htoL#NiQ―無垢な少女の輪廻への乱入者   作:通行人 放浪

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10話、きたーッ!

エレベーター脱出編(といってもそこまで描写は有りませんが)始まりますよ。


過去の夢と、今の”夢”

夢を見ていた。

 

昔の夢を。

 

その記憶は、俺がまだミオンと、同じ程度のチビッ子だったころの、幼かった頃の話だ。

 

俺の周りには、人が三人居た。

 

一人は、白衣を着た、とても頭の良かった大人の男の人。

 

一人は、いつも優しくて、料理がとても上手だった大人の女の人。

 

もう一人は―

 

 

 

 

―目を開けるのがまだ億劫だった俺は、代わりに耳を澄ました。

 

昇降機の独特の機械音が、ゆっくりとしたテンポで聞こえる。

 

どれだけ寝てしまったかは分からないが、どうやらまだ昇降機は、目的の階層に到着していないようだ。

 

寝方は、壁に凭れかかって寝ていたようである。

 

 

嫌々ではあるが、ゆっくりと瞼を広げていく。

 

 

薄く開いた目に写ったのは、昇降機の小部屋に点いている小さなランプと、隅でちょこんと、暇そうに体育座りしているミオン、そして、そのミオンの周囲にいる蛍達。

 

ふと両手を見ると、左手にはナイフ、右手には拳銃を持っていた。

 

 

(寝てるときでも臨戦態勢か)

 

 

武器を即座に懐に仕舞いつつ、自分の、危機に対しての強い警戒っぷりに、心の中で、軽く自分自身を嘲笑する。

 

 

「行人お兄さん、起きたんだね」

 

いつの間にか前に来ていたミオンの声で、我に返る。

 

「ん、おはよー」

 

悲しいことに自分でも驚くほどに気の抜けた声を出してしまった。

 

 

 

―だが、次の刹那、自分の危機耐性に感謝することになるとは。

 

 

 

「っ!」

 

急に部屋の光が落ち、昇降機の動きが止まってしまったのだ。

 

『気を付けなさい、来るわ』

 

冷静な蛍の声に、更に警戒心を強める。

 

 

 

 

 

「あんた達、元は、ミオンちゃんの大切な人じゃねぇのか?」

 

俺は、シガレットを煙草のように持ち、離すと小さな息を吐いた。

 

無論、副流煙などは、有りはしない。

 

『どうして...そう思うの...かしら』

 

出来るだけ平静を保とうとしている蛍の声は、隠すことが出来ないほど震えていた。

 

小馬鹿にするように聞こえないよう、注意しながら言葉を選ぶ。

 

「あの子を護りたいって意思が、犇々と伝わってくるからな」

 

この時だけは真面目に、そして本気で答えようと思っていた、本心だった。

 

 

『...隠す必要は無いと思うよ、蛍』

 

 

ふぅ、と軽く溜め息をつくと、影蛍は、蛍の影に寄り添った。

 

納得がいかない、という風に、軽く項垂れたように地に降りる蛍。

 

 

『私から話してもいいかな?伝えられる事は、言える範囲で伝えよう』

 

影蛍の言葉に、顔を立てに振る。

 

些細な事でも聞き出せれば、それは俺達の護身にも繋がるからだ。

 

少し間を空けて、ぽつぽつと、影蛍は語り始めた。

 

『私達は―』

 

 

 

 

 

『この世界を、何度も周回している。それはまさに、無限に続く輪廻のように』

 

 

 

 

 

 

影蛍の言葉を思い出しながら、ミオンを、唯一の脱出路と聞かされていた、俺なら何とか通れるか、位の大きさのダクトにミオンを近付ける。

 

 

彼等の忠告は、恐らく全て現実になる。

 

”何度もこの世界を見ている”味方が居ると、なんと心強い事だろう。

 

 

『行人君という、本来この世界に居るはずのないイレギュラーが現れたせいで、絶対とは言えないけどね』

 

 

こんなことを言われても、信用できる...出来るかな、うん。

 

 

 

 

『下よ!』

 

蛍の声に、また我に返されるが、今回は直ぐ様銃を突き付ける。

 

まるで水が染みてくるように、じわりじわりと、軽い闇で見えにくい中、黒い何かが、這い寄ってきていた。

 

「ミオン!はやく行けっ!」

 

「う、うん!」

 

慌てながらも、しっかりと抉じ開けたダクトの中に入り込むミオン。

 

出来た子だ、と心の中で、褒める。

 

 

俺もダクトに入ろうか、というその時、足元辺りに、既に影は忍び寄ってきていた。

 

盛大に舌打ちしたあと、

 

「beat it!(失せろ!)」

 

 

毒舌混じりに大声で怒鳴り、俺は即座に影の脳天辺りを狙い、躊躇なく引き金を引いた。

 

弾け飛ぶ影が霧散したのを確認すると、拳銃を持ちながら、ミオンの後を追い掛けることにした。




すこーしだけ伏線を張りました。

回収できるようにがんばります。

今更ながら、御気に入りは5人、UAは150越えと、思ったよりもかなり見てくれていることに驚きを隠せません。

10話突破で、更に気を引き締めます。

そして、これまでも、これからも見てくれる御方に感謝を。
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