あの変態を地獄行きにしたのはいいけれど、それからがいけなかったわね……。
まどかと離れちゃった。まどかの魔法少女姿なんて長らく見てないのだから、網膜に焼き付くくらい見ていたかったのに……。
でも、まあ、しょうがない。しょうがない。別にあきらめたわけではないわ。
ただ先に済ませなくちゃいけない事があるから。
「私のまどかを侮辱して無事ですんだ存在は今までいないのよ?」
目の前の敵にただ視線をむける。
まどかをちんちくりんとほざいた高飛車女。わかる?ちちくりあうならまだしも!乳クリ○リスならまだしも!
ちんちくりんだと!?字面がちょっと興奮してきただろうが!
「ほむらが変態モードに入りました〜耐性のない方は至急非難しましょう。特に見滝原中学在校生の鹿目まどかさんは絶対に近づかないでください〜」
マンション内の各所に設置されたモニターからさっきとどめを刺したはずのインキュベーターもどき(先輩)が映っている。
ちっ!あの変態インキュベーターもどき今度は解説役にまわりやがった!痛みでショック死すれば良かったのに!
というか邪魔よ!まどかがモニタリングされていたのに見えないじゃない!
速く即座に即々消滅しなさい!ぶっ殺すわよ!
『先輩への尊敬どころか尊厳すら、欠片もないんですが……』
『キューさんの学校生活での苦労が目に見えるようだ(泣)』
高飛車女は派手な色合いのドレスに身を包み悪趣味な扇子で仰いでいたかと思うと、パシン、と音をたてて、扇子を閉じる。そして、大きな瞳を細め、薄く微笑みながら私を見下し、見下ろす。
ここはマンション内の地下駐車場。遮蔽物も車もない。しかしあの女は私を見下し、
見下ろせる
それは決して高飛車女と私の身長の差ではない。
それは、戦力の差。
数の差。
それが高飛車女の魔法。
人を見下ろすだけの高さほど積み上げた使い魔。その数は100を超える。
使い魔を生み出す魔法。それがあの女の望んだ力。
全てを支配し、蹂躙し、踏みだいにする。
「さあ、外野はほっといて始めるかの?ま、所詮あんな頭の悪そうななんの色気もな「おい
それ以上しゃべらない方がいいわ。高飛車女。
本気で殺すわよ?
」
「ほう、面白い事を言うの?この戦力差で何をほざく?小娘?これが目に入らんのか?
あははははは!わからんのか?100だぞ?この差を埋める事ができると?そんな虚勢を張っていないと今にも心が折れてしまうのか?なぁに、今なら、土下座して、妾に一生忠誠を誓うとい「たかが100?それがどうした」
「……なんじゃと?」そんなもの、今まで飽きるほど相手にしてきてんのよ!
たかが100?はん!そんなもので私を倒せると?
そんな程度で私のまどかを愚弄するのか!
片腹痛いわ!
私はデザートイーグル改を2つ創造する。
それを両手に握る。
銃弾を創造し、銃弾をこめる。
両手撃ちで、私は銃弾を発砲。
さすがは創造魔法。
連続ショットも現実離れしている。
私は一瞬で使い魔の額に全て銃弾を命中させる。
使い魔は黒い魔物のような形をしていた。顔には表情はなく、ただの屍のように空ろで、黒い羽を生やし黒い服で身を包む。女なのか男なのかわからない容姿と顔。
その使い魔を余すことなく全て打ち抜く。「私のまどかへの愛に張り合うつもりなら最低でも100億は用意することね」
「……おい」
「あら、どうしたのかしら高飛車女急に余裕なくして、そんな自慢の下僕だった?まどかに比べればカスみたいなものでしょう?」
扇子で顔を隠しているが、身体を小刻みに震わせている。同じ目線に立たされた事がとてもご立腹のようね。
「言葉に気をつけろよ、小娘!」
「こいよケバイ悪趣味高飛車ババァ!まどかとの女としての格の違いってやつをその腐った根性に叩き込んでやるわ!」
『これは一体どういうことだぁ!?』
『何がだい?エジソン?』
『彼女は今ほぼエネルギーを使わずに、ただ創造だけで、使い魔を一掃したんだ』
『どういうこと?』
『いいかい?この魔法少女システム、君が擬似ソウルジェムとなずけたあの宝石には、エネルギーが込められている』
『エジソンが言っていたプラスのエネルギーっていうやつかい?』
『そう、でも、このエネルギー実はただ創造するだけ、つまり、想像したものをソリットビジョンに映しこむだけならほとんどこのエネルギーを使わないんだ。つまりは現実を超えない想像を創造してもほとんどエネルギーを消費しないんだ』
『つまり、マイナスのエネルギーも蓄積しないというわけか。確かにそれは驚きだけれど、でもそこまでありえないわけではないんじゃない?』
『いや、これは
ありえない事だよ」
『?』
『銃の構造を全て理解し、あろう事か銃弾までの構造を知り尽くし、完璧にトレースし、さらに改造までする?そんなもの普通の女子中学生とは思えない。どこの戦場を生きていたんだ?』
『おー、なるほど……』
『うん?キューさんあんまり驚かないね?』
『いやいや!これはなんてこった!僕の後輩は米軍基地にでも住んでいたのか!全然気がつかなかった!』
『それはいくらなんでも気づくでしょう?』
『で、でも、想像を創造する行為としてはおなじことだろう?それなのにエネルギー消費に差ができるのはおかしくない?』
『ああ、それはね、構造の問題なんだよ』
『構造?』
『そう、本当はね、想像したものを創造しようが、ほとんどエネルギーを消費しないんだ。つまり、想像できない、構造もよく知らない、現実離れしたもの、いや、現実に存在しているものでも構造がわからなければ、それを維持し続ける、エネルギーが必要なのさ。想像を創造するにあたっての、想像力の補正。これがエネルギーを最も消費するんだ。』
『つまり、より、現実を超えた未知の力であればあるほど、エネルギー消費は加速するってことか』
『そうなんだよ。でも、あれだけの武器を創造したにもかかわらず、彼女のエネルギーはほとんど消費されていない』
『………』
『いったい彼女はなにものなんだろうね?』
「はあ、はあ、はあ」
「どうした?あんな大見得をきっておいて、その様はなんじゃ?まるでボロ雑巾じゃな!ははっ!」
くっ、私は創生魔法であらゆる武器を生成した。 しかし、それ以上に高飛車女は使い魔を生んだ。
本当にただ数に頼っているだけなのに。
しかし使い魔には1つだけ能力付加の命令ができるようで、
「さあ、やれ!我が従僕!」
真っ黒な使い魔が襲ってくる。
「くっ!」
私に掴み掛かろうとする私は辛うじて避ける。
さらに、その使い魔から、距離をとる為に大きく背後に飛び退く。
それと同時にデザートイーグル改でマグナムを打ち込む。
使い魔にヒットした。
ヒットした同時に使い魔は
、、、
大爆発を起こす。
そう、奴は使い魔を大量に量産させて、自爆もかまわず、私に攻撃する。本当に悪趣味だ。まどかとは天と地の差ね。
「ぐうぅっ!」
距離をとっても爆風で吹き飛ばされそうになる。
爆風により、身体の自由が奪われ、辛うじて吹き飛ばされる事はなかったが……。
「ざぁんねん」
私は背後に視線を向けた。そこにいたのは決してまどかではなかった(当たり前だ)
そこには、まどかとは似ても似つかない虚ろで、空虚な(まどかに記憶が飛ぶほど激しいプレイをした後に少し似ているかもしれない)使い魔がいた。
「しまっ……」
た、という暇もなく。
使い魔は3体ほど私に掴みかかる。
身動きがとれない。
振り払うなんてとても無理なくらい強い力だ。しかし、この距離、こんなゼロ距離で攻撃なんてしてしまったら、間違いなく私の擬似ソウルジェムは破壊される事だろう。
「これで、チェックメイトじゃ」
「くっ……」
それは、もうまどかと一緒にゲームができない事を意味する!
まどかの夢の手ブラ姿も消える!
ダブルで悲しい!
「ぐ、こんな所で負けるわけには……」
しかし、どうする?
がっちり掴まれているこの状況じゃあ……。もっと、強い思いを!ダメ!つい強い思いの行き先はまどかになってしまう!ああ!精巧なまどか人形ができてしまった!
『おーっと、ここで変態が仇になったぁ!強い思いはまどかしか象れないのか!?』
うっとうしいナレーションね……。
しかし、精巧なまどか人形は確かに本物と見間違うほど可愛いくて最高なのだけど、というか!これもしかして夢のまどかハーレムが実現できるんじゃないかしら!?
なんて罪深い可愛さ!
私の天使がこんなに!ちょっと!これ作った奴天才じゃないの!?
エネルギー使い果たすまでエンジョイしたい!
「………何故じゃ、何故妾を見ない!そなたをそこまで追い込み、あまつさえ勝利をおさめる事ができる奴が他にいるのか!」
「それがどうした」
「その余裕も気に入らんのじゃ!こんな状況でまだあの女の事を思い続ける?妾よりそちより劣っているあの女のどこに惹かれる理由がある!?」
「はははっ!これはお笑いぐさね!」
「なんじゃと!?」
「私が優劣で人を判断する人間だと思っているの?悪いけれど、私はそんな
、、
高尚な人間ではないわ!私にとって大切なのはそれが、相手がまどかかそうでないかでしかない!」
「最低じゃな!」「まどか以外路傍の小石にしか見えてないわ!」
「もうなんて言うか最悪じゃな……」
「つまり、私にはまどかが路傍の小石に咲く桜の花というわけよ!」
「のろけに入った!しかもでっかいもんで例えたのぅ……」
「だから、私はあなたを許さない!路傍の小石ごとき存在にまどかを愚弄するなんて考えられない!」
はぁ、と溜め息をつく
「なるほどのぅ、貴様は妾をあくまでも認めない、と?」
「私にはまどかしか見えないわ」
「ふん」
エリザベスが指をならす、使い魔は自らの首をちぎり、そして、文字通りの自爆をする。
しかし、その使い魔は私を爆破したわけではなかった。
私のまどかへの強い思いで創造したまどか人形だった。
「ならば、妾が終わらせてやる。そちの愛とやらを打ち砕き、妾が頂点となりおもいしらせてくれようぞ!」
私の中で何かが明確に切れた音がした。
「これで終わりじゃ!」
私を拘束している使い魔が自らの首をもぎ取る。しかし、私はまどかの分身ともいえるまどか人形が破壊され、消える様を呆然と見る。
3体使い魔は大爆発を起こす。
「……妾を見んからじゃ。どうじゃ!これでわかったか!妾がどれほどのものか!全ての人間が妾に跪くべきな「やってしまったわね……
、、、、、
エリザベス
」
爆炎の中私は悠然と立つ。
真っ黒な羽を携えて。
私の中で明確な怒りが爆発する。
初めてかしら?
本気で人を殺したいと思ったのは?
インキュベーター以来ね、こんな、溢れだすような感情をぶちまけるのは?
「なっ!?」
爆炎と爆煙が舞う中、私はそれでもたっている。
エリザベスの顔が驚愕のものへと徐々に変貌している。
「なんじゃ!そ、それは!?」
私は
、、、
黒い翼で、辺りの爆炎と爆煙を凪払う。
「黒い翼!?なんじゃそのエネルギー量!?おかしいじゃろ!?」
「私にまどか以外を想像させるなんて、あなた
、、、、
終わったわね」
「ひっ!
そ、そんな、その程度の翼が、力がなんじゃというのじゃ!妾には、この、軍勢が!……
………あれ?」
エリザベスの瞳の奥には恐怖が満ちていた。
それは私が彼女の長々と続くセリフの途中で時間停止能力を使ったからだ。
辺りの空間を凍結させて、デザートイーグルで使い魔を凪払う。
結果、エリザベス他全ての人の瞳には、私が一瞬で使い魔を全滅させたように見えた事だろう。
「な、何が起こった!?妾の軍勢が、そんな、一斉に。
あ、ありえない!貴様!何をした!?一体、どんな、魔法を」
「ふん、何をそんな驚いているの?こんなの見ればわかるでしょう?こんなのはただの時間停止魔法よ」
「いくらなんでもありえん!いくら時間停止を使い、空間を凍結させようが、それはこのシステムしか不可能なはずじゃ!それが、妾達すら認識できないだと!?」
「だから、簡単な事でしょうが。
あなた達全員の意識を凍結させればいいだけじゃない」
「そ、そんな事、できるわけが」
あなたは何を言っているのかしら?
本当に、私のまどかへの思いがあれば、できない事なんてあるわけないじゃない。
つまりあなたはやってしまったの。
あなたはやってはならない事をしてしまったの。
私の大切なものを愚弄するばかりか、踏みにじり辱めた。
これは許されるわけがない。
あなたは、過去私を最も怒らせたインキュベーターすらしたこともない事をやった。
万死に値するわ。
エリザベスは身体を震わせ、必死に、無我夢中で、疑似ソウルジェムに縋り付き、魔法を使おうとしている。
しかし、彼女の思いとは裏腹に、疑似ソウルジェムは彼女の想像には答えてくれない。
本来現れるはずの魔法は、路傍の小石一つ創造してくれないのだ。
「何をそんなに焦っているのかしら?
集中しないと、魔法は使えないわよ?」
エリザベスが恐怖により集中できず魔法が使えないのか、エネルギー切れなのかは私にはわからないけれどこれで終わり。
私はゆっくりとエリザベスに近づいていく。
「わ、ま、待て!わ、妾の負けじゃ!ゆ、ゆる……」
「路傍に這い回る小虫が何か言っているけれど、何も聞こえないわ」
私は大きな弓を形成する。
「!?」
「あの世でまどか人形に土下座する事ね……」
私は真っ黒で巨大な矢を形成し、
放った。
「ひえええええええええええええええええ」
エリザベスの悲鳴がマンション中に轟き、
『はい!とっても怖いものを見せてくれましたね!あのエリザベスを打ち取ったのは終代魔法少女チームのほむらさんでした!皆さん!くれぐれも彼女の大切なものには触れないようにね!』
終戦のナレーションが入った。