問題児たちが異世界から来るそうですよ? 悲報 お一人様追加です♪ 作:卍恭也卍
はじめまして、作者の卍恭也卍です。
ノリと勢いで作った作品です。
それでも皆様に楽しんでいただければ幸いです。
気づくと少女は上空4000mの空を舞っていた。
視界の端に映る"世界の果て"や"大きな傘を横並びに並べたレンガの城壁"、そして落下点の大きな湖。
「水…?」
(水はまずい、それにあれは明らかに深い…!)
焦った表情でわちゃわちゃともがく少女に
世界は残酷に審判を下す。
すなわち、もがく意味もなく湖へ落ちた。
少女のものを含め四つの水柱があがる。
その後少女とともに落下した男女三人は、既に陸に上がり悪態をついていた。
「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだあげく、空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜこれ。石の中に呼び出された方がまだましだ」
「…石の中に呼び出されては何も出来ないでしょう」
「俺は問題ない」
「そう…身勝手ね」
「大丈夫?…」
「にゃぁー……(死ぬかとおもた…)」
三人と一匹は陸に上がり個々で乾かす中、一人未だに陸に上がらず浮いている少女を見て
「オイオイ、あれはやばくねぇか?
さっきから顔どころか指先一つ動いてねぇぞ」
「…とりあえず引き揚げましょう」
学ランを着た金髪の少年と、カッターシャツに紺色のスカートを穿いた黒髪ロングの少女がもう一度湖に入り、湖面に浮く少女を引き揚げた。
数分ほどすると少女も目を覚まし、立ち上がる。
全員が起きたことを確認すると少年が口を開いた。
「これは確認なんだが、お前らにもあの変な手紙が届いたのか?」
「そうだけど、お前なんて呼び方をしないで頂ける?
私にはちゃんと久遠飛鳥という名前があるの。
以後気をつけて。でそこの猫を抱えたあなたは?」
不愉快そうな表情で返事をし、周りへ自己紹介を促す。
「……春日部耀。以下同文」
「そう、よろしく。春日部さん。
そして、あなたは?」
最後まで湖面に浮いていた少女の方へ顔を向け尋ねる。
「鷹宮…穹」
「で、そこの野蛮で凶暴そうなあなたは?」
そう言って不愉快そうな表情で残った少年の方を見つめる。
「高圧的な態度ありがとよ。お嬢様。
見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃ったダメ人間なので用法と用量を守って適切な態度で接してくれ」
挑発を挑発で返された飛鳥は少しムッとした表情で
「取扱説明書があれば考えてあげるわ」
と返した。
「ほぅ、今度作っとくから覚悟しとけよ。お嬢様」
そうこうして全員の自己紹介が終わり、四人の間に静寂が降りる。
「んで、俺達を召喚しておいて、案内人が誰もいないってのはどういうこった?」
「…そうね、遅れるにしても遅すぎるわ」
「この状況に対して落ち着きすぎているのもどうかと思う」
その頃近くの茂みでは…
「この状況に対して落ち着きすぎているのもどうかと思う」
(本当にそうですよ、どういう状況なのですかこれは!)
青い髪にうさぎ耳をはやした少女が心の中でぼやいていた。
「とりあえずそこに隠れてるやつに話を聞くとするか」
「へっ?」
不意にこちらを向き金髪の少年が呟く
「あら、あなたも気づいていたの?」
「当たり前だ、かくれんぼじゃ負けなしだぜ?春日部も鷹宮も気づいてたんだろ?」
「風上に立たれたら嫌でもわかる」
「気配がバレバレ、あれじゃ隠れてる意味無い。」
「へぇ」
少年の疑問に対し、二人の回答が気に入ったのか、薄く笑う。
(か、完全に出るタイミングを失ったのですよ)
滲み出る冷や汗を背中に感じる中、意を決し茂みから顔を出す。
「や、やだなぁ皆様。そんな怖い顔で見ないでくださいよ。そんな顔で見られたら黒ウサギは死んでしまいます。ですからどうかその怒りを抑えてはいただけませんか?」
両手を上げ降参しながら震える声で問う。
「断る」
「却下」
「無理」
「嫌」
「あはは、とりつくシマも無いですね」
黒うさぎが一瞬目を伏せ、再び顔を上げるとそこに耀の姿が無かった。
「えいっ」
「フギャ!」
間の抜けた掛け声とともに黒ウサギのうさ耳を引っ張る耀
「ちょ、初対面でいきなり黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるなんて、どういう了見ですか!」
引き抜こうとした耀へ怒る黒ウサギ
「好奇心のなせる業」
「自由すぎるにも程があります!」
耀の自由っぷりに呆れる黒ウサギに追撃するように
「へぇ、これ本物なのか」
「じゃあ私も」
と2人がうさ耳を強く引っ張る。
「ちょ!まーーー!」
「ウッギャーーーーーーー!!!」
黒ウサギの悲鳴が森の中に木霊するのだった。
~一時間後~
「ありえない、ありえないのですよ。
説明しようとするためだけに小一時間も消費するなんて、学級崩壊とはこのようなことのことを言うに違いありません」
がっくりと項垂れる黒ウサギを余所に、
何故か肌がツヤツヤとしている耀と、説明がなかなか始まらないことに苛立ちを覚え始めた十六夜
「…気持ちよかった」
とほっこりしている耀と
「さっさと説明しろ」
と苛立ちをまっすぐ黒ウサギにぶつける十六夜
(誰のせいですか…)
理不尽な状況に内心涙目になりながらも、聞いてもらえる状況を作り出すことに成功した黒ウサギは頭の中を切り替え
「それでは良いですか?皆様。
定形文で言いますよ?言いますよ?さぁ、言います!」
ウザイくらいに繰り返す黒ウサギに
「「くどいっ!」」
十六夜と穹の声が重なる。そしてまた項垂れる黒ウサギが今度は涙目で地面にのの字を書きつつ
「良いではないですか、異世界の同士を呼ぶのは初めてなのですから。少しくらいこちらも楽しませて欲しいです」
ボソッと呟く黒ウサギの言葉に十六夜と穹は息がつまり、飛鳥と耀の視線が十六夜に突き刺さる。
「なぜ俺だけを睨む…」
二人の理不尽な視線に少し凹む十六夜と
優しい声で
「さっきはごめんなさい、聞きたいこともあるから説明を続けてもらえないかな?」
お願いするように黒ウサギに声を掛ける穹。
穹の言葉に、黒ウサギは我に返り
「あっ…こちらこそ申し訳ないのです。
それでは説明を続けます。」
そう言って黒ウサギは一呼吸おき
「ようこそ"箱庭"へ!我々は御四人様に"ギフト"を与えられた者達だけが参加できるゲーム、"ギフトゲーム"への参加資格をプレゼントさせていただくため、こちらへ召喚いたしました」
体全身を使って大仰な態度で持ち上げる黒ウサギ。
「ギフトゲーム?」
一番最初に口を開いたのは耀だった。
「はい!そうです。皆様はもうお気づきかと思いますが、普通の人間ではございません。様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から"恩恵"を賜った、特別な人間なのです。ギフトゲームとは、その恩恵を駆使して競い合うためのゲーム。そして強大な力を持つギフト保持者が面白おかしく生活するために作られた世界なのです!」
両手をいっぱいに広げ、箱庭をアピールする。
そこへ飛鳥が挙手して質問を始める。
「あなたの言う我々というのは誰のことなの?」
「それは、私を含めた我が"コミュニティ"です。」
飛鳥の質問に対し、即答する。
「そして異世界から召喚されたギフト保持者は数多あるコミュニティのうちどれかに属してもらいます。」
「「だが断る」」
「「………」」
二度声の被った十六夜と穹がお互いの顔を見つめる。
そしてお互いに苦笑して黒ウサギの方を向く。
「属していただきます!これは決定事項です!そしてギフトゲームの勝者には主催者(ホスト)が提示した商品を獲得することが出来るというシンプルなものとなっております。」
「…"主催者"ていうのは誰?」
「様々です。修羅神仏が試練のため課す場合や、コミュニティ同士の力の誇示のためにゲームを行います。
特徴として前者は危険で難解なものが多く、時には覚悟も必要になる時がございます。そのかわり勝利した暁には相手にもよりますが、新たな恩恵を手にすることが出来る場合もあります。
そして後者ですが、これに参加するにはチップが必要となります。参加者が敗北した場合、チップは主催者コミュニティに寄与されることになります」
「後者は結構俗物的なのね」
少し呆れた風に飛鳥が感想を述べる。
「…チップには何をかければいいの?」
「それも様々です。土地、名誉、利権、人間…
そして、ギフトを賭けることも可能です。負けた場合ギフトも例外なく失われます。ですが、勝利すれば新たにギフトが増えより高度なギフトゲームへ参加していけるようになります。」
満面の笑みで答える黒ウサギに
「最後にもう一ついいかしら?」
尋ねる飛鳥。
「どうぞどうぞ、私はこの世界へ招いた時点で皆様の質問のすべてに答える義務がありますから。」
笑顔で飛鳥へ質問を催促する。
「ゲームへの参加はどうすれば?」
「参加者が限定されているものを除くすべてのゲームは開始までに期日がありますのでそれまでに登録しておけば参加できますよ。商店街でも小規模なゲームを行っているところもあるので、最初はそこから始めてはどうでしょう?」
黒ウサギの説明を半濁するように目を閉じ、整理する飛鳥。
そこへ茶化す以外に口を開かなかった穹が挙手し、質問した
「なら、ギフトゲームはこの世界の法律って認識でいいの?」
穹の質問に対し黒ウサギは耳をピンと立てて驚く
「なかなか鋭いですね、穹さん。ですがそれは8割正解2割外れです。箱庭でも、窃盗や強奪は犯罪です。それにギフトゲームではなくとも、商店で物々交換を行っています。ギフトを使用した犯罪行為など言語道断そのような輩には皆様のいた世界と同様法によって裁かれます。しかし、ギフトゲームの本質は全くの逆、勝者はすべて手に入れ、敗者は失うのみ。例えばとある商店で、店頭にある全ての品をかけてギフトゲームを行い、参加者が勝てば全て参加者のものとなります。」
興奮気味に語った黒ウサギは一息つく。
「なかなか野蛮なのね」
「そうですね、ですが主催者はそれを覚悟でギフトゲームを行うのです。嫌ならば断ればいいだけの話でございます」
黒ウサギは一度空を見上げ、四人の方へ向き直り
「まだまだ聞きたいことはあると思いますがそろそろ日も暮れてきます。どうでしょう後は私共のコミュニティで行いませんか?」
「待てよ黒ウサギ、まだ俺が何も質問してないだろ」
今まで静かにしていた十六夜が口を開く。
「なんでございましょう。どんな質問でも、いくらでも答えますよ」
黒ウサギの返事に対して、笑い
「俺が聞きたいのは一つだけだ。
この世界は………面白いか?」
顔で笑い、目で問う十六夜に少し驚いた黒ウサギだったが、返事をする頃には挑発するように不敵に笑い
「YES!ギフトゲームは人を超えた者達だけが参加することの出来る神魔の遊戯。
箱庭は外界よりも格段に面白いと黒ウサギが保証します。」
ハーメルンでは初投稿の卍恭也卍です。
たまたま機会があり、このサイトで読んでいた問題児シリーズの作品に触発され、ノリと勢いで書き始めました。
なので、そこは違うだろ?やこんな設定あったけ?など色々と疑問に思うことがあると思いますが、これがこの作品と作者の解釈なんだって思って読んでいただければ嬉しいです。
それではこの辺りで。ではまた次回会いましょう