問題児たちが異世界から来るそうですよ? 悲報 お一人様追加です♪   作:卍恭也卍

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今回で第1巻分が終わります。
次回は魔王襲来です!

今回の十六夜はらしくなかったかな?


それではお楽しみください


YES! ウサギが呼びました 終

問題児7話

 

穹は一人白亜の宮殿の内部を駆け抜けていた。

 

「いたぞ!名無しの女の一人だ!」

 

「さっさと倒せ!」

 

「貧乳キター」

 

誰かの発した一言に空気が凍りつく。

先程まで逃げに徹していた穹は立ち止まり、殺気を立ち上らせてい。

 

「ユルサナイ」

 

その一言と共に振り返り一閃する。

距離にして10mほど離れていたが、その場にいたペルセウスのプレイヤー約十人が桐倒される。

 

「最低」

 

穹は斬り倒したプレイヤーに凍てついた視線で一睨みするとまた歩き出した。

今まで穹が通ってきた道には大量のペルセウスのプレイヤーと思われる者達が血にまみれて倒れていた。

 

その頃十六夜達はハデスの兜を求め宮殿の中を彷徨いていた。

 

「下がって、人が来る。」

 

耀は誰もいない空間を見つめ十六夜達に言い放つ。そして一気に駆け出し、虚空に上段回し蹴りを放つと鈍い打撃音とともに、虚空から一人の男が現れ意識を失い倒れた。

 

「これが不可視のギフト…」

 

耀はそう言って男の被っていた兜を拾う。

隠れていた十六夜は耀へ駆け寄り

 

「やっぱり、クリアにはこいつが必須みたいだな。悪いが春日部、最低あと二つは欲しい、集められるか?」

 

「問題ない」

 

耀は当然のように言い放つ。

 

「うわぁぁぁ!!!来るな、来るなぁ!!! 」

 

十六夜達のいる通路の先で、男の絶叫が木霊した、がすぐに掻き消えた。

十六夜と耀は顔を見合わせ冷や汗をかいていた。

 

(あれ、完璧に穹の仕業だよね…)

(あれは完璧に鷹宮の仕業だな…)

 

二人が立ち止まっていると奥から足音が聞こえる。

耀は黙って戦闘態勢に入り、十六夜は耀の変化に悟り物陰に潜り込む。

耀が構え奥を睨みつけているとそこには

 

「あっ…耀、大丈夫だった?」

 

穹がこちらに歩みを進めていた。

 

「こっちは大丈夫、穹は?」

 

「私も問題ないよ。身体の方にはね」

 

耀が言葉の真意を掴めず小首を傾げているが、穹は暗い微笑を浮かべていた。

 

「俺は自重しろって最初に言っといたはずだぞ」

 

耀達の親しげな会話に警戒を解いた十六夜はジンと飛鳥に手招きし、姿を現す。

 

「十六夜、いたんだ。どこに隠れてたの?」

 

「それよりも、お前囮役としてこんな所で立ち話しててもいいのか?」

 

穹ののんびりとした言葉に十六夜は溜息をつき尋ねる。

 

「それもそうだね。まだ狩り尽くしてないはずだからもう少し回ってくるよ」

 

穹は再び黒い笑みを浮かべ歩き出す。

穹から立ち昇る殺意に十六夜達は若干口を引くつかせていた。

 

((((どうしてこうなった))))

 

「あ、そういえば」

 

穹は振り返りギフトカードを取り出すと

 

「これ使うよね、取れたからあげる」

 

穹は耀の手に入れていた兜と同じ物を二つ取りだし十六夜に手渡す。

 

「ん?おぉ、助かった鷹宮、丁度最低二つは欲しかったところだ」

 

「なら良かった」

 

穹は十六夜の喜ぶ顔を見て笑顔を見せるが、兜から手を離さなかった。

 

「どうした、鷹宮。くれるんじゃないのか?それともこいつをかけてゲームでもしようと?」

 

訝しげな顔で穹を睨む十六夜に

 

「違うよ。ただ、渡すからには勝ってね。

そう言いたかっただけ」

 

穹は手を離し、十六夜の言葉を待つ。

 

「当たり前だ、勝って帰るから存分に囮になってこい」

 

十六夜も笑い返事をする。

穹は十六夜の言葉に満足したように笑い、今度こそ通路を歩き出した。

 

その後、最奥の部屋へ向かう途中本物のハデスの兜を持つプレイヤーに襲われたが、なんとか突破した。この時、耀が見つかり失格となってしまった。

 

「悪いな春日部、お前にも鷹宮にも感謝してる。だから今はここで休んでろ」

 

「大丈夫、今回の埋め合わせはちゃんとしてもらうつもり」

 

「ごめんなさい、耀。任せっきりで」

 

「すいません、耀さん。僕にもっと力があれば…」

 

飛鳥とジンは悔やむように俯く。

 

「本当に大丈夫だから、先に行って。穹とふらふらしながら待ってるから」

 

耀はその言葉を最後に目を閉じ身体を落ち着ける。

三人は耀に背を向け最奥の部屋を目指し歩き出した。

 

「使えない部下共が、これが終わったら全員粛清しないとね」

 

十六夜達が大扉を開き、闘技場のような場所に辿り着いた時、三人を見てルイオスは溜息と共に呟いた。

 

「十六夜さん、飛鳥さん、ジン坊ちゃん…」

 

黒ウサギは三人を見ると安堵したように息をつく。

 

「はぁ………とりあえずようこそ白亜の宮殿最上階へ、ゲームマスターとしてお相手しましょう。ん?そういえばこの台詞初めてか」

 

おそらく、いや確実に今まで挑戦者が現れなかったのはルイオスの言う使えない部下達がしっかりと仕事をしていたからだろう。それを何も知らないルイオスは使えないと決め、自分の力を驕る。

 

「お前らにはこれで十分だ」

 

ルイオスはそう叫ぶと、ルイオスの履くブーツに光り輝く羽が生える。そして手には炎の弓が握られる。

 

「神霊殺しの鎌じゃない!?」

 

ジンはルイオスの握る武器に驚き声を上げる。

驚くジンの顔を見てルイオスはいやらしく笑う。

 

「当たり前だろ、なんで空を飛べるのに同じ土俵で戦わなきゃいけないんだ?

まぁこいつは使わないけどね」

 

ルイオスはゴーゴンの首の紋章の入った装飾に触れる。

 

「あのむかつく笑顔を誰か消してくれないかしら」

 

「あぁ、いいぜお嬢様。俺が消してやるよ」

 

飛鳥の呟きに十六夜は答え、地面を蹴り飛び上がる。床は当然のように砕け、クレーターと化していた。

 

「は!バカじゃないのか、正面から来るなんて」

 

ルイオスは自分に飛来する十六夜を嘲り、矢を弓に番え放つ。

 

「ハッ!しゃらくせェ!」

 

猛スピードで飛来する矢を十六夜はタイミングを合わせ空中で殴る。殴られた矢は十六夜の拳に貫通することが叶わず砕け散った。

 

「はぁ!?クッソ!」

 

「逃がすか!」

 

矢を殴り砕いた十六夜を見てルイオスは上昇し十六夜を避けようとしたが、そんなことを十六夜が許すはずもなく、空中で強引に体を回しルイオスの鳩尾に踵落としを決める。

 

「うぐぁ!」

 

第三宇宙速度で飛来した十六夜のスピードの乗った踵落としが綺麗に入り、ルイオスは地面に叩きつけられる。

 

「クソがァ」

 

「動かないで」

 

地面に叩きつけられ寝そべったままのルイオスの首元に白銀の十字剣を飛鳥は突きつける。

 

「チッ、もういい。出てこいアルゴール!!」

 

ルイオスは苛立つまま叫び首元に突きつけられた十字剣を無視してチョーカーからゴーゴンの首の紋章の入った装飾を引きちぎり、投げ捨てる。

投げ捨てられた装飾は地面に落ちると同時に眩い光を放つ。

 

「なに!?」

 

咄嗟にそちらの方へ向いた飛鳥は光に一瞬目を焼かれ十字剣を引いてしまう。

それを好奇と見たルイオスは手早く立ち上がり飛鳥の下を離れる。

 

「La ra Gyaaaaaaaaaaaa!!!」

 

光が晴れるとそこには乱れた灰色の髪に全身に拘束具を身につけた女性らしきモノが身体を反らせ鳴いていた。

 

「ra Geeeyaaaaaa!!」

 

一度姿勢を戻し、身を包む拘束具を引きちぎると今度は褐色の光を放ちまた叫ぶ。

 

「避けろお嬢様!」

 

未だ空中に身を投げ出したままの十六夜が叫ぶ。

飛鳥は十六夜の方へ顔を向け気づいた。自分の真上に巨大な岩が落下していたのだ。

もう間に合わない。本能的に飛鳥は自分の死を察した。立ちすくみ動けずいる飛鳥の下へ岩は降りかかり、飛鳥を押しつぶした。

 

「クソがぁぁぁ!」

 

岩が飛鳥を押しつぶした瞬間十六夜は叫び空を蹴り、第三宇宙速度に迫る勢いでアルゴールに飛来する。紙一重で回避したアルゴールは一度距離をとるように後ろへ跳ぶ。

 

「ククク、アハハハハハ。ペルセウスに、この僕に挑むからこうなるんだ。名無し風情が調子に乗るから死ぬんだよ!」

 

いつの間にか空へ移動していたルイオスが高笑いする。

 

「「飛鳥さん………」」

 

ジンと黒ウサギは飛鳥を押しつぶした岩を見つめ俯く。

 

「許さねぇ、絶対に許さねぇぞペルセウス!」

 

十六夜は頭に血が上り絶叫するように叫ぶ。

不意に十六夜の背後、岩の方から強烈な音が鳴る。

ルイオスを含め十六夜達、アルゴールさえもが音源の方へ目をやると岩に亀裂が入っていた。亀裂は徐々に上に伸びていき、1周すると半分に割れた。そこには耀を背負い、飛鳥を抱き抱えた穹が紫電を掲げしゃがみこんでいた。手には血が滲み、顔には頭から流れたであろう血が伝っていた。

 

「飛鳥、大丈夫?」

 

穹は掠れる声で飛鳥に呼びかける。

きつく目を閉じていた飛鳥は聞きなれた声を聞きゆっくりと目を開く。そして自分を抱える穹を見て

 

「穹………?穹!?貴女どうしてここに!?

それにその血は…」

 

飛鳥は穹の有様を見て焦ったように問う。

焦っている飛鳥を完全に無視した穹は

 

「飛鳥………怪我…ない?」

 

「え?えぇ、私は無事よ。あなたのおかげで。それよりもあなたの方が…」

 

言いかけた飛鳥に穹は一言「良かった」とだけ呟いて倒れた。

 

「穹!?」

 

「鷹宮!」

 

「「穹さん!」」

 

十六夜、飛鳥、黒ウサギ、ジンが叫び穹の下へ駆け寄る。

 

「あ、ありえない、人間の何倍もある岩を支えた上斬るなんて。」

 

事実を理解する毎にルイオスの顔が驚愕に染まる。

 

「ち、けど今がチャンスだ。やれアルゴール!」

 

十六夜が背を向け、全員が固まった所を好奇と見たルイオスはアルゴールに指示を出す。

 

「La ra Geeeeeyaaaaaaaa!」

 

ルイオスの指示を聞きアルゴールはまた鳴き声と共に褐色の光を放つ。

不協和音のような絶叫を聞き、四人が振り返ると既に光は一直線に穹達の方へ伸びていた。

 

「十六夜君!」

 

「「十六夜さん!」」

 

一番最初に飲まれるであろう位置にいる十六夜に、三人は叫ぶ。

 

「邪魔すんじゃねぇ!」

 

怒りを隠さず十六夜は振り返り叫び、褐色の光を正面から殴りつける。

殴られた光はガラスの割れるような音と共に砕けた。

十六夜が光を砕いたのを見て一番最初に声を上げたのはルイオスだった。

 

「はぁ!?ギフトを砕いた!?」

 

「!?」

 

ルイオスの叫びともにアルゴールも反応する。自分のギフトが無効化されるとは思っていなかったのだろう。

全員が呆然とする中十六夜は穹へ駆け寄り、抱き抱える。

 

「おい!鷹宮!鷹宮!」

 

穹を抱えた十六夜は焦ったように声を荒らげ揺らす。

 

「ちょ、ちょっと十六夜さん!そんなに揺らしてはいけません!穹さんの身体に障ります!」

 

穹の身体を激しく揺する十六夜に黒ウサギが慌てて制する。

そんな様子を呆然と見ていたルイオスが苛立たしげに舌打ちをする。

 

「クソが!名無し風情にここまでされるなんて、ありえねぇ。もういい。全部終わらせろアルゴール!」

 

「Geeeyaaaaa!」

 

ルイオスの声に呼応するように叫び光を放つ。再び放った光は先程よりも速度を上げ

六人の下へ迫る。

光にいち早く気づいた飛鳥は

 

「"全員今すぐ避けなさい"」

 

声を荒らげ命令するように叫ぶ。するとジン、十六夜、黒ウサギは洗脳でもされたかの如く無言で飛び退くと先程まで固まっていた場所に光が通り抜ける。唯一残された飛鳥は光を浴び石化する。飛鳥の石化とともに威光の力が切れ意識を取り戻した三人は石化する飛鳥を見て呆然とする。

 

「「飛鳥さん…」」

 

「お嬢様…クソが」

 

十六夜は苛立つままにルイオス達を睨み見つめる。

 

「黒ウサギ、鷹宮達を頼む。あいつは許さねぇ」

 

十六夜は抱えた穹を黒ウサギに預けて地面を踏み砕き駆け出す。アルゴールめがけて一直線に。

 

「とりあえずてめぇは邪魔だァ!」

 

第三宇宙速度に迫るスピードでアルゴールの懐に潜り込んだ十六夜はそのまま勢いを乗せ鳩尾を殴りつける。十六夜の全体重、スピードの乗った拳を直に受けたアルゴールは背後にいたルイオスを巻き込み後ろにある壁まで吹き飛ぶ

 

「ガッ!」

 

「Geya!」

 

ルイオスとアルゴールは勢いよく壁にぶつかりめり込む。その後も後を追うように十六夜が駆け出そうとしたとき、目の前にいきなり契約書類が現れる。

 

「邪魔だ!」

 

目の前に現れた契約書類を十六夜は掴み投げ捨て駆け出そうとすると後ろから声がかかる。

 

「十六夜さん!ギフトゲームは終わりです!」

 

「はぁ!?」

 

十六夜を止めるべく叫んだ黒ウサギの言葉に十六夜は戸惑うように声を上げる。

 

「契約書類をよく見てください!」

 

黒ウサギの言葉に十六夜は先程投げ捨てた契約書類を掴み目を通すとそこには

 

『勝者" "

これにてギフトゲームを終了します』

 

と記入されていた。

 

ギフトゲーム終了後飛鳥の石化が解け、白亜の宮殿からペルセウスの屋敷に飛ばされた。ぐったりとした穹を十六夜が背負い、眠っている耀を黒ウサギが抱き抱え六人はコミュニティへ帰った。

 

翌日

十六夜は穹の部屋を訪れ、ベッドの隣に椅子を置き腰掛けて、ベッドの上で眠る穹の顔を眺めていた。十六夜の表情は暗く、まるで大切な人の死に触れたような様子だった。

 

「クソ、なんだこの気持ちは。よくわからねぇ。けど、"穹"を見てると安心する。落ち着く。この気持ちはなんだ、あの夢が関係してるのか………?」

 

十六夜は一人俯き戸惑っていた。

 

「んん……」

 

そんな時、眠る穹が呻く。

 

「?穹?」

 

十六夜が小さく呼びかけると僅かに瞼が開き、穹が目を覚ます。

 

「いざ………よい………?」

 

「あぁ、俺だ。」

 

呻くように呟く穹に十六夜は優しく声をかける。その瞳には涙が浮かんでいた。

 

「ギフトゲームは?レティシアはどうなったの?」

 

震える声で穹は十六夜に尋ねる。

 

「ギフトゲームには勝ったぜ、当然レティシアもバッチリ取り戻した。今はメイドとして働いてるけどな」

 

十六夜はヤハハと笑い答えた。

その後穹は一度身体を起こしあの後どうなったか十六夜に尋ねた。

 

十六夜曰く

ギフトゲーム終了後一度コミュニティに戻り、サウザンドアイズへ向かってレティシアを引取りに行ったらしい。

そして翌日(今朝)レティシアが目覚めるのを五人で待った後勢いに任せメイドを強用するとレティシアが納得し、両者合意の上で正式にノーネームのメイドとして働き出したそうだ。十六夜達問題児組は案の定馬鹿な発言として黒ウサギに叩かれたそうな

。そして今に至る。

 

「そっか…よかった。飛鳥達には怪我は無い?」

 

「あぁ、お前が助けたおかげでお嬢様達には傷らしい傷はねぇよ。まぁお嬢様はめちゃくちゃ気にしてたけどな。自分のせいでお前が怪我したって」

 

十六夜は茶化すように笑い、つられて穹も笑い出す。

二人はそのまま雑談に花を咲かせ、黒ウサギが穹の部屋へ現れるまで二人は話し続けた。

その後、改めてレティシアと自己紹介をして各々好きに時間を過ごすのだった。

 

二日後

異世界組四人は黒ウサギに呼び出され、貯水池の前で子供達と屋外立食パーティと洒落込んでいた。

 

黒ウサギ曰く

 

「問題児様方の歓迎パーティを行います!」

 

ということらしい。

 

「パーティはいいとして、なぜ屋外なのかしら?」

 

「そうだね、ここまですると色々と厳しいと思うんだけど。」

 

「黒ウサギなりのサプライズってとこじゃねぇか?」

 

「無理しちゃダメって言ったのに…」

 

四人はコミュニティの財政を心配するように各々呟いていた。そこへ

 

「皆様、楽しんでおられますか?」

 

黒ウサギが笑顔で混ざり込む。

 

「ん?あぁ、まあまあな」

 

「…楽しんでる」

 

「まぁ、こういうのもいいわよね」

 

三人は口々に黒ウサギへ感想を述べるが穹は一人空を見つめて呟いた。

 

「綺麗…」

 

「ん?どうした穹?」

 

つられて十六夜も穹を見上げる。

 

「おぉ、こいつは…」

 

感慨深いように呟く十六夜につられて三人も空を見上げる。

 

「…流星群」

 

「綺麗ね」

 

「あやや、忘れていました。はーい!皆さん注目するのでございますよ!」

 

黒ウサギは大きな声で自分への注目を促す。

コミュニティメンバー全員が自分へ注目するのを確認した後空を指差し喋り出す。

 

「天幕をご覧ください。この流星群を起こしたのは、何を隠そうこの新たな同士、十六夜さん達なのです!」

 

黒ウサギはうさ耳をピンと立て四人を誇るように語る。

 

「「え?」」

 

「「は?」」

 

十六夜達は素っ頓狂のような声を上げる。

そんな四人を置き去りに黒ウサギは説明を続ける。

 

「箱庭の世界は天動説のように、全てのルールが箱庭の都市を中心に回っています。先日、同士が倒したペルセウスは、敗北の為サウザンドアイズを追放されました。よってあの星空からも旗を下ろすことになったのです」

 

黒ウサギの説明に四人は唖然とし、何も声に出すことはできなかった。

 

「今夜の流星群はサウザンドアイズからノーネームへの、コミュニティ再出発の祝福も兼ねております。星に願いをかけるもよし、鑑賞するもよし、今夜は目一杯騒ぎましょう!」

 

黒ウサギの締めくくりの言葉を皮切りに、ノーネームの子供達は騒ぎ出す。お皿いっぱいに食べ物を取る子供や、数人で走り回る子供もいた。そんな中穹は一人少し離れた場所で、ジュースを片手に空と子供達を交互に見ていた。十六夜は黒ウサギと共に何か楽しそうなことを話しているようで、二人は満面の笑みで笑いあっていた。耀は子供達と一緒に食べ物をお皿に取り、プチ大食い大会のようなものが開かれていた。

飛鳥はのんびりと空を見上げ、少しうっとりしていた。

 

「ずっとこの時間が続けばいいのに…」

 

離れた場所で思い思いに自分の時間を過ごす同士達の楽しそうな笑顔を見て、呟く。

 

「だったらこの時間が続くように守ればいいじゃねぇか」

 

「え?」

 

独り言のように呟いた言葉に返事があり、驚いて声のした方を向くといつの間にか十六夜が立っていた。

 

「よう。一人で何してんだ?」

 

十六夜はそう言って隣に座る。

 

「ぼんやりしてただけ…」

 

「そうか。あぁ、そういえばさっき黒ウサギと話してたんだが、あの星空に俺達の旗を飾らないか?」

 

十六夜は子供のように瞳を輝かせ穹に提案する。

 

「それは楽しそう。私も手伝う」

 

十六夜の提案に穹も瞳を輝かせて笑い、肯定する。

 

「そ、そうか。じゃあそれにあたってだな、えー…」

 

十六夜は何故か急に頬を赤く染め、歯切れが悪くなる。

言葉を詰まらせる十六夜に穹は顔を見て小首を傾げる。

 

「えー、あー、その…だな………」

 

「十六夜らしくない。どうかした?」

 

珍しく言葉を詰まらせる十六夜に穹は少し訝しげな表情になる。

 

「え、あ、クソ。あぁ、あの、その………

あぁぁぁぁぁ!!!」

 

遂に壊れたのか、十六夜がいきなり叫び出す。不意に近くで出された大声に穹は耳を押さえながら涙目で十六夜を睨む。

 

「本当にいきなりどうしたの?」

 

「あ、すまん。ちょっと生地の無い自分に腹が立った」

 

「………?」

 

「すまん、ちょっと時間くれ」

 

十六夜はそういうやいなや無言で立ち上がり、穹から少し離れた場所に座り込みブツブツと一人で呟き出す。

この時、十六夜の叫びで耳にダメージを負ったのは穹だけではなかった。

離れたところで耀もまた両耳を手で押さえ、口いっぱいに食べ物を含んだまま十六夜を睨んでいたが、十六夜は自分のことで手一杯だった為知る由もなかった。

 

小一時間ほど一人で呟き続けた十六夜はやっとのことで穹の下へ戻って来た。

 

「えと、その、さっきのことなんだが…」

 

「旗のこと?」

 

「え、あぁそれもある。」

 

未だに少し歯切れの悪い十六夜に穹は少しむくれて見つめる。

そんな穹の様子を見て再び頬を赤く染める。

 

「本当に十六夜大丈夫?熱とか無い?風邪引いてたりとか」

 

なかなか口を開かない十六夜に今度は心配そうに声をかける。

 

「ね、熱は無い!風邪も引いてねぇから安心しろ」

 

「本当に?嘘ついちゃダメだよ?無理しないで本当の事言って」

 

「あぁぁぁ、本当に大丈夫だから気にするな!それよりも言いたいことがある!」

 

十六夜は穹の方へ向き直り両肩を掴む。

 

「お、俺は…穹の…ことが…す、す………」

 

「す?」

 

「す、す、す…あぁぁぁぁ!」

 

十六夜は穹の両肩から手を離し、頭を抱え蹲る。

 

「あぁぁ!言えねぇ!なんでだよ!ただ"穹が好きだ"って言うだけだろうが!」

 

「え?」

 

「あ………」

 

思わず勢いで口からこぼれた告白に穹は固まる。そして十六夜も勢いで口を滑らせた事実に固まる。

 

「す……き………?十六夜が私を…?」

 

「え、あ…。あ、あぁ!そうだ!俺はお前が好きだ!俺、逆廻十六夜は鷹宮穹のことが好きだ!」

 

勢いに任せた十六夜の告白に穹は顔を真っ赤に染め頭から煙を上げる。

 

「いざ…よい………が…私を…好き………?」

 

穹が自分で口にした途端ボシュンと音を立てて頭から先程以上の煙を上げる。

 

「う…う…う…」

 

「う?」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」

 

十六夜が聞き返した途端大声を上げ立ち上がりコミュニティの出口の方に向かって全速力で駆け出す。

 

「え、あ!ちょ、待てよ穹!」

 

いきなり駆け出した穹を追うように十六夜も立ち上がり駆け出す。

一部始終を全て聞いていた、もとい聞こえていた耀は新しいおもちゃを見つけた子供のような笑顔で笑っていた。

 

コミュニティ出入口付近

 

「待てよ穹!おい!どこ行くんだよ!」

 

「いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ、来ないでぇぇぇぇぇ!!!」

 

穹と十六夜は全力鬼ごっこをしていた。これを日本でやっていた場合十六夜は即刑務所行きだろう。

男女の脚力の差が出始めたようで徐々に十六夜が距離を詰め出す。そして遂に五分ほどの追走により十六夜は穹を捕まえた。

 

「いぃぃぃやぁぁぁぁ!離して!離してよ!」

 

「ちょ、おま、その言い方やめろ!混乱してるのはわかるがその言い方はまずいだろ!」

 

穹の言い方が危険なことに気づいた十六夜は慌てて穹の口を塞ぐ。この行為こそが危険なことを十六夜は判断出来ていなかった。

 

「んん!んんん!!!」

 

「だぁぁ!クソ、埒があかねぇ!」

 

流石に苛立った十六夜は「せいっ」という掛け声と共に穹に手刀を振り下ろす。

 

「んん!?………」

 

十六夜に攻撃された穹は最後に呻いた後がっくりと膝から崩れ落ちた。

 

「え、あ、やりすぎた…」

 

自身の力加減のミスを反省しつつ近場の地面に腰を下ろし穹を寝かせる。

 

数分後穹は目を覚まし、十六夜の顔を見るとまた頬を染め駆け出そうとする。

 

「待った!」

 

十六夜はギリギリのタイミングで逃げようとする穹の手を掴み止める。

 

「俺もさんざん詰まったが流石にこれは酷くないか?」

 

十六夜の責めるような言葉に穹は膝から崩れ落ちる。

崩れ落ちた穹を見て十六夜は手を離す。

 

「だって…恥ずかしくて………」

 

「それは俺も………」

 

「違う!そうじゃなくて………嬉しくて 、十六夜が好きって言ってくれて、両思いだって気づけて、でもそう思うと恥ずかしくて」

 

「そ、そうか………え………?両………思い……?」

 

急な穹の告白に十六夜は目を白黒させる。

 

「う、うん。私も…十六夜のこと…好き…だよ?」

 

「それはlike じゃないよな?love として受け取ってもいいんだよな?」

 

十六夜は戸惑うように、焦るように聞き返す。

 

「うん…私は、鷹宮穹は逆廻十六夜君のことが好き…だよ」

 

「え、あ、じゃ、じゃあ付き合ってくれる…のか?」

 

「うん、良いよ。私も付き合えたら良いなって思ってたから…」

 

「本当にいいのか?俺だぞ?粗野で野蛮で凶暴で快楽主義者の俺だぞ?一緒にいても確実にロクなことにはならねぇぞ?それでもいいのか?」

 

十六夜は確認をとるように一つ一つ尋ねていく。

そんな態度の十六夜に穹はまたむくれて

 

「じゃあ、付き合わない。十六夜がそこまで言うなら」

 

「え…」

 

先程まで驚愕と喜びの入り交じった表情をしていた十六夜が急変し、表情が絶望に染まる。

落胆し、膝から崩れ落ちた十六夜に穹は

 

「冗談だよ。でもそこまで自分を卑下するなら付き合っても長くは続かないよ?

私は自分を誇れる人が好きだから」

 

笑顔で笑う。

穹の言葉に顔を上げる十六夜は立ち上がり

 

「なら、俺は俺らしくいないとな…穹に嫌われない為にも」

 

と態度が再び急変し笑う。

 

「さ、十六夜。帰ろ…」

 

穹はそう言っておずおずと手を差し出す。

十六夜は穹の可愛らしい行動に笑い、

 

「あぁ、帰るか」

 

そう言って穹の手を取り二人並んで歩き出した。その時二人で見た流星群は短いながらの人生の中で最も綺麗に映っていた。

 




はい、今回はここまでです。長かったです。主に文章が。

というわけで『yes!ウサギが呼びました』はこれにて終了となります。

今回の目玉は十六夜君の告白ですね。ちょっと無理があったかな?
とある作者様の作品を読んで「これだ!」と思いパク…ゲフンゲフン、参考にさせて頂きました。これから二人はどんな人生を歩むのか作者の私ですらわかりません。
当たり前ですね勢いとノリだけで書いてますから。

そして次回は魔王襲来編ですね。できるだけ早く投稿できるよう頑張りますので良ければ続けて閲覧お願いします。

後十六夜君の夢についてですがこれは出来次第投稿しようと思ってますのでこちらも楽しみにして待っていてください。

それではまた次回、魔王襲来、もしくは番外編でまた会いましょう。
ここまでの閲覧ありがとうございました。
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