まどかの処女膜を破ったって! はっはぁ面白い嘘をつくね! さすがほむら! 相変わらずのブラックジョークだなぁもぉ!
まぁ、さっきまで濡れ濡れだったほむらの右手も(ほむらがきれいに舐めとった)まどかの股間も(ほむらが舐めとっていたのはどうか僕の勘違いであってくれ!)脳内補正で徐々に精神を立て直し、今現在は必死に現実逃避をお試みているところYO☆ おっと! そうだ! 僕はどうやら寝ていたようだね! 夢だよね! 今の全然夢だよね! あんな事起きるわけないよね! するわけないよね! できるわけないよね!
ああ! びっくりしたなぁ! もう!
僕は首を左右に振ってさっきの悪夢を振り払う。
「どうしたのかしら先輩! 悪い夢でも見ていたの?」
「お前のせいだ! 暁美ほむら!」
「先輩がとても理不尽なことを言って私をいじめるわ」
「ほう。それでは君の腕の中で小刻みに痙攣しているまどかの説明をしてもらおうか」
「そんな大したことではないのよ?」
僕は嬉しそうに頬を染める彼女を見て真実へと至る。
「まずは、まどかの子宮口を「よしわかった! もう説明しないでいい!」
「まどかの子宮内膜に突入した私は」
「あー! あー! 聞こえないぃ!」
僕は止血もお構いなしに必死に両耳に手をあてて抵抗する。
「突如私は掌を大きく開き、まどかの子宮内を拡張」
「……き、聞こえな、い」
「勿論つめを立てるたびにまどかの絶頂を肌で感じたわ!」
「ず……ずびまぜんでした。調子こきました。もう、勘弁してくだざい」
僕は号泣しながら懇願するしかなかった。
「あらあら、まだまだこんなものじゃあないわよ? まさか先輩こんなもので根をあげるの?」
「お願いします! もう説明しないでください!」
「だが断る!」
「淫鬼! 変態! 鬼畜!」
「その罵倒、とても心地いいわ。すかさず私はまどかのソウルジェムを」
ぎゃーーーー! もうやめてくれぇ! 聞きたくない! そのソウルジェムをどうしたかなんて怖過ぎて聞けない!
こんな状況にそんなディープな話を聞いて、この僕の貧弱な精神が耐えられるわけが無いんだ!
だから本当にやめて! 今ならまだ考えないようにするって言う荒業でなんとかなるから! ていうか絶対楽しんでるよね! 嬉々としてその話がしたくて堪らないんだよね! お願いだから死んでくれないかなぁ!
おぐぅ! この傷で絶叫はキツい! いつの間にかこんなに血が噴出していた! これは冗談抜きで出血多量で死ぬかもしれない! 言うまでも無くほむらのせいで!
「ひどいわ。どう見てもそこの白犬のせいでしょ?」
そこで青い光が僕の身体を照らしてくれたかと思うと、突然身体が楽になる。痛みは嘘のように引いていき、傷はみるみる回復していく。
僕は後ろを振り向くと、そこには、さやか、杏子、マミが立っていてくれた。
「やっぱり、先輩に手を出したわね。どうなるかわかってんでしょうね? 美国織莉子!」
「この状況に真っ先に真実に至れるとはやりますね。美樹さやか」
「バレバレでしょうが! あんた私の事馬鹿にしてんの!」
「おっと、ばれてしまいましたか」
「あんたマジでぶっ殺す!」
「手伝うぜ! さやか!」
その殺気立つ後輩二人の肩に手をかけるマミ。
「今はその話はおいておきましょう? 鹿目さんのこともあるし」
「で、でも! マミ……さん……?」
勢いよく振り向いてマミの顔を一瞥したさやかは突然言葉を失った。
「勿論……後で、ゆっくりこの事はお話しましょうね? ……しっかりと」
「ひょぇ!?」
さやかはマミの殺気に萎縮して顔を青ざめる。
「……マジギレだ。マミがマジでキレてる。初めて見た」
同じく顔を青ざめる杏子はさやかの背後に隠れて、小動物のように震えている。
「あなたもそれでいいわよ、ね?」
「……ふふ、これは想像以上。これなら、本当に、鹿目まどかさんを殺せたかもしれないのに。残念」
「聞き捨てならないわね。鹿目さんをどうするって? 本当に今ここで打ち殺してしまおうかしら?」
「ストップだよ」
僕はマミの頭に、ポンと手を置く。
「ここは争っている場合じゃないよ? マミ?」
「だ、だって」
顔を赤らめながら何故か上目使いで僕を見るマミ。可愛過ぎて生きるのが辛いというのは正にこの事か。
「わ、悪かった。心配かけたね。でも、もう大丈夫だから。だから、まどかを救い出すことに全力をかけて欲しい」
僕はマミの潤んだ瞳を見ているとなんだか顔が熱くなって目を逸らしてしまう。
「僕の大切な後輩なんだ」
「そうね。私の大切な後輩で友達なんだから」
「そういえば、キリカはどうしたんだい?」
僕は後ろで縮こまっている後輩二人に聞いてみる。
「邪魔してきたから、ボコった」
「邪魔してきたから、ぶっ飛ばした」
僕はジト目でマミを見る。
「わ、私は止めたのよ!? ほんとよ!?」
怪しい。止めたかどうかも怪しいが、とどめを刺したのはマミな気がする。僕は入り口の前にピクピクと倒れこんでいるキリカに目を向ける。あまりにも無残。
「キリカ、ありがとう。よく頑張ってくれたわね」
「織莉子、ごめんね。ドジっちゃった」
キリカを膝枕して優しく頭を撫でる織莉子。
それを幸せそうな笑顔で受けているキリカを見て。
ぃよっし! 問題無し! 可哀想でもなんでも無い! すっごい幸せそうだ!
「はっ! ひゃ! ひゃめて! もう限界っ!」
突然ほむらの腕の中で気絶していたまどか(異様な存在)が目を覚ます。
うう、可哀想に。相当怖い思いをしたんだね。ほむらを見た途端のあの脅えよう。あまりにも不憫。
「ほら、あなた達も先輩達に何か言うことがあるんじゃない?」
「そ、そうだね。そ、それじゃあ、お言葉に甘えるとしようかな」
ほむらの挙動を逐一確認し、震え上がりながら立つ姿は威厳の欠片も無かった。少なくともラスボスの威厳なんて微塵も無い。やっぱりラスボスはほむらなんじゃないだろうか。
さらに、二人の魔法少女が立ちはだかる。
僕はインキュベーター時代の記憶が残っている。膨大な少女達のデーターは未だ健在だ。
7~8歳くらいの小さな少女で髪は薄緑色でツインショートにまとめられている。その魔法少女の名前は千歳ゆま。改変前の世界では素質はあるも、魔法少女にはなっていなかった少女。
もう一人の青髪のロングストレートの魔法少女は、魔法少女ではあるが人間ではない。名は一輪揚羽。人形でありながら、何らかの理由で宿ってしまった感情だけで魔法少女になった異例中の異例。
「せっかくだからボク達も自己紹介させてもらおうか。ボク達の宿敵に」
「あれが、鹿目さんの身体を乗っ取った存在」
「マミも気づいていたのかい?」
「いいえ。キリカさんの身体に聞いたの」
「……マミ?」
「ま、間違えました。キリカさんから勿論穏便に聞いたのよ」
ジト目の僕に目を逸らすマミ。
「そ、それにしても許せない。鹿目さんの身体を。この世界を滅茶苦茶にしようだなんて!」
えー。僕はなんだか不憫でしょうがなかったよ。きっと変態とは知らずにほむらに近づいて、えらい目に遭ったんだろうな。
「コホン」
その異質な存在は咳払いを一つして、まどかの肉体で、まどかの声で、語る。
「どうも。はじめましてかな? ボク達はこの世界に納得のいかない惨めな存在さ」
僕は彼女の言葉に少し胸を痛めた。
「彼女達はこの世界がこんな有様になった被害者達さ」
な、何を言っているんだ。この世界で、そんな不幸になる少女なんて、だって、大部分の少女達は確かに、救われたはずで。
「大部分だろ? 決して全てじゃあないのさ! 何にでも例外はあって、間違いも、勘違いも存在し、完璧なんてことはありえない!」
「例えばこの少女は魔法少女も魔女もいた世界で、偶然にも虐待を強いる両親が死んだことで幸せに暮らしていた少女だ。君が、君達が、この世界を変えなければ、彼女は実の母親から暴力を受ける事はなく、幸せに生きる事ができたはずの少女だったんだよ」
「例えばこの人形は、人形でありながら自由な肉体を得られ、例え魔女になる運命を抱える事になっても愛する人に思いを伝えられる、そんな奇跡のような世界を“生きる”事ができたはずなのに、君達が改変してせいで全部奪われた!」
ぼ、僕達は、僕達の幸せは、そんな少女達の犠牲の上に成り立っていたのか。
「彼女達は嘆いた! この世を呪った! この世界に絶望した! 君達のせいで!」
僕は結局誰かを犠牲にしていたのか?
「あなた達は本当に
本当に、そうしなければいけなかったの?
そんな力に頼らなければ、あなた達は本当に救われなかったの?」
マミが僕の手を握ってくれる。
優しくて、暖かい。
彼女だけは間違っていないと、そう強く信じてくれている。
「あなた達は全然ダメなんかじゃない! そんな力に頼らなければいけないほどあなた達は可哀想でもなければ不幸でもない!
それを今からあなた達に見せてあげる!
この世界は救わなければいけないほど落ちぶれちゃいないって事を!」
「君は酷い人だね。強くて、正しくて、残虐な人だよ。知っているかい? 正義も正しさも弱者から見たらそれは暴力でしかないんだ。君は、もうどうしようもなくなってしまった人に、まだ頑張れってそんな鞭を打つようなことを言うのかい?」
「ええ、そうよ。何度でも言ってあげる。あなた達は大丈夫だから。あなた達は全然可哀想なんかじゃない。だから哀れんで、あなた達を見下すようなことなんて絶対にしない! 頑張って! 負けないで! 諦めないで! 足掻いて見せて! それでどうしてもできないなら私達が力を貸してあげるから! だからこの世界を潰さないで、って!」
「相容れないね」
「そうかしら? 私はあなた以外そうでもないと思うけれど?
それで、あなたはどんなご大層な理由で鹿目さんの身体を奪い去り、この世界を終わらせるつもりなのかしら? この娘達のためにやっているとはとても思えないけれど?」
「ボクかい? うーんと、君達に言ってもわからないと思うけどさ。ボクは前の世界が好きでね。前の世界の脚本が大好きだ。君達はどんなに頑張っても報われなくて、みんながみんな希望を持ったと思ったら、あっけなく絶望する。そんな世界がね、面白くてたまらないんだ。
きっとボクはそんな人達の思いでできた、念の集合体なのだろうね。それが、なんだこの世界は?
なんだ、このご都合主義の塊みたいなのは? おいおい、いくらなんでも無理があるだろう? 誰が考えたんだこんな稚拙な物語は? もう少し考えろよ。
こんな世界は、全然面白くない。
こんな世界は、ありえない。
虚淵 玄先生の聡明なお話を汚すな。
勝手に終わりを決めるな。
醜い。
醜悪だ。
性質が悪い。
だから、矛盾が起きるんだよ」
「だからもとに戻してしまおう。全国100万人以上いるファンの皆様の為に。こんな、文字だけの世界なんて簡単にぶち壊して、もとあったはずの物語に書き換え直して、それで終わりさ。ハッピーエンドならぬ、アンハッピーエンド。
バッドエンドにするのさ」
「……相容れないわね」
「そうだよ。だから戦争をするんだよ」
「それなら、宣誓させてもらおうかしら」
「そうだね。お互いに」
千歳ゆまが前に出る。
「ねぇ、キョーコ? 覚えてる? ゆまだよ? 千歳ゆまだよ?」
杏子は突然自分の名前を呼ばれて怪訝そうな顔をする。
「誰だ? お前?」
「くくく」
彼女は身体を震えさせながら、うつむいている。必死に体を抱きかかえる姿は、泣いているのか笑っているのか断できない。
「あはははははははははっはあははははっはははっははははははははっは!」
彼女は顔を上げた。
しかし彼女は笑っていなかった。泣いていなかった。
彼女は笑っていたし、泣いていたのだ。
悲痛で、滑稽な、そんな泣き笑いのような顔をしていた。
それは、彼女の希望が絶望に変わった瞬間だと思った。
「可哀想に! キョーコ待ってて! こんな嘘の世界なんてゆまが全部無かった事にしてあげるから! だから! そうしたら!」
「何わけわかんねぇ事言ってんだ! この世界を滅茶苦茶にしようって言うなら! 誰であろうと喰い潰すぜ! 跡形も無く全て!」
どうゆう事なのだろうか? 千歳ゆまと佐倉杏子の間に接点はなかったはずなのに。
「君は何かないのかな?」
人形のような魔法少女は。
魔法少女のような人形は答えない。
「興味ないか。だって君は彼だけがそばに居てくれれば、それでいいんだものね?」
「いえ、一つありました」
「へぇ」
「私は愛のために“生きて”います。だから、愛が失われたのに今もへらへらと生きている人間は絶対に許せません」
「誰のこと言ってんの?」
さやかが揚羽を睨み付ける。
そして、全ての元凶。
異常で、異様で、異質な何かは高らかに宣言する。
「さぁ! 戦争を始めようか!」
彼女が指をパチンっと鳴らすと、空から千を超える魔法少女が舞い降りてくる。
舞い降りる絶望の中。
マミは僕の手を強く握り、その迷いの無い光の篭った瞳で僕を見つめる。
大丈夫わかってるよ。
僕は大きく息を吸い。
「まどか! 聞こえるか!
僕達はここにいる!
僕達はどんな絶望にも屈しはしない!
だからまどかも絶対に諦めないでくれ!
君を苦しめた張本人ではあるけれど!
それでも絶対に君を迎えにいくから!
だからそこで僕達を信じて待っていてくれ!」
僕達の宣誓は高らかに絶望の空に響き渡り、これより魔法少女と魔法少女の全面戦争が始まる。