン突撃部隊 ATK2300
手札2
どうやら《くず鉄のかかし》があるために攻撃しても意味がないことが分かるらしい。
「俺のターン、ドロー。あ……」
引き抜いたカードを見て俺は軽く気が抜けてしまった。
(《帝王の溶撃》でモンスター効果はほぼ無効。加えてこいつを出したらなぁ……)
なぜなら相手にとって最悪の組み合わせなコンボが出来上がるモンスターを引いてしまったのだ。
とは言え、こいつはこいつで召喚したら相手を殺してしまう可能性があるので召喚できないのだが。
「墓地のエイドスの効果を発動。エイドスを除外して墓地のイデアを守備表示で特殊召喚。さらにイデアの効果でデッキからエイドスを守備表示で特殊召喚」
天帝従騎イデア DEF1000
冥帝従騎エイドス DEF1000
「そしてイデアとエイドスをリリースして、《怨邪帝ガイウス》をアドバンス召喚!」
怨邪帝ガイウス ATK2800
ガイウスが更なる力を得て進化した姿が俺の場に現れる。
見た目だけでなくその効果もパワーアップしている。
「《冥界の宝札》の効果でデッキから2枚ドロー。そしてガイウスの効果でグスタフ・マックスを除外し、1000のダメージを与える。さらに、ガイウスが闇属性のモンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功したため、この効果の対象を2枚にできる!もう1枚は《ゴブリン突撃部隊》だ!」
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス→除外
ゴブリン突撃部隊→除外
「なにっ!?」
男 LIFE7400-1000=6400
「ガンナードラゴンとガイウスでダイレクトアタック!」
ガンナードラゴンとガイウスの攻撃力の合計は5600。
通ればかなりのダメージになる。
しかし、鐘の音が鳴り響き攻撃が止まった。
「手札から《バトルフェーダー》を特殊召喚し、バトルフェイズを終了する!」
バトルフェーダー DEF0
「止められたか。俺はカードを1枚セットしてターンエンド」
遊砂 LIFE8000
可変機獣ガンナードラゴン ATK2800
怨邪帝ガイウス ATK2800
冥界の宝札
帝王の溶撃
セットカード2(くず鉄のかかし)
手札4
未だライフは減っておらず、手札も安定している。
このデッキにおいては理想的な動きが出来ていると言えるだろう。
「俺のターン、ドロー!」
男の場には《バトルフェーダー》が1体。
正直な話、この状況から男が逆転するのはかなり難しいだろう。
と言うよりも、場の状況からして完全に俺の方が悪役のような状態になっていた。
「墓地のモンスターを全てデッキに戻してエクゾディオスをもう一度特殊召喚!」
究極封印神エクゾディオス ATK0
「そして《星に願いを》を発動し、《バトルフェーダー》のレベルをエクゾディオスと同じ10に!」
バトルフェーダー DEF0 ☆1→10
「《バトルフェーダー》とエクゾディオスでオーバーレイネットワークを構築!」
《バトルフェーダー》とエクゾディオスが光の珠となって渦を描きながら1つになる。
「もう一度現れろ!《超弩級砲塔列車グスタフ・マックス》!」
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス ATK3000
「罠カード発動、《奈落の落とし穴》。グスタフ・マックスを破壊して除外だ」
ふたたび現れる巨大な砲身を持った列車。
しかし現れたのも数秒のみ、すぐさま巨大な穴に飲み込まれて落ちていった。
「俺は……これでターンエンド……」
男 LIFE6400
手札0
男の手札もなくなり、場にもなにも残っていない。
もはや哀れとしか言えないだろう。
「俺のターン、ドロー。あー……」
引いたのはまたしても召喚してはいけないカード。
これでこのデッキの中のあまり召喚できないカード3枚が全て手札に揃ったことになる。
ちなみに2枚目はガイウスを召喚したときの《冥界の宝札》で手札に来た。
「墓地のエイドスの効果を発動。エイドスを除外して墓地のイデアを守備表示で特殊召喚。さらにイデアの効果でデッキから最後のエイドスを守備表示で特殊召喚」
天帝従騎イデア DEF1000
冥帝従騎エイドス DEF1000
「そしてイデアとエイドスをリリースして、《神獣王バルバロス》をアドバンス召喚!」
神獣王バルバロス ATK3000
獅子の半身を持ち、槍と盾を装備した獣戦士が俺の場に現れる。
「《冥界の宝札》の効果でデッキから2枚ドロー。ガンナードラゴン、ガイウス、バルバロスでダイレクトアタックだ」
「くそぉぉぉおおおおっっ!!」
男 LIFE6400-2800-2800-3000=-2200
男のライフがなくなった途端、男は崩れ落ちるように意識を失った。
ナンバーズが一切出てこなかったが、これで良かったのだろうか。
「……出てなくても勝者に渡るのか」
男のデッキから抜けて目の前に飛んできた2枚のナンバーズ、《No.35 ラベノス・タランチュラ》と《No.84 ペイン・ゲイナー》を見ながら呟く。
効果を見るかぎりどちらもステータス強化とバーン、さらに破壊効果を持っているようだ。
使いこなせれば結構強いかもしれないな。
まぁ、ランクが高いから俺はあまり使わないだろうが。
「それにしても……。いったい何枚あるんだ?」
ナンバーズと言うだけあって、それぞれ数字が割り振られているのは確かだろう。
しかし、その最大の数字はいくつなのか。
それが全く分からない。
一応、ペイン・ゲイナーが84ということから少なくとも84枚はあることが分かるが。
「管理局に連絡……はしない方がいいかもな。一般人には荷が重すぎる」
ナンバーズを回収しようとして力に溺れてしまうのが関の山だろう。
それならば連絡はしないで独自に集めた方がまだ被害は少なく済むはずだ。
とはいってもナンバーズ絡みの事件も起きているはずなので、管理局が関わってくるのも時間の問題とも言えるが。
「ま、ナンバーズ同士は引き寄せ合うみたいだからなんとかなるだろ。ケーキとクッキーを追加しておかないとな」
倒れている男をそのままに俺はメニューの補充を始める。
できれば、今回の強盗のような迷惑なナンバーズの持ち主が現れないことを願いながら。
モンキーボードとラヴァチェが幽閉されて環境がまた変わりますね。
まぁ、私はデッキに入れてないので関係ないんですが。
最近、新しくインフェルニティとアモルファージを構築してます。
個人的にはぜんぜん満足には程遠い出来ですね。
アモルファージは地味に厄介な出来になりました。
それでは。