魔法少女と孵卵器(インキュベーター)~規制版~   作:ダル神

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第五十六話 僕は君の先輩なんだから

ついにこの時が来た。

なんとか私の計画通りにここまで来た。

作戦の為とはいえまどかを凌辱しなければいけなかったのは大変心を痛めたわ(その凌辱生活も終わりだと思うと世界が滅びるより辛いわ)。

 

『さぁ、今度は君の番だ。本当は君に力を与える予定はこれっぽちもなかったんだよ。でも、君を野放しにしていちいちボクの身体を凌辱されては改変どころではないからね』

 

私の前にはまどかがいる。

しかし、彼女は彼女ではない。

その身体の中に存在するものはどんな存在よりも異質で、深い絶望のような闇だ。

 

『確かにこの力が君の思いのままになったのなら、ボク達も相当やばいね』

 

彼女は力を与えてくれるのだ。

彼女の忠実なしもべになることで得られる絶大な力。

勿論私はまどか以外に興味はない。例えそれが世界を破滅できるだけの力だろうと。そんなものはまどかの裸エプロンの前ではゴミほどの価値もないと断言できる自信はある。

 

『君の目論み通りにね。しかしそう上手くいくかな?』

 

しかし、今だけは別だ。この力がないとまどかを救えない。

否。

その力があっても直接的にはまどかを救うことはできないだろう。私にはどんなことをしても、何をしても彼女を救い出すことはできないのだ。

しかし、そんな私でも活路を切り開くことはできるはずだ。

そのための力が目の前にある。

 

『他の魔法少女と同じものだとは思わない方がいいよ? 君には特注品を上げようじゃないか』

まどか(闇)は私の目の前に手を差出し、その小さくてかわいい掌から真っ黒な闇があふれ出す。

それを飲み干せるように私の口元へと近づける。

匂いなど存在するはずもない。

しかし、その闇が私に近づいた途端全身に鳥肌が立つ。

 

「ひっ!」

 

私の全身に恐怖が駆け巡る。

足は竦み、ガクガクと震え、全身でその異物を拒絶する。匂いも何もない存在すら怪しいそれに私の身体は本能は危険だと言っている。体中の危険信号を鳴り響かせる。

もう、恐怖なんて枯れ果てたと思っていた。そんな人間的な感情はあの無限に続く地獄のどこかに置き去りにしてきたと思っていた。

しかし、この一か月の生活が私の感情を蘇らせてしまった。まどかへの思い以外のものが芽生えてしまった。

まどかの為なら自分の命など簡単に捨てる覚悟しかなかったはずなのに。今では生きたいと思ってしまう。

まどかとみんなでこの世界を生きていきたいと心の底から思ってしまう。

私は色んなことに臆病になってしまった。

 

『どうするんだい? 今ならまだ引き返せるよ?』

 

震える身体をそれでも地面に縫い付けるように辛うじてこの場に立つ。

私はまどかの手首を掴み、まどかの顔で意地悪そうに顔を歪め頬を釣り上げている彼女を睨みつける。

 

「舐めないで!」

私は必死に虚勢を張って、その闇を口の中へと持っていく。

全身に冷や汗が噴き出る。震え上がりながら。

 

『それではどうぞ。君達魔法少女の肉体はどんな破損を受けようとも、どこを欠損させようとも生命活動が停止することはないだろうけどね。しかし激痛が走れば、精神いかれるほどの苦痛を味わえばソウルジェムは簡単に穢れ、魔女へとその姿を変え、思いは崩れ、願いは変貌し、そして孵ることになるだろう』

 

私は目を固く瞑り、闇を一気に飲み干す。

 

「うごぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

私は気が付いたら悲鳴を上げ、身体を地面に転がしのた打ち回る。

全身の血管がひきちぎられる様な激痛が走る。

私の身体の中を闇がうごめいている。

それは文字通り、ザクザクと肉を引き裂き、ビキビキと骨を破壊し、ブチブチと血管を引きちぎっていく。闇が私の身体を喰っている。

 

「いやぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

私は全身を捩り、歯がきしむほど必死に歯を食いしばり、喉がかれるほど悲鳴を叫ぶ。純粋な痛みから滂沱の涙を流す。必死に痛みに苦痛に耐えようとする。これほどの痛みは初めてだ。常人ならば痛みでショック死するほどだろう。

 

「ごぼぉおえぇ!」

私は口いっぱいに広がった血の塊を吐き出す。内臓が食い荒らされている。意識が遠のく。

だめだ。こんな所であきらめるわけにはいかない。

まどかと一緒に。

みんなで取り戻すんだ。

あの笑顔を。

暖かで優しい私達の陽だまりのような居場所を。

 

『さようなら。暁美ほむらちゃん』

 

まどか(闇)は私の身体に一筋の闇をその指からたらし。

その雫が私の頬に触れたとき私は思った。

 

どんなに頑張っても。望んでいても。

それでもできない事はあるんだ。

 

―――暁美ほむら

 

 

僕達は階段を駆け上がり。

そして、広いと空間へとたどり着いた。勿論ここが目的地でもなければ、道が途切れているわけでもない。

この広い空間の奥にはちゃんと階段がまた続いている。

しかしこの空間に僕達以外誰もいないのかと言われればそんなことはありえない。

目の前には少女がいたからだ。

魔法少女がいたからだ。

まるで、死んでしまっているように立っていたのだから。

瞳を真っ黒にして、全身の血が抜けきったかのように、青白い肌をして。血の涙を流す仲間がいたのだから。

僕の大切な後輩が。

今にも死んでしまいそうな顔で。

絶望してしまいそうな、彼女には決して似合わない、そんな顔していたのだから。

僕達は立ち尽くすしかなかった。何が起こっているのか一瞬理解できなかった。

さっきまで敵側にいたとはいえあんなに元気(変態)だったのに。

否。

ああ振る舞っていたが、それでも彼女の立ち位置はそれほどまでにぎりぎりだったのだ。

 

「……ほむら」

 

僕は彼女の名前を呼んで近づいた。

手を広げて、もう大丈夫だと。僕達は来たから。君はもう一人で頑張らなくていいんだと。そんな思いを込めて。

 

「こないで!」

 

しかし、彼女の表情とは真逆に、僕の真横に、服を霞めるように、大きな黒い剣が振り下ろされていた。

彼女の右腕が剣になっていたのだ。彼女の魔法ではない。

彼女にこんな力はなかった。

 

「キュウべぇ!」

マミが駆け寄ろうとするが僕はマミに掌を向け無言で静止を促す。

 

「……駄目だった。どんなに望んでも、願っても、思い描いても。それでも、届かなかった」

ほむらは絶望している。

かなり危険な状態だ。少しの刺激で魔女になりかねない。

「私じゃあ、この力をどうしようもできない!」

 

「散れ!」

僕は後ろに控えているマミ達に向かって叫ぶ。

僕は横に転がり、マミ達は魔法少女の脚力をいかして空中へ。

 

ほむらは身体を乗っ取られているように、意思に反する動きで、僕達の立っていたはずの地面を消し飛ばした。

彼女の掌から真っ黒なバラの棘の塊がその場一帯を喰い散らかした。

 

「……どうしよう? 先輩」

いつものほむららしくない、そんな弱弱しい、今にも死んでしまいそうな、そんなか細い声が響いた。

 

僕は彼女の瞳を見た。

動けなくなった。

この場から彼女を置いて行くことなんてできるわけない。

その真っ黒な瞳から、雫が溢れてこぼれていたのだから。

 

「本当は、こう言わないといけないのはわかってる。私は失敗したから、私のソウルジェムを破壊して、まどかをお願いって。……でも私は生きたい。生きたいよ。先輩。私どうしたらいいの? 本当にまどかを救いたい。大好きなまどかを救ってほしい。それでも、私は生きて、まどかと、みんなと一緒に居たいよぉ」

その悲痛な表情。どうしようもならない。どんな希望も潰えて、絶望の未来しかない、そんな中僕を頼ってくれている。

こんなにも絶望的な状況だけれど、それでも僕は嬉しくてたまらなかった。

 

「何言ってるんだよ。ほむら。僕はここにいるんだよ?  頼りになるところも、格好いいところも何一つ見せてやることができてない、格好悪い先輩だけど、それでも、暁美ほむら! 僕は君の目の前に立っているんだ! だったら言うことは一つしかないだろう?」

 

ほむらは全身を震えさせ、俯いていた顔をゆっくりとあげ、涙で潤んだ闇にとらわれてしまった瞳で僕を見つめて。

「……助けて、先輩」

 

「当たり前だぁ!」

僕はほむらの瞳を真っ直ぐに見据えて、胸を張り、力いっぱい叫ぶ。

そんなの当たり前だ! 僕が君達後輩を助ける事は、そんなの当たり前すぎで、大前提な事なんだ!

そうでないと先輩の意味がないだろうが。

これは、きっと僕にしかできない事だと思った。

だから、絶対やり切る。

彼女は他でもない僕に助けを求めたんだ。僕がやらないといけない。

 

僕はみんなに向かって叫ぶ。

歯を見せて頬を吊り上げ、最大限に虚勢を張って言う。

「ここは僕に任せて先に行け!」

 

ほむらは大泣きして、それでも、その剣を振るうことをとめることができない。

僕は一歩も動かない。ほむらの瞳をまっすぐに見据えて、完全に信じて、他でもない暁美ほむらという後輩を信じて、僕はあえて、この場を動かない。

「キュウべぇ!」

「「先輩!」」

僕は手だけを彼女達に向けて、大丈夫だと言う意思表示をする。

僕の周りに砂埃が舞い、轟音が響く。

しかし、地面を深く抉ったその剣が僕の身体を引き裂くことはなかった。

 

振り下ろした本人であるほむらも驚いている。

「あ……あなた、今本当に死ぬところだったのよ?」

ほむらは震える声で言う。

僕はにっこり微笑んで言う。

「でも、大丈夫だったろう? 君が僕を信じてくれたように。僕も君を信じる。僕を舐めるなよ? 君達魔法少女と違って全然一般人である僕が君の動きが見えて、しかも攻撃を避けることなんてできるはずがないじゃないか。君が完全にその力に抗えないのなら最初の一撃で終わりだった」

僕はまたマミ達に向けて言う。

「僕は大丈夫だから。絶対ほむらと一緒に後で追いつくから。だから、先に行ってくれ。一刻も争うんだ。まどかを頼む」

マミは僕の瞳をその強い眼差しで見据える。

僕は彼女の瞳を真っ直ぐに見据える。

 

ふぅ、とため息をして。

「みんな行きましょう。どうしても彼は彼の手で暁美さんを救いたいみたい」

肩を竦めて言うマミ。

「でも、ミジンコみたいに弱い先輩じゃあ……!?」

「だって、もやしそのもののような先輩じゃあ……!?」

後輩二人は軽く取り乱して言う。

……おい。そこのボンクラ後輩二人、後で覚えてろよ。

「大丈夫。確かにゴミみたいな戦闘力しかないクズみたいな男でも」

ちょっとマミさん? そこまで言いますか?

 

「私が信じた男よ」

 

後輩二人は目を丸くして、ぷ、と噴出し笑う。

「「それじゃあ、仕方ない。後は任せましたよ! 先輩!」」

 

僕は振り返ることなく突き進む彼女達の背に向かって言う。

「ああ! 任された!」

 

この空間に取り残された僕達。真っ黒な壁とは対照的に中はまるで太陽に照らされているかのように明るい。ほむらの顔がしっかり見える。

二人では広すぎる空間。僕とほむらとの距離は50メートル前後。

「せ、先輩? どうするつもりなの?」

おずおず、と心配そうに僕を見るほむら。

「今そっちに行く、ちょっと待っててくれ」

「な、何言ってるの!? そんな事したら、本当に死んじゃうわよ!?」

ほむらは取り乱す。

僕はお構いなしに走ってほむらのもとに行く。

我慢ができなかった。

彼女が泣いていることが。その美しい顔を絶望に歪めていることが。どうしても、我慢できなかった。

 

「いや! 来ないで!」

固く目を瞑るほむら。しかし彼女の身体はまるで別の生き物のように動く。

「ぐぁあ!」

ほむらに近づけば、彼女の意思とは無関係に僕の身体は弾き飛ばされる。

肉を喰われ、身体を貫通される。

血が噴き出る。

勿論痛い。今ので右肩が喰われ、左大腿に穴が開いた。

それでも立ち上がる。

ふらつきながらでも、足を引きずりながらでも、ほむらに近づいていく。どうしても伝えたいことがあったから。

 

「先輩、お願い。もう、やめて。ごめんなさい。もう、私はいいから。助けてなんてもう言わないから。だから、先輩は逃げて」

「大丈夫だって言ったろ?」

 

僕は片目を瞑りながら笑顔で言う。本当に強がりでも虚勢でもなんでもない、心の底から微笑む。

 

「聞いて! 私の身体はもうほとんど彼女の力で喰い散らかされて、もう頭しか残っていない。私の意思でどうにかできるのは、首から上くらいしかない!」

がはぁ!

と口から大量の血を吐き出すほむら。

僕は驚きで固まってしまう。

「時期にそこも喰われてしまう! もう時間がない! だから、まだ私の意識があるうちに、お願い、逃げて!」

 

「ふざけるなぁ!」

僕はゆっくりと足を引きずりながらほむらに近づいて、ほむらの瞳を見つめる。まっすぐに彼女を見る。

「僕が君を一人ぼっちにしたまま行くと本気で思っていのか? 君を見捨てて、君が一人ぼっちになる事を僕が良しとするわけない! そんなわけないだろうが! 君がいないで僕の大切な世界が守れるわけないだろうが! 君がいて、まどかがいて! みんながいてこその世界だろうが! 僕は絶対君を含めたみんなを! 世界を守り切って見せる!」

 

僕は突き進む。

「……いや」

ほむらは涙を流しながら首を振る。

僕の左肩が剣に貫かれる。

黒いバラの鞭が僕の左足の甲を砕く。

関係あるか。僕はそのまま進む。

「……お願い、もうやめて」

ほむらはもう何が何だかわからないくらい泣いている。

僕の足首が砕け、掌が二の腕が串刺しにされ、両肩は食いちぎられ、大腿の肉は虫食いされて、骨が見える。体中血だらけで、穴だらけだけれどそれでも未だ生きていられるのはほむらが、必死に急所を避けてくれているおかげなんだけれど。それも、距離が縮まるごとに、徐々に急所に届きつつある。

 

君はたった一人で敵地の真ん中で、僕達の大切な世界を取り戻そうと頑張ってくれていたんだね? でも、やっぱり君は一人で背負いすぎなんだよ。そんなに重たい荷物ならさ。頼むから僕にも背負わせてくれよ。僕も背負いたいんだ。どんなに辛く苦しいものでも。どんな痛みも闇も絶望だって、君と一緒に背負っていきたいんだよ。

 

だって、僕は君の先輩なんだから。

 

僕はほむらの目の前にやっと立つことができた。

しかし、ゴブッと血の塊を吐き出す。

僕の右胸にほむらの真っ黒な剣で貫かれていたのだから。

「ああ……先輩……」

彼女はまるで世界が終ってしまったかのように、呆然と僕の姿をその瞳に映す。

それでも、僕は顔中から血を流し、目の前が自分の血で真っ赤になりながら、それでもにっこり微笑む。大丈夫だと。君は一人なんかじゃないんだと。そういう思いを詰め込んで、ほむらを抱きしめる。強く抱きしめると僕の血がより一層噴出してほむらの身体を汚してしまうのは申し訳なかったけれど。それでも、僕は彼女をどうしても抱きしめたかった。一人で戦い続けた、小さな戦士に。そんな重たそうなものを必死に震えながら背負っている彼女に一言言ってやりたいことがあったから。

「……なぁ。ほむら? そんな苦しいならさ。そんなに辛いならさ。そんなに痛いならさ。頼むからそれを僕にわけてくれないかな?」

「……先輩……」

ほむらが震えながら涙を流し、剣で貫いたまま、それでも僕の身体を抱きしめ返してくれた気がした。

「君の痛みも、苦しみも、絶望も僕が背負おう」

彼女をしっかりと見つめて照れくさそうに、にっこり微笑んで。

 

「全部背負ってやるとは、貧弱な僕ではとても言えないけれどね」

 

「……ぁぁ、……ぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

ほむらの痛みが、苦しみが、絶望が、僕を貫いていた剣から流れ込んでくる。涙を流しながら痛みと苦しみに打ちひしがれて、もう立っていることもできないように僕にもたれかかって。

そう。それでいいんだよ。一人で持てないくらい重たい物なら、僕を頼っていいんだよ。みんなを頼っていいんだ。どんなものでも僕達が一緒に背負ってあげるからさ。背負いきって見せるからさ。

僕は心底満足そうに、一人で重荷を全部抱え込んでしまう不器用で困った後輩の頭を撫でてやる。

よく、今まで頑張ったね。僕も一緒に持つからさ。だから、あともう少しだけ、僕と一緒に頑張ってみないかい?

 

 

僕は気が付いたら、ほむらに膝枕されていた。

「……ほむら?」

僕がほむらの顔見つめると、ほむらは慌てたように、泣き顔を擦り涙を拭いてしまう。あう、泣き顔も滅茶苦茶新鮮で可愛いのに。

「……気が付いたなら、もう行くわよ」

ほむらはいつも通りの物調面に戻り、膝を立てて僕を地面に落とす。

どて、と僕は重力に引き寄せられるまま地面に転がる。

「うごぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああああああああああああああ!」

いってぇ! すこぶる全身が痛い! 痛すぎてショック死しそうだ! 

身体を見ればほとんど回復されていた。身体中に開いていたはずの穴は全て塞がれ、食い荒らされた所は全て復元されている。服だけがボロボロでかなり貧相な姿だけれど。しかし、この全身くまなく痛む感覚は、おそらく闇が蠢いているせいだろう。僕の身体を闇が走り回っているからだろう。それでも、この痛みも、苦しみも、ほむらのものだと思うと全然重荷にすらならない。後輩の面倒を見るのは、先輩にとって誇り以外の何でもないのだから。僕はこれで満足なのだ。

 

「……何をさっきから一人でにやにやしているのかしら? 気持ち悪い先輩ね」

ほむらは気が遠くなってしまうくらい、可愛いらしいツンデレ仕草をした後。

「私の大好きなのはいつだってまどか! まどかが一番可愛くて、一番大切! ……でも、その次くらいなら、みんなが大切だから」

少し微笑むその顔はとても綺麗で、見惚れてしまう。

 

「だから、全てを守るために、もう少し私と一緒に頑張ってもらうわよ!」

 

倒れている僕に手を差しのべてくれるほむら。細く小さい彼女の手を僕は壊れてしまわないように優しく握りしめる。

 

「先輩!」

 

そう笑顔で呼んでくれる彼女達後輩がいてくれるのなら、僕は例えこの身が八つ裂きにされようと、どんな絶望のどん底に落とされようとも、当たり前みたいな顔して立ち上がれる事だろう。

 

もう少しだけ待っていてくれないかまどか。今君のもとまで行くから。

 

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