魔法少女と孵卵器(インキュベーター)~規制版~   作:ダル神

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第四十八話 終わりの始まり

そして、魔法少女大戦は終了を告げる……

 

 

 

 

 

………ことはなかった。

 

祭りと聞きつけ集まった物好きども。ここから、メゾン・ド・ゼロの総勢1200人の魔法少女も混ざっての大乱戦。

 

そして、長い長い戦いの末

 

最後まで生き残ったチームは。

 

マミチーム。

巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子、暁美ほむら、鹿目まどか。

まさに、魔法少女を終わらせた。終代魔法少女。

 

くしくも敗れ去ったマンションの住人は現れた王に、願いを聞く。

 

まるで、神様のように

 

まるで、悪魔のように

 

まるで孵卵器のように

 

何を願うのかと問う。

 

巴マミはこう、答える。強く凛々しくそしてだれより清く正しく

「また、みんなと遊びたいな」

 

 

何を願うのかと問う

 

美樹さやかは答える。

優しく快活に元気よく

「また、みんなと遊べたらいいな」

 

何を願いのかと問う

 

佐倉杏子は答える。

凄惨に笑い楽しんだように満足気に

「また、あんたらと遊べたらいいかもな」

 

何を願うのかと問う

 

暁美ほむらは答える。

照れくさそうに頬を赤く染め口を尖がらせながら

「まあ、まどかと一緒なら、また遊んでもいいわね」何を願うのかと問う。

 

鹿目まどかは答えなかった。

 

……………

 

ほむらは心配そうにまどかを覗き込むと

 

首を横に振って

 

笑顔で

 

 

「またみんなと遊べたら嬉しいな」

 

そう言ったのだ。

きっとその言葉に笑顔に嘘偽りはなかった。

ただ、もう一つの真実があっただけなのだから。

 

 

 

 

みんな、今日は家に帰ることになった。

明日は古典の再テストだというのに、

どうしよっかな?

もういっその事0点でもたたき出してやろうかな。

先生に殺されるな。

 

僕の部屋に戻ると

 

そこには、巴マミ

 

マミがいた。

 

互いに目を泳がせる。あの時、マミのピンチについ、モニターからマンション中に響き渡る声で恥ずかしい事を言ってしまった。

 

マミもきっと、色々文句を言いたいことがあるのだろうし、もしかしたら、処刑の続きをされるのかもしれないし、

 

うん。

 

まあ、言えるうちに言っておこう。

 

いつ死ぬかもわからないしね。

 

「お疲れ様、マミ。色々言いたいことがあるだろうけど

先手は打たせてもらうよ。

 

僕は君のことが

巴マミの事が大好きだ。

 

きっと、君より好きなものも

きっと、君より大事なものも

きっと、君より愛するものも

 

この世にはないんだと思う。

だから心の底叫ぶ

 

僕はマミの事を愛してる

 

大好きすぎて、5秒に一回は君の事考えてる。

君が喜べば僕は幸せな気持ちになって

君が笑ってくれたら、浮かれてはしゃいでしまう。

 

そんなどうしようもない

 

ただのそこら辺の奴なんだけどね」

 

 

マミは涙を流し顔を真っ赤にしながら微笑み

「うん

 

 

 

キュウベぇ」

 

 

 

そう言ったんだ。

 

 

 

え?今何と言ったのだろう?マミは今何と言った?

僕の事をキュウべぇとそういった?

 

「……はは、可愛い愛称だね、うん、でも、少し可愛すぎないか?」

 

僕ははぐらかす様に言う。突然のことに驚いたけれど偶然なんていうのはよくあるし、僕の名前から、そんな愛称が生まれるのもしょうがない気もする。まあキューだし。

 

まあ、とてもじゃないけれど、そんな都合のいい事は信じられない。

 

マミの記憶がよみがえったなんて奇跡。ご都合主義もいいところだ。

 

 

「ふふ、あなたは本当に変わらないわね?」

 

おいおい、やめてくれ。

悪い冗談なんだろう?

意地悪な夢物語なんだろう?

 

「疑り深くて、何も信じることができなくて、自分を好きになれない。

 

だから、私が教えてあげる

 

キュウべぇ

 

 

 

お帰りなさい」

 

ああ、君のこの言葉をずっと

 

ずっと、待っていた。

 

本当なんだ。これはいくらなんでも言い逃れできない。

 

信じるしかない。

奇跡を信じるしかない。

自分の事はとてもじゃあないけれど信じられないけれど、

巴マミを信じるしかない。

 

「一か月遅れてしまったけれど、これはまあ、あなたが格好をつけ過ぎたせいでもあるし、私を置いて行こうとした罰よ、バチともいうかもしれないけれどね」

 

マミは飛び切りの笑顔でそう言うのだ。

 

そして、僕を抱きしめて

 

「大好きだし愛してるよ

 

キュウべぇ」

 

「うん、うん、僕もだよ、マミ」

僕は格好悪く泣くことしかできない。

 

それでも、僕は格好悪くても、

 

 

それでも

 

 

マミとキスせずにはいられなかった。

 

僕の唇を彼女は受け入れてくれて

 

彼女の唇を僕は受け入れた。

お互いの温もりも涙も息使いも優しさも喜びも幸せも愛おしさも全部感じ合う。

 

僕はマミの頭を優しく撫でた。

特に意味はない。

ただ、撫でたかった。

彼女のしなやかな髪に触れたかった。

どうにかなってしまうほど、狂おしい愛に埋もれて何をしてしまうかわからない中

 

僕は触れてしまった。

 

絶望に触れてしまった。

 

この幸せが全部台無しになって、そして

終わりを告げた。

 

マミの髪飾りにしっかりとあったのだから

 

決して疑似なんかじゃない

 

忘れたくても忘れられない

 

ソウルジェムが

 

そこにあったのだから。

 

この日

 

この時間から

 

世界はめちゃくちゃになった。

 

全ての魔法少女が蘇った。

魔女になることを宿命付けられた悲しい少女達。

 

また、あの惨劇が

 

また、あの惨状が

 

また、あの戦場が

 

繰り返されるのだろうか。

 

決してゲームではない

 

この世界で

 

この物語で。

 

この現実で。

 

ただ、未だ現状を理解していない

何も知らないマミは、その潤んだ瞳を優しく微笑み

 

「どうしたの?」

そう小首を傾げるのだ。

 

僕は彼女を抱きしめた。

 

強く、強く抱きしめた。

 

彼女をどこにもいかせないように

僕のそばから離れてしまわないように

 

彼女を守るためなら僕はなんでもする。

 

そう、

 

まるで彼女に誓うように。

 

僕達の最後の物語が始まる。

 

 

 

 

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