魔法少女と孵卵器(インキュベーター)~規制版~   作:ダル神

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僕を引き上げたほむらさん

もう最悪ね。最悪なものを一本釣りしてしまったわ。もうなんて言うのかしらね。汚物の域を超えていたわね。もう本当に忘れたいわ。だって首だけどころかあちこち溶けて肉丸出しだしインキュベーターの解剖した気分よ。ほんとさわりたくない。でも、まあ、あのグロキュウべぇを見たまどかがとても可愛かったわね。猛烈な悲鳴。止まらぬ嘔吐。咳き込む姿は可哀想ではあるが、とても可愛かったわ!背中とかさすっちゃったし!まあ、その点だけは感謝してるわよ。キュウべぇ?そりゃあ治すわよ。あんな汚物いつまでも見ていたくないじゃない。あ、でもまどかが気絶しちゃったから私が膝枕してあげて、それを堪能しながらキュウべぇを治したわ。この点だけは本当に彼にはグッジョブとしか言いようがないわね。美樹さやか?そんなモブキャラの事は忘れていたわ。まあ、そこら編で土砂物でも吐いて転がっているんじゃないかしら?あっ!勿論まどかの嘔吐物は大事に袋に保存よ!巴マミの肉片よりいい袋に入れちゃった♪今日はまどかゲロ記念日ね!

一一ふう、さあ起きなさいキュウべぇ!

一一そんな夢を見た。どうか夢であってくれ。

一一一キュウべぇ




第九話 弱い僕たちは、それでも弱いなりに生きていきたい

死なないんかい!

 

僕の目が覚めて第一声である。

 

なんか自分もう死ぬのかと思って恥ずかしい事いっぱい言っちゃったじゃないか!

 

しかも変な夢見ちゃったし!夢だよね?そうだよね!? ねぇ!うんって言ってよ!

 

うわあ、僕の身体が復元されているといことは……

 

うわあ、なんかまどかは気絶してるし、ほむらはホクホク顔で膝枕してるし……

 

うわあ、おそらくマミの死体が入っているであろうビニール袋は資源ゴミとかかいてあるやつなのに、ほむらが持ってるおそらくまどかの嘔吐物が入ってる袋はレベルが違うし。マミの身体はまどかの嘔吐物以下なのだろうか?

 

っていうか!ほんとにさやかは放置かい!本当にそこらへんに転がってるし!

 

ということはあの夢は……

 

いや、もう考えるのはやめよう。

 

ほむらは僕が目を覚ました事に気がついたようで、僕に近づいてくる。

 

ボゴッ!

 

ぶべらっ!

 

いきなり暁美ほむらキックがとんできた。

 

僕は3メートルくらい吹っ飛んだ。

 

めちゃくちゃ痛い……。

 

「あなた!本当に死んでもおかしくなかったのよ!いくらなんでも無茶をしすぎよ!」

それは、美樹さやかを放置し、マミをゴミ袋に詰めている人の言葉とは思えなかったけど……

 

彼女が顔を真っ赤にして涙を浮かべている所を見ると僕は彼女の心の何かに触れてしまったのかもしれない。ブラックボックスに触れてしまったのかもしれない。

 

「あなたが死んだら巴マミはどう思うと思っているの!少しは残された人の事も考えなさい!いい!もし、今度こんな真似してみなさい!私があなたを殺すわよ!」

 

ほむらはそんな支離滅裂な事を言っていた。

 

でも、僕は、はっとする。僕はマミに嘘をつきそうになったということか。

 

ずっと側にいるってそう言ってしまった。

また落ち込んだ時はいつでもぱいおつを揉んでやるって言ってしまった。

 

まったく、僕は本当にどうしようもないな。

 

もう、二度とごめんだよ。マミに嘘はつけない。つきたくない。

 

「……そうだね。でも悪いね、僕は死ねなくなってしまった。約束を守りたいんだ。嘘つきな僕は、彼女の約束だけは守りたいんだ」

 

僕の答えに満足したのか、ほむらはふん、と鼻をならして

「巴マミの身体を復元するわよ。あなたも手伝いなさい」

 

ほむらは名残惜しそうにまどかをそっと横に添える。

 

マミの身体を並べてほむらはソウルジェムをかざす。僕は、マミのソウルジェムを手に持つ。身体のないソウルジェムはとても不安定で、グリーフシードで浄化しないと、すぐに魔女化してしまいそうだ。

 

ほむらは額に脂汗を浮かべている。僕の身体を復元してすぐにもう一度治療をするのは相当大変だ。

 

しかも、マミの浄化のためにグリーフシードはもうない。

 

「ほむら!大丈夫かい!」

 

「問題はないわ。さっきまどか成分を蓄えた私は無敵よ」

 

まだ冗談は言えるようだ。

 

「私のまどかへの愛をなめないで、私はまどかでソウルジェムを浄化できるのよ」

 

冗談ではなかっただと!?まどかパワーすげぇ!

 

巴マミの身体は完全に復元された。

 

ソウルジェムをマミの手に戻す。

 

「うっ……ん……」

マミはむず痒いような声をだして少し目を開く。

 

僕の身体中に色んな想いがめぐる。

 

色んな想いが溢れ出す。

 

しかし僕は、マミに謝ることしかできなかった。

 

他にももっと言いたい事があるのに。

 

何を謝っているのかきっと彼女は知らないだろうけど

 

それでも僕は謝り続けた。

 

ごめん、ごめんなさい、いっぱい嘘ついてごめんなさい、いろんな辛い想いをさせてごめんなさい、痛い想いをさせてごめんなさい。寂しい想いをさせてごめんなさい。

全部、全部僕のせいなんです。

僕がやってしまったことなんです。

 

僕は初めて、生まれて初めて懺悔した。自分の罪をすべて認めて、取り返しなんてつくわけないのに、それでも許してほしくてみっともなく謝った。

マミはちゃんと起きているかわからないけど、虚ろな目でこう言った。

 

「……泣いているの?どうしたの……?辛い事があったの?怖い事があったの?」

 

僕は、泣いているんだね。僕にもそんな事ができたんだね。

 

ああ。怖い事がいっぱいあったよ。辛い事がいっぱいあったよ。

 

マミはそっと僕の頭を撫でてくれた。

 

その手はとても暖かくて、マミはちゃんと生きている。そう言っているみたいで妙に嬉しかった。

泣いてしまうほど嬉しくて、嬉しくてしょうがなかった。

 

僕はその優しく暖かい手をずっと感じていたい。

 

そんな事を思ってしまった。

 

マミはやっぱりまたすぐに気絶した。まどかとさやかが起きるのを待って、各自家に帰る。

起きた時のまどかとさやかの目が僕のガラスのハートを傷つけまくった。

 

本当に……僕はどれだけひどかったのか。誰も目を合わせてくれないし。

 

あったらあったで何かを思い出したみたいに口元を押さえて、おえって今にも吐きそうだし……。

 

うう……いっそのこと、汚物とかエンガチョとか言ってもらったほうが気が楽なんだけど……。

 

これは、当分口聞いてもらえないな。

 

さすがにマミをおぶって帰れない僕はほむらに運んでもらって家に帰る。

 

家についたら、ほむらはすぐに帰った。ゆっくりしていけばいいのに。

 

でも、少し嬉しそうに微笑んでいたように思う。

 

小さな声で、ありがとう。私の先輩を助けてくれて。

 

そんなふうに聞こえたのは気のせいだろうか。

 

僕はマミを見つめる。まだ気持ちの整理ができていない。

 

僕は色々考える。

 

そして、ふぅと息を吐いて

 

おもむろにマミのぱいおつにWぱいタッチ!

ああ、久ぶりのこの感覚。僕は感動に身を浸す。

 

えい!

 

テンションがマックスになった僕はいつのまにか歌を歌っていた。

 

むーすーんでひーらいーてー♪

 

マミのぱいおつを上下左右に動かす。マミの巨大なぱいおつで結んで開いてをする!これぞまさに至福の喜びというやつか!

 

うお!なんか楽しい!楽しいぞこれ!

 

♪〜♪〜☆

 

ま〜たひらい〜て♪

 

ガシっ!

 

「やけに楽しそうねキュウべぇ?」ニコッ

 

「マ……マミさん起きてたんですね?」

 

「ええ。それはもう、最高の目覚め方をしたわ。これはキュウべぇに何かお礼をしなきゃね」

 

あだだだ!マミさん!それにしては手に力が入ってますよ!頭蓋が!僕の頭蓋が!

 

「まったく、もう」

 

ふぅとため息をするマミ。もしかしたら呆れているのかもしれない。もしかしなくても呆れているのだろう

 

「しょうがないわね」

微笑んだ。困ったようにマミは微笑んでくれた。

 

その笑顔は僕がどうしても見たかったものだった。

 

それは僕の胸をうった。

 

自分の心臓の鼓動が妙にはっきり聞こえる。

 

泣き虫な僕は泣かずにはいられない。

 

弱い僕はもう君に嘘をつきたくない。

 

だから

 

だから聞いてくれマミ。

 

今から話す僕の話を。

 

何の救いようもない。

 

最初から最後まで僕が悪いんだけど。

 

取り返しなのつかない事だけど

 

知ってほしい。

 

僕がどんなやつなのか。

 

包み隠さず、真実を話そう。

 

 

 

僕は話した。魔法少女の真実と血塗られた歴史を。血みどろのおとぎ話を。話してしまった。

マミは涙を流していた。本当に辛そうに涙を流していた。さっきまでの笑顔が嘘のように。とても悲しそうに泣いていた。僕が奪ってしまった。

 

マミは僕の身体に手を伸ばす。

 

僕が許せないかいマミ?僕を殺したいかい?それはそうだ。これは至極当然で、当たり前の事だ。僕は本当は君に殺される。それが本来あるべき形で関係なんだ。

 

しかしマミの腕は僕をくびり殺す事はなかった。その手は僕の首を絞める為のものではなかった。

 

マミは僕を抱きしめたのだ。

 

わからない。わからないよ、マミ。君は一体何をしているんだ。違うだろう。僕にそんな事をするべきではないだろう。

 

優しくするべきではないだろう。だってそうだろう。僕は君に嘘をついて、君を騙して、君を裏切った。そんな僕に君は一体何をしているんだ。

 

「マミ。僕は君を魔女にしようと……」

 

「やっと……やっと話して……くれた。本当のあなたを……話してくれた。……どうしてあんなに辛そうにしていたのかを話してくれた。ありがとう……」

 

何を……何を言っているんだ。マミは一体何を言っているんだ。理解できない。わけがわからない。これじゃあ……

これじゃあまるで

 

まるで……

 

僕が許されたみたいじゃないか。

 

「許してあげます。私はあなたのした事をすべて許します。

 

だから……だから、お願いだから、死んでもいいなんて言わないで、殺されたいなんていわないで、私を一人にしないで、私はあなたが隣にいないといやなの。とても、寂しいのよ。寂しかったのよ」

 

マミは僕を強く抱きしめながら、泣いた。大泣きした。弱い姿を僕に見せてくれた。僕を頼ってくれた。僕を必要としてくれた。僕はとても嬉しくて、僕も大泣きした。僕の弱い姿をみせて、彼女を頼って、必要とした。

 

僕は誓った。この先どんな事があってもマミを一人にしない。

 

 

 

僕達は本当の自分をさらけ出した。

 

お互いさらけ出したんだ。

 

それはひどく似ていると思った。

弱い僕達は、弱いなりに、このまま生きていきたい。寄り添って生きていきたい。そう思った。

 

 

しかしまた一つの大きな運命が動いた。

 

休むひまなくそれは起こった。何の静けさもなく。何の前ぶれもなかった。

 

見滝原市、美樹さやか。魔法少女の契約に成功。

 

そんな上位通信が僕に送られてきた。

 

ああ、ちくしょう。

 

 

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