〈物語〉シリーズ プレシーズン 【裁物語】   作:ルヴァンシュ

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「この度は、二次創作小説『〈物語〉シリーズ プレシーズン 衣物語 おうぎヘルメット』をお読み下さり、誠にありがとうございます。今回ウラガタリを担当しますのは、あらゆる物語の聞き手こと私、忍野扇です。そして」

「……そして、ではないわ。なんで儂がうぬとコンビを組まねばならんのじゃ」

「おや? ご不満ですか?」

「不満も不満、不快と言っても何ら過言ではないわ! なんでうぬなんじゃ! なんで儂なんじゃ! うぬと組むくらいなら、まだ人形娘と組んだ方がよっぽど良かったわ!」

「おやおや、そこまで言われるだなんて。悲しいですねえ。私の尊敬すべき大先輩であるところの貴女にここまで拒絶されるとは、全く悲しすぎて涙が出てきますね」

「全く潤んでおらんように見えるのは儂の気の所為かのう?」

「気の所為ですよ。ほら良く見て下さい、真っ黒な目なので分かり辛いかもしれませんが、ちゃんと潤んでますよ」

「うぬの目なんざ誰が注視するものか。吸いこまれそうで気持ち悪いわ」

「辛辣ですねえ。ウラガタリの記念すべき第一回なのですから、もっとフレンドリーにいきましょうよ」

「第一回にもってくるような組み合わせじゃないだろう、これは」

「では第何回が良かったのでしょう?」

「一回さえもやりたくなかったわ!」

「そんなに嫌ですか? じゃあ今からでも遅くはないですし、チェンジしますか?」

「おお、出来るのか!」

「出来ますよ。出来ますけど、チェンジするということはつまり、貴女が大人気なく、割り振られたお仕事をただ嫌いな奴と一緒にやることになったから嫌だやーらない、という嫌な奴であることを認めるのと同義ですけれど、それでもチェンジしますか?」

「わざわざそんなことを言ってくる方が嫌な奴ではないのか?」

「ではチェンジ?」

「当然じゃ。なんと思われようが知るか。他人からの評価などどうでもよいわ」

「そうですか。嫌な奴ですね。最低な奴ですね。うわー、マジひくわー」

「好きに言え……じゃあ儂は帰るからな!」

「え? あ、もしかして本当にチェンジ出来ると思っちゃったかんじのやつですか?」

「は?」

「いやいや、普通に考えて無理でしょう。ここまで騙されますか普通」

「…………」

「はっはー、滑稽ですねえ。さあ、おふざけはここまでにして席について下さい。始めますよ」

「…………」

「どうしました? 目先の利益に目を奪われて、人気さえも失ってしまいそうな忍さん? 突っ立っていても何も変わりませんよ。ウラガタリを終えないと、私達はここから出られないのですからね」

「…………」

「ふふふ。では、そろそろ前説を終了させて頂きましょうか。忍さんが席におつきになられるまでの間で、注意事項をどうぞ」


■ 注意事項 ■

・約1万5000字です。
・〈物語〉シリーズのネタバレがかなり含まれております。
・『衣物語 おうぎヘルメット』のネタバレが含まれます。
・台本形式です。


「さて、忍さんもお座りになられましたので、始めましょう」

「もういっそ死にたいわ……」

「ウラガタリ、スタートですよー」



ウラガタリ おうぎヘルメット

[001]

 

 

「はいはい、第一セクションは、〈物語〉シリーズ恒例の、メインキャラのフルネームから始まる語りですね。今回はおうぎヘルメットなので、不肖私、忍野扇が務めさせて頂いております」

 

「はっ、何がおうぎヘルメットじゃ。確かにうぬが活躍する回ではあるが、しかしどうじゃろう、これ分ける意味があったのかの?」

 

「ええ、確かに。内容的には、次回のしるしメイクの完全なる前日譚ならぬ直前譚ですからね。しるしメイクの一部としても、違和感はありませんね」

 

「ほう。認めるのか」

 

「間違っていない事は認めますよ。正しいですからね――裏事情を話してしまうと、じつはこのプレシーズン、何らかの短編が一話、そして続きとなる長編が一話で一つの物語になる、という形式になる筈だったのですよ」

 

「む? 裏事情とか喋ってよいのか?」

 

「裏設定や裏事情をお話しするのが、このウラガタリですからね」

 

「……気になっておったが、なぜウラガタリという名前なんじゃ? 副音声でもなければ裏音声でもない、アトガタリでも後書きでもなく、なぜウラガタリなのじゃ」

 

「あれ、聞いてなかったのですか?」

 

「聞いておらんわ。ちゅーかこの企画自体聞いておらんわ。聞いておったら事前にキャンセルしたものを」

 

「酷いですねえ。そんなに語りたくありませんか」

 

「うぬが嫌なんじゃ!」

 

「嫌な奴ですねえ。まあ、この名称については、先程挙げて頂いたアトガタリの影響が強いですかね。最初は普通に副音声にしよう、という話だったのですが、いや、そもそもこれ音声じゃねえじゃん、声出てねえじゃん、ということで、これは当然の如く却下となりました」

 

「同じ理由で裏音声もアウトか」

 

「ええ。しかし、かといってアトガタリにするというのは、ちょっと違いますね。あれは二次元から離れた三次元の対談ですし。後書きはそもそも違いますしね」

 

「ほう」

 

「最初、予告では色々表記が変わってたりしたんですよ。そんなところまで覚えていらっしゃる読者さんはおられないと思いますが、裏小説だったり副小説だったりと、ちょこちょこ変わっていたんですよねえ」

 

「迷惑な話じゃのう……」

 

「ええ、全くです。こういうのはきちんと決まってから予告するべきだと思いますね、私は」

 

「まあ、そうじゃな」

 

「話を戻しますが、この二つが結局却下されたのは、語呂的な事情なんですよね。副小説、裏小説、どちらもいまいちしっくりこないでしょう?」

 

「それは人それぞれではないかのう」

 

「しっくりこなかったらしいんですよ、この作者は」

 

「む? 作者ネタは使ってよいのか」

 

「よいです。ただし、本編では依然禁止ですがね」

 

「そうか」

 

「というわけで語呂がいいかんじになったがために選ばれたのがこちら、ウラガタリです。裏音声のウラと、アトガタリのガタリを組み合わせたもの。つまり、両方のハイブリッドみたいなも、という意味合いでしょうか」

 

「ふむ……裏音声というか、副音声要素は、まあ入っておるのじゃろうが、アトガタリ要素はどうやっていれるつもりじゃ」

 

「知りません。そこまでは聞いてませんから」

 

「ふん、役に立たん奴じゃ」

 

「おや、続終物語における私の活躍を知らないと仰る?」

 

「また宣伝か……」

 

「本編での宣伝要素は出来るだけ控えめになる予定らしいですが、こちらでは普通に入れていきますので、ご了承ください」

 

「そもそもやるなよ、という話じゃがの」

 

「さて、裏事情はここまで。本編について語り合いましょう――あ、因みに、これにはアニメのように絵はありませんので、活字を読みながら、二人で語っております」

 

「面倒な形式じゃのう。なんじゃ、平均二万字前後って。もう少しどうにかならんかったのか」

 

「其ノ壹、とか題名に付けている辺り、どうやらアニメを意識した分割のようですね」

 

「にしては実際にアニメ化すると削られそうじゃがの。この語りとか、最たるものじゃろう」

 

「いきなりネタバレの嵐ですからね。もう少し自重する事はできなかったのでしょうか」

 

「……兜を衣と表現するには、多少無理があるような気がするが」

 

「衣を装着するものであると定義すれば、なんとか通じはします、かね」

 

「どうじゃろうなあ……」

 

「これで上手い事言えているつもりなのですから、生温かい目で勘弁してさしあげましょう」

 

「うぬの眼からは温度さえも感じんがな」

 

 

[002]

 

 

「OPですよー」

 

「OPはない」

 

「ですね」

 

「おい」

 

「はっはー。OPがあるとすれば、どうでしょうね? 私の曲になるのでしょうかね」

 

「まあ、通例に従えばそうなるじゃろうな」

 

「例外もありますけどねえ。ねえ。ねえ」

 

「何度も言うな! ちゅーかそこには触れるな!」

 

「そうですね。まあ流石にここまでは触れませんよ。この件については色々と憶測が飛び交っておりますが、結局真実なんて当事者にしか分からないものですからね。何を言おうと、それは無意味というものでしょう」

 

「ならよいのじゃ」

 

「個人的には、忍さんがいやいやと嫌がった説を推したいのですが、如何でしょう?」

 

「儂をなんだと思っとるんじゃうぬは!?」

 

「冒頭のあれを見せつけられた身としては、あなたを大人気ない嫌なロリババアとしか思えませんよ、ええ」

 

「おいうぬ、この収録が終わった後スタジオ裏に来い」

 

「恋の告白ですか?」

 

「ぶっ殺すから」

 

「物騒ですねえ。穏便にいきましょうよ穏便に」

 

「セカンドシーズンから散々我があるじ様を引っ掻き回しおったうぬが言うか?」

 

「ファーストシーズンから阿良々木先輩が怪異現象に巻き込まれるきっかけとなった貴女にだけは言われたくありませんね」

 

「だまれ、ファイナルシーズンでの負け犬めが」

 

「恐らくオフシーズンでまたもや過去の醜態を晒すであろう貴女の方がある意味負け組では?」

 

「業物語か……」

 

「いやあ、あれには作者も焦ったようですね。何せ場合によっては今後の物語が全部ひっくりかねないような内容のようですし」

 

「なんで語るかのう。鬼物語、終物語と来て、まだ儂の過去を語ろうというのか。うつくし姫で十分じゃろうが」

 

「しかし、本家の方で回収されてない伏線の代表格と言うのが、まさに貴女の過去――吸血鬼になる以前、或いは吸血鬼になった時の話ですからね。こうして物語化されるのもやむなしと言ったところでしょう」

 

「酷いもんじゃわい」

 

「酷いのは貴女の美しさですけれどね」

 

「……話が逸れた、戻すぞ」

 

「はいはい。では、私からこの章に関して一つだけ」

 

「一つだけなのか? うぬが語りまくっている場面じゃろうに」

 

「態々語るまでもない場面ですから。私が言いたいのは、注釈ですね。神原先輩をニュービートルに乗せたというところ」

 

「ふむ」

 

「あれ、私お馴染みの先取りメタ発言ですからね。この物語の時系列は、続終物語より後、花物語より前の時系列です。神原先輩はこの段階では、阿良々木先輩が車に乗っているという事さえも知りません」

 

「なんでそんな注釈の要るようなことを言うんじゃ」

 

「扇ちゃんの茶目っ気です」

 

「気持ち悪い」

 

「おっと、ストレートですねえ」

 

「死ね」

 

「直球ですねえ。直球すぎて特大ホームランを打たれそうですね」

 

「ちゅーか、何でここ、我があるじ様は反応しておらんのじゃ」

 

「はっはー。ここはただ単に聞き流しただけのようですねえ。お陰ではぐらかす手間が省かれましたよ」

 

「そんな理由じゃったのか……」

 

「はい、私からは以上です。忍さん、何かありますか? なければ次の章に移りますが」

 

「業物語、1月15日発売じゃ」

 

「まあ、自分メインの巻ですし、なんだかんだ売れて欲しいですよね」

 

「買うだけ買って、箱だけ眺めて中身は読まないでほしい」

 

「内面を見られたくないようなものですかね」

 

「儂の内面はもっと見るな」

 

「死んじゃいますからね」

 

「不本意ながらじゃが」

 

「でもここまで語っておいて、実際読んでみると全然違う話だったりしたら笑えますよね」

 

「いやそれは笑えんじゃろう」

 

「笑われちゃいますね」

 

「笑っちまうことにの」

 

 

[003]

 

 

「この辺り、賛否両論ありそうですよね」

 

「ルールを守るべきか否か、か」

 

「おうぎフォーミュラで語られていましたけれど、正しさなんていうのは否応なく、どうしようもなく多数決で決まってしまうものですからね。それがどれだけ間違っていようと、多数派ならば、それに従わない者が間違いとうことになっていまいますからね。現実は理想通りにいかないということですよ」

 

「ルールを守らなかったところで、正しさの前では、ルールなど無意味、ということか」

 

「残念ですが、それが現実であり、現代社会が抱える闇でもありますね」

 

「闇か……儂らのことも、見逃してほしいもんじゃがの」

 

「羨ましくはありますが、しかしそれは危険思想と言えるでしょう。ルールに縛られているのが、本来あるべき、当たり前の形なのですよ。怪異も、そして人間も」

 

「ふん。それはそうじゃが、しかし儂らの場合罰が重すぎるじゃろう、ということじゃ。いい加減にしろよなあの『くらやみ』」

 

「私達、即ち怪異は、生き物と違って世界と繋がっていますからね。私達のルール違反は、世界そのもののルール違反と同義です。世界が間違いを犯す訳にはいきませんよね?」

 

「むう……あれは、世界からの隠蔽工作の様なものということか?」

 

「さて、どうでしょう。私は何も知りません。こればっかりは誰にも分かりませんし、分かりえないことでしょう。あくまでも私の仮説ですよ。あれを模倣するにあたって、行動の軸としていたなんとなくの仮説」

 

「仮にそれが真実とするならば、恐れを通り越して怒りが湧いてくるの」

 

「怒り、ですか」

 

「そんな下らん理由の所為であの神隠しが起こったのだと考えると、本当に腹が立つ。それだけの理由であれだけの人間を抹消したというのは、当時神を騙っていた身からすれば、許しがたいものではある」

 

「いやでも、そうは言いましても、結局それが真実であれなんであれ、悪いのは騙った貴女なんですからね? 責任転嫁するというのは頂けませんねえ」

 

「……仕方ないじゃろう、崇められたのじゃから」

 

「だからそこで否定しておけばよかったのですよ。そうしなかった所為で色々狂ったのですからね。今回の事件も、半分はそれが原因なんですから」

 

「は?」

 

「おっと、これはネタバレが過ぎましたね。忘れて下さい」

 

「いやおい、何さらっと」

 

「はい、次の章に行きますよー」

 

「嘘と誤魔化しの天敵とか名乗っておった奴が誤魔化すな!」

 

 

[004]

 

 

「次の章ですよー」

 

「本当に行きおった……」

 

「いやあ、本当にここの阿良々木先輩は愚かですよねえ。愚かの化身です」

 

「ここばっかりは儂でも擁護しきれぬわ」

 

「あれ、今まで擁護していましたっけ?」

 

「さあな、忘れたわい」

 

「……これは要介護ですね」

 

「儂を後期高齢者扱いするな!」

 

「いやだって、ついさっきまで話していた内容を忘れるって……ちょっとこれは危険ですよ。認知症の可能性がありますね」

 

「いや今のはボケじゃろうが!」

 

「おっと……ボケてきましたか……これはますます脳の障害が疑われますね」

 

「そっちのボケではないわ! ボケとらん!」

 

「え? ボケではなく、あんなことを言っていたのですか? これは一旦アトガタリを中断して、介護施設かどこかで再開した方が……」

 

「ボケとるのはうぬの方じゃろうがボケ!」

 

「私はボケてませんよ。健康な優良児です」

 

「その蒼白さでよく言うのう」

 

「ボケというなら、阿良々木先輩も相当なボケですよねこれ。二重の意味で」

 

「ボケというかバカという感じじゃが」

 

「バカラギ先輩ですね」

 

「ネタをパクるな」

 

「失礼、パクりました」

 

「違……くないが、うぬ、誰かの持ちネタは使わんのではなかったか?」

 

「奪わないとは言いましたが、使わないとは言ってませんよ」

 

「屁理屈もいいところじゃのう」

 

「落ちているものを平然と手に取るなんて、中々どうしてどうかしていますよね」

 

「落ちているものを平然と食べるという行為よりはマシなような気がするがの」

 

「もしかしたら触れたら爆発するかもしれないのに、不用心なものです」

 

「蹴ったうぬも大概じゃぞ。ちゅーか先に触れたのはうぬじゃ……なんじゃい爆発って。どこの殺人鬼じゃ」

 

「いよいよあれもアニメ化ですか。感慨深いですね」

 

「これもこれで議論を呼んでおるようじゃが、所詮は事前情報、蓋を開けぬ限りは何も分からんよ」

 

「議論するだけ無駄ですね。無駄なんですよ無駄無駄」

 

「それは一つ前の部か、或いは一つ後の部じゃ」

 

「果たしてどこまでアニメ化するのやら。私というキャラ的には、ブラックザバス戦が見たいので是非第5部もアニメ化してほしいところですね」

 

「また微妙なところを突くのう」

 

「第5部は愚か者しか出てきませんからねえ。そういう意味でも好きですよ、はい」

 

「5部ファンを敵に回したぞ、うぬ」

 

「大丈夫です。全ての罪は作者が代行してくれますから」

 

「いとも容易くえげつない事言うのう」

 

「というか、脱線し過ぎでしょう。これはあくまでも〈物語〉シリーズの二次創作ですよ、ジョジョの奇妙な冒険の二次創作ではありません」

 

「脱線させたのはうぬじゃろうが」

 

「さて、何の事やら」

 

「お、認知症か?」

 

「ほほう、そのネタを覚えてらっしゃるという事は、貴女が記憶障害をかかえているという疑いは少しだけ晴れましたね。よかったです」

 

「全部晴らせよ!」

 

 

[005]

 

 

「うぬ、これ本当に分からなかったのか?」

 

「本当ですよ。私は生まれてこの方嘘なんて吐いた事はありません」

 

「『くらやみ』を演じた癖に」

 

「あれは私という怪異の特徴ですよ。絶対に避けられない宿命――いつか必ず消滅しなければならない怪異というのが、私達『くらやみ』もどきですよ。貴女の嘘とは根本が違います」

 

「うぬよ、本当に儂に対する敬意は一片もないんじゃな」

 

「いえいえ、お慕い申し上げておりますよ? 全く人聞きの悪い事を」

 

「じゃあ少しは敬意を見せろよ。儂を下げるのはやめんか」

 

「私はただ事実を告げているだけなのですが……え? つまりこう言いたいのですか? この私に嘘を吐けと? そんなあ。敬い崇め奉るべき大先輩である忍さんの偉大なる雄姿を、こんな若輩者の一存で改変するだなんて、そんなとてもとても恐れ多い」

 

「ぶっ殺すぞ」

 

「それさっきも聞いたような気がしますね」

 

「また言わせるような事をうぬが言いやがるからじゃ」

 

「あれ、そんなこといつ言いましたっけー? 私はただただ、忍さんについて嘘偽りなく飾らずに語っていただけなのにー」

 

「だからそういうことを言うからじゃ!」

 

「やれやれ、これだから嘘吐きさんは。そうやって自分を偽ってきたから痛い目を見たのでしょう? 嫌な奴どころか悪い奴ですね。嫌悪感を抱かれても知りませんよ?」

 

「今更じゃろうが。ちゅーかうぬも人の事を言えんぞ? そこまで儂を罵倒したのじゃ、当然、うぬの人気もダダ下がりじゃろうのう。かかっ!」

 

「うわあ、人の暴落を見て笑いますか。最低ですね貴女」

 

「しまった! 罵倒の口実を与えてしもうた!」

 

「そんなんでよく内面が美しいとか言われていましたね。命を差し出した方々、実は貴女の内面の醜さを見たくなくて、逃げる為に自決されたのではないでしょうか?」

 

「内面も外面も真っ暗闇のうぬには言われたくないわ」

 

「それとも何です? 吸血鬼化した影響なのでしょうかね、その変化は」

 

「……さてな」

 

「ま、この辺りに触れるのはまた別の機会にでも――話を本編に戻しますが、阿良々木先輩、妹さん達を恐れすぎですよね」

 

「いやいや、あれは中々にスリリングな連中だぞ? 黒娘よ。カレンの方はあのカゲヌイに及ばぬとしても、高速道路をぶっ壊すほどの力を秘めておる――アニメ版の誇張表現じゃが――それにツキヒ、あやつは何を考えておるのかまるで分からん。考えがまるで読めんのじゃ、あの不死鳥」

 

「ええ、知ってますとも。火憐ちゃんの方はいまいち絡みはありませんのでコメントし辛いですが、月火ちゃんの方、あれは本当に手ごわいと感じましたからねえ。恐ろしきは無知な者なり、ってね」

 

「ほう? うぬ、あやつと会ったのか」

 

「ええ、会いましたよ。月火ちゃんにとっては遭ったというべきなのでしょうが。この辺りはまだアニメ化されていない部分ですし、詳しくはアニメ化を待つか、或いは終物語(下)をお読みください」

 

「露骨な宣伝じゃのう」

 

「宣伝をすると宣言済みですし、問題ないでしょう。多分」

 

「多分か」

 

「多分です」

 

「妹、か。儂には妹なんておらんかったし、よう分からんわい」

 

「少なくとも、リアルな妹は萌えないということは確かなようですがね」

 

「かかっ、違いない」

 

「じゃあ、次行きましょう」

 

「本当、本編について語っておらんの……」

 

 

[006]

 

 

「かかっ、ここで救世主であるところの儂、忍野忍の登場じゃ!」

 

「役立たずな救世主もあったものですねえ」

 

「役立たずとか言うなよ!」

 

「歯も立たなかった癖に。刃で断てなかった癖に」

 

「あ、あれは儂が悪いのではない! 『心渡』が悪いのじゃ!」

 

「初代さんの所為にするのはやめましょう。あの人がお怒りになられますよ。あの人が」

 

「……また何か含みのあるような事を」

 

「まだ名前を言ってはいけません。重大なネタバレですし」

 

「じゃからネタバレに触れるなよ。なんじゃ、名前を言ってはいけないあの人って。どこの闇の帝王じゃ」

 

「闇の帝王って、あれ自称ってところが痛いですよねえ。自称出来るだけの実力をお持ちになられているというのもまた面倒です」

 

「自分の名前を態々アナグラムにするという凝りっぷりもまた痛いよなあ。中二病拗らせすぎじゃろう」

 

「拗らせてますよねえ、あれは。顔面蒼白ですし、どう見ても病気ですよ」

 

「それ、うぬが言うか?」

 

「しかし本当に貴女は怒りっぽいですねえ。ここでも私は別に貴女を貶めようとしている訳ではないというのに、どうしてここまで最悪な印象を抱かれたのでしょうね?」

 

「はっ、それさえも分からんのか、うぬ。なんじゃ、うぬも大した事ない奴じゃのう! 推理小説好きとか、副音声で猿娘をワトソン呼ばわりしていた割には、全くなんにも分かっておらんではないか。推理出来ておらんではないか。かかっ! これではホームズどころか、忘却探偵にさえ届かんわい!」

 

「おい」

 

「おいってなんじゃ!?」

 

「私の否定はまあ許しますが、私をあの忘却探偵よりランク下に位置付けさせるのは止めて頂けませんかねえ? あの方はどうもホルスタイン先輩を連想してしまって、苛々させられるのですよ」

 

「うぬどんだけ元委員長のこと嫌いなんじゃ」

 

「貴女が私の事を嫌っている度合いよりさらにランク上の嫌悪度です」

 

「死ぬほど分かりやすいのう」

 

「というか、あれ狙いすぎでしょう。見た目どころか、声優さんだって同じなのですよ。あれで連想するなと言われても無理ですよ。まあミスリードなんでしょうけど」

 

「ううむ。しかし、愚物語の時系列においては、どうやらあの元委員長、何やら事件に巻き込まれているようではないか。もしかすると」

 

「幾らなんでもそれとこれとは無関係でしょうよ。それに、あの方は日本におりませんからね。まあ、真相はまだ分かりませんが――しかしあの方も災難ですねえ。まさかこうも――いやいや、何も言いませんよ」

 

「うぬ、ネタバレを楽しんでないか?」

 

「知る者の優越感ですよ。知らない貴女には分からないでしょうが」

 

「……そういう発言をするから、悪印象を持たれるのだと思うがの」

 

「其ノ壹、終了ですよー」

 

 

[007]

 

 

「其ノ貮ですよー」

 

「アニメでは二話目突入と言ったところか」

 

「この章が終了した辺りでOPですかね。Decent black」

 

「新曲ではないのか?」

 

「この作者に作詞能力がおありと思いますか?」

 

「思っとらん」

 

「おうぎダークにおいても、恐らく私が主題歌を歌う事になるのでしょうけれど、その曲がこの話に合うかと言うと、微妙でしょうしね」

 

「そういえばどうなるんじゃろうな、それ含む三篇は」

 

「さてさて、どうなるのでしょうね? しかしまずは暦物語ですよ。皆さん、スマートフォンアプリ『暦物語』ダウンロードしましたか?」

 

「おっと強引に宣伝を挟みよるわこやつ」

 

「まだダウンロードしていない方は、まだ間に合いますよー。ここでしか見れない新作短編アニメーション『暦物語』が、2016年1月9日より毎週土曜日深夜公開されます。阿良々木先輩と12人のヒロインが繰り広げる激動の12ヶ月、是非お見逃しなく!」

 

「まあ詳しくは各自ググれ」

 

「はい、宣伝は以上です」

 

「本編の話をするぞ」

 

「そうですねー。この章では、〈物語〉シリーズもう一つの恒例である、行開け台詞が登場していますね」

 

「今回はうぬの台詞じゃの。このくっそふざけた台詞じゃの! 舐めとるのか儂を!!」

 

「貴女なんて舐めませんよ、気持ち悪い」

 

「儂の方から願い下げじゃそんなもん!」

 

「これくらいしかなかったのですよ。一応もう一つ候補となっていた台詞があるのですが、あちらはあらすじの方に使ってしまっていたので」

 

「作者の計画性のなさがよく分かるのう」

 

「というか、皆さん分かりました? これ。台詞と地の文を開けているスタイルなので、少々分かり辛かったかと思うのですが、如何でしょう」

 

「まあ、意外と書いている時と実際読む時では、文字の大きさやら行の空き方が大分違うからのう。案外そうでもなかったかもしれんが」

 

「ならよいのですが。いえ、改善すべきところはしっかりと改善して頂かなくてはなりませんからね、作者に」

 

「作者ネタのオンパレードじゃのう……」

 

「ウラガタリだから自由にやっていいというのは、間違っていると私は思いますがね。まあこうして文句を言えるということでもありますし、とことん利用していきましょう」

 

「改善できるだけの手腕がこやつにあるかが問題なのじゃがな」

 

「そこら辺はちゃんとして頂きたいところですね」

 

「儂らからしても、読者からしてもの」

 

 

[008]

 

 

「まずはこの言葉を。お疲れさまでした」

 

「貴様ふざけるなよ!」

 

「おやおや、労いの言葉をかけたつもりだったのに、怒られてしまいましたよ? 謎ですねえ、不思議ですねえ、ミステリーですねえ」

 

「黒い癖に白々しいわ!」

 

「黒と白と言えば、知ってますか? ゴキブリって、脱皮直後は真っ白なのですよ」

 

「だからどうした!? それがなんじゃ!? どうでもよいわそんなもん!!」

 

「おや、若輩者である私からは知識を得たくないご様子ですね」

 

「そんな知識得たくはない……あのアロハ小僧の怪異知識以上にどうでもよいわ……」

 

「はっはー、手厳しいですねえ。そんなに年下がお嫌いですか」

 

「じゃからうぬが嫌いなんじゃ!!」

 

「酷いですー。うわーん、そんなはっきり言うだなんて、忍先輩酷いですー。えーんえーん」

 

「ぶん殴りたくなるほど下手糞な演技じゃのう」

 

「暴力的ですねえ。すぐに暴力に訴えるなんて、あなたはジャイアンですか」

 

「違う、儂はノブえもんじゃ、オウギえもん」

 

「オウギえもんだと語呂が悪いですねえ。ドラミならぬオウミなんていうのはどうでしょう」

 

「名前がこれから出てくるキャラと被っとるし、何よりうぬが儂の妹なんて考えただけでもおぞましいわ! これっぽっちも萌えん!」

 

「しのぶお姉ちゃん、だーいすきー」

 

「うわ気持ち悪っ!! 寒気さえ覚えたわ! うぬにお姉ちゃんとか言われても何にも嬉しくない! 可愛いロリに言われるならまだしも!」

 

「後半の問題発言はさておくとして、酷いですねえ。私にときめいてくださいよ」

 

「うぬには全くときめかんわ」

 

「じゃあゴキブリと私、妹にするならどちらが良いですか?」

 

「なんじゃそのどう足搔いても絶望しかない選択肢」

 

「おや、迷いますか」

 

「どっちも嫌じゃ。ちゅーかうぬは自分をゴキブリと同列に並べて悲しくならんのか」

 

「え? ああ、はい。じゃあ泣きますね。うえーん、しのぶお姉ちゃんがいじめるー、えーんえーん」

 

「ええい見苦しい! こんな意味不明な寸劇を見せられる読者の気持ちになれよ! やめんかウザい!」

 

「要求しておいて我関せずとは、長生きしすぎるとここまで図太くなれるものなんですねえ。ふむふむ、勉強になりますよ」

 

「悪意を感じる言い方じゃな」

 

「流石は反面教師忍野忍。伊達にロリババアやってませんね」

 

「悪意以外を感じぬ言い方じゃなあ!」

 

「それにしても、まさか本当にアップグレード出来るとは思いませんでした」

 

「そうなのか?」

 

「ええ。正直あれは土壇場で適当に思い付いた策ですからね。成功するかどうかは、賭けみたいなところがありました」

 

「その割にはもっともらしい理屈を並べておるが」

 

「理屈ではなく理論ですよ。こうすればこうなるという方程式、フォーミュラです」

 

「証明されてはおらんかったのか」

 

「ええ。ですが今回のアップグレードに成功したことで、見事証明完了、Q.E.D.という訳です」

 

「……うぬ、そんな不確定な理論を証明するために、儂の愛刀を利用したな?」

 

「悪気はありませんでしたよー」

 

「悪びれずにこ奴は……」

 

 

[009]

 

 

「さて、そんなこんなでこのウラガタリもめでたく1万字突破を果たしましたね」

 

「本編の半分程度にしかすぎんがの」

 

「しかしまだ終わりませんよ。この章を含め、あと4章分語らねばなりません」

 

「まだそんなにあるのか……」

 

「それを言いたいのは読者の方かもしれませんよ? これ、完全に内輪のノリですからね。付いていけませんよ誰も」

 

「やれやれ、全く誰の所為じゃ、ここまでグダグダにしたのは」

 

「全くですよ。誰でしょうねえ、グダグダと我が儘を言うのは」

 

「うぬか」

 

「貴方ですよ」

 

「しかしうぬよ、この時本当に儂の味方じゃったか? 改めて見ると、ただの煽りに見えるのじゃが」

 

「はっはー。そこまで来ると人間不信ですねえ。いや、私不信ですか」

 

「己の行動を怨めよ。日ごろの行いが悪いから信用されんのじゃ」

 

「ほう、では貴女は日ごろの行いが良いと?」

 

「逆に悪いと思うのか?」

 

「まあ悪女ですよね」

 

「儂が悪女というならうぬはなんじゃ、悪魔か?」

 

「悪魔と言うなら貴女でしょう、元伝説の吸血鬼先輩。吸血鬼を悪魔とみなす作品も幾つかありますからねえ」

 

「悪魔っちゅーか鬼じゃな。鬼娘じゃ」

 

「鬼娘というと鬼太郎さんを思い出しますねえ」

 

「何故そう連想した」

 

「確か前にもありましたね、鬼太郎ネタ」

 

「我があるじ様が鬼太郎で、ツンデレ娘が夢子ちゃんだったかの? ……ちゅーかなんでうぬがそれを知っておる」

 

「私は何も知りませんよ。阿良々木先輩が知っているんです」

 

「言うと思ったわ」

 

「私はあの巨乳と違ってサービス精神がありますからね。阿良々木先輩以外にも、ふられた場合は気前よく言いますよ」

 

「うぬが気前よくとは、よく言うわい」

 

「本当辛辣ですねえ。抜き身の刀のようですよ。おおこわいこわい」

 

「叩っ斬ってやろうか」

 

「それはさておき。本編に戻りましょう」

 

「逃げおってからに……うぬ、この段階ではどのくらいまで把握出来ておったのじゃ? 妙に語っておるではないか。これもアップグレードの時と同じく、理論とやらに基づいた当てずっぽうか?」

 

「当てずっぽうとは人聞きが悪いですけれど、まあそうですね。否定は出来ません。私は阿良々木先輩が知っていること、貴女が知っていること、或いは、初代怪異殺しが知っていることしか知りません」

 

「はっ、何にも知らんのじゃな、うぬは」

 

「だから、何も知らないんですよ、私は。さっきも言ったでしょう? 私は何も知りません、と。初代さんの名前だって、私を構成する要素だからこそ知っていたのです」

 

「しかし儂らにとっては堪ったものではないの。儂がひた隠しにしていることなんかも、全部筒抜けではないか」

 

「ええ。ですから、業物語は私にとって、ただの復習、或いは復唱でしかないのです」

 

「嫌な奴め」

 

「お褒めにあずかり光栄です」

 

 

[010]

 

 

「はいはい、これも恒例。ロリ少女を襲わんとする阿良々木先輩の無駄に長い無駄なモノローグですね」

 

「我があるじ様のことながら、何とまあ情けないことよのう」

 

「これ、身内にバレた場合はどうするつもりなのでしょうね? 今のところ副音声でも露呈してはいないようですが」

 

「そりゃあもう然るべき機関に一直線じゃろう。交番にシュートじゃ」

 

「ダストシュートですね」

 

「ゴミ扱いするか……別に異論は無いが」

 

「というか、この方このまま社会に出すのは危険すぎるでしょう。絶対どこかで警察のお世話になりますよ」

 

「それは困る。我があるじ様が捕まると言う事は、儂も連帯的に捕まってしまうと言う事じゃからな。刑務所の中ではドーナツが食えぬではないか」

 

「よし、後で通報しましょう」

 

「通報されるころにはうぬは八つ裂きになっておろうな」

 

「おやおや。そのネタを使うのはまだ早いですよ忍さん。刀語ネタは慎重に使って下さいよ。我々はあくまでもコラボさせて頂いている身なのですから」

 

「ふん、夢のコラボなら既に儂とツンデレ娘がやっておるわ。秘策士しのぶ」

 

「一生秘しておいて下さい」

 

「まさかあの奇策ならぬ秘策が失敗するとは思わなんだのう。あそこまで友達がおらんとは」

 

「仕方ありません。人間強度が下がりますからね」

 

「あのふざけた学級会の所為じゃ、全く……オイクラとやら、もしも儂が実際に会えば、間違いなく、それこそ八つ裂きにしておったじゃろう」

 

「老倉先輩を責める気持ちは、まあ分からないでもないですがね。実際あそこで秘策が成功しなかった所為で、巡り巡って初代さんが復活してしまった訳ですしねえ。ですがそれだと、『くらやみ』が現れたあのタイミングで八九寺ちゃんと会う事は出来ていなかったでしょうし、八九寺ちゃんは地獄行きさえも許されず、存在そのものが抹消され、奇跡の復活劇も絶対にありえないことだったのでしょう」

 

「そしてうぬが生まれる事もなかったの」

 

「ええ。こう考えると、本当の全ての元凶というのは、老倉先輩なのかもしれませんねえ。まあ不幸に入り浸っているあの方にこれ以上を提供するのは酷というものですが」

 

「酷じゃろうと、会えばうぬは突き付けるじゃろう? 今言った事を」

 

「当たり前じゃないですか。酷だから真実を告げないというのは、それはただの偽善であり戯言です。そういった事は、絶対に許しませんよ、私は」

 

「酷いな、うぬは」

 

「醜いでしょう?」

 

「醜いと言うならこのあるじ様もじゃがな。かかっ」

 

 

[011]

 

 

「本当、息が合ったコンビですよねえ、阿良々木先輩と八九寺ちゃん」

 

「はっ! 生涯のパートナーである儂を差し置いて何やっとるのじゃ」

 

「妬いてるんですかあ?」

 

「妬いとらん」

 

「嘘吐きは『くらやみ』に呑まれますよ」

 

「その脅しマジで不愉快じゃからやめてくれんかの」

 

「言っている私だって不愉快なんですよ。ですが貴女が嫌がるからこうして嫌々ながら言っているのです。少しは私の気持ちを酌んでほしいものですねえ」

 

「ああん? とうとううぬ、化けの皮ならぬ化けの衣を脱いだな? とうとう本気で儂を敵に回したな?」

 

「そりゃあここまで徹底的に嫌われると、私も少し不快な気持ちになりますよ。ですがこの程度の冗談で済ませているだけマシな方ですよ。私の本気を知りませんね?」

 

「はっ! うぬが本気になるとどうなるというのじゃ」

 

「ここに携帯電話があります」

 

「残念じゃったな。その携帯は儂が折った」

 

「うわ、ちょっと。何やってるんですか。それ阿良々木先輩のですよ」

 

「何!?」

 

「阿良々木先輩から拝借した携帯電話ですよ、それ。私のは、ほらここに。真黒いこれです」

 

「なっ……ちゅ、ちゅーかうぬ! なんで我があるじ様のを――」

 

「そんなことは今重要ではありません。重要なのは、だから『どうして』ではなく、『誰が』なんですよ。『誰が』、つまり貴女が、阿良々木先輩の携帯電話をぶっ壊したという事が何よりも問題なのです」

 

「っ…………!」

 

「やれやれですよ。まさか自分のあるじ様の所有物を壊してしまうとはねえ。嫌な奴とかジャイアンとか色々言ってきましたが、まさか本当に手を出すとは。恐ろしいですね」

 

「ち、違う!」

 

「何が違うんですかあ? 教えて下さいよ。釈明があるならどうぞどうぞご自由に」

 

「う、うぬ、うぬは――」

 

「楽しみですねえ、どういう風に釈明するんでしょうねこのロリババアは? そりゃあ勿論、軽く1000字くらいかけて釈明してくれるのでしょうねえ。私の様な若輩者が及びもつかないような方法で、自分の無実を証明して下さるのでしょうねえ。さあどうぞ? ほら早く早くー。あ、なんなら許して差し上げても良いんですよ? 『儂が愚かでした。これからは扇さんに一切生意気な口をききません、すいませんでした』、と言うならば許して差し上げましょう」

 

「っ~~~~!!」

 

「さあ、どうします? くだらないプライドを守るため、破滅の道を選びますか? それとも、一時だけの恥をかいて、今後も順風満帆とはいかずとも、後腐れのない道を選びますか? とっとと決めて下さいよ」

 

「…………ん、待て」

 

「はい?」

 

「儂が壊したのはうぬのではなく、我があるじ様のものじゃろう? うぬに許してもらおうがもらうまいが、何の関係もないと思うのじゃが」

 

「おっと、そこに気付いてしまいましたかあ。残念」

 

「おい」

 

「では種明かしー。これは私が物質創造能力で作った阿良々木先輩の携帯電話のレプリカですよー」

 

「あぁ!?」

 

「どっちも私のです。はっはー、私が阿良々木先輩から携帯電話を盗む理由がありませんよ。盗む意味もありませんからねえ。うふふ」

 

「…………」

 

「ちょっとひやっとしました? 意趣返しですよー」

 

「…………」

 

「おおっと? これはこれは、貴女が無言で構えたるは妖刀『心渡』じゃないですか。はっはー、元気がいいですねえ。何かいいことでもありました?」

 

「……死ねぇい!!」

 

「必殺、章変えリセット」

 

 

[012]

 

 

「はい、状況はリセットされましたよー」

 

「卑怯すぎるわ! なんじゃそれ!?」

 

「阿良々木先輩だってたまに使っている技じゃないですか。阿良々木先輩に出来て私に出来ない事なんて、己の身を犠牲にすることくらいですよ」

 

「本当ありとあらゆる方面に喧嘩を売るのう、うぬは」

 

「さて、前章の話題をいつまでも引っ張っていては、章変えした意味がありません。本編です本編」

 

「本編とは言うが、もうこれ最終章じゃぞ」

 

「おやおや、もうですか。早いですねえ」

 

「ここに至るまで殆ど本編についての話をしとらんぞ。どうするんじゃこれ」

 

「まあ、副音声ポジションですし、許容して下さるでしょう。期待しましょう」

 

「読者に何かを求めるなよ」

 

「最後は如何にも、次回に続く! なシーンで締めですね。ここまでも本編ですが、ここからが本番です」

 

「しるしメイクじゃな」

 

「はい。で、このレイニー・デヴィルが立ちはだかった所で、EDです」

 

「EDは何になるのじゃろうな?」

 

「暦物語EDである『whiz』が今のところ想定されております」

 

「……想定して何になるんじゃろうな」

 

「さあ? 作者の自己満足ですよ所詮」

 

「まさか、いちいち全部の物語に設定していくのか? 無駄な事を」

 

「アニメ化されないことを本家ではネタにしていますけれど、こっちは冗談抜きでアニメ化されませんからね。100%」

 

「もしもアニメ化してしまった場合、寧ろ企画者の頭を疑うのう。非公式作品までアニメにするとか、見境なさすぎるじゃろう」

 

「それこそアニメ業界の末期でしょうね。まあ、まだまだアニメは衰退中でもなんでもありません。バリバリ現役です」

 

「衰退していると言っても、某衰退小説レベルの衰退具合じゃろうな。かかっ、あれで衰退とはよく言ったもんじゃわい」

 

「んー。まあ、そういうことにしておきましょう」

 

「は?」

 

「いえ、何でもありません。他作品のネタバレまで持ってくるほど、私は見境ない訳ではありませんからね――さてさて、そろそろなんだかんだ長かったウラガタリが終了致しますが、どうでしたか? 忍さん」

 

「どうでしたか、とは」

 

「今回ウラガタリをやってみて、何か一言お願いします」

 

「ただひたすらにうぬがうざかった、以上」

 

「最後まで酷いですねえ。少しは友情が深まったと思っていましたのですが」

 

「本気でそう思っているのであれば、一度病院で診てもらうことをお勧めするわい」

 

「はっはー。まあ、ここで私に友情を感じた、とかほざかれたら、割と本気で貴女の体調不良を疑うところでしたよ」

 

「じゃあ言うなよそんなこと!」

 

「扇ちゃんジョークです。私は割と楽しかったですかね。貴女という愚か者を散々コケに出来て、結構愉快でしたよ。似た者同士のいいツーマンセルじゃあないですか。貴女と阿良々木先輩」

 

「褒めとるのか? それとも貶しとるのか?」

 

「両方です。後者に比重はおかれていますが」

 

「こいつは本当に……」

 

「さて、おわりの挨拶は後書きで」

 

「いや本文の方でやれよ」

 




「さてさて、では不肖私からお別れの挨拶を。この度はウラガタリをお読み下さり、ありがとうございました。一応全エピソードにこのウラガタリが付随することになっていますので、そちらも是非ご一読下さいませ」

「やはり次回もあるのか……次は誰が担当するんじゃ?」

「予定では、私は続投で、もう一人は八九寺ちゃんのようです」

「うぬと組まされるとは、迷子娘、大変そうじゃのう」

「いやいや本当に大変でしょうね。あの子、ここから暫くウラガタリに出ずっぱりなようですし。プロデューサーも楽じゃないということでしょうかね?」

「おー、それは辛いのう」

「人事みたいに仰ってますけれど、貴女もこれで終わりではありませんからね。まだウラガタリでの出番はありますからね」

「だからなんでそういうことをうぬは知っておるんじゃ!」

「私は何も知りません。ですが、教えられたことは、知ってますよー」

「なんでうぬだけが教えられとるんじゃ!」

「いえ、私だけではありませんよ。八九寺ちゃんにも同じ内容が伝えられていると思います」

「うぬらはどういう立場なんじゃ……」

「重要ポジションです」

「儂は重要でないと?」

「噛みつかないで下さいよ。物理的に」

「誰が噛みつくか!」

「失礼、噛みました、なんて言っても許しませんからね」

「言わんわ!」

「はい、そんな訳で時間も差し迫っておりますので、ここら辺でお開きにしたいと思います」

「どんな訳じゃ……」

「おやおや? まだ私と喋っていたいのですか? 仕方ありませんねえ。貴女がそう仰るなら、何時間でもお相手いたしましょう」

「嫌じゃ早く帰りたい!」

「定時に帰れるなんて、思わないで下さいよ」

「職場の闇過ぎるわ!」

「ですが、ウラガタリは定時帰宅が基本です。ホワイトですよー」

「ブラックなうぬが言うと途端に胡散臭く思えるから不思議じゃわい」

「閑話休題そんな訳で。今回のウラガタリ、お相手は、何かいい事あったらいいですね、忍野扇と」

「何かいい事というなら二度とうぬとは絡みたくない、忍野忍じゃった」

「ばいばいですよー」

「じゃあ儂は帰る。さらばじゃ」

「はい。よいお年を」

「よい事あるお年を」
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