問題児たちが異世界から来るそうですよ? 悲報 お一人様追加です♪   作:卍恭也卍

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はい、六作目です。

お楽しみください


YES! ウサギが呼びました6

問題児6話

 

翌日、自分の部屋で目覚めた穹は一人で落ち込んでいた。

 

「またやっちゃった。あれじゃどう言い訳しても無理だよね………」

 

穹は部屋で一人小一時間ほど唸っていた。

そんな時、穹の部屋にノックの音が響く。

 

「起きてるか?」

 

声の高さ的に十六夜のようだ。

穹にとって現在一番上出会いたくない二人のうちの一人が部屋に訪ねてきた。

 

「寝てるのか?」

 

穹はこのまま何も返事をしなければやり過ごせるのでは?と思い、返事を返さなかった。

だが現実は無情にも穹の思い通りに進めることは無かった。

 

「関係ねぇか、寝てるなら寝てるで待てばいい」

 

十六夜は躊躇なく穹の部屋の扉を開ける。

ぼんやり扉を眺めていた穹と十六夜の視線が合った。

 

「なんだ、起きてんじゃねぇか」

 

十六夜は無遠慮に部屋へ入る。

扉を閉め、穹のベッドの隣に椅子を置き座ると穹の上半身をまじまじと見つめ

 

「へぇ………」

 

「どうかした?」

 

十六夜の呟きにぼんやりとしていた穹は尋ねる。

 

「いや、スレンダーながらもなかなかに扇情的だなって思ってな」

 

「?」

 

十六夜の意図が読めず首を傾げる。

首を傾げる穹を見て、十六夜はニヤニヤと笑い、穹の胸元を指差す。

穹は、十六夜の指し示す方向に視線を移すと、顔を真っ赤にして腰までかけていた毛布を頭まで被り、勢いよくベッドに倒れる。

 

「純白の生地に水色のリボン。いいもの見せてもらったぜ。」

 

十六夜の言葉に穹は毛布の中で悶える。

 

(結構可愛い反応するんだな)

 

こいつは面白いとでも言いたげな顔でニヤニヤと笑っていた。

穹は十六夜の顔を伺うように目元まで毛布をずらすと、ニヤニヤ笑う十六夜と視線が合う。

 

「十六夜のエッチ」

 

穹が呟くと

 

「ブッ」

 

と吹き出すと同時に鼻血まで吹き出した。

 

「た、タンマ」

 

十六夜は鼻を押さえ、キョロキョロと辺りを見回す。

その間に穹は身なりを整え、十六夜の求めているであろうものを十六夜の前に差し出す。

 

「はい、ティッシュ」

 

「すまん」

 

鼻声のまま礼を言い、ティッシュを鼻に詰める。

穹はベッドに腰掛けぼんやりしている。

そのままお互いに無言で十分程度過ごす。

 

「なぁ、聞いてもいいか?」

 

十六夜が鼻に詰めていたティッシュを取り、尋ねる。

十六夜の言葉に、穹の体は強ばる。

 

「なに…」

 

強ばる体を強引に動かし、なんとかそれだけ絞り出す。

 

「お前は何者だ?」

 

来ると思っていた質問、来ないで欲しいと願っていた質問。十六夜は容赦なく言葉にする。十六夜の顔はいつものヘラヘラと笑う顔ではなく、真剣で、こんな状況でもかっこいいと心の片隅で思ってしまうほどに真面目だった。故にその目は、お前を逃がしはしない。答えるまで問い続ける。そう語っているようで、穹は苦虫をかみ潰したような顔で目を逸らす。

 

「言わなきゃダメ?」

 

「別に、言いたくねぇなら言わなくていい。ただ、お前を信じられなくなるだけだ。」

 

十六夜はただ穹の目を見つめる。

 

「ずるいよ十六夜、そんな言い方」

 

穹は瞳に涙を溜め、泣き出す。

十六夜はただ穹を見つめ、待っていた。

穹は一頻り泣いた後、語り出す。

 

自分が悪魔と人間のハーフであること、

ルシファーの血を引いていること、特定の条件を満たすと先日のような状態になること、暴走した結果相手が悲惨な状態になっていたことなど全てを語り終えた穹は、口を閉ざし十六夜の言葉を待つ。

 

(嫌われるかな…昔みたいに………)

 

「候補の選別基準は?」

 

「え?」

 

「だから、ルシファー候補の選別基準は何なんだよ。自己の傲慢具合か?それとも力量か?」

 

十六夜の予想外の問いに穹は理解が遅れた。

 

「主な選別基準は力量だよ。力量は羽の展開枚数でわかる」

 

穹は戸惑いながら答える。

 

「先代の展開枚数は?」

 

「12枚6対」

 

「へぇ、てことはお前は最有力候補だったわけだ。」

 

十六夜はいつも通りの笑みを浮かべる。

 

「えと…その…嫌わないの?」

 

「は?嫌う?なんだそりゃ」

 

穹の問いに十六夜はきょとんとした顔で聞き返す。

 

「私が…人間じゃ………ない………から……………」

 

自分で言って辛くなったのだろう。穹はまた嗚咽を漏らし出す。

泣き出した穹に十六夜は笑い

 

「人間じゃねぇから何なんだ?それじゃ黒ウサギはどうなる。ガキどももそうだ半分近くは獣人じゃねぇか。じゃあお前は黒ウサギもあのガキどもも、人間じゃないからって嫌うのか?」

 

穹は激しく首を横に振る。

 

「きら…わない……嫌うわけない………私と同じ思いをして欲しくない!」

 

穹は悲鳴のような声で言い切る。

 

「箱庭の奴らは全員そういうこった。悪魔だから、獣人だから、化物だからって嫌うようなヤツはいねぇよ。それに俺からすりゃあ、コミュニティに俺と同じかそれに近い強さを持つヤツがいるそれだけでこのコミュニティにいる価値がある。俺はお前を嫌わねぇよ」

 

今までに見た事のないくらい優しい笑顔で十六夜は言い切る。

十六夜の優しい言葉に、また涙が溢れ、俯いて涙を流す。

 

「あり…が……とう。十六夜。」

 

頭を上げ、涙を流しながら笑い言葉を紡ぐ。

この時穹は心に決めるのだった。

 

(ここを守ろう。全ての敵から。この人とともに。もしも機会があればこの人と………添い遂げられたら良いな………)

 

その後、先日の一件の顛末を聞くと、

レティシアの代わりに黒ウサギを寄越せと

ペルセウスのリーダー、ルイオスが言い出した。

黒ウサギは黒ウサギで勢いで行くと言い出し、今は出禁で部屋にいるそうだ。

 

「で、だ。ちょっとやりたいことがあるから手ぇ貸してくれねぇか?」

 

十六夜はいつも通りのイタズラっぽい笑みを浮かべ、ルイオスを叩きのめすための作戦を伝えた。

 

「良いよ、面白そう。それにそんなボンボンのお坊ちゃんに黒ウサギをあげたくない。」

 

「決まりだな。」

 

十六夜と穹は笑い合い作戦を決行するのだった。

 

~三日後~

 

穹達の作戦決行から三日が過ぎた。

コミュニティの空気を敏感に感じた子ども達は飛鳥と耀に頼み、黒ウサギとの仲の改善を計った。そのため二人は今、黒ウサギの私室の前にいた。

黒ウサギの部屋にノックの音が響く。

 

「黒ウサギ、中に入ってもいいかしら?」

 

「ダメです。入らないでください」

 

「耀さん、鍵は開いてるかしら?」

 

黒ウサギが拒否したにも関わらず中に入ろうとする飛鳥。

耀はドアノブを捻り確認する。

 

「ダメ、開いてない」

 

「強引に開けて下さる?」

 

「わかった」

 

「ちょ!わかりました。開けますから壊さないで下さい!」

 

黒ウサギは観念して鍵を開けドアを開く。

そこにはティーセットを持った飛鳥と

お菓子を持った耀が立っていた。

 

「皆から」

 

「黒ウサギの元気がないから、励まして欲しいと言われたのよ」

 

そう言って二人は黒ウサギの部屋に入り、手早くお茶会の準備をする。

飛鳥が三人分の紅茶を入れて席に着くと、

それに倣うように二人も席に着く。

三人は黙ってお茶を飲んでいた。

その空気を壊すように飛鳥が切り出す。

 

「まだ決心は変わらないのかしら?」

 

「へ?」

 

いきなりの飛鳥の質問に黒ウサギは素っ頓狂な声を上げる。

 

「飛鳥から聞いた。まだペルセウスのコミュニティに行くつもりなの?」

 

「え、あ、それは…もう行くつもりはありませんが………」

 

「そう、なら良かったわ。で黒ウサギに聞きたいことがあるのだけど。」

 

「何でしょう」

 

「ペルセウスにギフトゲームを挑む方法、なにか無いかしら?」

 

「へ?」

 

飛鳥の言葉にまたも素っ頓狂な声を上げる黒ウサギ。

 

「黒ウサギを渡さずにレティシアを賭けさせる方法、何か知らない?」

 

「えっとそれは………」

 

黒ウサギが耀の質問に答えかねていた時

 

「邪魔するぞ」

 

という言葉とともにドアが砕ける。

 

「十六夜さん!?」

 

「十六夜…」

 

「十六夜君、今までどこに行っていたのかしら?」

 

突然現れた十六夜に飛鳥は問いかける。

 

「ん?あぁ、これを取りに行ってた」

 

そう言って手に持っていた風呂敷を掲げる。

 

「何?それ」

 

「戦利品」

 

「見せて」

 

珍しく反応した耀は十六夜の広げた風呂敷の中身を見て、目を丸くする。

 

「何…これ」

 

「だから、戦利品」

 

そう言って机の上に十六夜が持っていた風呂敷を広げると、中には人の頭一つ分くらいの大きさの緑色の玉が入っていた。

 

「グライアイの宝玉!?」

 

中身を見た黒ウサギは驚愕し、声を上げる。

 

「これを取りに行っていたの?」

 

「あぁ」

 

飛鳥の問いに十六夜は短く返事をして笑う。

 

「そう。だけど、こんな面白そうな事を一人でするなんて、今度は一言声を掛けてからにして」

 

二人は笑い合う。

 

「十六夜さん、取ってきて貰ったのは嬉しいのですが、もう一つ足りないのですよ。クラーケンの宝玉が」

 

先程まで驚いていた黒ウサギは悲しそうな声で告げる。

 

「んなこた知ってるぞ。この俺が下調べもせずにするはずがないだろ」

 

そう言ってまた十六夜が笑う。

そこに

 

「ただいま…」

 

穹が黒ウサギの部屋に訪れた。

 

「おう、おかえ……ってお前どうした!?」

 

帰った穹の姿を見て十六夜が驚愕の声を上げる。

 

「あはは、結構苦戦しちゃった」

 

ずぶ濡れでボロボロのセーラー服に身を包んだ穹が震えながら立っていたのだ。

 

「穹さん、水が苦手だったんじゃ………」

 

黒ウサギが呟くと

 

「はぁ!?だったら先に言っとけ!」

 

十六夜が怒鳴る。

 

「ごめん………なさい………」

 

大空はいきなり怒鳴られ俯く。

 

「十六夜さん、そんなに怒鳴らなくても」

 

「いいよ、黒ウサギ。ちゃんと言わなかった私が悪いから。心配かけてごめん。十六夜」

 

穹は黒ウサギを制し素直に謝る。

 

「え、あ、いや、俺も言い過ぎた。悪い」

 

穹が謝ると十六夜もバツの悪そうな顔で謝る。

 

「まぁいい、あとは黒ウサギ。お前の判断だけだぞ」

 

十六夜は開き直り、黒ウサギの目を見て言う。

それに倣うように穹も黒ウサギを見つめ

 

「準備は整った。いつでも挑戦は出来るよ」

 

二人の視線に黒ウサギは宣言する。

 

「ペルセウスに宣戦布告します。レティシア様を取り返しましょう」

 

翌日

 

黒ウサギはペルセウスのコミュニティへ

宣戦布告をした。

黒ウサギ曰くルイオスはかなり不機嫌になりウザかったらしい。

 

ギフトゲームの承認が終わり、黒ウサギを含めた六人が白亜の宮殿の前にワープする。

 

『ギフトゲーム名:FAIRYTALE in PERSEUS

 

プレイヤー一覧:

逆廻十六夜

久遠飛鳥

春日部耀

鷹宮・L・穹

ノーネームゲームマスター

ジン=ラッセル

ペルセウスゲームマスター

ルイオス=ペルセウス

 

クリア条件:

主催者側ゲームマスターの打倒

 

クリア方法:

最奥に待つ主催者側ゲームマスターの下へ挑戦権を手に訪れる。

 

敗北条件:

参加者側ゲームマスターの降伏、挑戦権の損失、上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

舞台ルール:

主催者側プレイヤー(ゲームマスターを除く)は最奥の部屋に立ち入ることを禁じる。

参加者側プレイヤーは主催者側プレイヤー(ゲームマスターを除く)に発見された場合失格となり、ゲームマスターへの挑戦権を失う。なお、失格後もゲームへの参加は認める。

 

宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗の下ノーネームはギフトゲームに参加します。

 

"ペルセウス"印

 

「ハッ、面白ぇ。神話になぞってペルセウスを暗殺しろってか」

 

「暗殺?寝てるの?………いい度胸」

 

「流石に寝てはいないと思うのですよ」

 

十六夜は一人高らかに声を上げ笑い、

穹は静かに殺意を立ち上らせる。

黒ウサギは穹の発言に対し冷静にツッコミを入れていた。

 

「作戦はどうするの?」

 

各々勝手なことをしている三人に飛鳥は問う。

 

「ん?あぁ、まぁルールを見る限り囮一人、御チビと殴りに行くヤツ一人、ハデスの兜をとるヤツ一人… くらいか」

 

「…一人溢れる」

 

「一人は補欠だ、誰かしらに何かあった時のためにな」

 

耀の不満を感じさせる言葉に十六夜は答える。

 

「まず、兜をとるやつは春日部、これは決定だ。じゃねぇと他は見抜けないだろうからな。囮役は…」

 

「私がやる」

 

十六夜が決めかねていた時、穹が手を挙げる。

 

「え、あ、いや、その役目はお嬢様に任せようと思っていたんだが…」

 

「そうね、悔しいけどその方がいいと思うわ」

 

飛鳥は十六夜の言葉に渋々といったように納得する。

 

「でも、一瞬だとしても支配できるんだよね?」

 

「えぇ、でもほんの一瞬よ?そんなことで戦況を変えることは出来ないと思うのだけど」

 

「戦場ではコンマ一秒の隙が生死を分かつこともある」

 

穹は飛鳥の否定に頑として言い切る。

 

「それなら尚のこと穹の方が向いているのではないかしら?」

 

「それは…」

 

「いいじゃねぇか、お嬢様。鷹宮は譲るって言ってんだ。わざわざ面白くもねぇ囮役になりに行く必要も無いだろ」

 

十六夜は飛鳥を嗜める。

 

「だが、鷹宮。囮役を買って出たからにはしっかり働いてもらうぜ」

 

「大丈夫、まとめて斬り飛ばす」

 

「R-18Gな展開は却下な、そこまで行くとまずい」

 

穹の言葉に若干引き気味の十六夜。

 

「十六夜、その言い方は失礼。流石に私もそこまでやるつもりは無い」

 

「お前ならやりかねないからな、一応釘は刺しておかねぇと」

 

二人の会話に耀は

 

「二人って付き合ってるの?」

 

「「え?」」

 

いきなりの耀の言葉に二人は固まる。

 

「いやいや、まだ付き合ってねぇぞ」

 

「まだ?」

 

「あ、………」

 

「…………」

 

十六夜の言葉に耀はニヤニヤと笑い、穹は頬を赤く染める。

 

「え!?お二人は付き合っておられたのですか!?」

 

「「付き合ってない!」」

 

黒ウサギの質問に二人はハモって返すが、

二人同時に膝から崩れ落ちた。

 

「「そんなに強く否定しなくても………」」

 

飛鳥と耀はニヤニヤと笑い、ジンは苦笑していた。ただ一人状況を把握出来ていない黒ウサギは戸惑いを隠せないでいた。そこへジンが助け舟を出す。

 

「とりあえず皆さん、ギフトゲームをはじめましょう。お二人の関係はゲーム終了後でも構わないですよね?」

 

「二人の口から聞きたいから」

 

「まずはこのゲームを終わらせて一息ついてからにしましょう。」

 

飛鳥と耀はニヤニヤしながらジンの言葉に同意する。

 

「てめぇら覚えとけよ」

 

十六夜は恨めしい顔で二人を見つめていた。

穹は既に立ち直り、扉の前で紫電を抜き放つ。

 

「あの、穹さん?何をする気で…」

 

黒ウサギが言いかけたところで穹は紫電を袈裟がけに振り切る。

 

「こうする」

 

そう言って紫電を鞘に納めると巨大な門が斜めにズレ、倒れた。

 

「「「「「…………」」」」」

 

五人は穹の大胆な扉の開け方に呆然としていた。

 

「皆行かないなら先に行くよ?」

 

穹は振り返り、五人に言うと走り去って行った。




はい、今回はここまでとなります。
ここまでの閲覧ありがとうございました。

今回はペルセウス編の前編です。
今回の十六夜は十六夜らしくなかったかな?
と思いながらの投稿となりました。
理由は近いうちにでもわかると思います。

少し質問なのですが、毎回の文章量はどうなのでしょうか?
基本的に五千文字を超えてから投稿しておりますが、長いと感じる方はおられるでしょうか?よろしければコメントで返事を頂けると幸いです。長いと感じる方がいられるようでしたら、もう少し文章量を抑えて投稿しようと思います。

あとがきまで閲覧いただきありがとうございました。
ではまた次回お会いしましょう。
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