巴マミがあんなにも辛そうに泣いた。
大泣きした。
生まれてきた赤子のように。
今にも死んでしまうんじゃないかというほどに。
誰のせいかなんて決まっている。
決まりきっている。
僕達インキュベーターのせいだ。
許せない。
絶対許さない。
ああ、もう、僕が悪いからと逃げてはいられない。
犯した罪の大きさに打ちひしがれてはいられない。
僕が、僕達が悪いと言うのなら、できることはただ一つ。
僕達インキュベーターの手で、この魔法少女システムをぶっ壊すしかない。
僕達インキュベーターと共にこの魔法少女システムをぶっ壊すしかない。
僕達インキュベーターごと壊して、狂わせて、破壊するしかない。
僕達インキュベーターのやったことは許されない。
多くの少女の希望を踏みにじり。
多くの少女を絶望に追い込んだ。
夢は希望となり、僕達の手によって暴力的に叶えられ、現実を超えるそれは必ず矛盾を抱え、それは時と共に膨れ上がり、歪み、崩れ、そして絶望へと変貌する。そんな最悪なシステム。
そんなシステムの犠牲となるのは年端もいかない少女たちばかり。
夢と希望に満ち溢れた少女達ばかり。
そして、また、一人少女がこの絶望のサイクルに足を踏み入れてしまった。
その少女は一人の少年を思い続け、少年の幸せを夢見た少女だった。
少年の左腕は、壊れてしまった。完膚なきまでに、見る影もなく。
少年は絶望し、少女はそんな少年を見ていられなかった。
だから、願ってしまった。
一人の少年を思い続けた少女は僕達によって追い詰められ、契約に追い込まれた。
その希望は簡単に絶望に変わることを見越して。
美樹さやかの希望が絶望に傾くにつれ奴らは、インキュベーター達は嘲笑っているのだろう。
もう少しでエネルギーが採取できる頃だと。
まるで、栽培している果実が実るのを待っているように。
まるで、家畜している動物が肥えていくのを待ち望んでいるように。
本当に反吐が出る。
お前たちはやってしまった。
取り返しのつかない事をやってしまった。
巴マミを泣かせた。
マミのあんな泣き顔は初めて見た。
もう、二度と見たくない。
もう、あんな顔は二度とさせない。
そう決意した。
だったら話は簡単だ。
こんなシステムはぶち壊してやればいい。
僕達インキュベーターの思惑なんて、引っ掻き回して、狂わして、跡形もなく崩して、ぶち壊してやればいい。
そのための、切り札はもう揃っているんだよ。
全てを知る異端で異常なイレギュラーの少女。
宇宙を創世させるだけの魔力を保持する少女。
そして、インキュベーターの知識を受け継いだ僕。
もうジョーカーは揃ってる。
お前たちを。
僕達インキュベーターを終らせてやるよ。
責任を取らしてやるよ。
他でもない、この僕の手でね。
覚悟しろよ僕達。
お前らは絶対、正気じゃいられない。
さっきも言ったとおり、僕はだから怒っている。
もう、怒り心頭だ。
奴らをぶっ潰す。
そのためだけに。
僕は今、鹿目まどかの下着をあさっていた。
まどかのおパンツを頭にかぶって。
言うまでもなく、無断で。
無論、住居不法侵入である。
いやいや!
みんな何か勘違いしていないかいっ?
また、僕の病気が発祥したとか思っていない?
違う違う!
全っ然違う!
これは……
ガチャっ
ひぁっ!?
た、大変だぁっ!ま、まどかがまどかの部屋に入ってきたぁ(当たり前)!?
僕は急いで、下着の詰まったタンスの引き出しを閉め頭にかぶっていたまどかのパンツを懐に忍ばせた。
なんとか間に合ったかな?
まどかは僕を見た途端びくっと身体を震わせた。冷静に後から考えたたら、僕の姿を見て驚いたと推測できた事だろう。
しかし、僕の今の精神状態はとても正常とは言えない。
まどかのビクッと震えた瞬間、勿論僕の身体も震えた。驚きではまどかの3倍は勝っていることだろう。
もう、びっくびくッである。
だって、少女の部屋に無断で入り、あろうことに、下着を漁っていたなんて事が、知られてはもう終わりだ。
何もかもぶち壊しである。
僕の好感度はすでにぶち壊されているかもしれないけれど。
マミにこのことが知られれば、僕の信用はがた落ち、間違いなくティロ・フィナーレで僕の命は衝天するであろう。
暁美ほむらにこの事が知られれば、いっその事殺してくれと言わんばかりの拷問を受けた後、下着だけを回収され息絶えることになるだろう。
「あ、あの……」
まどかが何か言う前に僕は迅速に土下座の体勢に入る。
「な、なんでしょうか、ま、まどか?いえいえ、まどかさん?いえいえ、まどか様っ!」
僕はもう、心臓が張り裂けるんじゃないかというくらいドキドキしながらまどかの返答を待つ。
「も、もしかして」
ゴクリ。
やはり、見られてしまったか。もう、終わりだ。
僕の人生も。
何もかも。
「わ、私の、魔法少女の、け、契約、の話?」
緊張するまどかの口から放たれた言葉は僕を罵倒するものではなかった。
ましてや、下着の話でもなければ、住居不法侵入の話でもなかった。
ふぅ、一安心と言いたいところだけれど。
きっと、そういうわけにはいかない。
「そ、その、ごめんなさい」
「?」
突然、彼女は涙を流し、謝った。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
まどかは病的に謝る。
それはきっと、僕にではない。
僕に向けられた謝罪の言葉ではなかったのだと思う。
「自分勝手なことを言って、ごめんなさい。あの時、一緒に戦うって、言ったのに、側にいるって、一緒に、いるって、一人じゃないってそう、言ったのに、そう言ったのに、ごめんなさい。あの、日、マミさんがお菓子の魔女と戦った日、あの日、マミさんの首が食べられたとき、私、思ってしまった。ああ、終ってしまった、って。何もかも、終ってしまったって。もう、みんな救われることは無いんだって。そしたら、もう、何もかも、怖くなって、私は何をやっているんだって凄い後悔した。私は、知っていたはずなのに。こう、なってしまうかもしれないと、どうしてかわからないけれど、知っていたはずなのに」
ああ、まどかも苦しんでいたんだ。
いろんな事を抱えて苦しんで、自分が何もできないのが何より苦しくて辛かったんだ。
「そ、それで、さやかちゃんまで、契約しちゃって、もう、わ、私、何がなんだかわからなくなっちゃって」
まどかはそのままへたり込んでしまった。
「ごめんなさい。ごめんなさい。だから、私、契約するのが怖く、それで、それで」
僕は泣き崩れるまどかの頭を撫でる。
耳毛で撫でる。
なでりなでり、と。
優しく撫でる。
「本当に君たちはどうしようもないなぁ」
君達はどうしようもないほど、優しいなぁ。
本当に、強くて、優しい、少女達だなぁ。
誰かの為に思いやれる、本当に羨ましいくらい、純粋で優しいね。
「なんで、なんで君が、謝るんだよ。なんで、そうやって自分を責めるんだよ。みんなおかしいよ、もっと、責めるべき存在があるだろうに。責任を追及するべき、未確認生命体がいるだろうに」
「……暖かいね」
まどかはその涙で濡れた瞳で僕を見る。
涙で目元を赤く腫らしていて、少し頬も赤い。
その瞳は、少しではあるが、微笑んでいるように見えた。
「優しくて、暖かくて、安心する」
まどかは僕の耳毛を手に取り、頬にあて、温度を感じている。僕はまどかの頬の方が優しくて暖かいと思った。
「この暖かくて優しい手に、私はどこかで、出会ったことがあるような気がする。あなたに触れていると、とても、とても懐かしい、そんな気がする。おかしいよね?最近会ったばかりなのに」
ああ、僕も、君と出会った時、同じような感覚に襲われた。
でもきっと、それは、偶然、そんな気がしただけだと、それだけだと思うけれどね。
「えへへへ、おかしいな。さっきまでの不安で、悲しくて、辛い、気持ちはどこかにいっちゃったよ」
「そっか。それはよかった。でも、まどか君にお願いしたい事があるんだ」
「何?私にできること?」
「ああ、君にしかできない事だよ」
「?」
「契約なんて、決してせず、魔法少女になんて絶対ならないで、それでも、鹿目まどかは鹿目まどかのまま、マミの側にいてくれないか?後輩として、友達として、君は君のまま、彼女の隣にいてあげてくれないかな?」
「ほ、本当にそれだけでいいの?」
「これは、君にしかできない、大切なことだ。他の誰にもできやしない。強い君だからこそできる事なんだよ」
「それで、本当に、何かが変わるのかな?」
「ああ、勿論だよ。それだけで、万事解決さ。マミはなにより、魔法少女ではない、鹿目まどかを必要としているのだから」
まどかはまた涙を流す。
でも、きっと、それは悲しみの涙ではない。
とても、とても、優しく、暖かい涙。
「……うん、うん、私、そうする。私だって、みんなと一緒にいたい。マミさんとも、さやかちゃんやほむらちゃんとも離れたくない」
「それでいい。それでいいんだよ、まどか。頼んだよ。」
「うんっ!」
元気よく頷く彼女はとても可愛らしかった。
「それで、キュウべぇはなんで私の部屋にいるの?」
ひぇっ!?
しまった!結局そっちの話に戻ってしまった!
僕は再度の土下座の形に戻る。
「???」
?マークを並べて首を傾げているまどか。
よし、まだ気がついてはいないようだ。
…………さぁて、どうしようか。
「…………ああっ!そういえば、なんか、のどが乾いてきたなぁ」
話をそらす作戦に出てみた!
「あ!それじゃあ、私お茶入れてくるよ!ちょっと待ってて!」
うう、本当にいい娘だなぁ。この娘の未来がとても心配になってしまうよ……。
「ちょ、ちょっと待って、まどか」
駆け足で、部屋を出ようとするまどかを呼び止める僕。
決して罪の意識に苛まれて呼び止めたわけではないよ?
「何、キュウべぇ?」
ああ、君はなんて眩しい笑顔をするんだ。僕を心底信じているその瞳。もう、なんて言うか、いたたまれません。変態代表として、前もって謝らせてください。変態に生まれてきてごめんなさい。
「まどか、冷静になって聞いてね?もし、だよ?もしもの話しだよ?ifの話だからね?実際の団体もしくは人物とは一切関係はございませんからね?なんたってフィクションの話だから。もし君が、魔法少女になるとかではなく、ちょっと恥ずかしい思いをする事で、具体的にはちょっとあられもない下着を何着か盗まれたり、思い出の品がいくつか変態に奪取されることで、マミも、さやかも、ほむらも、魔法少女全てが救われるのだとしたなら君はどうする?」
「そんなの、決まってる。私の答えは決まってるよ」
その、少女はとても強く優しく、凛々しく、何より輝き眩しく、そして希望に満ち溢れた笑顔で答えてくれた。
「なんだってあげるし、なんだってされていいし、してもいいよ」
その答えは、全ての変態を救済してくれる、そんな選択だった 。
「パンツとか、ブラとか、リコーダーとか色々あるけど、それでも?」
僕の貧弱な精神の防波堤にするための最後の問いにも彼女の、その強い魂が答えを紡いでくれる。
「マミさんもさやかちゃんもほむらちゃんも救われるなら、そんなの、私、全裸になってもいいよ!」
うそぉ!全裸になってもいいのっ!?それなら大丈夫だっ!何をやっても大丈夫だよっ!安心したよ!しかも、あれっ?これもしかして?もしかするとぉ?っしゃあああああ!言質とったどぉおお!これは、言質取れちゃったどぉ!!念のため今のも超高性能スピーカーで録音済みさ! やっぱり泥棒はいけないよね!いたいけな少女を騙すなんて最低さ!なんかやってる事魔法少女の契約と変わらないような気もするけど、そんなの気にしちゃダメさ!
「そっか、それじゃあ、飲み物よろしく!僕はアッツイお茶が大好きだから、ゆっくり湯を沸かしてね!」
「うん!」
元気よく部屋を出るまどか。彼女の無防備さはかなり本気で心配だが、今はそんな場合じゃない。♪〜
おっ、これはいいね!
ら〜ら〜♪
おっ、これなんて彼女めっちゃ好きそう!
る〜る〜 ♪
こりゃいい!これも!これも!
よし!全部僕の異次元ポケットに保存!因みに青い猫型ロボットとは一切関係はごさいません!
まどかは元気よくお茶を持ってくる。
「お待たせ!」
「ごめんね、まどか急な用事ができちゃったよ」
「えー…」
残念そうにするまどか。少し、クスリと笑いそうになる。
「マミの家に何時でも来てくれよ。マミがいくらでもお茶を入れてくれるよ。それをマミは待ち望んでいるよ」
「そうだね……そうだよね。うん!また後でね!キュウべぇ!」
「うん。それと、まどかに一言言わなきゃいけない事が」
「へっ?」
「奴は大変な物を盗んでいきました。それは」
あなたの心です。
ごめんなさい。普通に下着その他もろもろ盗んだだけです!
まあ、少しでも世間の怖さを学んでくれたら最高さ!
それじゃあ、ね!
色々、僕の好感度は地に落ちてしまっただろうけれど、しかし、これで切り札は揃った!
見せてあげるよ、僕流の交渉術ってやつをね!
場面切り替わって、僕は今暁美ほむらに家にいる。俗にいうほむホームという奴だ。
「何のようかしら?」
彼女は感情を一切見せず淡々としゃべる。
「前言った借りを返しにね」
僕はおもむろにふところからまどかのパンツを出す。勿論本人御用達さ!
「早くそれをいいなさい!」
感情をさらけ出すほむら。即座にまどパンを拾いあげる。
「クンカ!クンカ!スーハー」
臭いを嗅ぐな!
「確かに受け取ったわスーハー」
臭いを嗅ぎながらしゃべるな!
「しかし、用が終わったなら帰ってくれるかしら?本来私達はこんな関係ではないはずよ。私にはとてもじゃないけど、あなたは受け入れられない。コホー」
「君の言いたい事はよくわかるから、パンツを仮面みたいに被るのはよすんだ!」
君は変態仮面か!まどかが見たら泣くよ!君の額にあたる部分にしっかりまどかって書いてあるんだから一瞬でばれるよ!君が変態だって言うのは隠しようがないけどね!
「わかったよ……それじゃあ……ね。」
意味ありげな僕。
「勝手口はあちら」
早く帰れと急かすほむら。君は早くまどパンでおいたしたいだけだろ。
僕は勝手口へと向かいながら……
ボトっ
おやおや?何か落としてしまった(棒読み)
暁美ほむらは目を見開く。
「ちょ……ちょっと!待ちなさい!」
声を荒げるほむら。おやおや暁美ほむらさん、さっきと言っていることが違いますな〜。
そこにはアルトリコーダーが落ちていたからだ。小学校高学年の時にやったあれである。勿論、ただのアルトリコーダーなら暁美ほむらはなんの興味を示さないだろう。
ただのアルトリコーダーならば、ね。
しかし、暁美ほむら程の変態になれば、名前を見なくても誰のかわかるようだね。
「そ……それ、は?」
「おっと、暁美ほむらともあろう人間が僕に尋ねるというのかい?あまりガッカリさせないでくれよ。君はただ答えてくれればいいんだ。君は僕の話しを聞くのかい?そして、話してくれるのかい?」
YES/No?
「そこに座りなさい。話しをする場を設けましょう」
即座にアルトリコーダーは回収される。僕の目の前には座布団が2つ。僕は暁美ほむらと対極に座る。
よし!やはり食いつくか!
暁美ほむらはまどかのリコーダーでラブファントムを奏でていた。すげー!なんでもできるな。♪〜
10分経過、
「またせたわねピュー」
「気は済んだかい?済んでないみたいだね。話す時はパンツを被らずリコーダーを口にくわえずにして欲しいもんだね」
もうそれはすでにモンスターだよ。まだ魔女の方がましってもんだ。これは手がつけられない。ごめんね、みんなの大好き暁美ほむらさんはまどかの愛によって変態モンスターになってしまったようだね。
「それで、一体これからどんなまどか談義になるのかしら?ピュースーハー」
「だまれ変態モンスター」
しかたない、このまま話しをつづけるか。しかし、このままいくと暁美ほむらはどんどん手のつけられないモンスターになっていくばかりだ。こればっかり予想できなかったな。
「単刀直入に聞こう、君の能力は、時間に関与しているようだね?それは一体どこまでできるんだい?君の願いは一体何なんだい?」
「それは……そんなの言える分けないわ。黙秘権を行使します。ピュー♪」
今のその姿で言うのか君は。そんなモンスターに人権があると思うなよ。
僕はおもむろに鍵盤ハーモニカを出す。小学校低学年でよくやるあれである。息吹きながら弾くピアノ的な。
「なっ……!?」
絶句するほむら
「ふふ、確かにアルトリコーダーに比べて鍵盤ハーモニカは古い。それだけまどかの使っていた時間も古いと言える。しかしどうだい?想像して見たまえ!今よりもずっと小さなまどかが、ロリまどかが一生懸命その鍵盤ハーモニカに
口をつけて!!!
頑張っている姿を!小さな口で頑張って吹いている姿を!それはもう手には入らない大切な希望だと思わないかい?」
「イッツ・ア・グレイト!!!」
♪〜
それから一時間愛の唄をアルトリコーダーと鍵盤ハーモニカで演奏をしたほむら。
「あれは、私が……♪」
まどかのパンツを装着して、鍵盤ハーモニカとアルトリコーダーをくわえながら話す彼女は異質以上のなんでもなく、それはモンスターと言うより、マッドデーモン直訳すると狂った悪魔と言えた。しかも語尾にアルトリコーダーと鍵盤ハーモニカの美しいコラボレーションが妙に鬱陶しい。なんか腹立つな!
鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい!
いや、本当に感動したよ。その格好じゃなかったらね!マッドデーモンじゃなければ、僕は今頃号泣だ!本当にお願いだからその格好なんとかしてくれないかな!どんどんアルトリコーダーと鍵盤ハーモニカも上達していくし、パンツにいたってはわけがわからないよ!
しかし、なるほど。ほむらはこの願いによって時間をさかのぼり、いや、並行世界を旅してきたという事なのだろう。それなら彼女が魔法少女の真実を知っていてもなんの不思議もない。
よし、僕の想像以上だ!それなら、彼女は知っている筈なんだ。僕達にこれから起こる事を。それに当たってまず聞かないといけない事が
「これから起こる事を知りたい。マミ、まどか、そして、美樹さやかに何が起こるのか、何故君は未だ並行世界を旅しなきゃいけないのか」
「いや、でも、私にも、守秘義務というものが……彼女達も知られたくないことも色々あるのでしょうし…♪☆(ビブラート)」
僕は最後の切り札を出す。
おもむろにまどかのブラジャー。まどブラを出す!
「君のその身体、まだ何か足りないようだね」
「ぐはっ! 」
暁美ほむらはそのブラを目の部分に装着する。もうダメだ。
完成されてはいけないものが完成された。変態ほむら究極体を生み出してしまった。
「私は人智を超えた!♪★(荒ぶるビブラート)」
うん!それにいたっては大きく同意だ!安心しなよ。君は誰が見ても人類には見えないよ。僕はこれから君を少女、いや人間として接する事はできないだろうからね。
目にはサングラスのようにブラを装着し、顔の大半をパンツで隠し、アルトリコーダーと鍵盤ハーモニカをくわえた変態はそこにはいた。それは紛れもなく暁美ほむらの成れの果てだった。
そして彼女はおもむろに物語を話す。彼女の経験したいくつもの地獄を……
どういう事なの?なんで、鹿目さんが!?
みんなキュウべぇに騙されてる
……ごめん、美樹さん
や……やめて……巴……さん
私達、このまま2人で怪物になって……こんな世界、何もかも滅茶苦茶にしちゃおうか……
キュウべぇに騙される前のバカな私を助けてあげて……くれないかな……?
大丈夫。大丈夫よ。まどか。あなただけは絶対救ってみせる。他の何を犠牲にしてもあなただけは守ってみせる。
何度繰り返す事になっても……。
本当に涙がでた。いや、確かに可哀想で感動したけども、そういう涙ではなく。
なんか、あんな純粋で直向きな少女がいまやアルティメットマッドデーモンになっていると思うと本当に悲しくて。
しかし、これでわかった。これから起こる事も。美樹さやかの事も。この街に訪れる災厄も。そして、君の事もね。僕の、僕と魔法少女のやるべき事を理解した。
「暁美ほむら。君は鹿目まどかとみんなと仲直りするべきだ」
僕は何の突拍子もなく切り出した。
さあ、取り戻しにいこう。君の大切なものを。