htoL#NiQ―無垢な少女の輪廻への乱入者   作:通行人 放浪

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これ以上のステージはうろ覚えですから、ちょっと不味い。




迷宮の果ては?

簡潔に言おう。

 

この自由奔放な男は今。

 

「不味いぞ、ディ・モールト ノン ベネッ!(非常に良くない)。でかい歯車の中のバチバチいってる棒をなんとか潜り抜けたってのに、ひでぇ扱いだ」

 

影蛍という案内を失い、いわば人工迷宮に入り込み、迷子になっていた。

 

今、彼はスイッチ連動型の扉が大量に有る迷宮の中だ。

 

 

 

彼の前には、古びた、彼の伸長の半分は有ろうかという横の広さを持った地面に付いたタイプのスイッチがある。

 

高さは彼の靴先程度までの大きさだ。

 

行人が今分かっているのは。

 

 

スイッチは幾つも存在すること。

 

そのスイッチの一つ一つが、彼を阻む多数の壁の何れかを開くものだということ。

 

そして数秒で壁が閉まってしまうことの三つだ。

 

 

そして、彼はもうすぐ抜けられる一歩手前である。

 

 

「そろそろ面倒だから早く終わってくれよ」

 

大儀そうに欠伸をすると、彼は、次のスイッチに向かい、走り込んだ。

 

 

 

「こんな動くところもあるんだね...」

 

一方ミオンと愉快な蛍さんは、愚痴を溢す行人よりも早く、迷宮をあっさり抜け出し、ゆっくりと壁に引っ付き、決められた空の路に沿う足場に乗っていた。

 

蛍の記憶力は正しく、もし他人が傍観者面して見ていたとしたら、『お急ぎですか?』と言われてもおかしくない程に華麗、且つスムーズであった。

 

そして、何もないと判断したミオンは、悠長なことに鉄の足場に座り込んでいる。

 

 

しかし、蛍の内心は穏やかじゃなかった。

 

彼女は、次の障害を知っている。

 

 

この聴くだけでも身の毛の弥立つ機械音。

 

研ぎ清まされ、高速で回転し、触れれば簡単に人の皮膚など削ぎ落とす悪魔の兵器。

 

 

ミオンより一足先に蛍は、”それ”達の訪れに気付いた。

 

 

ランプなどの光で照らされる銀の返しが幾つも付いた刃。

 

波打つように、上下に移動するその刃達は、彼等の定位置に侵入するものを削ぎ落とす。

 

 

 

領域に踏み込み暫く立って、遅れてミオンも気付き、凍りついたように動かなくなってしまう。

 

恐怖での硬直。

 

 

蛍は考える。

 

何ができるか?どうしたらこの危機を救えるか?

 

 

 

ふと、思い出す。

 

この刃達を動きを反転させるレバーが、上、つまりこの回転する鉄の波を越えた先に有ることを。

 

かつては影蛍の力を借りて乗り切った。

 

 

『しかし、私は辿り着いたとしても力が足りなさすぎる』

 

そんな考えを抱いていない、とは言えないだろう。

 

 

それでも、護りたい、という感情は、蛍を駆り立てるのには充分すぎた。

 

 

 

カチャッ

 

 

 

謎の乾いた音。

 

それは、ミオンが動かしたレバーの音と、一致した。

 

 

 

鋭い刃地帯を乗り切り、茫然自失となったミオンと、力なくミオンの頭に、へたりこむ蛍。

 

しかし、この二人の影には、紫に発行する発光体がいた。

 

 

「こ、怖かった...」

 

 

大きくため息をついて、腰が引けながらも、壁にもたれ掛かり、立ち上がろうとするミオン。

 

それだけみれば、誰の目にも、健気な光景としか写らないだろう。

 

 

ピッ、という高い起動音が辺りに響く。

 

 

呆気に取られるミオンを尻目に、蛍は、確かに確認する。

 

彼女の手が、明らかに『この足場を、足場として使い物にならなくするボタン』を押してしまっていることを。

 

 

気付いたときには既に遅し。

 

 

「え―」

 

 

ミオンは、まともな声も出せずに、まるでコメディのように、扉のごとく開いた『元』足場の真下にあった煙突に落下していった。

 

 

 

 

 

上手くスイッチ迷宮を60秒以内に素早く抜けられたから良いものの、彼の前には、まだ難関は留まることを知らない。

 

 

熟知していない敵地に入り、迷ってしまった小兵が居たとしよう。

 

その哀れな小兵の末路はどうなるだろうか?

 

決まっている。

 

餓死、刺死、出血死...何れであろうと、死ぬだろう。

 

 

 

おまけに、ここの迷宮は、場合によっては『もう死ぬしかないじゃない!』レベルの破壊力を持つ歯車が、幾つも存在する。

 

更に難易度は”倍プッシュ”され、その歯車達の噛み合わない隙間を潜り抜けなければ、先に確認できる限りでは道がないと来た。

 

 

のんびりいくか、と彼が思っていたその時だ。

 

 

彼は、微かに見た。

 

歯車が幾重にも重なりあう隙間に、ミオンが、何処かの煙突のようなものに落ちていったのを。

 

 

「ええい、ままよ!」

 

 

疾風のごとく跳躍すると、彼は、歯車の噛み合わな隙間を潜り抜けていった。




一日1話って結構辛いですねっ。


『一日1話だっけ? すまん、ありゃ嘘だ』

こういうのは観覧者様にとって、冒涜というレベルではないですね。

時間がなくとも、茶漬け好きは狼狽えないッ!
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