問題児たちが異世界から来るそうですよ? 悲報 お一人様追加です♪ 作:卍恭也卍
問題児9話
「金庫にはいなかったよー」
「図書館もー」
「池の方にもいなかったー」
「お腹減ったー」
「トイレいきたーい」
「あぁ、はいはい、ご飯はもう少し我慢するのですよー。トイレは早く行ってくるのです。…それにしても本当にあの問題児様方は」
黒ウサギは絶賛問題児捜索中であった。その身に沸沸と怒りを溜め込みながら。
そして当の問題児達は今サウザンドアイズ支店前で固まっていた。
「ようやく見つけたぞ、御主人達」
出入口の前でレティシアが仁王立ちしていたのだ。
「ち、全員解散!また向こうで会おうぜ。
捕まるんじゃねぇぞ」
瞬時に判断した十六夜は全員に大声で指示をすると弾かれたように飛鳥と耀が街の方へ駆け出した。
「穹はいかねぇのか?」
「十六夜一人にして捕まったら困る」
「ヤハハ。俺がそう簡単に捕まるかよ」
「私の前でイチャつくとは舐められたものだな今回に限っては本気で行かせてもらうぞ御主人達」
二人の仲の良い会話にレティシアは瞳をギラつかせ、心なしか少し怒った様な雰囲気で呟くと一気に距離を詰め二人に向けて手を伸ばす。
「そう簡単には捕まらない」
「ヤハハ、そう簡単に捕まるかよ!」
「く、本当に見せつけてくれる御主人達だな」
眉をひそめるレティシアに二人は不敵に笑う。
「十六夜、今のうち」
「ん?あぁ。じゃあなレティシア」
二人はレティシアに背を向け走り出した。
先程まではレティシアがいて潜ることの出来なかったサウザンドアイズの暖簾だが、
レティシアが先に動いてしまったためにお互いの位置が逆転してしまっていたのだ。
「ちょ、あ、御主人達!」
半分置いてきぼりにされたレティシアはうまく言葉を発せず、呆然と二人を見送ることしか出来なかった。
「………く、仕方ないか。転移門を使って追いかけるとしよう」
少し悔しそうに顔を歪めるが直ぐに思考を切り替えて、問題児四人の捕獲のためレティシアは転移門へ向かった。
ところ変わって先に転移門に向かった飛鳥と耀
「二人は大丈夫かな?」
「あの二人なら大丈夫じゃないかしら?
きっと今頃北の外門に行ってデートでもしてるんじゃない?」
「ありそうだね。なら私達が合流すると邪魔になるかな」
レティシアが迫っている事を知らない二人はのんびりと話しながら歩いていた。
~サウザンドアイズ支店・白夜叉私室~
「という訳だ、白夜叉。だから北に連れていけ」
「いきなり入ってきて何を言い出すかと思えば、それの事か」
十六夜と穹の急な訪問に最初は驚いていた白夜叉だったが、十六夜の説明で理解したというふうに頷いた。
「招待状を送ってくるぐらいだから、北まで送るくらいのことは出来るよね?」
「うむ、それくらいは可能だが…」
歯切れの悪い白夜叉に二人は頭に疑問符を浮かべ、首を傾げる。
「どうかしたの?白夜叉」
不思議そうに穹が尋ねると何度か口を開きかけた後、嘆息して答えた。
「サウザンドアイズとしておんしらに頼みたいことがあるのだ」
「あぁ、いいぜ受けてやるよ」
白夜叉が一息入れ、言葉を続けようとした時、それより先に内容も聞かず十六夜が返事をする。
「む、良いのか?内容を聞かんでも」
「その方が面白ぇことになりそうだからな」
目を丸くして尋ねた白夜叉に十六夜は不敵に笑い答えた。
「ふふ、そうか。で、おんしらの頼みとは北まで送り届けることであったな?」
「よろしく」
「あい、わかった」
穹の肯定を確認すると、白夜叉は子気味良い返事とともに柏手を一つ打つ。
「到着じゃ」
「は?」
「え?」
柏手を打つだけで他に一切動いていないにも関わらずもう着いたと言い出した白夜叉に二人は素っ頓狂な声を上げる。
「外に出てみればわかる」
白夜叉は二人の顔を一度見て立ち上がり、
そのまま部屋を出ていってしまった。
慌てて二人も立ち上がり白夜叉の背中を追いかけサウザンドアイズの暖簾を潜ると
先程までの東側の穏やかな雰囲気が一転し、視界いっぱいに広がる赤。
赤い煉瓦で建てられたビルの様な建物や時計塔、二階建てと思われる家屋。建物よりも少し赤黒い色をした煉瓦を使用した街路。一面赤一色の街並みの中で唯一別色を主張する大きな白亜の宮殿。
東側の街並みが準和風であるとすれば、北側は純洋風の街並みといえばわかりやすいだろう。
「一面赤一色」
「箱庭でももうあまり驚く事はないと思ってたが、まさか景色だけで驚かされるとはな」
「北側は天候に恵まれぬのでな、寒冷の厳しいところではどうしても石造りが重宝されるのじゃ。その分工芸も発展する。今なら色々なコミュニティが力作を展示会場に出品しておる。暇があれば見に行くとよい」
三人で北側の景色を見つつ雑談を交わしていると
「十六夜。こっち」
穹が突然十六夜の腕を引き自分の腕の中に抱き寄せた。
「お、おい」
腕に押し付けれた穹の微かだが柔らかな感触に頬を紅潮させつつ戸惑うように抗議の声を上げるが、上空から響き渡る声に遮断された。
「みつけたのですよぉぉぉぉぉ!」
上空から黒いウサギ耳らしきものを生やした何かが飛来したまでは良かったが
「あら?」
彼女の目標地点が少しずれたのだろうか
「ウッキャーーーーーーーーーー!!!!」
高速で走るパトカーのサイレンの如く声を響かせながら十六夜の身体をギリギリのところで掠め、三人が立っていた境界璧の下まで落下していった。
「…………」
穹に位置をずらしてもらっていなければ、先程通過した何かと共に高速で落下していたであろう可能性を瞬時に理解した十六夜は顔を引き攣らせ、冷や汗を流していた。
「早くここから離れてデートしよ?」
無表情のまま、何事も無かったかの様に淡々と魅力的な誘いをする穹に十六夜は少し戸惑っていた。
「あ、あぁ」
「ん」
十六夜の腕を抱いたまま寄り添うように並び立ちそっと頭を預ける穹に、十六夜の理性はほとんど吹き飛ばされていた。
〜side飛鳥&耀〜
「穹の気配りの上手さには本当に関心するわね」
「うん。いつの間に入れたんだろう」
耀はポケットに入っていた金貨一枚と銀貨六枚をチャリチャリと音を鳴らして遊びつつも不思議そうにしていた。
「そのおかげで私の小遣いが半分近く無くなることになったのだがな」
飛鳥と耀の二人が転移門を潜るギリギリで追いついたレティシアが少し拗ねた様に唇を尖らせてぼやく。
「あら、私達は自分達のお金を持ち寄って分けたのだけど?」
「ねぇ、飛鳥。あれ見て」
二人の会話を気に止めることなく辺りをひっきりなしに見回していた耀が飛鳥に声をかけた。
「何かしら………!?レティシア!
あれってジャック・オー・ランタンじゃない?」
飛鳥が指さした先には足が生え、右側の燭台からカボチャのランタンをぶら下げたキャンドルランプがちょこちょこと小動物の様に可愛らしい動きで街を徘徊していた。
「ん?あぁ、あれはウィル・オ・ウィスプのコミュニティの作品だよ」
「ウィル・オ・ウィスプ?」
「第六の門六七八九〇〇外門に居を構えるコミュニティだ」
今度は耀とレティシアの二人でのんびりと話をしていたのだが
「あれ?レティシア、飛鳥は?」
「ん?飛鳥なら、さっきまでそこに………」
二人が会話に熱中している内に飛鳥はどこかへいなくなってしまっていた。
「「………」」
「探そうか…」
「そうするとしよう」
飛鳥の自由っぷりにレティシアは頭痛に耐える様に頭を押さえ、耀は特に気にしたような素振りを見せずにのんびりと提案した。
楽しみにして下さっていた読者の皆さんお待たせしました。
まさか、半年以上期間が空くとは自分でも思いませんでした。
投稿期間が長く空くとあとがきに何を書けばいいのかわかりませんねw
今後も期間が空くとは思いますが、気長に待ってもらえれば嬉しいです。
今回はこの辺りで。
今回も閲覧ありがとうございました。