魔法少女と孵卵器(インキュベーター)~規制版~   作:ダル神

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第二十五話 (パジャマパーティーではないよ) in孵卵器家

夢を見た。

本来僕たちは眠る必要がない。

故に僕は初めて夢を見た。

 

それは神様だった。

まどかとよく似た神様がいて。

僕はその神様に何か願った。

とても、寂しそうなその神様を救うために。

神様じゃなくするために。

願った。

どんな願いだったのだろうか。

思い出せない。

そうだ

でも、僕は涙を浮かべる神様の手をとって

 

もう一度だけ僕と一緒にがんばってみないかい?

 

そう、言ったんだ。

う、頭がぼーっとする。

いつもと感覚が違う。

『気がついたかい?』

自分と同じ声がする。徐々に記憶が蘇る。

 

「君たちか!ちくしょう!ふざけた事しやがって!邪魔しやがって!あとちょっとだったのに!クソクソ!君たちなんて馬にけられて死んじゃえ!どうしてくれるんだよ!もうちょっと空気読めよ!僕の夢が!五億円払ってでも見たいものがそこにはあったのに!」

僕は前歯が粉々になるんじゃないかというくらいの歯ぎしりをしながら血の涙を流して睨む。

僕達を睨む。

いや、本当は感謝するところなのかもしれない。あのままやっていたら本当になんと言うか児ポルノ法に引っかかっていたのかもしれない。アカウントごと削除されていたのかもしれない。でも!それでも!タイミングってもんがあるだろう!?あんなに期待を持たせて!

 

『全く君は本当にわけがわからないよ』

 

「アーソレハスイマセンネ!」

滅茶苦茶不機嫌な僕。全く本当に腹立つなぁ僕達は!感情の無いしゃべり方が特に鼻につく!死ねばいいのに!

 

『本当に例外的だよ、君は。君のようなものは僕達にも前例がない。いや、そもそも、君は本当に僕達なのかい?』

何を言っているんだ?僕は明らかに僕達だろう?確かに感情を持っているなんていう比較的珍しい精神疾患を抱えているけど、それも前例がないわけではないだろう?

 

『自分で気づいていないみたいだね。僕達がいくら精神疾患といっても、君ほど強い感情が生まれるとは到底思えないね。そもそも、質が違う。明らかに君のその感情は人間のものだよ。その証拠に君は、人間のしかも第二次成長期前の少女の身体を、見て大興奮らしいじゃないか。まぁ、第二次成長期前、というのは君の趣向かもしれないけどね。でも、本来これはありえないことだ。身体の構造から考え方、何から何まで違う人間を好きになる?しかも、性的に?肉体的に?ありえないだろう?いくらなんでも。それは、感情があるとか、ないとかではない、君の魂は人間だったんだ。それが、何かの弾みで僕達の魂と混ざったのではないだろうか?いや、もしくは人為的に。何かの意思が』

聞いてもいないことペラペラしゃべりやがって!そんなので僕の怒りがおさまると思っているのか!惨たらしく死ねばいいのに!

 

「ふむ、わけがわからない、というわけでもない。でも、それは前世とかそういう話だろう?今の僕には関係ないし、それは君たちにも関係のないことだろう?」

 

『ふむ、まだいまいち理解していないみたいだね。君は転生者の可能性があるってことだよ』

転生者?

『君は100年前のインキュベーター血祭り事件は知っているだろう?』

「ああ、でも、あれは僕達の行いにぶち切れた魔法少女が僕達を根こそぎ殺しまわった話だろう?僕はいい話だとおもうけどなぁ。だいたい僕達の行動が招いたことだ自業自得だろう?でも、それと転生者と、なんの関係があるんだい?」

 

『確かに、ほとんどの僕達の記憶ではそうなっている。しかし真実は違う。祭坂罪過、彼は男だよ。人間の男だ。もちろん彼に魔法少女の力なんてない。少なくとも僕達は彼に何もしていない。まあ、強いて言うなら僕達は彼を怒らせた。僕達の行いは彼の逆鱗に触れたんだ』

 

「そんな、バカな!?ただの人間があれだけの事件を起こしたって言うのかい?」

 

『そう、ただの人間ではなかった。僕達はそれを転生者と呼んだ。彼は本当に常軌を逸していた。時空間移動、特殊転移法で僕達がどこにいても、僕達の首を取りにくる。魔力とはまったく異質の生体エネルギーを駆使して、あらゆる超常現象を引き起こす。それは魔法によく似ていたけど、どれとも違う。肉体強度もとても人間じゃなかった。魔女の渾身の攻撃を片手で止めてたしね。しかも、魔法を使えないはずの彼は魔法を食べることもできたしね。型破りにもほどがある。いくらでも代わりがいる僕達の数少ない利点をやぶった男だよ。とてもじゃないけど僕達も活動どころではなかった。本当に僕達の肉体が根こそぎ消えてしまうほどやられた。まさに鬼神のごとき有様だったよ。知っているかい?祭坂罪過が僕達を殺した数は、平均して1日3億は超えていた。だから僕達は彼が人生を終えるまで耐え続けたよ。まぁ、魔法少女や魔女をけしかけた無駄だったね、彼の強さはそんなレベルじゃない。本当に例外だった。彼の人生が終わるまでのべ80年本当に大変だった。彼がいなくなった後も復興するのに10年かかった。』

 

「……」

『これで僕達が転生者をどれだけ危惧しているかわかったかい?君が転生者である可能性があるというのなら、君を野放しにするわけにはいかない』

 

『それに、君のおかげで鹿目まどかの契約が遅れているのも事実だ。美樹さやか、佐倉杏子をぶつけても駄目とはね。でも、君がいないんじゃあ彼女が契約するのも時間の問題だ。でも、わからないな、何故君はそこまで彼女を契約させたくないんだい?』

 

「ぷっ、あはははははははは!」

 

「君達いや、僕達、本当に的外れのことをしているね。僕にそんな力があるなら、1日3億どころか10億はやって見せるね。それほどまでに僕達には借りがある」

 

「しかも、一番傑作なのは僕が鹿目まどかを契約させたくない?それは勘違いだ。彼女は僕と契約するんだ。まぁ、確かに僕達に契約させるわけのはいかない。僕と契約してもらわないと困るんだけどね」

 

『わかりやすい嘘だね。君が彼女を魔女にさせるわけにはいかないと口をすっぱくしていっていたじゃあないか』

 

「ああ、それは真実だよ。僕は彼女に魔法少女にはなってもらうが魔女にはさせない。絶対に」

 

『わけがわからないよ?魔法少女になって、魔女にならない少女なんているわけがないだろう?僕達の作り出したこのサイクルは遅かれ早かれ必ずそうなるようにできているだろう?願いを叶えるのもその一つだ。現実を超える願いはいずれ必ず絶望に変わる。そんなことは君も理解しているだろう?』

 

「ああ、だから僕達で終わらせるんだよ。そのサイクルをね。僕達の作りだしてしまったそれを、僕達全てで責任をとるんだ。僕がそうさせてあげるよ」

 

『君の言っていることはわけがわからない。精神崩壊でもしてしまったのかい?まぁいい。僕達は君にかまっている暇はない。そこで、大人しくしているんだね。今ワルプルギスの夜が上陸したところだ。それじゃあね』

 

僕達はぞろぞろと地上に帰っていく。あっという間にこの空間は空になる。

 

もっと早くにまどかと契約するべきだったかな?はっきりいって契約するのはいつでもよかったんだ。ただ、彼女の信用さえあれば。

僕の言うとおりの願いを言ってもらえばそれで終わったんだ。だから、僕は彼女の信用を勝ち取るために動いていた。暁美ほむらとの仲直りも、さやかの魔女化阻止もすべて、彼女の信用を勝ち取るのが第一目的だったんだ。

契約ができる日はいくらでもあった。どうして、今日まで引き伸ばされてしまったのだろうか?そんなの、僕がこの生活を幸せだと思ってしまったからだ。離れるのがいやで、みんなと別れるのがいやだったんだ。もっとマミと一緒にいたかったんだ。

 

でも、もうそれも終わりだ。終わりにしよう。終わらせよう。

 

「ああああああああああっ!」

 

僕の魂は今拘束されている。特殊な機材で魂をまるで手錠のようにいたるところに括りつけられている。

勿論僕に祭坂罪過のような力は無い。そもそも転生者かどうかもよくわからない。機材を壊すことは不可能だ。

それでも、なんの力もない無力な僕でも

 

自分を破壊することはできる。

 

魂のいたるところうを千切る

 

ぶちぶちっ

 

僕は全体の3分の1の魂を犠牲にして、なんとか拘束具から抜け出す。

 

「早く、みんなの、所へ」

肉体のない傷ついた僕の魂はとても不安定だ。

目の前が霞む中必死に前に進む。

 

く、目の前が真っ暗になる。魂の破損は無茶しすぎたかな?頼むからもうちょっともってくれよ。もう少しだけ。

 

真っ暗の中、何故か光が見えた。

その光は太陽みたいな綺麗な金色。とても暖かいと思った。

 

そして、声が聞こえたんだ。

ティロ・フィナーレ!っていう声がね。

 

壁を突き破ってきた彼女は泣きながら

 

「キュウべぇぇぇぇ!」

 

そう叫んでいた。

 

どうしてかな?なんでこんなに嬉しいんだろう?

 

彼女はいつのまにか僕の大切な道しるべとなっていたのだ。 

 

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